SNS広告の投資額はどの程度?各戦略の特性と実践例を紹介

監修者

佐藤 祐介
佐藤 祐介

株式会社LIFRELL代表取締役。大手代理店、株式会社オプト、電通デジタルの2社でアカウントプランナーを経験。その後、株式会社すららネットでインハウスマーケターとして事業の立ち上げからマザーズ上場水準まで事業を伸長させる。マーケティング戦略の立案からSEO/WEB広告/SNS/アフィリエイト等の施策で売上にコミット。

専門家

深瀬 正貴
深瀬 正貴

Yahoo株式会社 法人マーケソリューション出身。 鎌倉の海のそばでオフィスFHを運営。 リスティングやSEOをはじめとしたデジタルマーケティングで100社以上の売り上げ課題を解決。
最近の趣味はブームに乗っかったように見えてしまう「焚き火ごはん」。

目次

SNSは、今や私たちの生活に不可欠な存在となっています。最近では、SNSを通じてブランドや製品に触れ、それが実際の購入行動につながるケースが増加しており、企業にとってSNSの活用は、効果的なマーケティング手段として注目されています。

そんな状況下で、特に脚光を浴びているのが「SNS広告」です。SNS広告は、タイムラインやニュースフィードストーリーズ等、利用者の注目が集まりやすい場所で広告を展開することにより、自社のブランドや製品を効率的にプロモーションできます。

では、SNS広告を用いて効果を得るために何が求められるのでしょうか。

それは、「誰に、何の目的で、何を訴えたいのか」という明確な目標設定です。

この目標設定を軽視して戦略を進めると、結果を評価する基準が確立されず、「何となくSNS広告を展開している」状態に陥ります。

この記事では、SNS広告を導入したい企業の担当者の皆様へ、SNS広告のコストの目安とその考え方について明解に説明します。

SNS広告の費用は自分で設定可能

「SNS広告にどれだけの費用が必要なのか?」という疑問を持つ方も多いでしょうが、実は、SNS広告の費用は自分自身で設定することが可能です。

例えば、1日あたりの予算を10万円と設定した場合、10万円分の予算を使い切った段階で広告の配信は一時停止されます。

このように、費用の管理が行いやすく、限定的な予算、例えば数万円からでも、SNS広告の運用を始めることができます。

ユーザーの閲覧回数やクリックに応じた費用が発生

SNS広告の費用は、主に「広告が表示された回数(インプレッション数)」や「クリックされた回数」、または「アプリのインストール回数・起動回数」に基づいて設定されます。広告を出稿するための手数料は別途かかりません。

SNS広告の主な課金方法は以下の通りです。

指標課金方法主な使用例
CPM (Cost Per Mille)広告が表示されるたびに費用が発生。ブランド露出を増やしたい場合。
CPC (Cost Per Click)広告がクリックされるたびに費用が発生。ウェブトラフィックやコンバージョンを増やしたい場合。
CPI (Cost Per Install)アプリのインストールごとに費用が発生。モバイルアプリのダウンロードを増やしたい場合。
CPV (Cost Per View)動画が視聴されるたびに費用が発生。動画視聴数を増やしたい場合。

どの課金方式を選択するかは、広告を出稿する際に自由に選ぶことができますが、選択肢はSNSプラットフォームによってわずかに異なることがあります。

Facebook広告の独自性とコストについて

Facebook広告は他のSNSプラットフォームと一線を画し、実名登録が基本とされています。

これにより、ユーザーが自分で提供したプロフィール情報をもとに、ターゲットに最適な広告を送り届けることが可能となります。

特に、特定の商材やブランドをターゲットに訴求したいときに有効です。

さらに、広告の表示先が多岐にわたる点も魅力的です。

Facebookのニュースフィードだけでなく、MessengerやInstagram、さらにFacebook広告が協力しているモバイルアプリやWebサイトへも広告を展開できます。

Facebook広告のコストと課金方式

Facebook広告の課金方式には、主に「インプレッション課金」と「クリック課金」の2つの方法があります。

・インプレッション課金(CPM):広告が1,000回表示される度に課金されます。

・クリック課金(CPC):広告が1回クリックされる毎に課金されます。

特に、インプレッション課金は多数の広告プランで選ばれ、大勢のユーザーに広告を表示したい場合に効果的です。

高いクリック率が期待できる状況では、クリック単価を低く抑えられます。

また、マーケティングの目的に応じて、アプリのインストール数を基にした課金形態や、Facebookページへの「いいね!」、広告に対する「コメント」や「シェア」の数に基づく課金形態も選ぶことが可能です。

Facebook広告の出稿方法のステップ

Facebook広告の出稿には、Meraビジネスマネージャ(旧:Facebookビジネスマネージャ)を使用し、広告設定を行います。

出稿を開始する前に、FacebookアカウントとFacebookページの作成が必須となりますので、事前に準備をしておくことが重要です。

Facebook広告を出稿する手順は、以下の5つのステップから成り立っています。

1.マーケティングの目的を明確に設定する

2.ターゲット(オーディエンス)の範囲を設定する

3.広告の表示先を決定する

4.予算の額を設定する

5.広告の形式とフォーマットを設定する。

STEP 1:広告キャンペーンの目標を明確に設定

初めに、広告のマーケティング目的を明確に選定しましょう。

選べるマーケティングの目的は、11のオプション、「ブランド認知度のアップ」「リーチ」「トラフィック」「エンゲージメント」「アプリのインストール」「動画の再生数アップ」「リード獲得」「メッセージ」「コンバージョン」「カタログからの販売」「来店数の増加」となっています。

この設定は、Facebook広告の最適化、広告フォーマット、広告配置などに影響を与え、広告の成果を大きく左右する重要なステップです。慎重に目的を選定しましょう。

STEP 2:ターゲット(オーディエンス)の精緻な設定

Facebook広告のターゲティング方法は、大きく以下の3つに分かれます。

  1. コアオーディエンス:ユーザーの性別、年齢、地域、学歴、役職などの属性を利用して、詳細なターゲット設定ができます。
  2. カスタムオーディエンス:自社が保有するメールアドレスなどの顧客データを使用して、既に関心を持っている層に広告を送ります。また、Facebookピクセルをウェブサイトに組み込むことで、ウェブサイト訪問者をターゲットにすることもできます。
  3. 類似オーディエンス:インポートした顧客データと似た属性や興味を持つ新たな層に広告を送信できます。

既に顧客データを持っている場合、カスタムオーディエンスや類似オーディエンスを活用することで、より効果的な広告キャンペーンを実施できます。

STEP 3:広告の表示場所を選定する

広告を表示する場所の設定を行いましょう。Meraビジネスマネージャ(旧:Facebookビジネスマネージャ)を活用すると、Facebookのタイムラインだけでなく、Instagramやメッセンジャーといった他のプラットフォームへの配信も可能です。

Facebook広告には「自動配置」という便利な機能もあります。これは、広告の目的や予算に合わせて、最適な場所に広告を自動的に表示してくれるものです。

複数の広告を手動で配信する際には、それぞれの場所でのパフォーマンステストが必要ですが、自動配置を使用すれば効率よく、高い広告効果を見込むことができます。

STEP4:運用予算の明確な設定

Facebook広告における予算の設定は、「日予算」と「(配信期間内の)通算予算」の二種類が存在します。日予算は、1日に使うことができる最大の予算を指定するものです。一方、通算予算は、キャンペーン全体で使用する予算の総額を決定するものです。

STEP5:適切な広告フォーマットを選定

広告フォーマットの選択肢は多岐にわたり、画像・動画・ストーリーズ・カルーセル・スライドショーなどがあります。広告の目的に応じて、最も効果的なフォーマットを選定しましょう。

Instagram広告の魅力とコスト概要

Instagramは、10代〜20代の女性を中心に活躍しているSNSです。ビジュアル重視の広告に特に強みを持ち、ブランドのイメージを効果的にユーザーへと訴求できるのが特長です。

Facebookのビジネスマネージャを使えば、広告の出稿が可能であり、Facebookと同じく、ターゲティングの精度も非常に高いです。

Instagram広告のコストと課金方式

Instagram広告のコストと課金方式は以下の通りです。

  1. インプレッション課金(CPM):広告が1,000回表示されるたびに課金が発生します。
  2. クリック課金(CPC):広告を1回クリックするごとに課金が発生します。
  3. アプリのインストール課金(CPI):アプリが1回インストールされるごとに課金が発生します。
  4. 動画の再生時間による課金(CPV):動画がほぼ全て再生されるか、10秒以上再生される場合に課金が発生します。

インプレッション課金とクリック課金以外にも、広告がモバイル画面全体に展開されるため、動画と組み合わせて効果的な広告キャンペーンを行うことができます。また、アプリのインストール促進やゲームアプリのプロモーションにも適した「動画の再生時間による課金」や「アプリのインストール課金」も選択できます。

Instagram広告の設定手順の概要

Instagram広告は、Meraビジネスマネージャ(旧:Facebookビジネスマネージャ)を通じて出稿することができます。

FacebookアカウントとInstagramアカウント、さらにFacebookページが必要となりますので、出稿前にこれらを作成しておくことが大切です。

出稿の基本手順はFacebook広告と大差ないものの、FacebookページとInstagramアカウントの連携が必須である点を忘れずに行いましょう。

FacebookページとInstagramアカウントを一緒に設定する方法

Instagramのプロフィールから、Facebookページとの連携を開始します。まずInstagramアカウントにログインし、プロフィールページにアクセスして、メニュータブを展開し、「アカウント」を選択します。

次に、「リンク済みのアカウント」を押し、その中からFacebookを選択します。

「Facebookにリンクしますか?」というダイアログが現れたら、「リンク」を押すと設定が完了する仕組みです。この説明はスマートフォンからの操作方法ですが、PCを使っても、手順はほぼ同じで連携を実行できます。

これで設定が終了したら、次のステップとしてMeraビジネスマネージャ(旧:Facebookビジネスマネージャ)を立ち上げ、広告キャンペーンの設計を始めましょう。

X(旧:Twitter)広告の性質とコスト

X(旧:Twitter)広告は、利用者のタイムラインやお勧めのアカウントに広告を掲載できる特徴があります。特に10〜30代の若者に人気が高く、実名を必要とせず、利用者の興味・関心に基づいたターゲティングが可能です。

Twitter広告の支払い・課金形式

X(旧:Twitter)広告の支払い・課金形式は以下の通りです。

  1. インプレッション課金(CPM):広告が1,000回表示されるごとに課金が発生します。
  2. 動画の再生数による課金(CPV):動画広告の再生数に応じて課金が行われます。
  3. プレロール再生数:Twitterの提携コンテンツ配信パートナーの動画が再生前に表示される広告の再生数に応じて課金されます。
  4. クリック課金(CPC):広告をクリックするごとに課金が発生します。
  5. エンゲージメント課金(CPE):ユーザーが広告に対してエンゲージメント(例:リツイート、いいねなど)を行うごとに課金が行われます。
  6. フォロワー課金:新たなフォロワーを獲得するたびに課金が発生します。

X(旧:Twitter)広告は、設定した目的に従ってユーザーアクションが発生した場合にのみ費用が発生します。また、他のユーザーによる広告のリツイートなどの二次的な拡散には課金されません。そのため、多くのリツイートやいいねを獲得すると、広告のインプレッションが増加し、コストパフォーマンスが向上する可能性があります。

X(旧:Twitter)広告の設定方法

STEP 1:広告アカウントの設立

X(旧:Twitter)広告アカウントを設立する手順は以下の通りです。

  1. X(旧:Twitter)にログインし、Twitter広告ページに移動します。
  2. そこから、2つのプロモーションオプションから選ぶことができます。一つは「オートプロモートを有効化」で、これにより月額定額を支払い、詳細な設定や作業をせずに広告を自動運用できます。
  3. 広告用のアカウントを構築する場合は、「X(旧:Twitter)広告を設定する」をクリックし、次に進みます。
  4. 次の画面で、「国」と「タイムゾーン」を指定します。ここで「Japan」を国と「Japan Time」をタイムゾーンとして選択してください。この設定は一度のみ変更可能なので、注意して設定してください。
  5. その後、クレジットカード情報、会社名、住所などの情報を入力するフォームが表示されます。個人で利用する場合は、個人利用オプションを選ぶと、会社情報の入力は不要です。

STEP 2:広告キャンペーンの立ち上げ

広告キャンペーンの立ち上げについての手順は以下の通りです。

  1. 広告アカウントの初期設定が完了したら、広告の配信目的を明確に定めます。一般的な目的としては、「ブランドの認知度向上」「検討」「コンバージョン」の3つから選択できます。
  2. 目的を選んだら、キャンペーンの具体的な設定を行います。まず、目的に合った広告フォーマットを選択します。例えば、ウェブサイトの訪問者数増加を目指す場合、「ウェブサイトのクリック数」を選択します。
  3. キャンペーンの詳細設定を行います。これには以下の項目が含まれます。
    • キャンペーン名
    • お支払い方法
    • 日別予算
    • 総予算(オプション
    • 開始日時と終了日時
  4. 日別予算は1円から設定可能で、総予算は必要に応じて設定します。総予算を設定することで、予期せぬ費用の発生をコントロールできます。ただし、キャンペーンの合計予算は設定した総予算を超えません。

これらのステップに従って、効果的な広告キャンペーンを立ち上げる準備を進めていきます。

STEP 3:広告グループの構築

広告グループの構築手順は以下の通りです。

  1. 広告キャンペーンの設定が完了したら、次に広告グループを構築します。一つの広告キャンペーンには、複数の広告グループを設定できます。
  2. 広告グループの設定には、以下の情報を入力します。
    • 広告グループ名
    • 開始日時と終了日時
    • 広告グループの総予算
    • 入札タイプ
  3. 入札タイプには3つの選択肢があります。新しい広告キャンペーンを始める場合、通常は「自動入札」が推奨されます。
    • 自動入札:設定された予算内で最適な結果を達成するため、入札金額が自動的に調整されます。
    • 目標コスト:一日の平均コストが指定した目標額に収まるように、自動で入札金額が調整されます。
    • 上限入札単価:設定した上限金額内でのみ入札が行われ、広告主がエンゲージメントのコストを細かく制御できる場合に適しています。

これらのステップに従って、広告グループを設定し、キャンペーンの効果的な運用を準備します。

STEP 4:ターゲットの設定手順

広告グループを作成した後に、ターゲティングの設定を行う必要があります。

STEP 5:広告コンテンツの設定を行う

最終ステップでは、広告コンテンツ、すなわちクリエイティブの設定を実施します。クリエイティブとは、実際に表示される広告のツイート内容を指します。

過去に投稿したツイートを広告として利用することも可能ですし、新たに専用の広告ツイートを立ち上げることも選択できます。新規にツイートを作成する際には、文章にプラスして、画像や動画も選択し、設定を予約しておくことが重要です。

LINE広告の独自性とコストについて

LINEは、親しい人々とのプライベートなコミュニケーションを行うSNSとして重宝されており、Facebook・Instagram・Twitterなどの他のSNSと比較すると、情報の拡散力は異なります。

それにもかかわらず、ユーザー数は圧倒的で、Facebookの3倍以上にわたる8,400万人の国内アクティブユーザーを抱えています。利用者層は10代から60代までと幅広く、多様な人々がLINEを使用しています。

これらの要素が、LINE広告(LINE Ads Platform)が他のSNSプラットフォームでは到達困難な層に効果的にアプローチできる理由となっています。

LINE広告は、ユーザーのタイムライン以外にも、「LINE NEWS」「LINEマンガ」「LINEブログ」「LINEポイント」「LINEショッピング」「Smart Channel」など、様々な場所で広告を展開できます。

さらに、LINE広告ネットワークを駆使すると、LINEが提携する外部アプリにおいても広告の配信が実現します。

LINE広告のコストと課金方式

LINE広告のコストと課金形式は以下の通りです。

  1. インプレッション型課金(CPM)
    • 動画広告に適用
    • 動画が画面上に完全に表示された際に費用が発生します
  2. クリック型課金(CPC)
    • 静止画広告に適用
    • ユーザーが広告をクリックした場合にのみ費用が発生します

これらの課金形式により、広告主は広告効果に応じてコストを最適化できます。動画広告の場合はインプレッション型課金が、静止画広告の場合はクリック型課金が適用されます。

LINE広告配信までのステップ

LINE広告を効果的に配信するための手順は、以下の5つのステップから成り立っています。

  1. LINE Business IDの取得:LINE広告を利用するには、LINE Business IDを取得する必要があります。
  2. 広告アカウントの設定:広告キャンペーンを管理するための広告アカウントを設定します。
  3. メディア情報の登録とLINE Tagのインストール:広告を実施するメディア情報を登録し、必要な場合はLINE Tagをインストールします。
  4. 広告の配信戦略の策定:広告キャンペーンの目的に合わせた配信戦略を策定し、広告のターゲット、クリエイティブ、予算などを設定します。
  5. 審査の完了後、広告の配信を開始:LINEの審査を通過したら、広告の配信を開始します。

STEP 1:LINE Business IDの取得手順

LINE Business IDの取得について、以下の手順で詳細を説明します。

  1. 「LINE for Business」のウェブページにアクセス:まず、LINE for Businessの公式ウェブページにアクセスします。
  2. オンライン申し込みを選択:ウェブページにアクセスしたら、「オンライン申し込み」または「申し込み」などの選択肢をクリックまたはタップします。
  3. 指定されたメールアドレスを使用:申し込みフォームに必要事項を記入し、指定されたメールアドレスを使用してビジネスアカウントを申し込みます。

これらのステップに従うことで、LINE Business IDを取得するための申し込みプロセスを開始できます。

STEP 2:広告用アカウントの設定

  1. ログイン情報とパスワードが手元に届いたら、LINE for Businessにサインインし、広告アカウントを設定します。
  2. 基本データとして、法人の連絡先、電話番号、担当者名などを記入します。個人事業主でもアカウント作成が可能です。
  3. また、販売する商品やサービスの情報も必ず入力します。広告アカウントの設定情報は後で削除できないため、情報の正確性に特に注意が必要です。
  4. LINE広告は他のSNS広告やYDA(旧YDN)、GDNなどと比較して、アカウント審査が厳格とされています。不合格になる可能性もあるため、審査に備えることが重要です。
  5. アカウント作成後、支払いに使用するクレジットカード情報を入力する必要があります。

STEP 3:メディアの登録とLINE Tagのインストール

  1. クリエイティブのデザインとアップロード:最初に、広告のクリエイティブをデザインし、それをシステムにアップロードします。LINE広告のクリエイティブは厳格な審査が行われ、即座に配信が許可される保証はありません。必ずLINE広告の公式ガイドラインを確認し、その基準に従ったクリエイティブを作成しましょう。
  2. LINE Tagのインストール:広告の効果測定を行うために、ターゲットとなるランディングページに「LINE Tag」をインストールします。LINE Tagには「ベースコード」「コンバージョンコード」「カスタムイベントコード」という3つのバリエーションがあり、それぞれの設置ルールと位置が指定されています。正しく設置しないと、広告の効果測定ができません。この点についても、LINE広告の公式ウェブページで設置手順を詳細に確認しましょう。

STEP 4:広告配信の戦略設計

  1. 広告キャンペーンの設定:広告配信を開始する前に、まず「広告キャンペーン」および「広告」の作成を進めます。
    • 広告キャンペーンの段階では、以下の具体的な設定を行います。
      • 「ターゲットの定義」:広告を配信する対象のターゲットを設定します。
      • 「入札単価の設定」:広告表示のための入札単価を設定します。
      • 「課金方式の選択」:広告の課金方式を選択します。
      • 「入札価格の決定」:入札価格を具体的に決定します。
      • 「日々の予算設定」:広告キャンペーンの日々の予算を設定します。
  2. ターゲティングオプション:ターゲティングオプションとして、国・地域・性別・年齢・OS・興味・関心分野などが設定可能です。また、既存の顧客リストへの配信も選択できます。
  3. 広告の設定:広告においては、広告のフォーマット(静止画または動画)を選択し、広告のタイトルやディスクリプションを明確に記載します。

STEP 5:審査を経ての配信スタート

最後に、「広告アカウント」「メディア」「広告」それぞれの審査プロセスを経る必要があります。LINEの審査を無事にクリアすれば、実際に広告の配信が始まります。

SNS広告で最もコストパフォーマンスが高まるのはどれ?

SNS広告の展開場所は、広告の根本的な目標と主要なターゲットに依存します。そのため、特定のSNSが一番効果的であると断言することは難しいです。

それにも関わらず、Facebookは実名登録が前提で、ユーザー自身がパーソナルデータを提供することから、Facebook広告のターゲティング精度は高く、目標とする層にダイレクトに広告を送り届けられます。

他のSNS広告プラットフォームと比較すると、不必要な広告の露出を抑えられるので、コストパフォーマンスが向上する傾向が見られます。

なぜSNS広告が重要なのか?

SNS広告の重要性は、リスティング広告と比べた際に明瞭になります。

リスティング広告は、ユーザーが既に問題を抱え、積極的に検索を行っているターゲットに対して、「ダイレクトレスポンス型」の広告を展開します。例えば、「化粧品 おすすめ」と検索するユーザーは、今すぐに化粧品を比較・選定しようとしている可能性が高いです。この層に広告を提示すれば、効率良く購買へ誘導することが可能です。

一方、SNS広告は、余暇にフィードを閲覧しているユーザーに広告を表示します。当初から明確な目的があるわけではないので、直接的な購買につながりにくい、という側面もあるのです。しかし、まだ製品やブランドを知らないユーザーや、自らのニーズに気づいていないユーザーへの訴求も可能です。

単に既存の顧客層の対策だけでなく、新たなニーズの創出も視野に入れる必要があるのです。

CPAが低いからと言って、目標達成とは限らない

CPA(Cost Per Acquisition)は、多くの広告キャンペーンで注目される指標ですが、その背後に潜む本質を理解することが肝要です。CPAは広告運用の費用対効果を評価するための有用なツールであり、コンバージョンの獲得費用を把握するのに役立ちます。

ただし、CPAだけに焦点を当ててしまうと、大局的な視点が欠けることがあります。例えば、CPAが低いキャンペーンAとCPAが高いキャンペーンBを比較してみましょう。キャンペーンAはCPAが優れているように見えますが、実際にはコンバージョン数が非常に限られているかもしれません。一方、キャンペーンBはCPAが高いかもしれませんが、多くのコンバージョンをもたらしているかもしれません。

CPAを低く抑えることは、無駄な広告費を減少させる点で重要ですが、最終的な成果と収益を見逃してはなりません。広告の目的は、単なる低CPAではなく、実際の売上やビジネスの成長に貢献することです。CPAの向上は手段であり、目的ではありません。そのため、広告戦略を総合的に評価し、全体のビジョンに合致するかどうかを確認することが不可欠です。

「流行っているから」という理由で広告運用を始めるのは危険

SNS広告の利用が一般的になっていますが、それだけを理由に広告運用を始めるのはリスクがあります。独自の戦略を明確に立て、ターゲット層の分析をしっかり行い、その結果を基に適切な広告プラットフォームを選定することが重要です。

例えば、若い層をターゲットにしているのに、それらの層が利用していないSNSに広告を出稿すると、費用対効果が低くなってしまう可能性があります。

私たちの会社でも、広告運用を始める際は、まず戦略と目標を明確にし、その上で適切なプラットフォームと方法を選定しています。これにより、SNS広告を効果的に活用し、予算内で最大の成果を上げることができます。

広告運用の成功のための5つの重要なステップ

STEP 1. 広告運用の具体的な目的を設定する

広告運用を効果的に始める第一歩は、「広告を運用する根本的な理由は何か」という点が明確であることが求められます。

広告は企業にとっての「投資」としての性質を持ちます。単に予算を使用して運用するのではなく、どのようなリターンが期待できるのか、これを深く理解することが不可欠です。

目的は、ECサイトの認知度向上、実店舗の訪問者数の増加など、企業ごとに異なるものですが、明確な目的が設定されていなければ、広告を効果的に設計することは難しいでしょう。

STEP 2. 広告によって、どの対象者に何をコミュニケートするか明確に決定する

広告運用では、入札金額や配信方法に焦点を当てがちですが、最も重要なのは広告の核心である「誰に(Whom)」「何を(What)」を伝えるのか、というコミュニケーションの設計です。

さらに、ユーザーに何を訴求したいのか、これを明確に把握することも大切です。例えば、商品やサービスをまだ知らない「非認知層」と、すでに商品やサービスに対するニーズがある「顕在層」には、異なるアプローチでコミュニケーションを設計する必要があります。

未知の非認知層に、どのようなクリエイティブやテキスト・動画を用いれば関心を引き起こすことができ、意図した行動を引き出せるのか、これを常に考慮することが重要です。

STEP 3. 初期設計が確固でなければ、PDCAはうまく機能しない

広告運用の担当者は、収集したデータを基にPDCAを効果的に回す役割があります。しかし、適切な初期設計が欠けていると、PDCAを有効に回すことは困難です。

最近では、運用型広告の各プラットフォームが機械学習の精度を上げ、自動入札の利用が一般的になりつつあります。

だが、機械学習はサンプル数が一定以上ないと、効果的には動作しません。キャンペーンが作成されても、コンバージョン数が不十分だと、アカウントの構造が適切でない状態、すなわち「自動入札が上手く行かない」状態に陥り、成果の向上が望めなくなります。

キャンペーンの細分化を過度にせず、中間コンバージョンの設定など、各メディアが推奨する構造を深く理解し、初期設計をしっかりと行うことが求められます。

STEP 4. KPI(CPA、ROAS)を的確に設定する

広告運用が目指すゴール(KGI)に対し、どのような指標を設けるか、すなわち「KPI」を精緻に設計することが重要です。

広告運用のKPIとして、CPAとROASは一般的な指標とされます。

・CPA:1件のCVを獲得するための広告費用

・ROAS:広告費に対する売上のパーセンテージ

「CPAを下げ、ROASを上げよう」という論議が頻繁にされますが、これらは絶対的なものではなく、広告運用の目的に従って判断することが大切です。

例えば、原価3,000円で定価5,000円の商品(粗利2,000円)があった場合、CPAが2,000円では人件費などを含むと赤字に陥る可能性があります。

しかし、この商品が定期的にリピートされる性質があれば、CPAが2,000円であっても新規顧客の獲得には価値があると言えます。

同じCPA2,000円でも広告運用の目的が「短期の売上拡大」か「長期的な新規顧客獲得」かで、その評価は大きく変わります。

また、ROASについても、高単価の商品であれば高い値が出やすいです。ROASだけを追求すると、売上総額が小さくても、10万円のベッドを優先して広告が展開される危険があります。

これは一例ですが、CPA・ROASの指標を、広告の目的に対応させて精緻に設計することが、効果的な運用には不可欠です。

STEP 5. 炎上リスクを最小限に抑える

SNSの高い拡散性は、必ずしも企業にとってプラスに働くわけではありません。SNS広告が企業の意図とは違った形で受け取られ、炎上の原因となるリスクが常に存在します。

完全な炎上のリスク排除は難しいですが、SNS運用の担当者は、消費者の視点に立って広告運用を行うことが重要です。

特にセンシティブな話題に関しては、その表現方法に慎重を期すべきです。例えば「男女差別」「宗教」「人種」「スキャンダル」に関するトピックは、適切な避け方を心がけることが賢明です。

SNS広告の運用戦略の進め方

広告運用の際、「自社内での運用体制を整えるべきだ」との意見や、「広告の責任者を指名することには、退職リスクがある」といった視点もあります。インハウス化と代理店運用、両方とも一長一短がありますが、短期的な考えではなく、企業のビジネスの特質、成長フェーズ、リソース等を熟慮し、最適な運用形態を選択することが大切です。

インハウス運用のメリット

SNS広告を自社で取り組む最も大きなメリットは、自社の商品・サービスやターゲット市場に深い理解を持ちながら、広告活動を展開できることです。インハウス運用における主要なメリットは以下の通りです。

まず第一に、コストの最適化が挙げられます。広告代理店に支払う手数料や委託費用を削減でき、予算を効果的に運用する余裕が生まれます。

また、自社内で広告運用の知識と経験を蓄積することができます。これにより、広告戦略やキャンペーンの最適化、迅速な広告制作・運用が可能になり、市場変化に対する迅速な対応が実現します。

さらに、社内のチームと連携を取りやすく、ターゲット市場や顧客層に対する深い理解が得られるため、より効果的な広告メッセージや戦略を展開できます。

しかし、インハウス運用にはデメリットも存在します。充実した社内リソースと専門知識が必要であり、広告運用に専念できるスタッフや時間の確保が必須です。また、外部の広告専門家が持つ市場全体の視点を持つことが難しく、一部の視野狭隘なリスクがあることも考慮すべきです。

エージェンシー活用のメリット

SNS広告の運用戦略において、エージェンシーを活用するメリットはいくつか存在します。まず、全ての広告運用を自社内で行うことが最良とは限らず、未経験者を担当とする選択も可能ですが、特に短期での効果を求めたり、大規模な広告運用を考慮する場合、専門知識と経験が豊富な人材が不可欠です。エージェンシーに依頼すれば、プロフェッショナルによる運用が期待でき、広告戦略の効果的な立案や運用の最適化に関する教育コストや施策選定の悩みを軽減することができます。

さらに、運用タスクを外部に委託することで、企業は主要な業務に専念しつつ広告活動を効果的に推進することが可能です。エージェンシーのプロフェッショナルが広告戦略を最適化し、効果的な広告キャンペーンを展開する一方で、企業は製品開発、顧客対応、戦略的な業務に専念でき、業績向上に集中することができます。このようにエージェンシー活用は、専門的な知識と経験にアクセスし、同時に企業のコアビジネスに集中するための効果的な戦略として採用されています。

サイドバイサイド・コンサルティングの付加価値

インハウス運用を模索する際には、サイドバイサイドの運用支援を活用することを推奨します。

この形式の第一のメリットは、経験豊富な専門家が必要なプロセスをサポートしてくれることです。インハウス化の初期段階で、外部の専門企業に協力を仰ぐことで、効率的なスタートが切れます。

第二のメリットとして、お客様の実施する作業の監督役として、私たちの支援を活用できるという側面があります。日々の広告運用中に何らかのミスが発生した場合も、サポートメンバーが対応に迅速に動ける状態を整えます。リスクは担当者だけの問題ではなく、サイドバイサイドのパートナーと協力し、ミスを未然に防ぐ体制を築くことで、事前にリスクを軽減する可能性が高まります。

まとめ

SNS広告においては、クリエイティブを使って、ユーザーにどのような感情を植え付けたいのか、そのコミュニケーション設計を精密に行うことが肝要です。

更に、SNSの性質から、ユーザーは定期的にタイムラインをチェックします。同一のクリエイティブを延々と使用し続ければ、ユーザーの反応は次第に低下していくでしょう。

ユーザーとの効果的なコミュニケーションを探求しながら、クリエイティブが古びないよう、定期的な更新も忘れずに行うことが大切です。

運用の日々から絶えず最良の状態を追求し、頻繁に調整を加えて進めていくべきです。

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