Google広告で新規顧客を獲得する方法:完全ガイド

監修者

佐藤 祐介
佐藤 祐介

株式会社LIFRELL代表取締役。大手代理店、株式会社オプト、電通デジタルの2社でアカウントプランナーを経験。その後、株式会社すららネットでインハウスマーケターとして事業の立ち上げからマザーズ上場水準まで事業を伸長させる。マーケティング戦略の立案からSEO/WEB広告/SNS/アフィリエイト等の施策で売上にコミット。

専門家

深瀬 正貴
深瀬 正貴

Yahoo株式会社 法人マーケソリューション出身。 鎌倉の海のそばでオフィスFHを運営。 リスティングやSEOをはじめとしたデジタルマーケティングで100社以上の売り上げ課題を解決。
最近の趣味はブームに乗っかったように見えてしまう「焚き火ごはん」。

目次

ビジネス界において、新しい顧客を引きつけることは、企業成長の重要な要素です。特に、広告戦略の中で新規顧客獲得の重要性が強調されることは珍しくありません。多くの企業が抱える疑問は、既存顧客のみに焦点を当てた広告戦略では、果たして長期的な成長を保証できるのか、という点です。このような不安を感じている方々にとって、新規顧客獲得に特化した広告戦略の探求は、非常に魅力的な選択肢となります。その答えの一つが、Google広告の「新規顧客の獲得」目標の活用です。この機能を使用することで、広告キャンペーンは新規顧客をターゲットにした、より効果的なアプローチが可能になります。

「新規顧客の獲得」目標

Google広告の「新規顧客の獲得」目標は、企業がデジタルマーケティングを最大限に活用し、新たな市場を探索する上で極めて有用なツールです。この目標は、特に検索キャンペーンとPerformance Max(P-MAX)キャンペーンでの使用に最適化されており、新規顧客の獲得をより効率的かつ戦略的に行うための設定が可能です。

この「新規顧客の獲得」目標を使用することのメリットは複数ありますが、主な利点は3つに絞られます。

  1. 新規顧客への重点配信
    通常、既存顧客は比較的低いコストで獲得できることが多く、キャンペーンの成果を高めようとすると、つい既存顧客への配信に偏りがちです。しかし、「新規顧客の獲得」目標を用いることで、新規顧客への配信を積極的に行い、さらに新規顧客への配信に任意の価値を設定することが可能になります。これにより、新しい市場を開拓し、事業の成長を促進することができます。
  2. P-MAXキャンペーンでの既存顧客除外
    P-MAXキャンペーンでは、オーディエンスの除外設定が直接行えないという課題があります。しかし、「新規顧客の獲得」目標を設定することにより、既存顧客のリストを除外して配信することが可能になります。これにより、新規顧客に焦点を当てたり、既存顧客よりも新規顧客を重視した配信が行えるようになります。
  3. 新規顧客と既存顧客の内訳の簡単な確認
    従来、新規顧客と既存顧客の獲得数を区別して確認するのは一定の手間が必要でした。例えば、既存顧客のリストをオーディエンスに設定し、その獲得数を既存顧客からのものとして計算する方法が一般的でした。しかし、「新規顧客の獲得」目標を設定することで、新規顧客と既存顧客のコンバージョン数を別々に、より簡単に追跡することができるようになります。これにより、マーケティング活動の成果をより正確に測定し、適切な戦略を策定することが可能となります。

これらのメリットを活用することで、企業は新しい顧客層に効果的にアプローチし、ビジネスの拡大を図ることができます。Google広告の「新規顧客の獲得」目標は、デジタルマーケティングの世界で新規顧客を獲得し、持続可能な成長を達成するための重要なステップとなり得るのです。

新規顧客の獲得を重視するキャンペーンを設定する

Google広告で新規顧客の獲得を重視するキャンペーンを設定するプロセスは、直感的でユーザーフレンドリーなインターフェースにより、非常に簡潔かつ効率的に行うことが可能です。この重要な設定は、広告管理画面の数ステップを経て行うことができます。

まず、広告管理画面にアクセスし、特定のキャンペーンの設定に入ります。次に、「顧客の獲得」セクションを見つけるためにスクロールし、そこで「新規顧客の獲得を重視してキャンペーンを最適化する」というオプションを探します。このオプションにチェックを入れることで、キャンペーンが新規顧客の獲得を重視するように最適化されるよう設定が変更されます。

この一見シンプルな操作により、マーケティング担当者は新規顧客獲得を目的としたキャンペーンを簡単に設定でき、広告効果の最大化を図ることができます。新規顧客獲得に特化したこのアプローチは、広告予算の効果的な活用に繋がり、ターゲットオーディエンスに対してより適切なメッセージを届けることが可能になります。

このプロセスは、特に新しい市場に進出したい企業や、顧客基盤を拡大したいビジネスにとって、非常に価値のある手段となります。Google広告のこの機能を活用することで、効率的かつ戦略的に新規顧客を引き寄せ、ビジネスの成長を加速することが可能になるのです。

Google広告の「新規顧客値」モードと「新規顧客のみ」モードは、デジタル広告戦略の中で新規顧客を効果的に獲得するための非常に重要なツールです。これらのモードは、特に新規市場の開拓や顧客基盤の拡大を目指す企業にとって、広告効果の最大化とリソースの効率的な配分を可能にします。

「新規顧客値」モードは、新規顧客の初回購入のコンバージョン値を既存顧客のそれよりも高く設定することで、新規顧客を重視した広告配信が可能になる推奨設定です。一般に、既存顧客のリピート購入は新規顧客獲得よりも費用対効果が高いことが多いため、広告配信が既存顧客に偏る傾向があります。しかし、このモードを使用することで、新規顧客への入札単価を高く設定し、既存顧客と新規顧客の両方に広告を配信しながらも、新規顧客の獲得を重視するバランスを取ることができます。

一方、「新規顧客のみ」モードは、新規顧客の獲得に特化した広告配信を行いたい場合に最適です。このモードでは、新規顧客に対してのみ入札単価を設定し、オーガニックやアプリ経由などで既存顧客の獲得が可能である場合に、新規顧客獲得のために特別な予算を割り当てることができます。Google広告にアップロードされた既存顧客リストや過去の購入データに基づき、新規顧客と判断されたユーザーにのみ広告が表示されます。

従来、検索キャンペーンでは既存顧客のリストをアップロードして、広告配信対象から除外することが可能でした。しかし、P-MAXキャンペーンではオーディエンスの除外機能がなかったため、新規顧客獲得に焦点を当てたい広告主にとっては、これらの新しい設定は大変待望のものでしょう。

これらの設定を有効に活用するためには、「新規顧客」として認定される基準を事前に広告アカウントで明確に定義することが重要です。このようにして、Google広告の「新規顧客値」モードと「新規顧客のみ」モードを用いることで、企業は新規顧客の獲得を最適化し、ビジネス成長の新たな道を切り開くことができるのです。

設定方法

Google広告の「新規顧客値」モードと「新規顧客のみ」モードは、デジタル広告戦略の中で新規顧客を効果的に獲得するための非常に重要なツールです。これらのモードは、特に新規市場の開拓や顧客基盤の拡大を目指す企業にとって、広告効果の最大化とリソースの効率的な配分を可能にします。

STEP①:新規顧客と既存顧客を定義する

デジタルマーケティングにおいて、新規顧客と既存顧客の区別は非常に重要です。広告主ごとに新規顧客と既存顧客の定義が異なるため、この区別を正確に行うための設定方法を把握することは、効果的な広告戦略を立てる上で欠かせません。

新規顧客と既存顧客を定義するためには、以下の3つの主要な方法があります

  1. Google広告のコンバージョントラッキングに基づく購入者のオーディエンスリスト
    この方法では、Google広告のコンバージョントラッキングデータを用いて、購入者のオーディエンスリストを作成します。デフォルトではこの設定が用いられており、過去540日間のデータに基づいて自動的にオーディエンスリストが生成されます。すぐに始めることができる点が利点ですが、ユーザーがCookieを削除するなどすると、リストの精度が低下する可能性があることに注意が必要です。
  2. カスタマーマッチを利用した既存顧客のオーディエンスリスト
    カスタマーマッチでは、顧客データとGoogleアカウント上のデータを照合してオーディエンスリストを作成します。Cookieに依存しないため、データの精度が高いのが特長です。Googleからも推奨されていますが、オーディエンスリストが1,000件以上でなければ使用できない点に留意が必要です。
  3. タグを用いた新規顧客と既存顧客の識別
    この方法では、データレイヤーなどを使用して新規顧客と既存顧客を判断します。Googleの自動検出とは異なり、設定したアクションを行ったユーザーの蓄積期間を自由に設定できます。設定したイベントスニペットを通じて、新規(購入していないユーザー)、リピート(購入経験のあるユーザー)、不明(判断できない場合)を区別できます。この方法は最も精度が高いですが、タグの設定や改修が必要となり、実装のハードルが高めです。

これらの設定方法のうち、1つだけを使用することも、複数を組み合わせて使用することも可能です。ただし、タグを使用した設定(3)を行った場合、Googleの自動検出結果(1)の代わりにタグで提供された値が使用されます。

新規顧客と既存顧客を効果的に区別することで、広告キャンペーンのパフォーマンスを最大化し、マーケティング戦略の精度を高めることができます。それぞれの広告主が自身のビジネスモデルに最適な方法を選択し、新規顧客獲得の効果を高めることが望まれます。

STEP②:利用する顧客リストと新規顧客の価値を定義する

デジタル広告キャンペーンの効果を最大化するためには、新規顧客の価値を正確に定義し、それに基づいて広告戦略を展開することが重要です。Google広告では、「新規顧客値」モードを活用する際、新規顧客の価値を定めることが推奨されています。この価値の定義は、広告の入札戦略に直接影響を与え、新規顧客獲得における広告の配信を最適化するために用いられます。

手順①:ツールと設定から「コンバージョン」をクリックし、概要ページに遷移する

手順②:「顧客の獲得」パネルの「設定」をクリックする

手順③:「既存顧客リストを定義する」パネルで既存顧客のオーディエンスセグメントを1つ以上選択する

手順④:「新規顧客によるコンバージョン値の向上」パネルで既存顧客に対する新規顧客の価値を定義する

新規顧客の単価はどう決めるのか?

新規顧客の価値を決定する際の基本的なアプローチは、1人の新規顧客から将来的に獲得されるであろう収益額を基準にすることです。Googleでは、この収益額を次のように計算することを推奨しています。

数式として表すと、下記の通りです。

1人の新規顧客から将来的に獲得が見込まれる収益額
=平均購買単価×平均購買頻度×平均継続期間

例えば、購入1回あたりの平均額が¥1,000で、平均年に2.5回、2年間継続して購入するとしましょう。

¥1,000×2.5×2=¥5,000

この値は、新規顧客に対する重視度合いを反映しており、値が大きいほど新規顧客を重視したキャンペーンの最適化が行われます。しかし、全ての企業がこの数式を用いて新規顧客の価値を計算できるわけではありません。平均購買単価や購買頻度が不明な場合は、Google広告が提供するデフォルトの値を使用しても構いません。このデフォルト値は、キャンペーンの平均購買単価と一般的な購入頻度に基づいて算出されています。

また、新規顧客の価値はアカウント全体だけでなく、個々のキャンペーンに対しても独自に設定することが可能です。これにより、異なるキャンペーンごとにカスタマイズされた入札戦略を採用することができます。キャンペーンごとの設定は、「顧客の獲得」パネルの鉛筆マークから行うことができます。

このように新規顧客の価値を定義することで、広告主はより戦略的に広告予算を配分し、効果的に新規顧客を獲得することができます。

設定した戦略が効果的に機能しているか

デジタル広告キャンペーンを運用する際には、設定した戦略が効果的に機能しているかを定期的にチェックすることが重要です。特に新規顧客獲得を目指して設定したキャンペーンの場合、その成果を適切に評価し、必要に応じて調整することが成功への鍵となります。

新規顧客の獲得状況をチェックするには、以下の2つの方法が効果的です。

方法①:「表示項目」>「表示項目の変更」から「新規顧客」を追加する

方法②:キャンペーンレポートで「コンバージョン」>「新規顧客とリピーター」の分類を追加する

例えば、新規顧客の獲得を目的として「新規顧客値」モードを採用したにも関わらず、新規顧客の単価が低設定されており、結果としてリピーターの獲得が多い場合、新規顧客単価の見直しが必要かもしれません。このようにして、キャンペーンの設定が初期の意図どおりに機能しているかを確認し、必要に応じて調整を行うことが大切です。

キャンペーンの成果を定期的に確認し、適切な調整を加えることで、新規顧客獲得の目標を達成しやすくなります。マーケティングの世界では、常に変化に対応し、戦略を柔軟に調整することが成功への道を切り開きます。

配信前後の注意点

検索キャンペーンとP-MAXキャンペーンを運用するにあたり、配信前後の注意点を把握することは、キャンペーンの成功に不可欠です。特に新規顧客獲得を重視する場合、いくつかの重要なステップを踏む必要があります。

配信開始前の注意点

  • デリケートなコンテンツの確認
    アルコール、医療品など、デリケートなコンテンツに関連する広告を配信する際は特に注意が必要です。これらのコンテンツに関しては、Google広告のポリシーによって制限が設けられており、一部の広告主には利用が許可されていない場合があります。配信前には、パーソナライズド広告に関するポリシーを確認し、自社の広告がガイドラインに適合しているかを確かめましょう。

配信開始後の注意点

  • 新規顧客の初回購入のコンバージョン値の調整
    新規顧客獲得を重視した結果、配信ボリュームが減少することがあります。この問題に対処するために、新規顧客の初回購入のコンバージョン値を下げることを検討しましょう。これにより、既存顧客への配信ボリュームを増やすことができ、ROAS(広告費用対効果)やコンバージョン単価の改善が期待できます。
  • 配信クリエイティブの見直し
    新規顧客と既存顧客では、反応の良いクリエイティブが異なることが多いです。既存顧客は商品に対する知識があるため、購入を後押しするようなクリエイティブが効果的です。一方、新規顧客は商品の特性を理解する必要があるため、商品の魅力を明確に伝えるクリエイティブが求められます。「新規顧客獲得を想定した広告文やクリエイティブを配信できているか」を再確認し、必要に応じて見直しを行いましょう。

これらの注意点を踏まえ、検索キャンペーンとP-MAXキャンペーンの効果を最大限に引き出し、新規顧客獲得に向けた戦略を効果的に展開することが重要です。常にポリシーの遵守と戦略の最適化に努めることで、キャンペーンの成功を目指しましょう。

まとめ

デジタル広告において、短期間のコストパフォーマンス(CPA)が良好であることは重要ですが、それが既存顧客からの購入に依存している場合、長期的なビジネスの成長には限界があります。特に、P-MAXのような自動化されたオーディエンスターゲティングを利用するキャンペーンでは、費用対効果の高い既存顧客に対する広告配信が偏る傾向にあり、新規顧客の獲得がおろそかになる可能性があります。

しかし、Google広告の「新規顧客の獲得」目標を適切に利用することで、この問題に対処することが可能です。「新規顧客の獲得」目標では、新規顧客の価値を明確に定義し、キャンペーンを新規顧客獲得に焦点を当てて最適化することができます。これにより、比較的リスクが低く、かつ効率的に新規顧客を獲得することが可能になります。

さらに、P-MAXのようにオーディエンスを除外できないキャンペーンでも、「新規顧客の獲得」目標の設定により、新規顧客をターゲットにした効果的な広告配信が実現します。これにより、既存顧客リストを活用したオーディエンスリストを基に、新規顧客獲得を戦略的に重視することができるのです。

新規顧客獲得を重視することは、中長期的なビジネス成長のために不可欠です。既存顧客への配信に偏りがちな広告キャンペーンを見直し、新規顧客の価値をしっかりと定義することで、ビジネスの成長と拡大を促進することができます。この機会に、「新規顧客の獲得」目標を利用した広告戦略を試してみてはいかがでしょうか。