広告クリエイティブの審査が
詰まる原因と直し方
アドアフィの審査が詰まる原因は、審査する人の数より、「日程」「仕組み」「例外の管理」の3つにあることが多いです。表現のルールが届く前にメディアが制作を始める、指摘があちこちに散らばる、誰がいつまで例外を認めたかが残っていない。この3つを直したうえで、一次チェックをAIに任せると、人は判断の分かれる素材に集中できます。この記事では、新商品の立ち上げで実際に起きた差し戻しと、直し方を書きます。
執筆:佐藤祐介(株式会社LIFRELL代表。業界歴15年、担当500社・300商材以上) 最終更新:2026年10月30日※提携ASP・代理店を含む実績
アドアフィの審査で、広告主が見ているもの
アドアフィ(成果報酬型の広告)では、記事LPやバナー、動画などの素材を、広告主ではなくメディアが作ります。広告主は、それを配信してよいかを確かめます。これが審査です。メディアの数が増え、1社が何本も素材を出すようになると、確認する量は一気に増えます。
審査で見ているのは、薬機法・景品表示法・特定商取引法に照らした表現と、広告主が決めた表現のルール(レギュレーション)に合っているかです。記事の形をとっていても、表現は広告と同じ基準で見られます。
審査が詰まる3つの原因
ある新商品の立ち上げで、配信の開始日に審査が回らなくなりました。やり取りを全部読み直して、原因を3つに分けました。
| 原因 | 実際に起きたこと |
|---|---|
| 日程 | 開始日が前倒しになり、新しい表現のルールがメディアに届いたのは開始の数日前だった。メディアは届く前から、以前の感覚で素材を作り始めていて、大量の差し戻しが出た |
| 仕組み | 新商品の審査が1人に集中した。指摘は4つの場所に散らばり、どれが最新の版かを管理していなかった。判断の理由も残っていなかった |
| 例外の管理 | 誰が、どの素材を、いつまで例外として認めたかが記録されていなかった。稼働を優先して一時的に緩めた基準は、あとで締め直すときに「基準がバラバラだ」と過去のOKを根拠に交渉される |
人を増やす前に、日程を直す
審査の人を増やしても、ルールが届く前に作られた素材は差し戻しになります。最初に直すのは、ルールを確定してから制作を始めてもらう日程です。
いまの審査の回し方
| 決めごと | 中身 |
|---|---|
| 開始日 | 表現のルールが確定してから、2週間あけて配信を始める |
| 受付 | 受付の締切、優先順位、各メディアが1日に出せる本数の上限を決める |
| 版の管理 | 修正のたびに新しいシートを作る。どれが最新かを全社で同じにする |
| 例外の台帳 | 誰が、どの素材を、いつまで例外として認めたかを残す |
| 判断の事例集 | 過去のやり取りから判断の事例を抜き出し、次の審査とメディアの制作に使う |
| 返し方 | 「OK/注釈つきOK/NG」の表で即日返す。NGには理由と言い換え案、他の素材のOKの線とNGの線を添える |
返し方を表にしたのは、以前、1つの素材に140か所の修正を戻して、メディアが動けなくなったことがあったからです。直す場所が多いほど、どこまで直せば通るのかが分からなくなります。NGには必ず、通る言い換えを付けて返します。
一次チェックをAIに任せる:4回の実測
審査が追いつかなくなったとき、人を増やすのではなく、AIで一次チェックをする仕組みを作りました。AIが根拠にしてよいものは、広告主の表現ルールと、過去の判断の事例の2つだけに限っています。根拠のない「気になる点」は、「ルールに明記なし」と書いて確認の候補に回します。
精度は、人の審査結果を伏せたまま、AIの指摘と照らし合わせて測りました。4回目は、それまでと別の35本で試し、人の指摘の約半分(51.5%)と一致し、部分的な一致まで含めると84.5%でした。
| 分かったこと | 中身 |
|---|---|
| 最初は人より厳しすぎた | 人は多くの指摘を「注釈を足せばOK」で通していた。AIにも「まず注釈で直せるか」を考える順番を教えると、同じ81本で、厳しすぎる指摘の割合は11.3%から6.6%に下がった |
| 正解は広告主の判断 | AIだけが出した指摘は、人の見落としではなく「広告主に確認する候補」として扱う |
| 使いどころ | メディアが素材を出す前の一次チェックに使い、人は判断の分かれる素材に集中する |
4回の実測の詳しい数字と手順は、広告審査はAIでどこまでできる?(LIF Tech)にまとめています。
差し戻しを減らすための、表現の決めごと
- デザインではなく、言葉で落ちることが多い:ある広告では、差し戻された3本はどれもデザインに問題がなく、落ちたのは言葉だけでした。診断名や症状名を前面に出すと、対象を誤解させます。名前ではなく、読者が困っている場面を書きます。バナーは文言の差し替えで済みますが、動画は作り直しになるので、台本の段階で確かめます。
- 医師の監修や利用者の声は、実際に関わった範囲だけで使う:監修を受けた素材や、本人が実際に使った範囲を超えて使い回しません。契約が終わったら外します。
- 指摘を受けて外したものは、数字が下がっても戻さない:申込みの画面からカウントダウンのタイマーを外したとき、申込みの率は下がりました。それでも外したまま、ほかの商材の画面にも広げました。
正直に書く:この仕組みでも残ること
- AIの一次チェックは、人の審査の代わりにはなりません。一致は約半分で、判断の分かれる素材は人が見ます。
- ルールを確定してから2週間あけると、開始は遅くなります。そのぶん、開始後の差し戻しと止まる時間は減ります。
- 表現の判断は、商品と区分ごとに変わります。この記事は一般的な進め方で、個別の表現の可否は、法令と専門家の確認で判断します。
よくある質問
Q.審査が追いつきません。まず何を直せばいいですか?
A.日程です。表現のルールを確定してから制作を始めてもらい、配信の開始まで2週間あけます。そのうえで、受付の締切と上限、版の管理、例外の台帳を決めます。
Q.AIに審査を任せられますか?
A.一次チェックなら任せられます。根拠を表現ルールと過去の判断の事例に限り、人の審査結果と照らし合わせて精度を測ってから使います。当社の4回目の実測では、人の指摘の約半分と一致しました。
Q.メディアに差し戻すとき、何を付ければいいですか?
A.NGの理由と、通る言い換え案です。直す場所だけを並べると、どこまで直せば通るのかが分からず、メディアが動けなくなります。
Q.一時的に基準を緩めてもいいですか?
A.おすすめしません。あとで締め直すときに、過去のOKを根拠に交渉されます。緩める場合は、誰が、どの素材を、いつまで認めたかを台帳に残します。
Q.審査の仕組みづくりから頼めますか?
A.頼めます。表現ルールの作成、受付と版の管理、例外の台帳、AIの一次チェックの設計まで、立ち上げの段階から担当します。
AUTHOR
佐藤祐介株式会社LIFRELL 代表取締役/アドアフィ専門・成果報酬型マーケター
オプト(全社MVP)、電通デジタルを経て、すららネットでマーケティング責任者としてBtoC事業を35倍に伸ばし上場に貢献。2018年にLIFRELLを設立。業界歴15年、担当500社以上・300商材以上。年間150億円規模のアドアフィ取扱に関わり、月15億円規模の広告費をマネジメント。医薬品・美容・健康食品・家電・デンタル・キッズのメーカー各社の事業側に外部CMOとして入り、数十商材の成果報酬型獲得を同時に運用。育毛剤D2Cでは0件から3か月で月30,000件、3年継続、大型メディア25社と取引。商材企画、オファー設計、LP・BOT、薬機法対応、メディアリクルーティング、計測・不正管理、在庫・与信・CRMまで、獲得の全工程を担当しています。本記事の内容は、クライアント名・メディア名・ASP名・商品名を伏せた上で、実際に起きた出来事だけを書いています。※提携ASP・代理店を含む実績

