マーケティングの世界では、キーワードの選定はしばしばアカウント設定が完了した時点で終わったと考えられがちです。
しかし、実際には、運用が始まってから意外なキーワードが重要な役割を果たすことが多いのです。時には見落としていたキーワードがコンバージョンを促進していたり、想定外の検索語句が成果につながっていたりすることもあります。このような理由から、キーワードの選定と洗い出しは、運用を通じて継続的に行うべき重要なプロセスと言えます。
そこで、今回は、リスティング広告アカウントの効果を最大限に引き出すためのキーワード探索の方法について、詳しくご紹介します。キーワードの洗い出しを進めることで、広告の成果を飛躍的に向上させることが可能になります。このプロセスは、単に一度の設定で終わるものではなく、運用の中で常に見直しを行う必要があります。どのようにして最適なキーワードを見つけ、アカウントのパフォーマンスを向上させるか、その手法を具体的に解説していきます。
動的検索広告(DSA)とGoogleのオーガニック検索
動的検索広告(DSA)は、Googleのオーガニック検索結果を活用して、ウェブサイト上で取り扱う商品やサービスに関連する検索語句に基づいて自動的に広告を生成する機能です。
このDSAを通常のキーワード入札と組み合わせることで、入札したキーワードだけではカバーできない範囲の検索語句にも広告を表示することが可能になります。
この点から考えると、DSAを利用して得られるコンバージョンは、本来キーワード入札でカバーされるべきであったが、何らかの理由で見逃された検索語句から生じていると言えます。そのため、DSAを通じてコンバージョンに成功した検索語句を分析し、それらを元にキーワード入札と広告を追加することで、広告の表示位置をより高く設定し、より制御しやすい状態を実現することができるのです。
これは、オンライン広告戦略において、隠れた機会を発見し、最大限に活用するための重要なアプローチと言えます。DSAを活用することで、広告のパフォーマンスを向上させ、見落としていた潜在顧客を効果的に獲得する道が開かれるのです。
動的検索広告(DSA)
動的検索広告(DSA)では、管理画面上でのキーワード入札が必要ないため、通常の「キーワード」タブで表示されるレポートには情報が含まれていません。
このため、DSAを通じてどのような検索語句で広告が表示されたかを知るためには、別の手段を取る必要があります。具体的には、「検索語句レポート」を確認することで、どの検索語句が広告表示につながっているのかを把握することが可能です。
このプロセスは、DSAを活用する際の重要なステップです。検索語句レポートを通して、どの検索語句が効果的であったか、どのようなトレンドがあるかを理解することができます。また、この情報をもとに、広告戦略をより精緻に調整することが可能になります。DSAは自動化された機能であるため、広告運用者はこれらのデータを活用して、広告のパフォーマンスを最大限に高めることが求められます。
ショッピング広告の検索語句レポートと新たな発見
ショッピング広告の検索語句レポートは、新たな発見の機会を提供してくれる貴重なツールです。
ショッピング広告は、Google アドワーズのアカウントと連携したGoogle Merchant Center(GMC)に登録されている商品フィード(商品情報)を基にして動作します。これにより、キーワードの入札なしにも関わらず、検索語句に最も関連した商品の広告が表示されるのです。
一般的には、ショッピング広告で全ての商品を宣伝する一方で、特に注力すべき商品についてはキーワード入札も行うという方法が効果的です。しかし、これにより注力商品の背後に隠れてしまいがちな、ショッピング広告を通じて多くのコンバージョンを生み出している検索語句が存在することも事実です。
キーワード入札を行っていないにもかかわらず、ショッピング広告でコンバージョンを達成している検索語句を特定し、これらをキーワードとして追加することは非常に有効です。また、これらの検索語句に関連する商品カテゴリーのトップページをリンク先URLとして設定することで、ショッピング広告とテキスト広告の両方を表示させることが可能になります。このようにして、さらなるコンバージョン機会を大幅に増やすことができるのです。
ショッピング広告の検索語句レポートを活用することで、見落とされがちな潜在的なコンバージョン機会を捉え、全体的な広告戦略をより効果的にすることができます。このように、広告の効果を最大限に引き出すためには、検索語句レポートの分析と活用が欠かせないのです。
ショッピング広告における検索語句の確認方法
ショッピング広告の検索語句レポートを確認する手順は、従来の検索連動型広告のキャンペーンと同じ、①「キーワードタブ」をクリックして②「検索語句」ボタンをクリックするだけです。
サイト内検索導入で国内EC売り上げトップ入り
国内のEC売り上げトップ100サイトのうち、驚くべきことに95%がサイト内検索を導入しています。
Google アナリティクスのようなWeb解析ツールを利用することで、訪問ユーザーがサイト内でどのような語句を検索したかのレポートを確認することが可能です。このレポートで頻繁に登場する検索語句は、訪問者の高いニーズを反映していると言えます。そのため、これらの語句がまだ検索連動型広告のキーワードとして入札されていない場合は、積極的に入札を行うことが推奨されます。
また、このレポートに頻出する検索語句は、ユーザーインターフェイス(UI)やサイトのデザインに何らかの問題があることを示唆している場合があります。これは、訪問者がお目当てのページにたどり着くのが難しいことを意味しています。したがって、広告のリンク先URLの選定には特に注意を払うべきです。さらに、サイトのUIやデザインの見直しを検討することも、ユーザーエクスペリエンスの向上と効果的なコンバージョン促進のために非常に重要です。
サイト内検索から得られる情報は、単にマーケティング戦略の面だけでなく、サイトの使いやすさや顧客の満足度を向上させるための貴重なインサイトでもあります。このようなデータに基づいて、サイトの改善や広告戦略の最適化を行うことで、顧客体験の質を高め、結果として売上の増加につなげることができるのです。サイト内検索レポートは、顧客の要望を直接反映する有効なツールであり、これを活用することで、より効果的なオンラインプレゼンスを築くことが可能になります。
Google アナリティクスでサイト内検索のレポートを確認する方法
サイト内検索キーワードレポートは、①「行動」メニュー階層下の②「サイト内検索キーワード」から表示することができます。
ただし、このサイト内検索キーワードのレポートを利用するためには事前の設定が必要になりますので、まだ設定していないという場合は次の手順で設定してみて下さい。
Google アナリティクスでサイト内検索のレポートを有効にする方法
手順.1 クエリパラメータを確認する
まず、計測対象となるサイトでサイト内検索を行います。すると、URLに「?s=●●●」(●●●は検索語句)といったパラメータが付加され、検索語句に関連するページの一覧が返されますが、このとき「?s=」の「s」の部分をクエリパラメータと呼びます。
※上記は一例となりまして、クエリパラメータが「s」ではない場合や、クエリパラメータがそもそもURLに反映されない場合もありますので、その場合はウェブマスターに確認してみて下さい。
手順.2 サイト内検索の設定をする
クエリパラメータが確認できたら、続いてGoogle アナリティクス側の設定を行います。
①サイト内検索のレポートを表示させたいビューの「ビュー設定」を選択、②「サイト内検索のトラッキング」をオンにし、③クエリパラメータ(上記例では「s」)を入力して設定を保存します。
デジタルマーケティングの基本
オーガニック検索での流入キーワードの探索は、デジタルマーケティングの基本中の基本と言えます。
Google アナリティクスやGoogle サーチコンソール(以下、サーチコンソール)は、この分野で不可欠なツールです。これらのプラットフォームでは、ウェブサイトに訪れるユーザーがどのような検索語句を用いてサイトにたどり着いたのかを示すレポートが提供されています。
この方法で、オーガニック検索を通じてサイトに流入してくるユーザーが最も関心を持っているトピックやキーワードを発見することができます。このデータを元に、ウェブサイトのコンテンツ戦略を見直したり、SEO(検索エンジン最適化)の取り組みを強化したりすることができます。たとえば、特定のキーワードが高い流入をもたらしていることが分かれば、そのキーワードに関連するコンテンツをさらに充実させることで、訪問者の関心を引きつけ、より多くのトラフィックをサイトに導くことが可能になります。
また、流入キーワードレポートを活用することで、検索エンジンのランキングを高め、オーガニック検索からの訪問者を増やすための戦略を立てることができます。このデータを基に、ウェブサイトのコンテンツやメタデータを最適化し、ターゲットオーディエンスに合った質の高い情報を提供することで、検索エンジンにおけるウェブサイトの可視性を高めることができるのです。
このように、オーガニック検索の流入キーワードを探す作業は、マーケティング戦略の核心を成す活動であり、ウェブサイトの成功に大きく貢献するものです。Google アナリティクスやサーチコンソールのようなツールを有効に活用することで、オンラインでの影響力を高め、ビジネスの成長を促進することが可能になります。
Google アナリティクス
Google アナリティクスは、ビジネスの目標であるコンバージョンを達成した際の流入キーワードを把握するのに大変有効なツールです。
この機能を利用することで、特定のキーワードがどれだけ効果的に目標達成に貢献しているかを理解することが可能になります。そのため、コンバージョンに直接繋がったキーワードがまだ検索連動型広告において入札されていない場合は、これを機に入札を検討することが重要です。
しかしながら、Google や Yahoo! などの主要な検索エンジンでは、通信のSSL化が進んでいるため、これらの検索エンジンからウェブサイトへの流入時に検索語句の情報が伝達されないことが多くなっています。この結果、多くの場合レポート上では「not provided」と表示されるようになっています。2016年12月現在、Google と Yahoo! からのSSL化されたトラフィックにおける流入キーワードの取得は不可能となっており、過去のデータを基に戦略を立てることが推奨されます。
この背景を踏まえると、Google アナリティクスで提供される情報は、今日のキーワード戦略を策定する上で重要な参考資料となります。ただし、最新のトレンドや市場の動向を考慮に入れ、過去のデータと現在の市場状況を照らし合わせることが不可欠です。SSL化の影響により最新のキーワードデータが制限されている現状を考慮し、過去のデータを基にしつつも、市場の変化や他の分析ツールから得られる情報を組み合わせて、より全体的でバランスの取れたキーワード戦略を策定することが求められます。
Google アナリティクスのデータを活用する際には、これらの制限を意識しながらも、得られる情報を最大限に利用することが重要です。コンバージョンをもたらしたキーワードの分析は、効果的な広告戦略を構築する上で貴重な手がかりを提供し、検索連動型広告の効率化に大きく貢献します。このようにして、過去の成功事例を参考にしつつ、現在の市場動向を踏まえた広告キャンペーンの計画を立てることで、ビジネスの成果を最大限に高めることが可能となります。
オーガニックからの流入キーワードは、①「集客」メニューの階層下、②「オーガニック検索トラフィック」のレポートから参照することができます。
サーチコンソール
サーチコンソールは、Google アナリティクスとは異なるアプローチを提供しており、Googleからの流入キーワードの把握に非常に優れています。
サーチコンソールではGoogle アナリティクスと異なり、Google からの流入キーワードは把握できますが、その流入からコンバージョンを達成できたかどうかまでは追うことができません。
この点を踏まえると、サイトへのトラフィックが多い流入キーワードの中で、まだ検索連動型広告において入札されていないが、コンバージョンの可能性が高いと思われるキーワードについては、追加で入札を検討する価値があります。
サーチコンソールにログインし、「検索アナリティクス」をクリックすると、検索クエリ(検索語句)とそれに対するGoogle検索結果でのクリック数が表示されます。これにより、どのキーワードが多くの訪問者をウェブサイトに導いているのかが分かります。
また、サーチコンソールとGoogle アナリティクスをリンクさせることで、Google アナリティクス側でもこれらの情報を確認できるようになります。リンクの手順はここでは触れませんが、これを行うことで、サイトのトラフィックをより深く理解し、どのキーワードが最も効果的にコンバージョンに寄与しているかをより明確に把握することができます。サーチコンソールとGoogle アナリティクスの連携により、オーガニック検索トラフィックの詳細な分析が可能になり、マーケティング戦略をより精密に調整することができるようになります。
このような統合されたアプローチによって、検索連動型広告の効果を最大化し、未開拓のコンバージョン機会を発見することが可能になります。トラフィックが多いにも関わらず、まだ広告キャンペーンで取り上げられていないキーワードは、新たなビジネスのチャンスを秘めています。サーチコンソールのデータを活用し、これらのキーワードに積極的に入札を行うことで、より多くの潜在顧客を引き付け、ビジネスの成果を高めることができるのです。
サーチコンソールのデータは、オンラインマーケティングにおいて貴重な資源です。Google アナリティクスと連携させることで、このデータをさらに有効に活用し、マーケティング戦略を強化し、成果を最大化することが可能になります。このプロセスは、オンラインビジネスの成功に欠かせない要素と言えるでしょう。
部分一致キーワードを用いた検索語句レポート
従来の部分一致キーワードを用いた検索語句レポートに目を向けると、興味深い現象が見られます。
たとえば、「渋谷」という入札キーワードに対して「神泉」というような、直接的には関連しないように見える検索語句に広告が表示されることがあります。これは、検索語句が拡張されている結果です。これらの拡張された検索語句の中に、コンバージョンにつながるものがあれば、それらを広告キャンペーンに追加することは非常に有益です。
検索連動型広告において、アカウントを完全一致、絞り込み部分一致、フレーズ一致のみで構成すると、新しい効果的な検索語句を見つけ出すのは非常に困難です。これは、広告運用者の想定を超えたキーワードの可能性を見落としてしまうことを意味します。部分一致の適切な使用により、新しい検索キーワードを発見する機会が格段に増えます。このアプローチにより、さまざまな角度から潜在顧客にアプローチすることが可能となり、広告のリーチと効果が大きく拡大する可能性があります。
まとめ
かなり昔のデータになってしまうのですが、SMX West 2011でGoogle アドワーズの中の人が次のようなデータを提示していました。
- 44%は3ワード以上のクエリ
- 64%は1回きりの検索キーワード
- 20%は過去90日間になかったキーワード
この情報は、キーワードの選定と洗い出しのプロセスにおいて、アカウント構築時点での作業に終わらせてはならないことを示唆しています。リスティング広告を運用する際には、これらの新しいキーワードを日々探し出し、成果を伸ばす努力が必要です。このプロセスは、単に既存のデータに基づいて行うだけでなく、日々変化する言葉の使い方や検索のトレンドを理解することを含みます。
キーワードの洗い出しは、データに基づく分析だけでなく、市場の変化やユーザー行動のトレンドを常に意識することが求められます。このようにして、リスティング広告の戦略を日々更新し、進化させることが、デジタルマーケティングの成功への鍵となるのです。