完全ガイド:ディスプレイ広告ターゲティングの全17手法をマスター

監修者

佐藤 祐介
佐藤 祐介

株式会社LIFRELL代表取締役。大手代理店、株式会社オプト、電通デジタルの2社でアカウントプランナーを経験。その後、株式会社すららネットでインハウスマーケターとして事業の立ち上げからマザーズ上場水準まで事業を伸長させる。マーケティング戦略の立案からSEO/WEB広告/SNS/アフィリエイト等の施策で売上にコミット。

専門家

深瀬 正貴
深瀬 正貴

Yahoo株式会社 法人マーケソリューション出身。 鎌倉の海のそばでオフィスFHを運営。 リスティングやSEOをはじめとしたデジタルマーケティングで100社以上の売り上げ課題を解決。
最近の趣味はブームに乗っかったように見えてしまう「焚き火ごはん」。

目次

ディスプレイ広告の世界では、ターゲットを絞り込むための様々な方法が存在しています。しかし、これらの方法を一から学ぶことは、初心者にとってはなかなか難しい挑戦かもしれません。加えて、各広告プラットフォームごとに用意されているターゲティングオプションを全て記憶することは、長年の広告運用の経験がある人でさえも困難な場合があります。

このような状況の中で、特にお勧めしたいのが、まずリマーケティング広告から取り組むことです。しかし、リマーケティング広告を展開する前に、あなたが必ず行うべき事前準備があります。それは、的確なリサーチを行うことです。

この記事では、ディスプレイ広告を最大限に活用するために必要な、効果的なリサーチ方法から始まり、リマーケティングを含む各種ターゲティング戦略、そしてそれらをどのように応用していけばよいかについて、段階を追って解説していきます。

広告ターゲティングの前に行うべきリサーチ

ターゲティング戦略を策定する前段階として重要なのは、まずはターゲットとなる顧客層を明確に特定することです。この過程で欠かせないのが、綿密なリサーチ作業です。リサーチを怠ると、広告が本来届けたい顧客に達しないリスクがあります。

顧客が何を求めているのか、どのようなウェブサイトを閲覧しているのか、どのような問題解決を望んでいるのかを詳細に調査し、これらの情報を基に適切なターゲティング戦略を選択することが肝心です。

リサーチの際には、顧客の性別、年齢、趣味嗜好、家族構成、職業、生活パターンなど、可能な限り多くの情報を収集し、理解を深めることが推奨されます。

例えば、プロテイン製品を販売する場合、筋肉を増やしたい男性を主なターゲットと定めた場合、彼らの日常生活やトレーニング習慣、好むウェブサイトの種類などを把握することで、どのタイミングで、どのようなメッセージを伝えるべきかが見えてきます。

こうしたリサーチを通じて、ターゲット顧客の特性とニーズを正確に把握し、最適なターゲティングオプションを選定することが、広告キャンペーンの成功への第一歩となります。

ディスプレイ広告で最初に取り組むべき「リマーケティング」戦略

ディスプレイ広告の取り組みを開始する際に、最優先で考慮すべき戦略が「リマーケティング」です。Google広告では「リマーケティング」として、Yahoo!広告では「サイトリターゲティング」として提供されているこのターゲティング手法は、一度あなたのサイトに訪れた人々に再び広告を表示させるものです。

インターネットで商品を検索した後、その商品の広告が何度も目に入る経験は、多くの方が共有しているはずです。それこそがリマーケティングの仕組みによるものです。

サイト訪問者を明確なターゲットとして選び出し、広告配信を行うことで、ディスプレイ広告の中でも特に高いコンバージョン率を実現することが可能です。ディスプレイ広告のキャンペーンを開始する際には、まずリマーケティングの実施を推奨します。

現代の消費者は、単にサイトを訪れただけで購入やサービスの申し込みに進むことは稀で、他の商品やサービスと比較検討を重ねた後、再度サイトを訪れて決断する傾向にあります。このような消費者行動を踏まえると、リマーケティングによって一度はサイトを離れた検討中のユーザーを再度引き戻し、購入や申し込みに繋げることができます。

さらに、リマーケティングは細かいカスタマイズが可能で、既にコンバージョンを達成したユーザーを対象から除外することで、より精密なターゲティングを実現することもできます。これにより、広告の効率性を一層高めることが可能になります。

ディスプレイ広告の展開において、リマーケティングはその効果の高さから、取り組むべき最初の戦略と言えるでしょう。一度訪れたユーザーに再度アプローチすることで、検討段階にあるユーザーの再訪問を促し、最終的なコンバージョンに繋げる力を持っています。

ディスプレイ広告のターゲティング方法の全概要

ディスプレイ広告のターゲティング手法には、広範囲にわたる多彩な方法が存在します。これらは主に、ターゲットの「人」に焦点を当てる方法と、「掲載場所」を中心に考える方法の2つに大別できます。

「人」を中心にしたターゲティング

このタイプのターゲティングは、個人の属性や興味関心、行動履歴、そして使用しているデバイスに基づいて広告を配信する方法です。ユーザーの年齢、性別、趣味・関心事、訪れたウェブサイト、視聴した動画など、具体的な特徴をもとにターゲット層を絞り込みます。

リマーケティング(リターゲティング)は、この「人」を中心にしたターゲティングの一例で、過去に特定のウェブサイトを訪れたユーザーに再び広告を表示する手法です。これにより、関心を示したユーザーに対して効果的にアプローチすることが可能となります。

「面(掲載場所)」を重視したターゲティング

こちらは、広告が表示される具体的な「場所」を指定して配信を行う方法です。これにより、特定のウェブサイトやアプリ、動画など、特定のコンテンツ上に広告を掲載することができます。広告の掲載場所は、各広告媒体が提携しているサービスやサイトの範囲内で選択されます。

たとえば、運動関連のウェブサービス(ジムのウェブサイトやオンラインフィットネスクラスなど)に関連する広告を、運動や健康に関する情報サイト、筋トレやダイエットに特化した個人ブログ上に表示させるように設定することが可能です。このようにして、特定のトピックや関心事に合わせたウェブサイト上に広告を配信することにより、ターゲットとなるユーザーに対してより直接的にリーチすることができます。

広告配信先を特定のウェブサイトのURLで指定する、特定の検索キーワードを用いたユーザーを対象にする、または運動関連のカテゴリを選択するなど、ターゲティングの精度を高める様々な方法が提供されています。

ディスプレイ広告のターゲティング手法を理解し、適切に活用することで、広告の効果を最大限に引き出すことができます。ターゲットとなる「人」の属性や興味関心、または広告を表示したい「場所」に応じて、最も効果的なターゲティング方法を選択しましょう。

GoogleとYahoo!のディスプレイ広告ターゲティング機能の詳細解説

ディスプレイ広告におけるターゲティング機能は、広告主にとって極めて重要なツールです。Google広告とYahoo!広告では、それぞれに特有のターゲティング機能が提供されており、これらを適切に活用することで、広告の効果を大幅に向上させることが可能です。

Google広告:「人」中心のターゲティング機能

  • 購買意向の強いオーディエンス
    Google広告では、「購買意向の強いオーディエンス」機能を提供しています。これは、特定のカテゴリに関連する商品やサービスに対して、購入を検討しているユーザーをターゲットに設定できる機能です。購入段階に非常に近いユーザーに対して、より効果的に広告を届けることができます。
  • カスタムセグメント
    カスタムセグメント機能を利用することで、広告主自身がキーワードやURLなどを基に、独自のオーディエンスリストを作成し、ターゲティングすることができます。これにより、特定の興味・関心を持つユーザーへのアプローチが可能になります。
  • リマーケティング
    リマーケティングは、サイト訪問者を対象に再度広告を配信することで、コンバージョン率の向上を図る手法です。訪れたことのあるユーザーへの再アプローチにより、購入や申し込みへと導くことができます。
  • 類似オーディエンス
    類似オーディエンス機能を利用することで、既存のオーディエンスリストに類似した新規のユーザーを自動的に見つけ出し、広告を配信することができます。この機能により、新たな顧客層の開拓が可能になります。

Yahoo!広告:「人」中心のターゲティング機能

  • サイトリターゲティング
    Yahoo!広告では、サイトリターゲティング機能を提供しており、これはGoogle広告のリマーケティングに相当します。一度サイトを訪れたユーザーに対して、再度広告を表示することで、購入や再訪を促すことができます。
  • サーチキーワードターゲティング
    サーチキーワードターゲティングは、Yahoo!で特定のキーワードを検索したユーザーを対象に、広告を配信する手法です。検索を行ったユーザーを直接的にターゲットにすることで、高い関心を持つユーザーにアプローチできます。
  • オーディエンスカテゴリ
    オーディエンスカテゴリ機能を利用することで、ユーザーの興味関心や購買意向に基づき、広告を配信することが可能です。この機能により、特定の興味・関心を持つユーザー群に効率的に広告を届けることができます。

Yahoo!広告:「面(掲載場所)」中心のターゲティング機能

  • プレースメント
    プレースメント機能では、広告を掲載する具体的なウェブサイトを指定することができます。これにより、特定のサイトにのみ広告を表示させることが可能となります。
  • サイトカテゴリ
    サイトカテゴリ機能を利用することで、特定のジャンルのサイトに広告を配信することができます。これにより、ターゲットとなるユーザーが訪れる可能性の高いサイトに絞って、広告を配信することが可能です。

各広告媒体で提供されているターゲティング機能を適切に活用することで、広告の効果を最大化し、目標とするコンバージョンの実現に近づくことができます。

ディスプレイ広告ターゲティングの効果的な設定手順

ディスプレイ広告におけるターゲティングの設定は、広告の成功に直結する重要なプロセスです。特に、Yahoo!広告とGoogle広告ではターゲティング設定のアプローチに違いがあります。このセクションでは、それぞれのプラットフォームでのターゲティング設定方法について解説します。

Yahoo!広告のターゲティング設定

Yahoo!広告では、ターゲティング設定を行う際には、すべてのオプションを一つの場所から変更することが可能です。これにより、ユーザーは複数のターゲティングオプションを一覧で確認し、必要な設定を迅速に適用することができます。

ターゲティングを設定するには、まず「広告グループの作成」ボタンをクリックします。すると、ターゲティングを含むさまざまな設定項目を含む画面に遷移します。ターゲティングのセクションでは、この記事で紹介された各種ターゲティングオプションが表示されます。具体的なターゲティングオプションを選択し、チェックをつけることで、そのオプションを広告配信の対象として設定することができます。

たとえば、「オーディエンスカテゴリー」を選択する場合、関連するカテゴリーのリストが表示されます。適切なカテゴリーを選択し、それに基づいてターゲティングを行うことが可能です。

Google広告のターゲティング設定

一方、Google広告ではターゲティングの設定は広告グループ単位で行われます。このアプローチにより、広告キャンペーン内の各広告グループに対して、より細かいターゲティング設定を適用することが可能となります。

広告グループにターゲティングを設定するには、対象の広告グループを選択し、「ターゲティング」セクションに進みます。ここでは、さまざまなターゲティングオプションが提供されており、選択したオプションに基づいて広告を配信する対象を絞り込むことができます。

ターゲティングオプションには、ユーザーの興味・関心、デモグラフィック、リマーケティングリストなど、広範囲にわたる選択肢があります。必要に応じて、これらのオプションを選択し、配信対象のユーザーを特定します。

ターゲティング設定の効果的な活用

ターゲティング設定を適切に行うことは、ディスプレイ広告キャンペーンの成功に不可欠です。Yahoo!広告とGoogle広告の両プラットフォームでは、それぞれ異なる設定方法がありますが、ターゲットとなるユーザー層に効果的にアプローチするためには、これらの設定を理解し、最適な設定を適用することが重要です。両プラットフォームで提供されている豊富なターゲティングオプションを活用し、キャンペーンの目的に応じた最適なユーザーに広告を届けましょう。

ディスプレイ広告におけるターゲティングの高度な活用法

ディスプレイ広告のターゲティングを最大限に活用するための鍵は、「組み合わせ」にあります。単独でのターゲティング設定も一定の効果を発揮しますが、複数のターゲティング方法を組み合わせることで、ターゲットとするユーザーグループへの広告配信をより精密に行うことが可能となります。

組み合わせの例1:デモグラフィックとその他のターゲティングの組み合わせ

一つの効果的な組み合わせ方は、デモグラフィック情報(年齢、性別など)と、購買意向や興味関心を基にしたターゲティングを併用する方法です。このアプローチにより、広告を配信するユーザーのプロファイルをより明確に設定し、ターゲットとなるユーザーに対して直接的にアプローチすることができます。

たとえば、エイジングケアに特化した美容液を販売する場合、ターゲットを「40代以上の女性」と設定し、さらに「美容・パーソナルケア」カテゴリーに属する「スキンケア商品」を選択することで、対象となるユーザーグループを絞り込むことができます。

組み合わせの例2:「人」と「面」の組み合わせ

もう一つの組み合わせ方は、「人」を対象としたターゲティングと「面(掲載場所)」を対象としたターゲティングを併用する方法です。例えば、「類似ユーザー」と「トピック」を組み合わせることで、特定の興味関心を持つ類似ユーザーが関連するサイトを閲覧している際に、効果的に広告を表示させることができます。

この方法により、広告を配信したいユーザーに対して、彼らが情報を求めている瞬間に広告を表示させることが可能となり、コンバージョン率の向上に繋がります。

注意点:組み合わせのし過ぎには要注意

ターゲティングの組み合わせにより、より狙ったユーザーグループに対して広告を配信することができますが、組み合わせる条件が多くなりすぎると、広告の露出回数が減少する可能性があります。これにより、期待していたコンバージョン数に到達しない可能性もありますので、組み合わせる条件のバランスには十分注意する必要があります。

ディスプレイ広告のターゲティング機能を効果的に活用するためには、ターゲットとするユーザー層を正確に把握し、適切な組み合わせを選択することが重要です。ターゲティングの組み合わせを通じて、広告の効果を最大化し、目標とするコンバージョンの実現に近づけましょう。

ディスプレイ広告ターゲティング戦略の総括

ディスプレイ広告のターゲティングには多岐にわたる選択肢が存在し、それぞれ異なる役割を持っています。これらのターゲティング機能を効果的に活用することで、広告キャンペーンの成果を大きく左右することができます。しかし、ディスプレイ広告はその運用において、適切なターゲティングを行わなければ、コストパフォーマンスの悪化というリスクも伴います。

このため、ディスプレイ広告を活用してコンバージョンを増やそうとする際には、まず各ターゲティング機能の特性を理解し、どのターゲティングが自社のサービスや商品に最も適しているかを見極めることが重要です。特に、リマーケティングやリターゲティングは、既に関心を示したユーザーに再度アプローチすることで高い効果を期待できるため、ディスプレイ広告の初期段階での導入を推奨します。

マーケティングの最前線での経験と知識を活かし、時代の流れや最新のトレンドに合わせた最適なマーケティング戦略を提案しています。私たちの目標は、クライアントのニーズに応えるだけでなく、変化し続ける市場環境の中で常に一歩先を行く戦略を提供することです。

ディスプレイ広告におけるターゲティング戦略の構築には、詳細な市場分析とユーザー行動の理解が不可欠です。適切なターゲティングを見極め、効果的な広告配信を実現することで、コンバージョン率の向上と広告費用の最適化を目指しましょう。