広告を運用する際、その成果を測定する上で非常に重要な指標のひとつが「インプレッション」です。
インプレッションの意味を正確に把握しておらず、他の指標と混同してしまう方が多いかもしれません。
そこで、今回は広告におけるインプレッションとその他の指標について解説し、また、具体的にインプレッションを増やす方法についても紹介します。
広告運用に携わる担当者の方はもちろん、これから広告を導入しようと考えている方も参考にしてください。
imp(インプレッション)の意味とは?他の数値との違い
インターネットの世界では、様々な数値が存在し、その一つがimp(インプレッション)です。
広告業界を中心に使用されるこの数値は、Web広告の性能を測るための基本的な指標となります。
数値が何を示し、どのように計算されるのかを理解することが必要です。
特に、impと他の数値との違いを知ることは、広告効果の分析において重要となります。
impはWeb広告が表示された回数のことを示す数値
インプレッション(Impressions 略称imp)とは、ウェブ広告が表示された回数を表す数値です。
広告がユーザーのウェブブラウザに表示されるたびに、1インプレッションがカウントされます。
これは、広告が表示されたことを示すだけで、ユーザーが広告を実際に見たかどうか、または広告に反応したかどうか(クリックしたかどうかなど)は関係ありません。
したがって、impは広告の「露出度」を示す数値と言えます。
impの計算方法
impは非常にシンプルに計算されます。広告がウェブページに表示されるたびに1つ増えます。
例えば、ある広告が100回ウェブページに表示された場合、その広告のimpは100となります。
impと他の指標との主な違いは、impが広告の「露出」を表すのに対し、他の指標はユーザーの「反応」を示すことです。
たとえば、クリック数はユーザーが広告をクリックした回数を示し、CTR(クリックスルーレート)は広告が表示された回数に対するクリックの割合を示します。
これらの指標はユーザーの広告に対する具体的な反応を示すため、impと比較してより高度な広告効果を表すことができます。
PVとの違い
PV(Page View)は、ウェブサイト上の特定のページが閲覧された回数を示す指標です。
例えば、あるユーザーが特定のウェブページを5回開いた場合、そのページのPVは5となります。
一方、impは広告が表示された回数を示す指標です。つまり、広告がどれだけの露出を得たかを数値化します。
この二つの指標の違いは主に対象となるエンティティにあります。
impは広告に特化していて、広告が表示された回数を追跡します。
一方、PVはウェブページ全体に関連しており、あるページが表示された回数を追跡します。
また、一つのウェブページ上に複数の広告がある場合、そのページが表示されるたびに各広告のimpは増加しますが、PVはページ全体としてカウントされるため、1回の表示で1回のカウントとなります。
リーチとの違い
リーチは広告が到達したユニークなユーザー数、つまり個々のユーザーが広告をどれだけ見たかを表す指標です。
例えば、一人のユーザーが同じ広告を何度も見た場合でも、そのユーザーはリーチに対して1としてカウントされます。
一方、impはその広告が表示された全回数をカウントします。
つまり、同じユーザーが同じ広告を何度も見た場合、その都度impがカウントされます。リーチは広告がどれだけの範囲のユーザーに到達したかを示す一方、impは広告が全体でどれだけ表示されたかを示します。
このため、広告のリーチとimpが同じである場合、それは各ユーザーがその広告をちょうど1回ずつ見たことを意味します。
エンゲージメントとの違い
エンゲージメントはユーザーが広告やコンテンツとどの程度関わったかを示す指標です。
エンゲージメントには、「いいね」やコメント、シェア、広告のクリックなどの行動が含まれます。高いエンゲージメントはユーザーが広告やコンテンツに対して積極的に反応している証拠であり、ブランドとユーザーとの強い相互作用を示す指標となります。
対照的に、impはユーザーが広告を見た回数を数値化したもので、ユーザーがその広告に対してどのような行動をとったかはカウントしません。
例えば、広告がユーザーに表示されたが、ユーザーがそれに何も反応しなかった場合でも、impはカウントされます。
そのため、impは広告の「露出度」を示しますが、広告がユーザーにどれだけ魅力的であったかや、ユーザーが広告にどの程度反応したかという詳細な情報は提供しません。
これはブランドとユーザーとの関係の深さを測る上で非常に有用な指標となります。
imp(インプレッション)の活用シーン
インプレッション(imp)はWebマーケティングにおいて非常に重要な要素です。その理由は主に以下の二つになります。
【露出度の指標】
インプレッションは広告が表示された回数を示すため、広告の露出度を測定する最も基本的な指標として用いられます。
広告が高いインプレッションを獲得するということは、それが大勢の人々に表示され、ある程度の認知を獲得したことを意味します。
【広告効果の基準】
インプレッションは、広告の効果を評価するための基準となる値でもあります。
例えば、クリックスルーレート(CTR)は、「広告が表示された回数(インプレッション)の中で、広告がクリックされた回数(クリック)は何回か」を示す指標であり、広告の魅力性や興味を引く能力を測定するのに使用されます。
同様に、コンバージョンレート(CVR)も、「広告が表示された回数(インプレッション)の中で、広告が目標とする行動(例:商品購入、会員登録など)に繋がった回数は何回か」を示す指標であり、広告が具体的な成果を生む能力を測定するのに使用されます。
媒体別のimp(インプレッション)の意味を理解しよう
ディスプレイ広告・リスティング広告
ディスプレイ広告は、ウェブサイトの特定の場所に表示される画像やテキストなどの視覚的な広告を指します。これは通常、バナー広告の形を取ります。
リスティング広告は主に検索エンジンの結果ページに表示され、ユーザーの検索クエリに関連する広告を表示します。
これらの広告では、impは広告が表示された回数を示します。
これは広告がユーザーの視野に入った回数を意味します。つまり、ユーザーが広告をクリックするかどうかは関係ありません。ただし、表示された広告がユーザーによって見られたかどうかは確定できません。このため、一部のマーケティング専門家はビューアブルimp(視認可能なimp)という概念を用い、広告がユーザーの視野に完全に入った回数をカウントします。
TwitterやインスタなどでのSNS広告
SNSプラットフォームでは、ユーザーのニュースフィードやストーリーに広告が表示されます。
SNS広告はユーザーが自然にコンテンツをスクロールする中で表示されるため、ユーザーが広告を閲覧する可能性が比較的高いです。SNS広告のimpは、広告がユーザーのフィードに表示された回数をカウントします。
ユーザーが広告をスクロールして過ぎてしまった場合でも、impはカウントされます。
広告主にとっては、広告がどれだけのユーザーに到達したかを理解する上で重要な指標となります。
SNS広告
YouTube広告のimpは、広告がどの程度のユーザーに到達したかを示すための指標です。
YouTubeでは、広告がビデオの再生前(プレロール広告)、再生中(ミッドロール広告)、またはビデオのページ上(ディスプレイ広告)に表示されるたびにimpがカウントされます。
YouTubeでは、視聴者が広告を少なくとも30秒間(または全編、もし広告が30秒未満であれば)視聴した場合にビューがカウントされます。
そのため、impとビューは必ずしも一致しません。
例えば、広告が表示されたけれど視聴者が30秒未満でスキップした場合、impは増加しますがビューは増えません。これは、視聴者が広告にどれだけ長く注意を払ったか、またはどれだけ興味を持ったかを示しています。
よく「広告をスキップする」というボタンをクリックやタップして動画本編を見ることがあると思いますが、まさにこのことで、興味をもたれない広告はインプレッションに対してビューが少ない、ということになります。
さらに、YouTubeではビューアブルimp(視認可能なimp)という指標も用いられます。これは広告がユーザーの視野に完全に入り、視認可能な状態で表示された回数をカウントする指標で、広告の視認性を評価するために使用されます。
これらの指標を理解することで、広告主は広告キャンペーンの効果をより正確に測定し、最適化することが可能になります。
例えば、高いimpと低いビュー数が示すのは、広告が表示されてはいるものの、視聴者が広告をスキップしてしまっている可能性があります。
この場合、広告の内容やターゲティングの方法を見直すことで、より多くの視聴者が広告を視聴するように改善することが可能になります。
アドサーバー側での便利なimp(インプレッション)数計測方法2選
広告のインプレッション数を計測するための基本的な方法は主に2つあります。
それぞれリクエストベースとOTS(Opportunity To See)ベースと呼ばれています。
リクエストベース
リクエストベースのインプレッション計測は、広告がユーザーのブラウザにリクエストされた回数をカウントする方式です。
広告が表示されるたびに、ブラウザはアドサーバーに対して広告の表示をリクエストします。そのリクエストの数がカウントされ、それがimpの数となります。この計測方法のメリットは、計測が比較的簡単であることです。
しかし、欠点は、広告が実際にユーザーの画面に表示されたかどうかを保証できないことです。
例えば、ページの読み込みが完了する前にユーザーがページを離れた場合、広告はリクエストされたものの表示されない可能性があります。
OTS(Opportunity To See)ベース
一方、OTSベースのインプレッション計測は、広告がユーザーの視覚的なフィールドに実際に入った回数をカウントする方式です。
これは「ビューアブルインプレッション」または「視認可能インプレッション」とも呼ばれます。
具体的には、広告がページ上で一定の割合(通常は少なくとも50%)が表示され、一定時間(通常は1秒以上)経過したときにインプレッションがカウントされます。
OTSベースの計測方法のメリットは、広告が実際にユーザーに表示され、見られる可能性があった回数をより正確に反映できることです。
ただし、技術的な制約から、リクエストベースの計測に比べて実装が複雑になることがあります。
Web広告のimp(インプレッション)数の確認方法
Web広告のインプレッション数は、広告プラットフォームのダッシュボードを通じて確認することができます。具体的には、Google広告とYahoo!広告における確認方法について説明します。
Google広告
Google広告(旧Google AdWords)を使用して広告キャンペーンを運用している場合、そのインプレッション数はGoogle広告のダッシュボード上で確認することができます。
【確認方法】
1.Google広告にログインします。
2.左側のメニューから「すべてのキャンペーン」をクリックします。
3.「キャンペーン」タブをクリックし、表示されるキャンペーンのリストの中から対象となるキャンペーンを選択します。
4.右上の「日付欄」をクリックして、インプレッションを計測したい期間を選択します。
5.左側に表示される表で「表示回数」の部分の数字を確認します。
Yahoo!広告
Yahoo!広告におけるインプレッション数の確認方法は以下の通りです。
【確認方法】
1.Yahoo!広告にログインします。
2.左側のメニューから「キャンペーン管理」を選択します。
3.「キャンペーン」タブをクリックし、表示されるキャンペーンのリストの中から確認したいキャンペーンを選択します。
4.「インプレッション」の列を確認します。
imp(インプレッション)数の増やし方
広告のimp数を増やすための方法はいくつかありますが、ここでは2つの主な戦略を紹介します。
広告にかける費用を増やし、入札単価も上げる
最も直接的なimp数を増やす方法は、広告にかける予算を増やすことです。
そのため、競合が多ければ多いほど費用が必要になってきます。
広告が表示されるたびに費用が発生するPPC(ペイ・パー・クリック)広告の場合、予算が増えると表示回数も増えることが期待できます。広告の入札単価を上げることもimp数を増やす有効な方法の一つです。
広告の入札単価が高いほど、他の競合広告よりも表示される確率が高くなります。
しかし、予算を増やすだけでは必ずしも成果が得られるわけではありません。広告が表示されるだけでなく、クリックやコンバージョンにつながるように広告の内容やターゲティングを最適化することも重要です。
スモールキーワードにも目を向ける
大規模なキーワードだけでなく、スモールキーワード(より狭い範囲や特定のニッチに対象を絞ったキーワード)にも目を向けることで、imp数を増やすことができます。
スモールキーワードは競合が少なく、その結果として入札単価が低くなります。これにより、同じ予算でより多くのimpを得ることが可能になります。
また、スモールキーワードは通常、特定のユーザーグループをターゲットにしているため、広告が表示されるとそのユーザーが広告をクリックしやすくなります。
これにより、広告のCTR(クリック率)とCVR(コンバージョン率)が向上し、広告のROI(投資回収率)が向上する可能性があります。
例えば「居酒屋」だけで検索するよりも「居酒屋 東京駅」と検索するユーザーの方がより具体的なアクションを考えているのがわかります。
そのため、ビッグキーワードよりもスモールキーワードの方がクリックと申込につながる可能性が高くなっています。
広告の内容を改善する
広告の内容が魅力的であればあるほど、より多くのユーザーが広告をクリックし、その結果imp数も増える可能性があります。
広告の内容を改善するためには以下の要素を検討すると良いでしょう。
【ヘッドライン】
ユーザーが最初に目にする部分で、広告をクリックするかどうかを決定する重要な要素です。魅力的で関連性の高いヘッドラインを作成することで、ユーザーの関心を引きつけ、imp数を増やすことができます。
【画像やビデオ】
視覚的な要素は広告の効果を大幅に高めることができます。鮮やかな色使い、クリエイティブなデザイン、動きのあるビデオなどを使用することで、ユーザーの注目を引きつけることができます。
【コール・トゥ・アクション(CTA)】
ユーザーに何をすべきか具体的に指示することで、クリック率を上げることができます。具体的かつ行動を促す言葉を使用することが重要です。
ターゲット層の明確化
広告が表示されるユーザーの層を明確に定義することで、imp数を増やすことができます。特定のユーザー群に焦点を当てることで、広告はその群の関心とニーズに直接対応し、より高いクリック率と視聴率を達成する可能性があります。
ユーザーの属性(年齢、性別、地理的位置など)、行動(Webサイトの訪問、特定のキーワードの検索、特定の商品の購入など)、そして興味や趣味(特定のトピックやカテゴリーに対する関心度など)を考慮して、広告のターゲット層を設定します。
これにより、広告はターゲット層に適した内容で表示され、その結果、クリック率やインプレッション数が増加します。
また、広告のターゲティング設定を定期的に見直し、最適化することも重要です。広告キャンペーンのパフォーマンスデータを分析することで、どのターゲット層が最も反応が良いかを特定し、それに応じてターゲティングを調整します。
【実践編】やりがちなGoogle広告の「説明文」とは【クリックされてる?】
ここまでは表示回数である「インプレッション」について解説しましたが、実際にGoogle広告の運用現場で起きている落とし穴について紹介します。
Google広告のタイトルと説明文は、リスティングキーワードを含めることで広告のスコアが上昇するだけでなく、クリックにも影響してきます。
ユーザーのニーズに直接対応するようにタイトルと説明文を作成しましょう。
と、ここまではなんとなく理解できている方が多いのですが、ここで落とし穴がひとつあります!
キーワードにとらわれすぎて、ユーザーのメリットやネクストアクションを表記できていないケースが実に多いのです。
例えば「シャンプー 女性向け」というキーワードで広告を出している場合、説明文も以下のようになりがちです。
「女性向けシャンプーなら〇〇!(商品名)」
商品名の認知はできますが、ユーザーが読んだ時に自分ごととして捉え、次のアクションに移るためには少々弱い文言です。
そのため、商品名はタイトルに配置して、以下のような説明文を作成してみましょう。
「髪のきしみにさよならしたいなら読んでください!」
これは一例ですが、このようにサービスの特長やユーザーメリットはもちろん、ユーザーに行動を促すための文言を設定するようにすることをお勧めします。
インプレッションが上昇するキーワードだけに気を取られてしまわないよう、気をつけてくださいね。
まとめ:インプレッションを正しく理解してウェブ広告を発展させよう
この記事では、Web広告において重要な指標である「インプレッション」について解説してきました。
インプレッションとは広告が何回表示されたかを示す指標であり、正確な算出方法と効果的な増やし方を把握することで、より効果的なWeb広告運用ができるようになります。
広告全体における「ユーザーの需要」を測るため、インプレッションは重要な指標といえるでしょう。
そして、PVやエンゲージメント、リーチなど他の指標との違いや、インプレッションを高めるための具体的な方法についても解説しました。
インプレッションという基本的な指標を適切に理解し、運用に生かすことで、より効果的なWeb広告の展開が可能になると言えるでしょう。