コロナ禍の実店舗・ネットショップ対策:Googleショッピング広告とマイビジネス活用法

監修者

佐藤 祐介
佐藤 祐介

株式会社LIFRELL代表取締役。大手代理店、株式会社オプト、電通デジタルの2社でアカウントプランナーを経験。その後、株式会社すららネットでインハウスマーケターとして事業の立ち上げからマザーズ上場水準まで事業を伸長させる。マーケティング戦略の立案からSEO/WEB広告/SNS/アフィリエイト等の施策で売上にコミット。

専門家

深瀬 正貴
深瀬 正貴

Yahoo株式会社 法人マーケソリューション出身。 鎌倉の海のそばでオフィスFHを運営。 リスティングやSEOをはじめとしたデジタルマーケティングで100社以上の売り上げ課題を解決。
最近の趣味はブームに乗っかったように見えてしまう「焚き火ごはん」。

目次

新型コロナウイルスの影響により、私たちの生活やビジネスに大きな変化が訪れました。

特に、実店舗を持つネットショップにとって、この変化は顕著です。多くのショップが、感染拡大防止のために臨時休業を余儀なくされており、その影響は深刻です。緊急事態宣言が解除されたとしても、新たな感染波のリスクは常に付きまとい、治療法やワクチンの確立までは、ビジネスの不確実性が続くでしょう。

このような不透明な時代において、実店舗ビジネスを持続させるための一策として、デジタルマーケティングの活用が考えられます。具体的には、Google 広告やGoogle マイビジネスを駆使することで、現在の状況下でも何ができるかを模索することが可能です。これらのツールを用いることで、限られた状況の中でも顧客との接点を保ち、ビジネスの機会を最大限に引き出すことができるのではないでしょうか。

この時代の難局を乗り越え、新しいチャンスを掴むためには、柔軟な発想と新たな取り組みが求められます。デジタルマーケティングの活用はその一例ですが、これからの時代に対応するためには、常に新しい方法を模索し続けることが重要です。私たちは、この変革の時代において、ビジネスの継続と成長のために、積極的かつ創造的な取り組みを続けていく必要があります。

Googleを活用した実用的なガイド

この不透明な時代において、小売業が直面している課題に対応するため、Googleを活用した実用的なガイドを英語で作成しました。

このガイドには、必ずしも目新しい情報は含まれていませんが、現在の混沌とした状況において、何ができるのか、何をすべきなのかを冷静に考える上で大きな助けになると考えています。このガイドを羅針盤のように使い、方向性を見出すことができれば幸いです。

もちろん、このガイドは英語で書かれていますが、Google翻訳やDeepLなどの翻訳サービスを利用することで、言葉の壁を越えて内容を理解することが可能です。これらの翻訳ツールは非常に高度であり、比較的正確に情報を伝えることができます。特に、現代のビジネス環境においては、こうしたデジタルツールの活用が不可欠となっています。

このガイドを読むことで、小売業が直面している困難を乗り越え、新しい機会を見出すための具体的なアイデアや戦略を得ることができるでしょう。私たちは、変化する市場環境の中で柔軟に対応し、新しい技術や情報を活用して、前進し続ける必要があります。このガイドが、そうした取り組みの一助となればと思います。

在庫商品における企業の課題

アナグラム社が完全リモートワークに移行してから、社員が在宅で快適に業務を行うための環境整備に取り組んでいることは注目に値します。

しかしながら、モニターやモニターアーム、ヘッドセット、Webカメラなどの重要な機器が、思うように手に入らないという問題に直面しています。

2020年の春には、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、緊急事態宣言が発令されそうな空気が漂っていました。その結果、外出せずに必要な物品を手に入れるための通販の需要が急速に増加しました。このため、コストパフォーマンスに優れた商品はあっという間に通販サイトから姿を消し、入手困難な状況になったのです。

快適なリモートワーク環境を速やかに整えようと、Amazonや楽天、そしてGoogle 検索を駆使して商品を探しましたが、新たな問題が浮上しました。Googleで型番などを検索し、表示されたショッピング広告をクリックすると、「入荷待ち」「お取り寄せ」「メーカーから直送」といった表示が目立ち、実際には在庫がないにもかかわらず、購入手続きは可能な状態でした。

こうした状況では、商品の入荷待ちを気にしない人もいれば、早急に必要な人もいます。在庫がないにも関わらず広告をクリックしてしまうケースが多いのは事実です。入荷の見通しが立っていない場合、在庫なしと明示し、無駄なクリックを減らすことで、広告費をより効果的に活用することが肝要です。

このような状況は、リモートワークの普及に伴う課題の一例に過ぎません。これからの働き方の変化を見据え、ビジネスや消費者側の両面で柔軟な対応策と準備が求められています。商品の供給と需要のバランスを見極め、効率的で顧客満足度の高い体験を提供することが、今後の企業にとっての重要な課題となるでしょう。

商品フィードにおける「availability [在庫状況]」属性

商品フィードにおける「availability [在庫状況]」属性は、オンライン販売における重要な要素の一つです。

この属性には、主に3つの選択肢があり、それぞれの状況に応じて適切に選択することが求められます。ここで、改めてそれぞれの選択肢について復習してみましょう。

in stock [在庫あり]

現在、注文を受け付けていて購入ができる状態。商品の在庫があり、通常通りに配送できる状態にある場合に指定します。

out of stock [在庫なし]

現在、注文を受け付けていない、または販売できる状態ではない場合に指定します。注文は受け付けているものの、在庫がなくて配送できない場合は、販売できる状態ではないものとします。

preorder [予約]

新規に取り扱いを開始する商品に限り利用できる属性です(後日在庫が補充される既存商品に対しては指定できません)。現在、注文を受け付けているものの、まだ発売されていない場合に指定します。

これらの選択肢を適切に使用することで、顧客に対して商品の在庫状況を明確かつ正確に伝えることができます。これにより、顧客の期待を適切に管理し、良好な顧客体験を提供することが可能となります。オンライン販売においては、このような透明性と正確な情報提供が、顧客満足度の向上に直結します。したがって、これらの属性の適切な使用と管理は、オンラインビジネスにおける成功の鍵の一つと言えるでしょう。

店頭受け取りが可能な店舗であればローカル在庫検索の実施も検討

商品フィードに加えて、ローカル商品在庫フィードの準備も広告を開始するためには必要なステップですが、これにより準備の難易度はさらに高まります。

しかし、日本の場合、配送網の発達が目覚ましく、店舗に足を運ぶよりも宅配サービスを利用したほうが利便性が高いという事実があります。これは、オンラインショッピングの普及に大いに寄与している要素の一つです。

ただし、ローカル在庫検索の導入にはコストがかかるため、その利用は特定のシチュエーションに限られることが予想されます。特に、生鮮食品のようにできるだけ早く消費者に届けなければならない商品ジャンルでは、このようなシステムの導入が特に有効です。これらの商品は、鮮度が重要な要素であり、迅速な配送が求められるため、ローカル在庫検索システムが大きなメリットをもたらします。

このように、ローカル在庫検索の導入は、一定のコストと労力が必要ですが、適切な商品カテゴリやサービスに適用することで、顧客の満足度を高めることができます。また、オンラインとオフラインの両方での販売を統合し、顧客にとっての選択肢を広げることが可能となります。そのため、生鮮食品のようにタイムリーな配送が必要な商品に対して、このようなシステムを導入することは、ビジネスにとって有益な戦略となるでしょう。

Google マイビジネスの活用は極めて重要

実店舗を持つネットショップは、Google マイビジネスを積極的に活用し、常に最新かつ正確な情報を提供することによって、オンラインとオフラインの両面で顧客との接点を強化することが推奨されます。これは、デジタル時代における効果的なマーケティング戦略の一環と言えるでしょう。

店舗状況にはGoogle マイビジネスの活用がお勧め

実店舗を併設するネットショップ経営者の皆さんには、Google マイビジネスの活用をお勧めします。現在のような変動的な状況では、お店の情報を常に最新の状態に保つことが非常に重要です。特に、このツールを利用することで、店舗の最新の営業状況、在庫状況、配送オプション、そして何よりもお客様の安全を守るための取り組みを、リアルタイムで顧客に伝えることができます。

臨時休業や短縮営業時間のための便利な機能を設定する

お客様が直接店舗に問い合わせをする前に、休業のお知らせや短縮営業時間、実施している安全対策や衛生対策、さらにビジネス支援ギフトカードの提供状況などを検索画面上で簡単に確認できるようにすることが肝心です。これにより、お客様は安心して店舗を訪れることが可能となります。

また、臨時休業についても、Google マイビジネスでは便利な機能が提供されています。2020年4月頃から、臨時休業を簡単に表示できるフラグ設定機能が追加されました。これまでは、祝日や特定のシーズンに合わせた休業は、特別営業時間機能を通じて設定してきたかと思いますが、現在のような突発的かつ不確定な休業期間には、この新機能が大いに役立ちます。

新型コロナウイルスの影響で不確定な状況が続く中、このようなツールを駆使して情報を迅速かつ正確に更新し続けることで、お客様が最新の情報を手に入れやすくなります。店舗が臨時休業中であっても、Google マイビジネス上でその状況を明確に示すことで、お客様の混乱を防ぎ、信頼関係を維持することができます。

ビジネスとお客様の両方にとって、このような情報共有は、特に今のような不確実な時代において、非常に価値のあるものです。お客様が検索画面上で最新の情報をすぐに見つけることができれば、不安なくお店を訪れることができるため、ビジネスとしても安心して運営を続けることができます。特に、新しい機能である臨時休業フラグは、予期せぬ状況に迅速に対応する上で大変便利です。

総じて、Google マイビジネスは、今日のビジネスにとってなくてはならないツールの一つです。これを活用することで、実店舗を持つネットショップの運営を、よりスムーズかつ効果的に行うことができるでしょう。お客様への情報提供はもちろん、ビジネス自体の適応力を高めることにも繋がります。そのため、どんな状況下にあっても、柔軟に対応し、お客様とのコミュニケーションを維持するために、このツールの最大限の活用を心がけましょう。

Google マイビジネスの左側メニュー「情報」をクリックすると、上図の項目が表示されますので、「休業マークを付ける」をクリックします。

時短営業の場合は特別営業時間機能を設定する

臨時休業をしないまでも、営業時間を短縮して営業する場合は、前項でも紹介した特別営業時間機能を利用することで、通常の営業時間の変更はせずに営業時間を変更できます。


Google マイビジネスの左側のメニュー「情報」をクリックすると、「特別営業時間を追加」というカレンダーアイコンの項目が表示されるので、鉛筆マークをクリックします。


すると、特別営業時間の設定ウィンドウが表示されるので、ここから追加していきます。

ただし、この画面からですと1つ1つ設定する必要があり、操作が煩雑になります。そのため、ある程度の期間分を一括で編集したい場合は、スプレッドシートを利用して更新する方法も提供されています。

スプレッドシートを使った一括更新の方法については割愛します。詳しい方法は、iSchool 伊藤さん(Google マイビジネス ヘルプコミュニティのゴールドプロダクトエキスパートです)のブログ記事が参考になりますので、そちらをご参考ください。

属性オプションを選択することは、ビジネスにとって有効な戦略

商品の提供方法に関する属性管理は、国によって異なる配送環境や顧客のニーズに応じたサービスを提供する上で重要です。

日本では高度に発達した配送網のおかげで、店頭受取にあまり馴染みがないかもしれません。しかし、アメリカのように注文から配達までに7~10日かかることも珍しくなく、また、不在時には荷物が玄関先に置かれ、盗難のリスクがあるといった状況も存在します。

小売の場合は、属性として商品の提供方法を表示させることも可能です。

オプションとしては「店内受け取り」「宅配」「店頭受け取り」「店舗内ショッピング」といったものから選択可能です。

このような背景を踏まえると、オンラインでの決済後に商品を近くの店舗で受け取るという方法が、速くて安全な受取り方法として利用されています。この方法では、顧客は時間を節約し、配送コストも削減できるため、非常に合理的です。

仮に、オンラインで決済を済ませ、事前連絡をした上で店舗に入ることなく商品を受け取ることが可能な場合、そのような属性オプションを選択することは、ビジネスにとって有効な戦略となります。これにより、顧客はより便利で安全なショッピング体験を享受できるようになります。

今日のようなデジタル化が進む時代においては、オンラインとオフラインの連携を強化することが重要です。店頭受取のようなオプションは、オンラインの利便性とオフラインの物理的な接触のメリットを組み合わせることで、顧客満足度を向上させることができます。したがって、ビジネスは、様々な顧客のニーズに対応するために、このような柔軟な商品提供方法を積極的に取り入れるべきです。

ギフトカード購入や寄付のためのリンクを追加する新機能

ビジネスプロフィールにギフトカード購入や寄付のためのリンクを追加する新機能がリリースされました。

この機能は、特に現在のような困難な時期において、ビジネスにとって大きな支援となるでしょう。ギフトカードの購入や寄付を通じて、顧客が直接ビジネスを支援することが可能になります。

さらに、この機能の素晴らしい点は、サポート募集リンクを通じて集められた資金がどのように活用されるかをビジネス側が明示できることにあります。これにより、寄付をする側にとっても、寄付を受けるお店にとっても、透明性と信頼性が確保され、お互いに心地よい取引が可能となります。

例えば、あるカフェが新型コロナウイルスの影響で苦境に立たされている場合、この機能を使ってギフトカードの販売や寄付の募集を行うことができます。カフェは、これらの資金をスタッフの給与支払いや店舗運営費用に充てるなど、具体的にどのように使われるかを明示することができます。こうした透明性は、顧客がより積極的に支援を行う動機付けとなります。

このように、ビジネスプロフィールにギフトカード購入や寄付のためのリンクを追加する機能は、ビジネスと顧客の間の関係を強化し、共に成長するための新しい道を開くものです。この機能は、顧客が好きなお店やサービスをサポートするための簡単で効果的な方法を提供し、ビジネスにとっても新たな資金調達のチャンネルとなり得ます。これは、特に現在のように経済的な挑戦が多い時期において、ビジネスにとって大きな助けとなるはずです。

店頭受け取りサービス「カーブサイド・ピックアップ」

アメリカにおいては、店舗での受取ニーズが日本よりも高く、その結果、店頭受け取りサービスが進化しています。

カーブサイド・ピックアップとして知られる「駐車場受け取り」サービスは、その顕著な例です。このサービスでは、顧客はオンラインで商品を手配し、指定された店舗の駐車場に車を停めるだけで、店員が直接車に商品を積み込んでくれます。この方法の最大の特徴は、車から一切降りる必要がないことで、人との接触を極力避けられるため、感染症のリスクを低減できます。

日本では、マクドナルドが2020年5月に「パーク&ゴー」というカーブサイドピックアップサービスを開始しました。これにより、顧客はマクドナルド公式アプリで注文し、指定した店舗の駐車場で車から降りずに商品を受け取ることができます。このようなサービスが大手企業によって採用されることは、社会的にも大きな意義があり、今後、様々な企業がこのようなサービスをテスト的に導入することが望まれます。

店舗が駐車場を有し、決済や商品受け取り時のコミュニケーションが整備されていれば、駐車場受け取りは検討すべきオプションの一つです。また、日本国内の例として「ドライブスルー八百屋」があります。こちらでは、Webで予約し、指定された日時と場所に行くと、車から降りずに商品を購入できます。このサービスは、生鮮食品をはじめ、最近では精肉や鮮魚の取り扱いも始めており、予約販売形式を採用しています。予約販売なので、急なキャンセルへの対応が必要ですが、オンラインでの決済が必須ではないため、導入のハードルは比較的低いです。

日本においても、生鮮食品のように日持ちしない商品を扱う場合には、駐車場受け取りサービスが特に有効であると考えられます。顧客は商品を安全に、そして迅速に受け取ることができ、店舗側は顧客との接触を最小限に抑えながら効率的なサービスを提供できます。このように、カーブサイド・ピックアップは、新しい販売・配送の形態として、多くの業種での採用が期待される革新的なサービスです。

私たちの生活様式やビジネス戦略に変化が必要

緊急事態宣言が解除され、新型コロナウイルス感染症の拡大が収束に向かう兆しを見せている今、私たちの生活様式やビジネス戦略に変化が必要です。

ソーシャルディスタンスの維持という新たな意識が強まり、国からも新しい生活様式に関する提言がなされています。このような状況では、コロナウイルス感染症が拡大する前の「通常」への完全な戻りは期待できず、今後も次の感染流行に備える必要があります。

そのためには、現在の状況に適したメッセージを発し、顧客が安心して買い物ができるような仕組みを考案し、適宜アップデートしていくことが重要です。このプロセスには、顧客の安全を最優先にしつつも、ビジネスの継続性を保ち、変化に対応する柔軟性が求められます。

先行きが不透明な現在、私たちにできることは、手元にあるリソースを最大限に活用し、一歩一歩前進していくことです。これは、ビジネスだけでなく、日々の生活においても同じです。新しい生活様式やビジネスモデルを模索し、適応することで、これからの未知の状況にも柔軟に対応できるようになるでしょう。どんなに小さな一歩でも、それが積み重なることで大きな変化を生み出す可能性があります。だからこそ、今はコツコツと、着実に取り組んでいくことが重要です。