デジタルマーケティングが盛んになる中、メルマガは今も変わらず効果的なコミュニケーション手段として多くの企業や個人に利用されています。
しかし、「どのようにしてメルマガを作成すれば良いのか」「どんなポイントを意識すれば読者の心をつかむことができるのか」といった疑問を持つ方も少なくないでしょう。
この記事では、メルマガの基本的な作り方から、より効果的なコンテンツを作成するためのコツまで、シンプルに解説します。
手順①:メルマガ作成前の準備
作成の目的を明確にする
メルマガの成功の鍵は、その目的を明確にすることにあります。以下に、主な目的とその詳細を挙げます。
【伝達】この目的は、新製品の発売情報やキャンペーン、セール情報など、読者に知ってもらいたい情報を伝えることを中心とします。顧客とのコミュニケーションを深化させるための手段としても活用されます。 |
【送客】メルマガを通じて、読者を自社のWebサイトや実店舗に誘導することを目的とします。例えば、特定の記事へのリンクを掲載し、その内容に関心を持つ読者をサイトへと導くことが考えられます。 |
【購買】製品やサービスの購入を促すためのメルマガです。クーポンコードの提供や限定セールの情報など、購買意欲を刺激する内容を盛り込みます。 |
ニーズに合った情報提供のためにターゲットを決める
メルマガの効果を最大化するためには、読者の興味やニーズに合わせた内容を提供することが不可欠です。
ステップ①:ターゲットを特定する
どのような人々にメルマガを読んで欲しいのか、そのユーザー像を具体的にイメージします。年齢、性別、趣味、居住地域などのデモグラフィック情報を基に、最も関心を持ってもらえる内容を考えます。
ステップ②:コンセプトの設定
ターゲットに合わせて、メルマガの全体的なテーマや方向性を決めます。
例えば、20代の女性をターゲットとする場合、ファッションや美容に関する情報を中心に提供するといった具体的なコンセプトを設定します。
ターゲットを絞り込む
メルマガの効果的な配信を行うためには、適切なターゲット層を絞り込むことが重要です。
ターゲットが絞り込めたら、配信リストの作成を開始します。配信リストは、ExcelやGoogleスプレッドシートでの管理も可能ですが、メール配信ツールを利用すると、より効率的にリストを管理できます。
Excelなどのツールを使用する場合、更新作業は手動で行う必要があり、誤配信のリスクも高まります。そのため、個人情報の取り扱いには十分な注意が必要です。
一方、メール配信ツールを使用する場合、メールアドレスの登録や配信停止の対応が自動で行え、ターゲットごとの配信グループの作成も容易です。また、一部のツールには、一斉送信ではなく、個人宛のメールのように見せる機能も搭載されています。
メールの形式を選ぶ
メールの形式には、テキスト形式とHTML形式の2つが存在します。
テキスト形式は、文字や記号のみで構成されるシンプルなメールです。この形式は、特別な知識が不要で、段落や記号を使用して視覚的に工夫することができます。
一方、HTML形式は、ウェブページ作成に使用されるHTML言語で構築されるメールです。この形式では、画像の挿入やテキストの装飾、リンクボタンの設置などが可能で、ビジュアルな訴求を重視する場合に適しています。
また、HTML形式を使用すると、開封率の計測も可能となり、効果の検証が容易になります。
テンプレートを事前に用意する
メルマガは定期的に配信されるため、毎回デザインやレイアウトを一から考えるのは非効率的です。そのため、テンプレートを事前に作成しておくことで、効率的にメルマガを作成することができます。
例えば、特定のテーマやカテゴリーごとに「新製品の紹介」「イベント情報」などのテンプレートを用意しておくと、内容に合わせて適切なテンプレートを選ぶだけで、迅速にメルマガを作成することができます。
テンプレートを作成する際のポイントとしては、以下の2つを特に意識してください。
①スマートフォン対応 | 現代では多くの人がスマートフォンでメールを閲覧するため、テンプレートはスマホ画面での表示に適しているかを確認することが重要です。 |
②シンプルなデザイン | 装飾が過度になると、読者の注意が散漫になり、本来のメッセージが伝わりにくくなる可能性があります。シンプルでわかりやすいデザインを心がけましょう。 |
最後に、テンプレートを使用することで、ブランドの一貫性を保ちつつ、読者にとっても見慣れた形式で情報を受け取ることができ、信頼感を持ってメルマガを読むことができます。
手順②:メルマガ作成に着手する
①魅力的な件名・タイトルを決める
メルマガの件名やタイトルは、読者がメールを開封するかどうかを大きく左右する要素です。
魅力的なタイトルを考えるための一つの方法として、マイケル・マスターソンが提唱した「4Uの原則」を参考にすると良いでしょう。
【Urgency:緊急性】
「今だけの特別価格」「残りあと3日」など、時間や数量の限定性を強調。
【Unique:独自性】
「初めての特別企画」「日本初のサービス」など、他にはない独自の価値をアピール。
【Ultra Specific:超具体性】
「今月だけの20%OFFキャンペーン」「先着100名様限定」など、具体的な数字や詳細を示す。
【Usefulness:有益性】
「夏に役立つ節電テクニック」「健康を維持するための5つのポイント」など、読者にとっての価値や利益を前面に。
また、タイトルの文字数は、30文字以内が理想的です。文字数が多すぎると、特にスマートフォンでの表示時に後半が見切れてしまう可能性があるため、重要な情報は前半に配置するよう心がけましょう。
このように、タイトルはメルマガの「顔」とも言える部分。読者の興味を引きつけ、内容への関心を高めるための工夫が求められます。
②画像やキャッチコピーをヘッダーとして挿入する
ヘッダーは、メールを開封した際に最初に目にする部分となります。特にHTML形式のメルマガを使用する場合、企業のロゴやブランド名などの画像を挿入することが一般的です。
しかし、必ずしも画像を使用する必要はありません。ヘッダーの主要な役割は、メルマガの配信元を読者に明確に伝えることです。
配信元のブランドやサービスを強調するために、キャッチコピーのような短い文言をヘッダーに追加することも効果的です。
例えば、「最新のトレンド情報を毎週お届け!」や「ビジネスに役立つセミナー情報を随時更新!」など、読者の興味を引きつけるような文言を考えると良いでしょう。
ヘッダーは、読者にメルマガの配信元やその内容のテーマを瞬時に伝えるための大切な部分です。そのため、シンプルでわかりやすいデザインと文言を心がけることが重要です。
③読者を惹きつけるリード文を作成する
メルマガの挨拶文やリード文は、読者との初めてのコンタクトポイントとなる部分です。
ここでの印象が、その後の本文への関心や読み進める意欲に直結します。挨拶文は、季節の変わり目や特定のイベント、時事ネタなどを取り入れて、読者に親しみやすさを感じさせることが重要です。
例えば、「新年度のスタート、皆様いかがお過ごしでしょうか?」や「梅雨入りし、じめじめとした日が続いていますね」といった具体的な言及が挨拶文の一例です。
一方、リード文はメルマガの主題や内容を簡潔に紹介する部分となります。ここでのポイントは、読者の興味を引きつけるキャッチーな文を心がけること。
例えば、新商品の紹介であれば、「今月の新商品、待望の○○を先行公開!」やサービスの特典についてであれば、「今だけの特典、詳細は本文をチェック!」など、読者が本文を読み進めるきっかけを作る文言が効果的です。
また、近年のメールマーケティングのトレンドとして、読者の名前を挿入するパーソナライズが注目されています。
これにより、読者は自分宛のメッセージであると感じ、開封率やクリック率の向上が期待できます。ただし、名前の挿入には注意が必要で、誤った名前や不自然な挿入は逆効果となる可能性があるため、データの正確性や文言の自然さを確認することが大切です。
④読者を惹きつける本文を作成する
メルマガの本文は、読者にとって最も重要な部分です。ここでの情報提供やコンテンツの魅力が、読者の興味や関心を引きつける鍵となります。
以下のポイントを参考に、効果的な本文を作成しましょう。
ポイント⑴:読者の役に立つ情報を中心に
本文は、読者にとって有益な情報を中心に構築することが重要です。一方的に自社の商品やサービスをアピールするのではなく、読者が求めている情報や解決策を提供することで、信頼関係を築くことができます。
ポイント⑵:目次の活用
複数のトピックや情報を伝える場合、目次を設けることで読者が興味を持つ部分をすぐに見つけられるようにしましょう。これにより、読者の離脱を防ぐことができます。
ポイント⑶:特集記事の配置
メルマガ内で特に強調したい情報やコンテンツは、特集記事として位置づけ、上部に配置することで、多くの読者の目に触れる機会を増やすことができます。
ポイント⑷:簡潔かつ分かりやすい文章
長文が続くと読者の興味を失う可能性があります。ポイントを絞り、簡潔かつ分かりやすい文章で情報を伝えるよう心がけましょう。必要に応じて、箇条書きや見出しを活用して情報を整理すると良いでしょう。
ポイント⑸:あとがきの活用
あとがきは、読者とのコミュニケーションの場として活用できます。メルマガの裏話や、配信担当者の近況など、親しみやすい内容を盛り込むことで、読者との絆を深めることができます。
メルマガの本文作成においては、読者の立場に立ち、どのような情報を求めているのかを常に意識しながら、情報提供を行うことが成功の鍵となります。
⑤フッターに重要なポイントを入れる
フッターは、メルマガの最後の部分に配置される情報のセクションです。この部分には、以下の情報が必要です。
送信者の情報 | これには、社名や発行部署名などの詳細が含まれます。 |
連絡先 | 質問やフィードバックを受け付けるためのメールアドレス、電話番号、住所などの情報を提供することが重要です。 |
メルマガの解除方法 | 購読者がメルマガの購読を解除したい場合の手順やリンクを明確に示す必要があります。 |
また、メール配信サービスを使用している場合、データの反映に時間がかかることや、配信解除後もいくつかのメールが送信される可能性があることを明記すると良いでしょう。
さらに、よくある質問のページやSNSアカウントへのリンクもフッターに追加することで、読者との関係を深化させることができます。
フッターは、読者にとって重要な情報やリソースへのアクセスポイントとなるため、内容を丁寧に検討し、明確に伝えることが必要です。
手順③:メルマガ配信前のチェックポイント
メルマガの配信は、低コストで始めやすいマーケティング手法の一つですが、配信時のミスは効果を損なう原因となります。
そのため、配信前の確認は非常に重要です。以下の3つのポイントを中心に、配信前の確認を行いましょう。
確認点①:簡単に配信を解除できるようにする
メルマガを受け取るユーザーが配信を希望しなくなった場合、簡単に配信を解除できるようにすることは法的にも義務付けられています。
配信解除のリンクや方法が明確に記載されているか、また、その設定が正しく機能しているかを確認しましょう。特に、配信解除の手続きが煩雑であると、ユーザーの不信感を招く可能性があります。
確認点②:マルチパートを設定する
メールはテキスト形式とHTML形式の2種類が存在します。受信者のメール環境によっては、HTML形式のメールが正しく表示されないことがあります。
そのため、マルチパート(テキスト形式とHTML形式の両方を含む)での配信設定がされているかを確認し、受信者が問題なくメールを閲覧できるようにしましょう。
確認点③:誤字脱字や画像表示を確認するためのテスト配信をする
最後に、実際の配信前にテスト配信を行うことで、表示の確認やリンクの動作確認などを行いましょう。
特に、メールの件名や本文に誤字脱字がないか、画像が正しく表示されるかなどの基本的な点を中心にチェックすることが重要です。テスト配信を複数のデバイスやメールアカウントで行うことで、より多くのユーザー環境での確認が可能となります。
メルマガの作り方のコツ
コツ①:自社ならではの要素を取り入れる
「ならでは」とは、あなたやあなたの組織の特徴や個性を指します。
これは、ブランドイメージや企業文化、個人の価値観など、独自の要素を持っています。メルマガに「ならでは」を取り入れることで、読者に強い印象を与えることができます。
独自のデザイン | メルマガのデザインやレイアウトに、独自の色やフォントを使用することで、視覚的にも「らしさ」を表現できます。 |
独自の言葉遣い | あなたの言葉遣いや表現方法をメルマガに取り入れることで、読者との親近感を持たせることができます。 |
コツ②:定期的に内容を更新する
メルマガの内容は、時代や状況によって変わることがあります。そのため、継続的に内容をアップデートすることが重要です。
最新の情報の取り入れ | 業界のトレンドや最新のニュースを取り入れることで、読者にとっての価値を高めることができます。 |
デザインのリニューアル | 定期的にデザインを見直すことで、読者に新鮮な印象を与えることができます。 |
コツ③:読者とコミュニケーションをとる
メルマガは、情報を伝えるだけでなく、読者とのコミュニケーションの場としても機能します。
フィードバックの収集 | 読者からの意見や感想を収集し、それを次回のメルマガ作成に活かすことで、読者のニーズに応える内容を提供できます。 |
質問やアンケートの実施 | 読者の興味や関心を知るために、質問やアンケートを実施することで、よりターゲットに合った内容を提供することができます。 |
【現場でよくある事例!】メールマガジンの本当の意味。申し込みではなく顧客育成
メルマガの運用現場ではよく勘違いされがちなのですが、メルマガ=申込誘導と思われているケースが非常に多いのが現状です。
実はこれが大きな間違いで「メルマガからの申込が全然ないですね」というご意見をクライアントからいただくことが多いのです。
そもそもメルマガの本当の目的は、定期購読者を獲得し、継続的な関係を構築することです。
メールマガジンの特徴としては以下があげられます。
・購読者がウェブサイトやブログなどから登録することで配信を受け取れる
・文字中心の内容で、写真や動画などマルチメディアコンテンツも配信可能
・配信頻度が高く、登録者へのリーチがしやすい
・双方向性があるため、読者からのフィードバックを反映しやすい
メールマガジンは主に、ビジネス、メディア、サービス、コミュニティなどの分野で活用されています。
定期購読者を獲得し、継続的な関係を構築できることが特徴です。
つまりメールマガジンとは、ウェブ媒体の充実したコンテンツとメールの利便性を合わせ持つコミュニケーションツールといえます。
そのため、目的を「申込に結びつける」ことだけに絞らないように気をつけてください。
クライアントともそのように擦り合わせておくことが大切です。
まとめ
メルマガの作成には、明確な目的の設定、ターゲット層の特定、そして魅力的なコンテンツの提供が必要です。
具体的なコツとしては、シンプルでわかりやすいデザインの採用、キャッチーな件名の作成、そして読者に有益な情報を提供することが挙げられます。
また、定期的な配信と、読者の反応をもとにした継続的な改善も重要です。メルマガは、読者との直接的なコミュニケーションツールとしての強みを持っています。その特性を最大限に活用し、信頼関係を築くことで、長期的なビジネスの成功につなげることができます。