マーケティングの世界では、運用中の検索連動型広告の可視性とランキングを把握することは重要な要素です。検索エンジンでキーワードを入力し、自社の広告がどのように表示されるかを確認する方法は一般的ですが、このアプローチには思わぬ落とし穴があります。
実は、頻繁に自社の広告を検索することは、広告の表示回数に影響を及ぼし、その品質や効果にも影響を与える可能性があるのです。広告のパフォーマンスをチェックする際には、このような副作用を避けるための方法が求められます。
そこで役立つのが、広告プレビューツールの使用です。このツールは、実際の検索結果を模倣し、広告がどのように表示されるかを確認できる便利な機能を提供します。このツールの活用により、検索連動型広告の表示状況を正確に把握し、それによる不必要な影響を避けることができます。
今回は、この広告プレビューツールの使い方とその利点について、より詳しくお伝えします。このツールをうまく使うことで、マーケティング活動の効率化と最適化が図れるでしょう。
広告プレビューツールとは？
デジタルマーケティングの分野で、特に検索連動型広告を運用する際に、確認作業を行う上で、広告プレビューツールは欠かせないツールとなります。Google広告とYahoo!検索広告（YSA）の両方で利用可能なこのツールは、特定の検索語句における検索結果画面を、インプレッション（表示回数）を発生させずに確認するために設計されています。
Google広告では、このツールは「広告プレビューと診断ツール」として知られ、ユーザーは地域（住所）、言語、デバイス、オーディエンス（視聴者）など、様々な条件を指定して広告の表示を確認することができます。一方、Yahoo!検索広告では「広告プレビューツール」と呼ばれ、こちらでは地域、ページ番号、デバイスを指定して検索結果を確認できます。
今回は、これらの広告プレビューツールの使い方とその重要性について、より詳細に解説していきます。これらのツールを上手に活用することで、効果的な広告戦略を立てることができるでしょう。
広告プレビューツールの使い方
Google広告
※Google広告のアカウントへのログインが必要です。
STEP①：管理画面上部の「ツールと設定」を選択。
STEP②：プランニングの「広告プレビューと診断」をクリック。
STEP③：確認したい条件、地域（住所）・言語・デバイス・オーディエンス（視聴者）を選択し、プレビューしたいキーワードを入力して検索。
STEP④：指定した条件における検索結果画面が表示される。
ログイン中のアカウントの広告は緑色の枠で表示され、さらに表示の対象となったキャンペーン、広告グループ、キーワードを確認できます。
また、表示されていない広告表示オプションなども確認する事ができるので、どのような理由で設定している広告表示オプションが表示されていないかを確認しましょう。
広告が表示されていない場合は、なぜ表示されていないのかを確認することができ、該当の問題箇所へ直接リンクで遷移する事が可能です。
なお、Google 広告ではログインしなくてもプレビューツールを使用することができます。この場合、診断情報はなく検索結果画面のみの表示になります。
Yahoo!検索広告
※Yahoo!検索広告のアカウントへのログインが必要です。
STEP①：管理画面上部の「ツール」を選択。
STEP②：「広告プレビューツール」をクリック。
STEP③：確認したい条件、地域・ページ番号・表示確認デバイスを選択。
STEP④：プレビューしたいキーワードを入力し、「プレビュー」ボタンをクリック。
指定した環境、キーワードにおける検索結果画面が表示されます。
広告の表示状態を把握することがキャンペーンの成功に不可欠
広告の表示状態を把握することがキャンペーンの成功に不可欠です。
2023年5月現在、Google広告やYahoo!広告を利用する際、検索連動型広告のプレビューが可能となっていますが、ディスプレイ広告に関しては異なるアプローチが必要です。
Google広告とYahoo!広告において、検索連動型広告のプレビュー機能は広告主にとって非常に価値のあるツールです。この機能を利用することで、広告が実際の検索結果ページでどのように表示されるかを、インプレッションを増やすことなく確認できます。これにより、広告の視認性や配置を最適化し、ターゲットオーディエンスに効果的にリーチするための戦略を練ることが可能になります。
一方で、ディスプレイ広告の場合、実際の表示されている画面をプレビューすることはできません。そのため、ディスプレイ広告の運用状況や効果を評価するためには、広告管理画面上のデータや数字を参照することが重要です。これには、広告の表示回数やクリック数、コンバージョン数など、様々な指標が含まれており、これらのデータを分析することで広告のパフォーマンスを把握することができます。
広告プレビューツールの使用がもたらす具体的なメリット
デジタル広告の運用において、実際の検索結果を直接確認する方法が最も直感的かもしれません。しかし、広告プレビューツールの使用には、そのようなアプローチでは得られない多くの利点があります。
インプレッションを発生させずに検索結果を確認できる
一般的な検索で広告を表示すると、その都度インプレッションが加算され、広告のクリック率に悪影響を及ぼす可能性があります。広告プレビューツールを使用すると、このような無駄なインプレッションの発生を防ぎながら、広告の表示状況を正確に確認できます。たとえ日々何度もチェックする場合でも、広告の品質やパフォーマンスに影響を与えることなく、安心して検証できるのです。
異なる地域やデバイスからの広告表示状態を確認できる利点
特定の地域やデバイスにターゲットを絞った広告キャンペーンを実施している場合、自分の居住地域や使用デバイスでは確認できない広告の表示状況を把握することができます。たとえば、東京にいながら福岡の検索結果を確認したり、所有していない種類のデバイス上での広告表示を確認したりすることが可能です。これにより、地域やデバイスに特化した広告戦略の有効性を適切に評価することができます。
広告が表示されない原因を特定できる利用価値（Google広告において）
時折、予定通り広告が表示されない事態が発生します。この原因として、予算制限、広告ランクの低さ、対象地域外での検索、広告文の審査不合格、キーワード設定の不備などが挙げられます。広告プレビューツールを使うことで、これらの問題を特定し、適切な対策を講じることができます。
広告表示の対象となるキーワードを特定できる利点（Google広告において）
.広告表示の対象となっているキーワードを調べることができる（Google広告のみ） 広告カスタマイザを作成して、広告文を表示させたい場合、意図している広告文とは別の広告文が表示されてしまっている経験はありませんか？ Google広告の広告プレビューツールではどのキャンペーン、広告グループのキーワードに対して広告が表示されているのかを確認することができます。したがって、特定の検索語句に対して広告が表示されうる複数のキーワードの中でどのキーワードが実際に広告表示される対象となっているのかを調べることができます。
例えば「賃貸」と「賃貸 渋谷」をフレーズ一致で入札している場合、「賃貸 渋谷」で検索したときに、入札価格によっては前者のキーワードがトリガーになってしまい、広告カスタマイザで設定した広告とは違う広告が表示されてしまうことがあります。そんな時は、意図したキーワードがトリガーになるように入札価格を調整したりしましょう。
まとめ
デジタル広告の効果的な管理において、広告の表示状況を把握することは非常に重要です。多くの場合、日々の業務で使用するパソコンから広告を確認することが一般的かもしれませんが、広告プレビューツールの使用により、このプロセスをより柔軟かつ効率的に行うことができます。このツールを活用することで、簡単に異なるデバイス間で広告の表示状況を確認することが可能になります。たとえば、スマートフォンやタブレットなど、様々なデバイスでの広告表示をチェックすることが、特にモバイルユーザーをターゲットにしている商材やサービスにおいては不可欠です。
さらに、広告プレビューツールを使用することで、地域別の広告掲載状況も詳細に確認することができます。これにより、自身の広告掲載地域だけでなく、他地域での競合他社の広告状況も把握でき、適切なマーケティング戦略を早急に立案することが可能になります。このような情報は、単に広告データを分析するだけでは得られない洞察を提供し、競争優位を築くのに役立ちます。
最後に、ユーザーの視点を忘れないことが何よりも重要です。実際に検索エンジンを使用して広告の表示を確認することは、ユーザーがどのように広告を見ているかを理解するのに役立ちます。広告プレビューツールと実検索のバランス良い使用は、広告戦略の成功において鍵となります。これらの方法を適切に組み合わせることで、デジタル広告のパフォーマンスを最大限に高めることができるでしょう。
