インバウンドとアウトバウンドの違いは?手法と成功事例を徹底解説!

監修者

佐藤 祐介
佐藤 祐介

株式会社LIFRELL代表取締役。大手代理店、株式会社オプト、電通デジタルの2社でアカウントプランナーを経験。その後、株式会社すららネットでインハウスマーケターとして事業の立ち上げからマザーズ上場水準まで事業を伸長させる。マーケティング戦略の立案からSEO/WEB広告/SNS/アフィリエイト等の施策で売上にコミット。

専門家

深瀬 正貴
深瀬 正貴

Yahoo株式会社 法人マーケソリューション出身。 鎌倉の海のそばでオフィスFHを運営。 リスティングやSEOをはじめとしたデジタルマーケティングで100社以上の売り上げ課題を解決。
最近の趣味はブームに乗っかったように見えてしまう「焚き火ごはん」。

目次

ビジネスの世界では、インバウンドとアウトバウンドという2つのアプローチが注目されています。

どちらの手法にもそれぞれのメリットやデメリットがありますが、企業が目指すマーケティング戦略に応じて、適切なアプローチを選び出すことが重要です。

本記事では、具体的な手法や成功事例を交えながら、インバウンドとアウトバウンドの違いやそれぞれの特徴について解説していきます。

インバウンドとアウトバウンドの違い

インバウンド、アウトバウンドそれぞれのメリットとデメリットを把握することで、違いが明確になります。

インバウンドマーケティングとは

インバウンドマーケティングとは、消費者の関心を引き、自発的にブランドや製品に接触してもらうためのマーケティング戦略の一つです。

主にコンテンツマーケティング、ソーシャルメディアマーケティング、SEO(検索エンジン最適化)、ブランディングなどの手法を活用します。

具体的には、有益で魅力的なコンテンツを提供し、消費者が自然にその情報を求めてくる状況を作り出すことを目指します。
つまり、従来の広告(アウトバウンドマーケティング)とは逆に、消費者が自分から企業に接触することを促す戦略なのです。

インバウンドマーケティングのメリット

①長期的な信頼関係の構築有益なコンテンツを提供することで、消費者の信頼を得て長期的なビジネス関係を構築できます。
②SEOを活用した自然な流入の増加高品質なコンテンツを提供すればするほど、自然な形でのウェブサイトへの流入が増えます。
③高いリターゲティング効果消費者が自分から情報を探しに来るため、再訪率やコンバージョン率が向上する可能性があります。
④コスト効率が良い従来のマーケティング手法に比べて、長期的な視点ではよりコスト効率が良いと言われています。

インバウンドマーケティングのデメリット

①時間がかかるSEOやコンテンツマーケティングは長期的な取り組みが必要となり、即効性は期待しづらいです。
②専門知識とリソースが必要高品質なコンテンツ作成やSEO対策には専門知識や時間、リソースが求められます。
③初期投資が大きい高品質なコンテンツ作成やSEO対策には時間とコストがかかるため、初期投資が大きいと感じる企業も少なくありません。
④継続的な労力が必要ユーザーのニーズや検索エンジンのアルゴリズムの変更に迅速に対応するため、継続的な調整と最適化が必要となります。

アウトバウンドマーケティングとは

アウトバウンドマーケティングは、企業から積極的に消費者に対して製品やサービスの情報を発信するマーケティング戦略です。

具体的な手法としては、テレビやラジオの広告、ダイレクトメール、広告掲示板、電話営業(テレマーケティング)などがあります。

また、デジタルマーケティングにおいては、広告ネットワークを通じたバナー広告やGoogle AdWordsなどのPPC(Pay Per Click)広告などがこれに該当します。

アウトバウンドマーケティングは、いわゆる「押し売り」形式で商品やサービスの情報を発信することから、従来型のマーケティングと呼ばれています。

アウトバウンドマーケティングのメリット

① 即効性広告を通じて直ちに大勢の人々に対して製品やサービスの情報を発信することができます。
②広範囲なリーチ広告を使えば、広範囲にわたり一度に多くの人々に情報を届けることが可能です。
③ターゲット指定アウトバウンドマーケティングでは、特定のターゲット層に対して直接的にアプローチを行うことができます。

アウトバウンドマーケティングのデメリット

①費用対効果の問題広告の初期費用や維持費用が高く、それに見合った効果が得られない場合もあります。
②情報の無視消費者が情報過多になる現代社会では、広告が見過ごされやすい傾向があります。
③ブランドイメージの損傷一方的な情報発信が「押し売り」と受け取られると、ブランドイメージが損なわれる可能性があります。

インバウンドマーケティングが注目される背景

インバウンドマーケティングが人気の理由を解説します。

急速に発展したデジタル化

デジタル技術の急速な発展により、企業と消費者との関係性が大きく変化しました。

特にインターネットの普及は、消費者が自ら情報を得る手段を大きく増やし、企業から受け身に情報を受け取るだけでなく、消費者自身が積極的に情報を探し求めるようになりました。

このような状況は、消費者が自発的にブランドや商品に接触するインバウンドマーケティングの重要性を高めています。

購買プロセスにおける意思決定が変化しつつある

総務省「インターネットショッピングにおける購買プロセスの変化」

現代の消費者は、購入する製品やサービスを選ぶ際に、多様な情報源から情報を取得し、より詳細なリサーチを行うようになっています。

そのため、企業は自社の製品やサービスについての価値を十分に伝え、消費者の意思決定プロセスに影響を与える必要があります。
インバウンドマーケティングは、ユーザーニーズに対応するための重要な手段となっています。

アウトバウンドマーケティングからの転換期を迎えている

アウトバウンドマーケティングの手法は、消費者が情報過多の状況にある現代では、往々にして効果を発揮しにくくなっています。

また、一方的な情報提供は消費者の反発を招き、ブランドイメージを損ねるリスクもあります。

これに対し、インバウンドマーケティングは消費者の自発的な関心を引き、長期的な信頼関係を築くことに重きを置くため、現代のマーケティング環境により適した手法とされています。

インバウンドマーケティングの手法

インバウンドマーケティングは、主に4つの手法があります。

手法①:手法を選定し運用する

インバウンドマーケティングでは、SEO、ブログ投稿、ソーシャルメディアマーケティング、ウェビナーメールマーケティングなど、様々な手法があります。

これらの手法を適切に組み合わせ、自社の目標やターゲットに合わせて最適な戦略を選定します。

例えば、情報提供を中心に据える場合はブログ投稿やウェビナー、直接的な販売促進を行いたい場合はメールマーケティングなどが有効です。
それぞれの手法を連携させることで、より効果的なインバウンドマーケティングを実現します。

手法②:コンテンツを提供しリードを得ていく

インバウンドマーケティングの鍵は、価値あるコンテンツを提供し消費者の関心を引くことです。

ブログ記事ホワイトペーパー、動画など、あらゆる形式のコンテンツを通じて、ブランドや商品についての情報を提供します。
そして、そのコンテンツが消費者に価値を提供し、信頼性を築くことで、消費者をリード(潜在顧客)に転換します。

さらに、コンテンツを通じて得られる消費者の行動データを解析し、それぞれの消費者がどの段階の購買プロセスにいるのかを理解し、それに対応したコンテンツやメッセージを提供することで、リードを顧客へと進化させます。

手法③:リードナーチャリングする

リードナーチャリングは、潜在的な顧客(リード)を具体的な購買行動に導くプロセスです。顧客が購入に至るまでのカスタマージャーニーを理解し、それぞれの段階で適切なコンテンツや情報を提供することでリードを育てます。

例えば、初めてブランドに接触したばかりのリードには基本的な情報を提供し、既に製品について深く知りたいと考えているリードには詳細なガイドや製品比較情報を提供します。

リードナーチャリングの目的は、リード顧客が自分自身のニーズや問題に対する解決策として、製品やサービスを自然に選ぶように導くことです。

手法④:クロージングをする

クロージングは、リードを具体的な購買行動に導く最終ステップです。

リードナーチャリングを通じて育て上げたリードを、最終的に製品やサービスを購入する顧客に変えるための戦略を練ります。

この段階では、ターゲットとなるリードに対して、製品の詳細説明、購入に向けたインセンティブ(割引キャンペーンなど)、購入支援(例えば、購入手続きの簡易化、返品ポリシーの明確化など)といった施策を提供します。

これらの施策は、リードが購買決定を下す最後の一押しとなります。

インバウンドマーケティングの成功事例5選

ご指定の企業の具体的な事例を提示することは難しいですが、一般的な成功事例として次のようなストーリーがあります。

事例①:株式会社アジャイルウエア

株式会社アジャイルウエアは、高品質なソフトウェア開発サービスを提供している企業です。
リード獲得のために、SEOを効果的に利用しました。

企業が直面する問題やソフトウェア開発の最新トレンドに関するブログ記事を定期的に公開し、その結果、自然検索のトラフィックが大幅に増加することに成功しました。

これにより、訪問者からリードへの転換率が向上し、高品質なリードを数多く獲得することができました。

事例②:株式会社ネオキャリア

株式会社ネオキャリアは、新卒者や中途採用者向けの求人情報を提供している企業です。
SNSを活用したインバウンドマーケティングにより、高い成果を上げました。

特に、FacebookとLinkedInでの活動に注力し、求職者に有益な情報を提供することで高いエンゲージメントを達成しました。
さらに、ユーザーからのフィードバックを収集し、それを基にコンテンツ戦略を見直すなど、常に改善に努めました。

その結果、訪問者から求職者への転換率が大幅に向上し、多くの求職者を獲得することができました。

事例③:株式会社マーケットエンタープライズ

株式会社マーケットエンタープライズは、各種マーケティングソリューションを提供している企業です。
自社の専門知識を活用し、自社ブログや電子メールニュースレターを通じて深い洞察やアドバイスを共有しました。

この施策により、一般的なコンテンツを提供する企業とは一線を画す存在として、視聴者の間で高い認知度と信頼性を築き上げることができました。

さらに、提供するコンテンツは常に質が高く、有益な情報を提供することで、リードから顧客への転換を数多く増やしました。

事例④:株式会社グローバル・リンク・マネジメント

株式会社グローバル・リンク・マネジメントは、企業の海外展開をサポートするコンサルティング会社です。
対象となる企業が海外展開において直面する問題に対する具体的なソリューションをウェビナーやホワイトペーパーといったコンテンツで提供しました。

特に、具体的なケーススタディを用いて、実際の解決策を示すことで、自社の専門性と信頼性を証明しました。

これにより、訪問者からリードへ、そしてリードから顧客への転換を効果的に促進しました。

事例⑤:株式会社構造計画研究所

株式会社構造計画研究所は、建築・都市計画の研究を行う会社です。

一般的なウェブサイトの訪問者に対しても建築と都市計画に関する深い洞察を提供しました。

記事や研究レポートは専門家だけでなく、一般の人々にも魅力的で、それによって多くのリードを獲得することができました。

さらに、提供するコンテンツの一部には、購読登録またはダウンロードのための短いフォームが設けられており、これによりリードの情報を取得し、リードナーチャリングに役立てることができました。

【現場でよくある事例!】実はできていないコミュニケーション

インバウンド・アウトバウンドのマーケティングについてお伝えしましたが、運用現場でよく起こる事例として「既存顧客の声が拾えていない」という点です。

既存の顧客の声を聞くことが重要な理由は以下の点があげられます。

・既に商品やサービスを購入、利用した経験があるため、ニーズや要望を具体的に提示してくれる
・商品やサービスに対する評価がわかるため、改善点の特定に役立つ
・再購入の意向を確認でき、ロイヤルティの高い顧客を把握できる
・口コミ効果で新規顧客の獲得につながる可能性がある

つまり、既存顧客からのフィードバックは商品開発やマーケティング戦略を立案する上で非常に有益な情報が得られるため、重要視する必要があるのです。

顧客満足度の向上やリピート率の向上にもつながります。
新規顧客獲得に多大なコストがかかることを考えると、既存顧客の維持・拡大こそが企業にとって最も重要な課題であると言えるでしょう。

まとめ:インバウンドとアウトバウンドを上手く使い分けよう

今回の記事では、マーケティングにおけるインバウンドとアウトバウンドについて詳しく解説しました。

マーケティング戦略において、インバウンドとアウトバウンドはそれぞれ異なる特徴とメリットを持っています。
適切な施策を組み合わせることで、効果的なマーケティングを実現することができるでしょう。

最後に、マーケティングの世界は常に変化しています。

新しい手法やトレンドにも積極的に取り組みながら、ビジネスの成長を目指しましょう。
インバウンドとアウトバウンドをうまく組み合わせ、顧客との関係を構築していくことが、成功への近道となります。

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