7割の独身男女を救うカギはフィーリング? アロハー石原鉄兵が語る婚活の未来

恋人のいない独身男女が7割、スペック重視の婚活に疲れる人が増加──。そんな現代に「人柄やフィーリングを大切にする出会いの場」を創り、数々の婚活イベントを仕掛けているのが株式会社アロハー代表の石原鉄兵さん。

元・結婚式場支配人という経歴を活かし、AIや哲学対話など一見ユニークな手法を取り入れながら、“自然な恋愛”を復活させようと奮闘する石原さんに、婚活イベント最前線のリアルと今後の展望を伺いました。

婚活パラダイス
目次

株式会社アロハー 代表取締役・石原鉄兵さん × 婚活パラダイス編集部 インタビュー対談

株式会社アロハー 代表取締役

石原鉄兵さん

プロフィール

独自の婚活サークルや企業間婚活、独身専門の習い事サイトなど、常識にとらわれないアイデアで15年以上にわたり“本来の出会い”を創出してきた婚活プロデューサー。その後、マッチングアプリやAIを活用したマッチングサービスの開発もスタート、条件だけでは見えない“人柄やフィーリング”を重視する出会いの場を追求している。

インタビュー中の様子
インタビュー中の様子

婚活イベントの世界に飛び込んだきっかけ

編集部
本日は、お時間をいただきありがとうございます。さっそくですが、株式会社アロハーを立ち上げた背景や、石原さんご自身が婚活イベントに注力するようになった経緯を教えていただけますか?

石原鉄兵さん

よろしくお願いします。
私は前職で結婚式場の支配人をやっていました。そこでは“すでに結婚が決まっているカップル”の結婚式や披露宴をプロデュースしていたのですが、当時から婚姻組数がどんどん減っている状況があって、「そもそも出会いがなければ結婚式場も先細りしてしまうのではないか」と危機感を覚えたんです。

そのうち、「どうやったら良い出会いが増えるのか」という方にばかり意識が向いてしまい、結果的に2007年頃に独立しました。

最初は株式会社マハローというコミュニティ形態で、小人数が何度も顔を合わせるリアルな場を作っていたんですね。

いわゆるサークルのようなものを10年以上、毎週のように飲食店やレストランで運営していました。

編集部
小人数で何度も会える場を用意されていたわけですね。

石原鉄兵さん

はい。1回きりのイベントだと深いコミュニケーションが取りづらいですよね。
でも学生時代や職場恋愛のように何度も顔を合わせるうちに仲良くなっていく方が、人間本来の自然な恋愛に近いと考えました。

ただ、コロナ禍でリアルイベントが一時ストップせざるを得なくなり、それを機に新たなスタートアップとして株式会社アロハーを立ち上げ、マッチングアプリの開発等にも力を入れています。

恋人のいない独身男女が7割? 既存サービスの限界

編集部
石原さんのサイトにも「恋人のいない独身男女の割合は約70%」というデータが載っていました。マッチングアプリや結婚相談所、婚活パーティーなど、世の中には本当にたくさんのサービスがあるのに、なぜ恋人がいない人がそんなに多いのでしょう?

石原鉄兵さん

私の解釈では、今あるサービスがいわゆる「スペック重視」のマッチングを中心としていることが大きいと思っています。年齢や年収、外見といった条件だけで相手を選別する仕組みです。

実は、そこだけで判断していると“フィーリング”のような本質的な部分は見えてこないんですよ。

元々は職場結婚や親戚の紹介・お見合いが日本の結婚を支えてきましたが、そういった自然発生的な出会いの場がなくなってきています。

すると「顔写真と年収」でしか相手を見られない状況になってしまう。結果として恋人ができない人が増え、少子化もさらに進んでしまう悪循環に陥っているんです。

編集部
確かに、マッチングアプリや大手結婚相談所では、プロフィールの写真・年齢・年収がどうしてもメインに扱われてしまいますよね。

石原鉄兵さん

そうですね。しかもプロフィール写真は加工が当たり前、年収も真実かどうか怪しいものが多くて(笑)。

条件で絞っても虚像同士がマッチしているような、何だかおかしな状況だと思うんです。

「人柄・フィーリング」を重視した出会いの場づくり

編集部
石原さんのところでは、そういったスペック重視から脱却し、人柄やフィーリングを大切にする出会いを意識されているようですが、具体的にはどのようにイベントやサービスを運営しているのでしょうか?

石原鉄兵さん

これまでに少人数サークル形式だけでなく、たとえば企業間の婚活イベント、独身者向けの習い事サイト、オンラインでの哲学対話イベントなど、いろいろと取組んできました。

共通しているのは「1回きりで終わりにしないこと」や「単に条件でふるいにかけないこと」です。

今はイベントごとに少し形態が違いますが、たとえば飲み歩きツアー形式のイベントではAIによる“相性のよさそうなグループ分け”を導入してみたり。

逆に「哲学対話(カラフルトーク)」では、東京大学の梶谷真司教授にご協力いただき、一つのテーマをみんなでじっくり深掘りする「哲学対話」という仕組みを取り入れたイベントにも力を入れています。

編集部
「哲学対話」というのはちょっと変わった試みですよね。どんな感じで進めるんでしょう?

石原鉄兵さん

「哲学カフェ」という形は全国にもあるのですが、集まった人たちであるテーマについてじっくり対話するんです。例えば「恋愛と結婚は何が違うの?」みたいな問いを設定して、参加者が一人ずつ喋る。

喋る人はボールを持っている人だけで、終わったら次の人へボールを渡すというルールで進行します。

変な気遣いや取り繕いがないからこそ、一見、物静かな方でも積極的に自分の意見を話されたり、と新しい発見が生まれるんです。

意外におとなしそうな人が深い話をして「この人、考え方が素敵!」とギャップを感じて惹かれたり、ちゃらちゃらして見える人が実は真剣だったり…人柄がすごくよく伝わる手法ですね。

これをオンラインでもオフラインでもやっています。

編集部
素敵ですね。条件で相手を決める前に、その人ならではの価値観や考え方に触れられるのは魅力的だと思います。

出会いから結婚まで、サポートは?

編集部
イベントで盛り上がった後の連絡先交換やフォローアップはどうなっていますか? いわゆる「マッチングタイム」を設けるところも多いですが。

石原鉄兵さん

弊社イベントでは基本的に、自由に連絡先を交換してOKです。何度も「気になった方とはどんどん交換してくださいね」とお声がけしています。

もし直接の声かけや交換ができなかった方には、終了後にアンケートで希望者の名前を書いていただき、相手がOKなら連絡先をお知らせする仕組みです。

ただ「その場でカップリングを発表する」というようなシステムはやっていません。1~2時間のイベントで相性が判断できるかというと、なかなか難しいですからね。

中には二次会にそのまま行かれる方もいますし、LINE交換だけして後日ゆっくり会う方もいらっしゃるようです。

編集部
それくらい自由度があると、参加者としては気軽ですし、人となりを見た上で判断できそうですね。

石原鉄兵さん

そうですね。焦らせるような演出はしていません。

私たちは「まず良質な出会いの場を増やして、パートナーができる人を増やしたい」という部分に重きを置いていて、結婚相談所のようにマッチング成立を成果報酬にするとかは考えていないんです。

新しいサービスへの意欲とビジョン

編集部
実は婚活イベントって、運営だけだとあまり利益につながりにくいと言われます。大手企業も結婚相談所への集客装置としてイベントを開いているところが多いですよね。石原さんのところでは、ビジネスとしてはどんな構想なのでしょう?

石原鉄兵さん

弊社では「良質な出会いがあれば恋人やパートナーは見つかるはず」という信念で続けています。イベントの利益率は低いですが、出会いたくてイベントへ参加されている方々へ、相談所の送客はしません。

その分、アプリ化やAI化など、出会いとして価値を高めることで収益をあげられるサービスを目指しています。 以前に手がけたマッチングアプリ開発の経験も活かし、現在も新たにアプ リやサービスを準備中です。

いずれはリアルイベントとデジタルサービスを掛け合わせて、事業を大きく発展させていく計画です。

そうすれば多くの人に質の高い出会いを提供できるようになるはずですし、それが結果的には婚姻数の減少を緩やかにしたり、少子化を少しでも食い止めることにもつながると思っています。

編集部
少子化問題は本当に深刻ですよね。私たちもメディアとして何とかしたいという思いがあります。スペックだけではなく、真の意味で“相性の良い”パートナーと出会える場を増やすことが大事だなと改めて感じました。

石原鉄兵さん

おっしゃる通りです。今後、もし新サービスが完成したら、またぜひ取材などでご紹介させてください。

「パートナー探し=幸せ」のために

編集部
最後に、婚活を頑張っている読者に向けてメッセージをいただけますか?

石原鉄兵さん

私たちは、「良質な出会いがあれば、自然とパートナーは見つかる」と信じています。婚活と聞くとどうしても条件やプロフィールに縛られがちですが、実際に顔を合わせて何度か会話をすると、人柄や価値観など“スペックには表れない魅力”が分かってきます。

そういう出会いの場を数多く創出し、少しずつでも「パートナーがいない人」を減らしていくことが株式会社アロハーの理念です。

結婚に限らず、「人生を共にする相手を見つけたい」と思っている方に向けて、引き続きイベントや新しいサービスを展開していきますので、ぜひ気軽に参加してみてください。

編集部
本日は本当にありがとうございました! インタビュー記事が完成しましたら、事前に石原さんにご確認いただきたいと思います。今後の新サービスリリース情報なども、ぜひ追って教えていただければ嬉しいです。引き続きよろしくお願いします!

石原鉄兵さん

こちらこそありがとうございました。ぜひ今後ともよろしくお願いします。

インタビュー後記

石原さんが強調されていたのは「人柄やフィーリングを大切にする出会いの場づくり」。スペックでの比較に疲れた方にとっては、新しい希望になるかもしれません。

「何度も顔を合わせる」「気兼ねなく深い話ができる場をつくる」ことは、昔の職場恋愛やご近所同士の自然な出会いの“再現”にも近いとのこと。

オフライン・オンラインともにイベントを開催しており、哲学対話を取り入れた「カラフルトーク」などユニークな企画は要チェック。

今後、AIを活用した新たなマッチングサービスにも期待が高まります。詳細が公開されたら、婚活パラダイスでも情報を追いかけていく予定です。

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