デジタルマーケティングの世界では、SEO(検索エンジン最適化)が長らく主役として注目されてきました。
しかし、近年、地図検索の重要性が増してきたことから、MEO(マップエンジン最適化)という新しい最適化手法が浮上してきました。
MEOとは一体何なのか、そのメリットは何か、そしてSEOとの違いは何か。さらに、MEOを効果的に活用するための対策についても詳しく解説します。
MEOとはマップエンジン最適化を指す
MEOは、ビジネスや施設の情報を地図上での検索結果に最適化するための手法や戦略を指します。具体的には、Googleマップでのローカル検索結果で表示順位や露出を向上させるための最適化活動を指します。
Google検索の結果ページにおいて、ローカルパックとは特定の地域に関連するビジネスの情報をまとめたものを指します。ローカルパックは、ユーザーがサービスや商品を探している際に、近くのビジネスを簡単に見つけることができるため非常に大切です。
ローカルパックは主に3つあります。
種類①:ローカルパック
ローカルパックは、主に地域や業種に関連するキーワードで表示される検索結果のことを指します。
例として、「地域名+業種」での検索時に表示される結果がこれに該当します。このローカルパックには店舗の情報が表示され、それによってその店舗の露出が増えることで、ブランドの認知度向上や集客の効果が期待できます。
種類②:ローカルABCパック
ローカルABCパックは、特定のブランド名やジャンル名で検索した際に表示される検索結果を指します。
主に大手のチェーン店やコンビニ、薬局などがこのカテゴリに該当します。特徴としては、店舗名の左側にABCの表記があり、口コミや評価数は表示されません。
種類③:ローカルスナックパック
ローカルスナックパックは、飲食やサービス、娯楽などのカテゴリでの検索時に表示される結果を指します。
このカテゴリの特徴は、写真やサービスの一部が表示される点にあります。
【便利機能】ローカルファインダー
ローカルファインダーは、ローカルパックで最初に表示される上位3店舗の後に「さらに表示」をクリックすることで、その他の店舗が一覧表示される機能を指します。
これらの情報は、ローカルな検索結果を最適化するための施策として非常に重要です。特に地域に密着したビジネスを展開している企業や店舗にとっては、これらの施策を適切に取り入れることで、集客やブランドの認知度向上に繋がる可能性が高まります。
SEOとの違いとは
MEO(Map Engine Optimization)とSEO(Search Engine Optimization)は、どちらも検索エンジン上での表示順位を最適化するための施策ですが、その対象や目的が異なります。
対象の違い
MEO | Google検索に表示されるローカル検索結果(ローカルパック)でのビジネスプロフィールの情報を上位化する施策を指します。 |
SEO | Webサイト全体の検索エンジン上での表示順位を上位化する施策を指します。 |
コストの違い
MEO | 施策に取り組むためのコストは比較的低く、多くても数万円で取り組むことができることが多いです。 |
SEO | 施策に取り組むためのコストは業者によって異なりますが、基本的には数十万円かかる傾向にあります。 |
表示位置の違い
MEO | ローカル検索結果は基本的にWebサイトや媒体より上部に表示されるため、MEO対策を適切に行えば、SEOで1位のWebサイトよりも目立つ位置に店舗情報を表示させることが可能です。 |
SEO | Webサイト全体の検索エンジン上での表示順位を目指すため、特定のキーワードでの上位表示を目指します。 |
MEOのメリット4選
MEOの主なメリット4つをご紹介します。
メリット①:高いコンバージョン率が期待できる
ユーザーが地域名やサービス名を含めて検索する場合、具体的な購買意欲や利用意向が高いとされています。
MEOを適切に実施することで、これらの高い購買意欲を持つユーザーに直接アプローチすることができます。これにより、無駄な広告費をかけずに、高いコンバージョン率を実現することが可能となります。
メリット②:SEO対策より低予算
通常のSEO対策は、キーワードリサーチ、コンテンツ作成、バックリンク獲得など、多岐にわたる作業が必要となります。
これに対して、MEOは主にGoogleマイビジネスの最適化に焦点を当てるため、取り組みやすくなっています。
少ない投資で高いリターンを得ることができるため、特に中小企業や初めてのオンラインマーケティングに取り組む企業にとって、効果的な手段となります。
メリット③:地域に密着したビジネスは上位表示されやすい
スマートフォンの普及に伴い、ユーザーは「近くのレストラン」や「地域名+サービス」など、地域を特定した検索を行うことが増えています。
Googleはこのような検索ニーズに応えるため、地域に関連した検索結果を優先的に表示するようになりました。
これにより、地域情報を適切に設定しているビジネスは、全国規模での検索よりもローカル検索で上位表示される可能性が高まります。特に、地域に密着したサービスや商品を提供している企業にとっては、大きなチャンスとなります。
メリット④:高い広告費がかからない
「食べログ」等の人気プラットフォームは、広告料が高額であり、競合との競争も激しいです。
しかし、MEOはGoogleマイビジネスのような無料のツールを活用して、自社の情報を強化・最適化することで、集客を増やすことが可能です。
定期的な情報更新やレビューの返信など、小さな努力で集客効果を高めることができます。また、広告費を節約しながら、質の高いリードを獲得することが期待できます。
MEOのデメリット2選
MEO、または「マップエンジン最適化」は、Googleのローカル検索結果でビジネスプロフィールの情報を上位に表示させるための施策です。しかし、この施策にもいくつかのデメリットが存在します。
メリット④:高い広告費がかからない
MEOを過度に、または不適切な方法で実施すると、Googleのガイドラインに反する可能性があります。
ガイドラインに反すると、店舗情報がローカル検索結果から除外されるリスクがあります。したがって、MEOを実施する際は、Googleのガイドラインを遵守し、適切な方法で取り組むことが重要です。
デメリット②:悪い口コミが悪影響を及ぼす
ビジネスプロフィールには「口コミ」という機能があり、ユーザーは自由にその店舗の感想や評価を投稿することができます。
MEOで上位表示を実現すると、多くのユーザーがその店舗情報を目にすることになります。しかし、ネガティブな口コミが多い場合、それが多くのユーザーに見られることになり、店舗の評価やイメージに悪影響を及ぼす可能性があります。
検索結果で上位に上がり集客を増やす方法
MEO(マップエンジン最適化)は、Googleのローカル検索結果での店舗情報の上位表示を目指す施策です。以下は、MEOでの上位表示を実現するための主な方法です。
方法①:店舗の業種やサービスを示すカテゴリを設定する
Googleマイビジネスでは、店舗の業種やサービスを示す「カテゴリ」を設定することができます。
このカテゴリは、検索ユーザーが求める情報と店舗情報をマッチングさせるための重要な要素となります。
例えば、レストランの場合、「イタリアンレストラン」や「寿司店」といった具体的なカテゴリを選択することで、ユーザーの検索意図に合った結果として表示される可能性が高まります。
方法②:商品やサービスの最新情報を投稿機能で表示する
Googleマイビジネスの「投稿機能」は、店舗の最新情報やキャンペーン、イベント情報などを短期的にユーザーに伝えるための機能です。
この投稿は、検索結果やGoogleマップ上での店舗情報とともに表示されるため、ユーザーの目に留まりやすくなります。定期的な投稿を行うことで、店舗の活動をアピールし、ユーザーの関心を維持することができます。
方法③:顧客に口コミ投稿を促し、良い口コミを増やす
口コミは、他のユーザーの経験を基にした信頼性の高い情報として、多くのユーザーに参考にされます。
良い口コミが多い店舗は、新しいユーザーにとっても魅力的に映るため、積極的に良いサービスを提供し、満足した顧客に口コミの投稿をお願いすることが効果的です。
方法④: Googleビジネスプロフィール情報を定期的に更新する
Googleマイビジネスのプロフィール情報は、ユーザーが店舗を訪れる際の判断材料となります。
営業時間や定休日、アクセス方法、提供しているサービスやメニューなど、詳細かつ正確な情報を提供することで、ユーザーの信頼を得ることができます。また、魅力的な店舗写真を多数掲載することで、ユーザーの興味を引きつけることができます。
方法⑤:全てのプラットフォームでNAPを一致させる
NAP情報の一貫性は、店舗の信頼性を示す要因となります。
Name:名前
Address:住所
Phone:電話番号
Googleマイビジネスだけでなく、他のディレクトリサイトやSNSなど、インターネット上のあらゆる場所での店舗情報が一致していることが重要です。情報の不一致があると、ユーザーに混乱を与えるだけでなく、検索エンジンからの評価も低くなる可能性があります。
MEO最適化の実践例
ここでは、私たちが実施したMEO最適化の実践例を、業界ごとに詳しくお伝えします。
①歯科クリニック
②レストラン
③不動産業者
④塾・英語教室
⑤ヘアサロン・エステティックサロン
事例1:歯科クリニック
2022年4月にMEOの最適化を導入した歯科クリニックの例をお話しします。
Googleビジネスプロフィールの商品部分でカテゴリーを整備し、情報を明瞭化する活動を展開しました。
「インプラント」や「矯正歯科」といったキーワードの採用により、キーワードとの接続性が強まり、徐々にランキングも向上しました。
また、情報が整理されていることでユーザーからのクリックも増えました。
その結果、前年に比べてGoogleビジネスプロフィールの「通話」のクリック数が大きく増加しています。
事例2:レストラン
2022年9月終わりにMEOの取り組みを始めたレストランの事例です。
地域の住民をターゲットに、キーワード戦略は地元指向で展開しています。
アクセス数が着実に伸びているため、ストリートビューの室内撮影を導入し、訪れた方に来店を促しています。
事例3:不動産業者
2022年5月終了時点でMEOの導入を開始した不動産業者の例です。
Googleビジネスプロフィールのサービスセクションを豊富にしました。
結果として、Googleビジネスプロフィールで情報取得が完了するユーザーが増え、ホームページへのアクセスも増加しました。
ランキングが上がったことで、実績も好調に推移しています。
事例4:学習塾・英語教室
2021年1月よりMEOの取り組みをスタートした学習塾の例です。
Googleビジネスプロフィールのカテゴリーは増加傾向にありますが、「学習塾」というカテゴリーはまだ存在しない状態です。(2023年10月時点)
そのため、塾では適切なカテゴリーを選択するだけでランキングが向上することがあります。
この塾では、主要カテゴリーが「学習センター」とされていたため、「受験準備学校」に修正し、「塾」や「個別指導塾」といったキーワードで上位に表示されるようになりました。
その結果、ランキングの向上とともに、全ての月での前年比が増加しています。
事例5:ヘアサロン・エステティックサロン
2022年10月にMEOの活動をスタートさせた美容院の例をお話しします。
ターゲットを明確にし、最新の情報を随時投稿することで、アクセス数を継続的に伸ばしています。
こちらのサロンでは、Googleビジネスプロフィールの「詳細」にウェブサイトのリンクを配置しています。
このサロンは新たにGoogleビジネスプロフィールを設定したところなので、前年との比較はできませんが、順調に「ルート」をクリックし、店舗までの道のりを調べるユーザーが増加していることが確認できます。
まとめ
MEOは、地図検索に特化した最適化手法であり、特にローカルビジネスや店舗を持つ企業にとってのメリットが大きいです。
その主なメリットとして、地域に密着したターゲットへの露出増加や、実店舗への来店促進が挙げられます。一方、SEOはウェブ全体の検索エンジンランキングを向上させる手法です。
MEOの効果的な対策としては、Google My Businessの情報の最適化や、ローカルレビューの促進などが考えられます。MEOとSEO、それぞれの特性を理解し、ビジネスのニーズに合わせて適切に活用することで、オンラインでの露出と集客を最大化することができます。