オーディエンスターゲティングは、デジタルマーケティングにおいて中心的な役割を果たす配信手法です。この戦略では、ユーザーの属性や興味、ウェブサイトやアプリへの訪問履歴などに基づき、特定の「人」群に広告を配信します。例えば、ある商品やサービスに関心を持って情報収集をしているユーザーや、過去に広告主のウェブサイトを訪れたことがある人々がターゲットになり得ます。この方法では、商品やサービスの認知段階にあるユーザーから、積極的に比較や検討を行っているユーザーまで、幅広い層にアプローチすることが可能です。
デジタル広告の初心者の方にとって、どのようなオーディエンスにアプローチできるのか、選択の方法がわかりにくいかもしれません。そこで、今回は特にオーディエンスターゲティングの入門者向けに、この手法の種類や運用のポイント、注意すべき点について解説を行います。
ここで取り扱う「人」をターゲティングする配信手法には、プラットフォームによって異なる呼称があります。例えば、Google広告では「オーディエンスターゲティング」と呼ばれ、Yahoo!ディスプレイ広告では「オーディエンスリストターゲティング」という名前で知られています。本記事では、Google広告のオーディエンスターゲティングに特に焦点を当てて説明を進めていきます。この手法を理解し、うまく運用することで、広告効果の最大化を図ることができるでしょう。
オーディエンスターゲティングにおいて
オーディエンスターゲティングにおいて、マーケティング担当者は、ユーザーの興味関心や行動データを元に、特定のユーザーグループを対象とした広告キャンペーンを展開します。この戦略で中心となるのが「オーディエンスセグメント」です。オーディエンスセグメント(以下、セグメント)とは、ユーザーの特定の特性や行動を基にまとめられたグループのことを指します。これにより、広告主は、特定の商品に関心を持つユーザーや、自社のウェブサイトを訪れたことのある人々など、特定のニーズや行動を示すユーザーに対して効率的に広告を配信できます。
しかし、オーディエンスターゲティングは複雑な場合があり、どのセグメントを選ぶべきか、またどのように選ぶべきかを理解するのは初心者にとっては難しいかもしれません。そこで、ここではオーディエンスターゲティングの種類や考え方、さらに注意点について詳しく解説していきたいと思います。
オーディエンスターゲティングに使用できるセグメントは主に三つに分類されます。これらは、ユーザーの興味関心や詳細な属性、カスタムセグメント、そして広告主自身のデータに基づくセグメントです。それぞれのセグメントは異なる特性を持ち、異なるターゲティング戦略を可能にします。
・興味関心や詳しいユーザー属性
ユーザーの年齢、性別、興味関心など、あらかじめ用意されたカテゴリーから選択し、対象オーディエンスを定義します。
・カスタムセグメント
広告主は、キーワードやURLなどを使用して独自のセグメントを作成できます。これにより、特定の興味や行動パターンを持つユーザーに絞り込んでアプローチできます。
・データセグメント(広告主のデータ)
広告主自身の顧客データやウェブサイトの訪問データを基に、独自のセグメントを作成できます。これにより、過去に接触したことのあるユーザーや、特定の行動を取ったユーザーに直接アプローチすることが可能になります。
オーディエンスターゲティングは、広告の適切な配信を通じて、広告主にとって価値の高いオーディエンスにアプローチする強力な手段です。適切なセグメントの選定により、キャンペーンの成果を最大化し、マーケティング効率を高めることができます。
興味関心や詳しいユーザー属性
ユーザー属性データや行動データに基づくセグメントです。あらかじめ用意された項目から選択します。
オーディエンスセグメント | ターゲティング内容 | |
---|---|---|
購買意向の強いセグメント | 特定の種類の商品やサービスについて積極的に調べており、それらを前向きに検討している人 | |
アフィニティセグメント | ライフスタイルや趣味、習慣に基づき、特定のトピックに高い関心を示している人 | |
ライフイベント | 結婚、転職など、ライフイベントを予定している人 | |
詳しいユーザー属性 | 子供や配偶者の有無、住宅所有状況などの特徴を持つ人 |
カスタムセグメント
キーワードやURLなどを指定してユーザーの行動データを調整して作成できるセグメントです。興味関心や詳しいユーザー属性よりも柔軟に指定できます。
オーディエンスセグメント | ターゲティング内容 | |
---|---|---|
カスタムセグメント | キーワードやURL、アプリ名を指定して、それらに関心があるオーディエンスを作成し、商品やサービスを前向きに検討している人 |
データセグメント
データセグメントは、特に顧客情報や広告主自身のウェブサイトにおけるユーザーの行動データに重点を置いている。
広告業界の中で、広告主によるユーザー情報の活用は、マーケティング戦略の核心となっています。ここで重要なのは、このユーザー情報に基づいたセグメント化です。一般的に、オンライン広告においては、多くのセグメントはユーザーのウェブ上での行動データをもとに構築されます。しかし、データセグメントのアプローチはこれとは異なり、より独自の方法を採用しています。
このデータセグメントは、特に顧客情報や広告主自身のウェブサイトにおけるユーザーの行動データに重点を置いています。この方法により、過去に商品やサービスに接触したことのあるユーザーに対して、より効果的にアプローチすることが可能となります。このような戦略は、特に顧客との関係を深める上で重要な役割を果たしています。
広告主にとって、既に関わりを持ったことのあるユーザーに再度アプローチすることは、新規顧客を獲得するよりもコスト効率が良いとされています。なぜなら、過去のデータに基づいたセグメント化により、ユーザーの嗜好や興味により密接に合わせたコンテンツや広告を提供することができるからです。これにより、ユーザーにとって価値のある情報を提供し、より深い関係を築くことができるのです。
オーディエンスセグメント | ターゲティング内容 | |
---|---|---|
データセグメント | ウェブサイトを訪れたユーザー | 広告主のウェブサイトに訪れた人 |
アプリユーザー | デバイスに広告主のアプリをインストールした人 | |
YouTubeユーザー | 動画広告を表示または操作した人 | |
顧客セグメント | メールアドレスや電話番号などの顧客情報に当てはまる人 | |
リードフォームセグメント | Google広告でリードフォームを送信した人 | |
電話をかけてきたユーザー(※1) | 広告主のビジネスに電話をかけてきた人 | |
組み合わせリスト | 複数のデータセグメントを「AND」「OR」「NOT」のいずれかを用いて条件を組み合わせて作成したセグメントに該当する人 |
オーディエンスターゲティングのアプローチについて
オーディエンスターゲティングは、デジタル広告の成功の鍵を握る要素の一つであり、特にディスプレイキャンペーンとデマンド(ファインド)キャンペーンにおいては、その設定方法が異なるため、注意深く扱わなければなりません。この点を踏まえ、それぞれのキャンペーンに合わせたオーディエンスターゲティングのアプローチについて、解説していきたいと思います。
まず、ディスプレイキャンペーンにおけるオーディエンスターゲティングですが、この場合、広告が表示されるウェブページやアプリケーションに合わせて、特定のオーディエンスセグメントを選定する必要があります。ここで重要なのは、ターゲットとするオーディエンスの興味や行動パターンを正確に把握し、それに基づいた適切なセグメントを設定することです。
一方、デマンド(ファインド)キャンペーンにおいては、広告の目的が消費者のニーズに応じた製品やサービスの提供にあるため、オーディエンスターゲティングの方法も異なります。ここでは、消費者の購買意欲や関心の高い製品に関する情報を基に、より細分化されたオーディエンスセグメントを設定することが求められます。
このように、ディスプレイキャンペーンとデマンドキャンペーンでは、オーディエンスターゲティングのアプローチが異なるため、それぞれのキャンペーンに適した方法でオーディエンスセグメントを設定することが重要です。
ディスプレイキャンペーン
まずは、ディスプレイキャンペーンのオーディエンスターゲティング設定方法を解説します。
ステップ①
広告管理画面を開き、セグメントを追加したい広告グループを選択後、「オーディエンス」「オーディエンスセグメントの編集」の順番でクリックし、オーディエンスセグメントの編集画面を開きます。
ステップ②
「ターゲティング(推奨)」が選択されていることを確認します。
ステップ③
検索窓にセグメントに関連する語句を入力してセグメントを検索します。セグメント候補が表示されるので、選択したいセグメントのチェックボックスにチェックを入れます。選択したセグメントは右側に表示されます。
また、セグメントに当たりがついたら、「閲覧」から他に設定ができそうなセグメントがないかも確認してみましょう。設定したいセグメントが見つかったら、同様にチェックボックスにチェックを入れて選択します。
ステップ④
対象のセグメントをすべて選択後、「保存」をクリックで設定完了です。
ファインド(デマンド)キャンペーン
次は、ファインド(デマンド)キャンペーンでのオーディエンスターゲティング設定方法を解説します。
ファインド(デマンド)キャンペーンでは、ユーザー属性や除外設定も含めてひとつのユーザーリストとして作成できます。
ステップ①
広告管理画面を開きます。セグメントを追加したい広告グループを選択後、「オーディエンス」「オーディエンスセグメントを追加」の順番でクリックします。
ステップ②
オーディエンスの選択画面で「+新しいオーディエンス」をクリックします。
ステップ③
新しいオーディエンス画面では、広告グループに紐づけるセグメントを選択します。オーディエンスの種類ごとに設定項目が分かれていますので、設定したいオーディエンス項目からセグメントを選択します。また、オーディエンスの除外とユーザー属性の設定もこちらで行えます。
セグメントの選び方は「ディスプレイキャンペーン」の手順②~④と同じです。対象のセグメントをすべて選択したら「保存」をクリックで設定完了です。
カスタムセグメントの作成と設定
カスタムセグメントの概念は、現代のデジタルマーケティングの中で非常に強力なツールとなっています。このアプローチにより、マーケターは独自のパラメーター、例えば特定のキーワード、URL、またはアプリ名を使用して、オリジナルのオーディエンスセグメントを作成することが可能になります。これにより、ターゲットとするオーディエンスをより細かく、そして特定のニーズや興味に基づいてセグメント化することができます。
たとえば、運動不足の人々をターゲットにし、運動習慣を促進したいと考える際、ヨガに関心があると思われるオーディエンスのセグメントを作成することができます。このセグメントの作成には、以下のように特定のキーワード、URL、アプリを指定します。
キーワードでは「ストレッチ」や「運動不足 解消」といった用語を使用し、関連性の高いコンテンツをターゲットにします。また、URLとしては、例えば「https://yoganavi.com/」のようなヨガ関連のウェブサイトを指定し、この分野に関心のあるオーディエンスにリーチします。アプリに関しては、「Google Fit」や「FiNC」のような健康・フィットネス関連のアプリを使用し、活動的なライフスタイルに関心のあるユーザーをターゲットにします。
カスタムセグメントの作成と設定は、広告管理画面とオーディエンスマネージャーを通じて行われます。このプロセスは、オーディエンスの関心や行動をより正確に捉え、効果的なマーケティングキャンペーンを展開するための重要なステップです。正しいセグメントの選択により、広告はより関連性の高いオーディエンスに届けられ、結果として高いエンゲージメントと変換率を達成することができるのです。
広告管理画面
まず、広告管理画面でカスタムセグメントを作成する方法を解説します。
広告管理画面から作成すると、そのまま作成元の広告グループに紐づけられるので作成から設定までがスムーズに行えます。
ステップ①
「オーディエンスターゲティングの設定方法」の手順1を行い、オーディエンスセグメントの編集画面を開きます。
ステップ②
「閲覧」タブを選択し、「選択したカスタム オーディエンス セグメント」をクリックします。
ステップ③
「+カスタム セグメント」をクリックし、新しいカスタムセグメントの作成画面に移動します。
ステップ④
ここではキーワードやURL、アプリを指定してカスタムセグメントを作成します。
カスタムセグメントの作成は、広告キャンペーンにおいて極めて重要な役割を果たします。このプロセスでは、広告がどのようなユーザーに表示されるかを細かく定義し、より効果的なターゲティングを実現します。以下は、カスタムセグメントを設定する際の主要なステップについての説明です。
①まずは「セグメント名」の設定から始めます。ここでは、作成するセグメントにわかりやすく、かつ具体的な名称を付けることが重要です。これにより、後でセグメントを見直す際に、その目的や特徴を簡単に識別できるようになります。
②次に、「次の興味 / 関心を持っていたり行動を取るユーザー」を定義します。ここでは、ターゲティングの方法を決定します。選択肢としては、「Googleでこれらの興味/関心や購買意向を持つユーザー」か、「Googleでこれらのいずれかのキーワードを検索したユーザー」のいずれかです。前者は、指定したキーワードに関連する商品やサービスに関心があるか、購入意向を示すユーザーをターゲットにします。後者は、指定したキーワードやその類似語句をGoogleで検索したユーザーに焦点を当てます。ここで設定する語句は部分一致で判断され、関連するターゲティング属性を持つユーザーに対して広告が配信されます。
③「特定の種類のウェブサイトを閲覧するユーザー」の設定では、ターゲットユーザーが訪れる可能性の高いウェブサイトのURLを指定します。このステップは任意ですが、ターゲットとするユーザーのオンライン行動をより正確に把握するために役立ちます。
④「特定の種類のアプリを使用するユーザー」のセクションでは、ターゲットオーディエンスが利用すると思われるアプリを指定します。たとえば、小さいお子さんのいるママをターゲットにする場合、子どもの成長記録や写真共有などの子ども関連アプリを選択すると効果的です。
これらの条件を設定し、「保存」をクリックすると、カスタムセグメントの作成が完了します。設定した条件はすべて「OR条件」として扱われ、条件のいずれかに当てはまるユーザーに対して広告が配信されます。これにより、広告主は広告のリーチを最大化し、同時にターゲットオーディエンスにより適切にアプローチすることができるのです。
オーディエンスマネージャー
次に、オーディエンスマネージャーでカスタムセグメントを作成する方法を解説します。
オーディエンスマネージャーから作成すると、オーディエンスの除外やユーザー属性の条件を加えたユーザーリストを作成できます。
ステップ①
オーディエンスマネージャーを開き、「オーディエンス」「+」の順にクリックします。
ステップ②
カスタムセグメントの検索窓にカーソルを合わせると「+新しいセグメント」が表れますので、クリックして新しいカスタムセグメントの画面を開きます。
ステップ③
見出し「カスタムセグメントの作成方法」の広告管理画面の手順3~4と同じ手順でカスタムセグメントを作成します。
次に、作成したカスタムセグメントに、オーディエンスの除外やユーザー属性の条件を加えていきます。
ステップ④
除外したいオーディエンスセグメントやユーザー属性を設定します。
デジタル広告における効果的なセグメント化戦略は、特定の顧客層に適切にアプローチするために不可欠です。例として、既存ユーザーと新規ユーザーに異なる広告を表示したい場合、精密なセグメント設定が重要となります。ここでは、そのような状況におけるセグメント設定のアプローチについて具体的な例を挙げて説明します。
まず、「肩こり体質を改善したい人」というセグメントを作成したとしましょう。このセグメントには、関心を持ちそうなユーザーが含まれていますが、既存のウェブサイト訪問者を除外したい場合があります。これは、新規ユーザーに焦点を当てた広告を展開したい場合に特に有効です。このように、「ウェブサイトを訪れたユーザー」を除外することで、既存ユーザーではなく、新規ユーザーにアプローチするセグメントを作成することができます。
さらに、顧客の年齢層が特定の範囲に集中している場合、この情報を活用してよりターゲットに合ったセグメントを構築することが可能です。具体的には、「ユーザー属性」の設定から、ターゲット対象外の年齢層を除外します。このような絞り込みにより、広告は特定の年齢層に属する、より関連性の高い顧客像に一致するユーザーに対して配信されます。
ステップ⑤
すべて設定したのち、「保存」をクリックで作成が完了します。
統合セグメント
統合セグメントは複数の条件を組み合わせて、より精密なターゲティングを行うことができる。
統合セグメントは、デジタル広告の世界において、非常に効果的なカスタマイズツールです。このツールを使用することで、広告主は複数の条件を組み合わせて、より精密なターゲティングを行うことができます。ここで重要なのは、「AND条件」と「NOT条件」の活用です。これらの条件を使用することで、広告キャンペーンのターゲットを細かく調整し、特定のユーザーグループに焦点を当てることが可能になります。
「AND条件」を使用すると、複数の基準に合致するユーザーに対してのみ広告を配信することができます。たとえば、特定の地域に住んでいるユーザーであると同時に、特定の興味・関心を持つユーザーに絞り込むことができます。これにより、広告主はその広告が関連性の高い特定のオーディエンスにリーチするようにすることができます。
一方、「NOT条件」は、特定のオーディエンスを意図的に除外するために使用されます。この条件は、キャンペーンや広告グループ単位でオーディエンスを除外する機能としても利用可能です。たとえば、既に製品を購入したユーザーや特定のサービスに登録しているユーザーを除外したい場合に便利です。
統合セグメントは、複数の条件を柔軟に組み合わせたい場合に特におすすめです。このアプローチにより、広告主はより具体的で複雑なユーザープロファイルを作成し、ターゲットオーディエンスに対して最適化された広告を提供することができます。結果として、広告キャンペーンはより効率的になり、ROIの向上につながる可能性が高まります。
統合セグメントの設定手順を解説します。
ステップ①
オーディエンスマネージャーを開き、「分類して表示」「統合セグメント」「+」の順番でクリックして新しい統合オーディエンス セグメントの画面を開きます。
ステップ②
ここでは「OR条件」「AND条件」「NOT条件」を使ってオーディエンスセグメントを組み合わせて統合セグメントを作成します。各項目で設定する内容は下記の通りです。
① セグメント名を任意で設定
② OR条件で追加したいセグメントを選択
③ ②で設定したセグメントに対して、「AND条件」で追加したいセグメントや「除外したいセグメント」を設定
例えば、小さいお子さんを持つママをターゲットにしたい場合は、「子供あり(0~1 歳の乳児)」や「子供あり(1~3 歳の幼児)」を、ヨガ経験者ではない人をターゲットにしたいので「ヨガ愛好家(アフィニティセグメント)」を除外するなどができます。
ステップ③
「作成」をクリックで、AND条件やNOT条件を使った統合セグメントの作成完了です。
オーディエンスターゲティングの考え方
オーディエンスターゲティングは、その多様なセグメントの選択肢が豊富であるため、どのようにして最適なセグメントを選べばよいのか、初心者にとっては特に判断が難しいことがあります。この章では、商品やサービス、およびユーザーの購買行動に最も適したセグメントを選択するための基本的な考え方を、わかりやすく解説していきます。
オーディエンスターゲティングにおいて重要なのは、ターゲットとするユーザーがどのような特徴を持ち、どのような行動を取るかを理解することです。これにより、より関連性の高いセグメントを選択することが可能になります。
ここで、具体例として「オンラインヨガ教室」の入会促進とブランド認知を目的としたオーディエンスターゲティング施策を挙げてみましょう。この場合、ターゲットとなるオーディエンスは、健康やフィットネスに関心が高く、オンラインでの学習にオープンなユーザーである可能性が高いです。したがって、このような特徴を持つユーザーをターゲットにするセグメントを選択することが重要です。
例えば、健康やフィットネス関連のコンテンツを閲覧するユーザー、またはオンライン教育プラットフォームを使用するユーザーをターゲットにすることが考えられます。さらに、年齢層や性別などの基本的なデモグラフィック情報を考慮に入れることも、より効果的なターゲティングにつながります。
このように、オーディエンスの特性と行動を理解し、それに合ったセグメントを選択することで、オンラインヨガ教室の入会促進やブランド認知といった目的を達成するための効果的なオーディエンスターゲティング施策を実施することができます。このプロセスは、広告キャンペーンの成功に不可欠な要素です。
「誰に」広告を向けるかを明確にする
広告の計画を立てる際、最も基本的で重要なステップの一つは、「誰に」広告を向けるかを明確にすることです。このターゲットオーディエンスの定義は、広告の効果を大きく左右する要素です。たとえば、オンラインヨガ教室の広告を考える場合、どのような人が興味や関心を持つ可能性が高いかを考慮することが重要です。まずは、理想的な顧客像をざっくりと描いてみましょう。
オンラインヨガ教室に興味を持ちそうな人とは、例えば以下のような特徴を持つ人々です。
- ヨガに関心がある人
- 肩こりなどの体の不調を改善したい人
- ストレス解消やリラクゼーションの方法を探している人
- 美容と健康に敏感な人
- 産後のママなど
自分の提供する商材が身近にない場合や、顧客像を具体的にイメージするのが難しい場合は、別のアプローチを取ることも有効です。例えば、広告主や競合他社のウェブサイトを調べてみる、あるいは広告主のソーシャルメディアのフォロワーを分析することで、ターゲット顧客の特徴を理解することができます。これらの方法は、顧客像をより深く理解し、効果的な広告戦略を立てるのに役立ちます。
ユーザーの購買行動や興味関心ごとに異なるセグメントを設定することが可能
顧客像についての明確なイメージができたら、次のステップはその想定顧客に最も効果的にアプローチするためのセグメントを選択することです。オーディエンスターゲティングは、人々の行動に基づいてターゲティングを行う手法であるため、ユーザーの購買行動や興味関心ごとに異なるセグメントを設定することが可能です。
このプロセスを理解しやすくするために、次のような考え方を頭に入れておくことが役立ちます。オーディエンスターゲティングでは、ユーザーの行動や興味関心を基に、異なるセグメントに分けることができます。例えば、オンラインヨガ教室の場合、以下のようなセグメントが考えられます。
- 興味関心セグメント:ヨガやフィットネスに関心が高いユーザー、健康的なライフスタイルを求める人々。
- 行動ベースのセグメント:フィットネスアプリを使用するユーザー、健康関連の記事を頻繁に読む人々。
- 購買行動セグメント:オンラインでフィットネス関連の製品やサービスを購入する傾向にあるユーザー。
これらのセグメントは、オンラインヨガ教室に興味を持ちそうなユーザーに的確にアプローチするために設定することができます。セグメントを適切に選択することで、広告のリーチと効果を最大限に高めることができるのです。
顧客像を明確に理解し、それに合わせたセグメントを選択することで、オーディエンスターゲティングを最大限に活用し、効率的で効果的な広告キャンペーンを展開することができます。
ここからは、先ほど考えた顧客像とオーディエンスセグメントを紐づけて深堀りしていきます。
オーディエンスターゲティングを行う際、ターゲットとなる顧客像に基づいてセグメントを選択することが非常に重要です。例えば、オンラインヨガ教室のプロモーションを考える場合、異なる顧客像に対して異なるアプローチを取ることで、より効果的な広告戦略を構築できます。
まず、「認知」の段階では、オンラインヨガ教室についてまだ知らない人々にアプローチします。これらの人々はヨガに対する明確なニーズがないかもしれませんが、適切なクリエイティブを用意することで、ヨガ教室に通うイメージを持ってもらえるようになります。
たとえば、「産後のママ」をターゲットとする場合、産後の体力回復や体型戻しにヨガが効果的であることを訴求することができます。セグメントの例としては、年齢や子供の年齢、育児関連の商品の購入傾向などが考えられます。このような詳細なユーザー属性を基に、産後のママに適したセグメントを設定できます。
顧客像 | オーディエンスセグメント | セグメント例 | 備考 |
---|---|---|---|
産後のママ | 詳しいユーザー属性 | 子供あり(0~1 歳の乳児)子供あり(1~3 歳の幼児) | ユーザー属性は「女性」を選択(※) |
購買意向の強いセグメント | 育児、教育 / 幼児服 / 乳幼児用食品 / おむつ、ベビー用衛生用品 |
さらに、顧客像に合わせた広告クリエイティブの準備も大切です。例えば、産後のママと赤ちゃんが一緒にヨガをしている写真や、オンライン教室やママクラスの利点を強調したクリエイティブを使用することで、ターゲットオーディエンスに興味を引き起こすことができます。
「興味・関心」の段階では、特定の関心事に基づいてターゲットを絞り込みます。たとえば、「美容に関心がある人」をターゲットにする場合、ヨガの美肌やアンチエイジング効果を訴求することが可能です。アフィニティセグメントや購買意向の強いセグメント、カスタムセグメントを活用して、美容に関心のあるユーザーをターゲットに設定できます。
顧客像 | オーディエンスセグメント | セグメント例 | 備考 |
---|---|---|---|
美容に関心がある人 | アフィニティセグメント | 美容通 | ユーザー属性は「女性」を選択 |
購買意向の強いセグメント | アンチエイジング スキンケア商品 / スパ、美容サービス / バス、ボディ商品 / ヘアケア商品 / ネイルケア商品 | ||
カスタムセグメント | スキンケア / ボディケア / ヘアケア / アンチエイジング |
他にも、「リラックス方法を探している人」や「肩こり体質を改善したい人」といった異なる顧客像に対して、それぞれのニーズや興味に合わせたセグメントを設定することが重要です。
顧客像 | オーディエンスセグメント | セグメント例 | 備考 |
---|---|---|---|
リラックス方法を探している人 | カスタムセグメント | 深呼吸 / 瞑想 / マインドフルネス / 合谷(※1) / トリプトファン / GABA | ユーザー属性は「女性」を選択 |
このように、ターゲットとなる顧客像に応じて適切なセグメントを選択することで、オンラインヨガ教室の認知度向上や入会促進に繋がる効果的なオーディエンスターゲティング戦略を展開できます。
顧客像 | オーディエンスセグメント | セグメント例 | 備考 |
---|---|---|---|
肩こり体質を改善したい人 | 購買意向の強いセグメント | ジム、アスレチック クラブ / フィットネス クラス、個別トレーニング サービス / フィットネス商品 | ユーザー属性は「女性」を選択 |
カスタムセグメント | 肩こり 緩和 / 首回り ストレッチ / 肩甲骨 / 肩回り 筋トレ |
首や肩のストレッチ方法を調べたり、筋トレの動画を見ている人は肩こりに悩んでいる可能性が高く、こうした悩みを持つ人々にとって、的確な情報や実践的なアドバイスは非常に有益です。
ストレッチや筋トレ動画を見る人々が、ジムに通えないか、通うのが面倒だと感じている可能性にも言及しています。そのため、オンライン教室の利点を強調することが有効だと提案しています。これにより、忙しい日々の中でも気軽にアクセスできるフィットネスの選択肢を提供することができます。
「比較・検討」のフェーズは、特に注意を払うべき重要なステップです。このフェーズでは、広告主のサービスと競合する他のサービスを比較している潜在的な顧客に対して、効果的なアプローチを行う必要があります。
例えば、「ヨガに関心がある人」を対象とする場合、これらの人々は既にヨガに関心があり、広告主のウェブサイトを訪れたことがあるかもしれません。そのため、彼らは広告主のサービスに対して好意的であり、サービスの申し込みに至る可能性が高いと考えられます。しかし、同時にこれらのオーディエンスは他のヨガ関連サービスも検討している可能性があるため、広告主のサービスのユニークな特徴や競合他社との違いを明確に伝えることが重要です。
このような顧客像には、ヨガの初心者向けのコンテンツや、ヨガに関する特定のポーズやマットなどの情報を提供するカスタムセグメントが有効です。また、広告主のサービスに既に訪れたことがあるユーザーに対しては、ウェブサイトの訪問履歴に基づいたデータセグメントを使用して、リマーケティング広告を展開することが有望です。
さらに、広告を見てサービスの申し込みを途中まで行ったが、最終的に申し込みを完了しなかったユーザーに対しては、リマインダー広告を送ることで、申し込みを促進することが可能です。これにより、すでに興味を持っているがアクションに至っていないユーザーを再度引き込むことができます。
これらの戦略を通じて、広告主はヨガに関心があるユーザーに対してよりターゲットを絞ったアプローチを行い、競合他社との差別化を図り、サービス申し込みの確率を高めることができます。
顧客像 | オーディエンスセグメント | セグメント例 | 備考 |
---|---|---|---|
ヨガに関心がある人 | カスタムセグメント | ヨガ 初心者 / ヨガ 動画 / ヨガ レッスン / ヨガ ポーズ / ヨガ マット / https://yoganavi.com/ | ユーザー属性は「女性」を選択 |
顧客像 | オーディエンスセグメント | セグメント例 | 備考 |
---|---|---|---|
広告主のサービスに関心がある人 | データセグメント | ウェブサイトを訪れたユーザー | ユーザー属性は「女性」を選択 |
オーディエンスターゲティング配信時に注意すべき点
オーディエンスターゲティングを行う際には、その設定が適切であることが非常に重要です。間違った設定をしてしまうと、期待した効果を得られない可能性があります。以下では、オーディエンスターゲティング配信時に注意すべき点をいくつか挙げてみます。
まず、オーディエンスターゲティングは、すべての商材に適しているわけではありません。例えば、鍵開けや水漏れ工事のような検討期間が短く、緊急性が高い商材に関しては、オーディエンスターゲティングは必ずしも最適な選択ではありません。このような商材は、顧客の問題が顕在化する瞬間に迅速に対応する必要があるため、検索広告がより効果的な戦略となります。
一方で、データセグメントの有効期間を短く設定することで、これらの緊急性の高い商材に関しても一定のコンバージョンを獲得することは可能ですが、検索広告と同様に大きな売上拡大につなげるのは難しい場合が多いです。
また、「最適化されたターゲティング」に関する設定にも注意が必要です。これは、コンバージョンに至る可能性が高いユーザーにリーチを拡張する機能ですが、設定したセグメント以外の人にも広告が配信される可能性があります。この機能はキャンペーン作成時にデフォルトでオンに設定されていますが、設定したオーディエンスセグメント以外の人に広告を配信したくない場合は、この機能をオフにすることが重要です。広告グループ設定から簡単にオン・オフの切り替えができます。
以上の点に注意することで、オーディエンスターゲティングの効果を最大限に引き出し、広告キャンペーンの成功に貢献できます。適切な設定と適用は、ターゲットオーディエンスへの効果的なアプローチと、結果的には広告のROI向上に直結します。
まとめ
オーディエンスターゲティングには多くの種類があり、どのセグメントが広告の目的に最適かを判断するのは、時に難しいかもしれません。しかし、それぞれのセグメントの仕組みを理解し、広告を向けるべきターゲット「誰に」に焦点を合わせることで、適切な選択をすることが容易になります。
オーディエンスターゲティングの効果を最大化するためには、まず、商品やサービスを購入するまでの顧客の旅路や、彼らの日常的な行動を考慮することが重要です。これにより、顧客像に合ったクリエイティブを用意し、綿密に設定されたターゲット像と合わせてアプローチすることで、商品やサービスに興味を持ってもらう可能性を高めることができます。
オーディエンスターゲティングを使用することで、ターゲット像に合致するユーザーを柔軟にターゲットにすることが可能です。例えば、特定の興味や行動パターンを持つユーザー、あるいは特定の地域や年齢層に属するユーザーなど、様々な観点からターゲットを絞り込むことができます。
最終的に、商品やサービス、および広告の目的に最も合ったセグメントを選択することにより、オーディエンスターゲティングをビジネスに最大限に活用することができます。このようにして、ターゲットオーディエンスに対してより適切なメッセージを伝え、コンバージョン率の向上に繋げることが可能になるのです。