「運用型広告」という言葉、最近よく聞くようになってきましたよね。
その理由はインターネット広告として、非常に高い効果を発揮するために多くの企業が活用しているためです。
今回の記事では、運用型広告について分かりやすく解説していきます。
運用型広告には様々な種類があり、またメリットだけでなく、デメリットもあります。
さらに、運用型広告にどのくらいの費用がかかるかについてもご紹介するため、広告を出そうと検討されている方には必見の内容です。
ぜひご一読ください。
運用型広告の概要
運用型広告は、広告主が広告配信条件をリアルタイムに変更できる広告の形式です。
配信ターゲットの詳細設定、予算の管理、広告成果の即時反映などが可能で、高い広告効果を目指すことができます。
種類にはリスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告などがあります。
そもそも運用型広告とは?
運用型広告とは、デジタルマーケティングの一つで、リアルタイムで適応的に広告の掲載や運用を行う形態の広告です。
この広告の特徴は、ユーザーの行動履歴や属性に応じて広告内容や配信タイミングを最適化する点です。運用型広告は、適切なターゲットに対し、適切なタイミングで適切な広告を表示することを可能にします。
プログラマティック広告、リターゲティング広告、リアルタイムビディング(RTB)などは運用型広告の具体的な例となります。これらはデータを活用し、消費者の行動に基づいて広告を最適化するため、広告効果の最大化を期待することができます。
運用型広告と予約型広告(純広告)ではどのような違いがあるのか
運用型広告はリアルタイムに広告の配信を調整します。一方、予約型広告は、あらかじめ広告掲載のスペースや時間を確保(予約)し、その範囲内で広告を配信する方法です。
運用型広告はリアルタイムでユーザーの行動や属性に対応して広告配信を最適化するため、広告の効果を最大化するという特徴があります。
一方、予約型広告は、広告の対象者や配信時間を予め決定しますが、その分柔軟性に欠けるという可能性があります。
また、予約型広告の場合、広告効果の測定が難しく、具体的なROI(投資対効果)を算出するのが困難な場合があります。
それに対して運用型広告は、広告の配信結果(クリック数、コンバージョン数等)をリアルタイムで把握できるため、広告効果の測定や最適化が容易です。
ただし、運用型広告はデータ分析や最適化に関する専門的な知識が必要であり、その運用には専門スキルが必要となる一方、予約型広告は比較的シンプルな運用が可能です。
運用型広告と予約型広告は、それぞれに利点と欠点があるため、ビジネスの目的やマーケティング戦略に応じて最適な方法を選択することが重要です。
例えば、ブランドの認知度を上げるためには予約型広告が効果的な場合がありますが、具体的な商品の売上を伸ばすためには、運用型広告によるターゲット層へのピンポイントな広告配信が効果的な場合もあります。
また、最近では、これらの広告の形態を組み合わせたマルチチャネルアプローチが求められています。例えば、広告の初めての接触では予約型広告を用い、その後のリターゲティングに運用型広告を利用するなど、広告の効果を最大化するための戦略が必要となります。
運用型広告は運用において様々なメリットがある
運用型広告のメリット3つをご紹介します。
細かくターゲティングができる
運用型広告の大きなメリットは、細かなターゲティングが可能であることです。
ユーザーの年齢、性別、居住地、関心、行動パターンなどの詳細な属性に基づいて広告配信のターゲットを設定することができます。
これにより、広告はその商品やサービスに最も関心があると予想される人々に向けられます。
細かなターゲティングの設定により、広告の無駄を削減し、ROIを向上させるというメリットがあります。
少額から広告が出せる
運用型広告は、広告主が少額の予算から始められるというメリットもあります。
テレビやビルボード等の従来型の予約型広告では、大規模なキャンペーンを行うためには大きな予算が必要でした。
最低でも100万円単位、一般的には1,000万円程度の広告費が必要といわれています。
それに対して運用型広告では少額の広告費から始めることが可能です。
広告主は広告効果を試すことが可能となり、効果的な広告戦略を見つけるためのリスクを減らすことができます。
効果をリアルタイムで計測し改善できる
運用型広告のもう一つの重要なメリットは、広告の効果をリアルタイムで計測し、必要に応じて迅速に改善できることです。
広告が表示され、ユーザーが広告をクリックし、最終的に購入に至るまでの一連の行動(コンバージョンパス)を詳細に追跡することができます。
これにより、広告の効果を具体的な数値で評価することが可能となり、広告の改善点や新たな戦略を立てるためのデータを提供します。
また、リアルタイムでの計測・改善は、広告効果の最大化につながるとともに、広告予算の無駄遣いを防ぐことも可能です。
細部まで調整できる運用型広告だからこそのデメリットも
常に変化する予算を管理する必要がある
運用型広告の一つのデメリットとして、常に変動する予算を管理する必要があることが挙げられます。
特に、リアルタイムビディング(RTB)のような運用型広告では、広告の表示回数やクリック数に応じて予算が変動するため、常に細かい予算管理が求められます。
これは、特に広告予算が限られている中小企業にとっては大きな負担となる場合があります。
知識・経験が豊富な人材が必要
運用型広告は、広告の効果を最大化するためには、広告運用の知識と経験が豊富な人材が必要となります。
ユーザーの行動や属性に基づいた広告配信の最適化、広告効果の分析と改善、データの解釈など、運用型広告は多くの専門知識を必要とします。
人材確保や育成のコストと時間を必要とするため、運用型広告のハードルとなることもあります。
これらの課題に対処するためには、専門の広告代理店やデジタルマーケティングエージェンシーを活用するのがベターです。
また、AIやマシンラーニングを活用した広告運用ツールも進化しており、これらのツールを利用することで広告運用の効率化を図ることも可能です。
ただし、これらのツールもまた、活用するためには一定の知識や経験、そして費用が必要となります。
運用型広告の種類や媒体
検索結果ページでのリスティング広告
リスティング広告は、ユーザーが検索エンジンでキーワードを入力したときに表示される広告です。
Google AdsやYahoo!広告などがこれに該当します。
リスティング広告の特徴は、ユーザーが情報を積極的に求めている(検索需要が高い)ときに表示される点で、高いクリック率やコンバージョン率を期待することができます。
リスティング広告は、適切なキーワード選択と入札戦略が重要となります。
また、広告のクリエイティブ(見出しや説明文など)も広告のクリック率に大きな影響を与えます。
WEBサイトやアプリでのディスプレイ広告
ディスプレイ広告は、WEBサイトやアプリ内で画像や動画などの形式で表示される広告です。
Google Display Network(GDN)やFacebook広告などがこれに該当します。ディスプレイ広告の特徴は、広告主が広告の表示場所(配信先)を選べる点と、広告の形式が多様(テキスト、画像、ビデオなど)である点です。
ディスプレイ広告は、広告の表示回数が多いことからブランド認知度向上に効果的である一方、リスティング広告に比べてクリック率は低い傾向があります。
ただし、適切なターゲティングと魅力的なクリエイティブにより、精度の高い広告効果を期待することができます。
TikTokなどSNSでのSNS広告
SNS広告は、Facebook、Instagram、Twitter、LinkedIn、Pinterest、TikTokなどのSNS上で表示される広告です。
SNSはユーザーの関心や行動、デモグラフィック情報など詳細なユーザー情報を持っているため、非常に精密なターゲティングが可能です。
また、ユーザーとの直接的なコミュニケーションや広告に対するフィードバックが得られるため、リアルな意見を収集することが可能です。
YouTubeなどでの動画広告
動画広告は、YouTubeやVimeoなどの動画共有サイト、またはSNSやアプリ内などで表示される広告です。
動画は視覚的に魅力的で情報伝達が容易なため、ブランドメッセージを強力に伝えることが可能です。
特にYouTubeでは、視聴前や視聴中に挿入される広告(プリロール広告やミッドロール広告)を利用できます。
見たい動画の前に流れてくる広告は、一度は目にしたことがあるかと思います。
この広告は視聴者が興味を持つコンテンツと一緒に表示されるため、高い広告効果を期待できるのです。
【複数媒体への一括配信】アドネットワーク
アドネットワークは、複数のウェブサイトやアプリに一括で広告を配信するシステムです。
Google Display NetworkやAppNexusなどが該当します。アドネットワークは、広告主が一括で広告を配信できるため、大規模なリーチを実現することが可能です。
また、アドネットワークには各媒体のユーザー情報が蓄積されているため、ターゲティングも細かく行うことができます。
運用型広告の広告料の仕組み
クリック課金方式
クリック課金方式(CPC: Cost Per Click)は、広告がクリックされた回数に応じて広告料金が発生する方式です。
具体的には、広告を見てユーザーがその広告をクリックしたときにのみ広告主が課金されます。検索エンジンのリスティング広告や一部のSNS広告では、この方式が採用されています。
クリック課金方式のメリットは、広告をクリックしてウェブサイトに訪れるユーザーのみに対して料金が発生するため、広告のROI(投資対効果)を確認しやすい点にあります。
ただし、クリックが生じただけでコンバージョン(購入や問い合わせなど)が発生していない場合でも料金が発生します。
インプレッション課金方式
インプレッション課金方式(CPM: Cost Per Mille)は、広告が表示された回数に応じて広告料金が発生する方式です。
具体的には、広告が1000回表示されるごとに一定の広告料金が発生します。ディスプレイ広告やビデオ広告など、広告の露出を重視する広告において採用されています。
インプレッション課金方式のメリットは、ブランド認知度向上や情報の拡散など、広告の露出を目的としたキャンペーンに適している点にあります。
ただし、広告が表示されただけでクリックやコンバージョンが生じていなくても料金が発生するため、申し込みを目的とする広告には向いていません。その点には注意が必要です。
運用型広告の費用の決め方
売り上げ目標額を決める
運用型広告の費用を決める一つの方法として、売り上げ目標額に基づく方法があります。
この場合、まず目指す売り上げ額を設定し、その達成に必要な広告の費用を計算します。具体的には、過去の広告の効果(クリック率、コンバージョン率など)を元に、達成するために必要なクリック数やコンバージョン数を算出し、その結果から必要な広告費を決定します。
この方法のメリットは、目標とする売り上げ額に対して広告費が適切に設定できる点です。ただし、クリック率やコンバージョン率は、過去に同じ広告を配信していないと取れないデーターのため、1ヶ月程度のテストを行うか、定期的な見直しと最適化が必要となります。
LTV(ライフタイムバリュー)を見て決める
LTV(ライフタイムバリュー)を見て広告費を決める方法もあります。
LTVとは、顧客一人あたりが生涯にわたって企業にもたらす利益の総額のことを指します。この方法では、顧客がもたらすLTVに対して、どれくらいの広告費を投じるかを決定します。
例えば、LTVが10,000円であれば、広告で新たに顧客を獲得するコスト(顧客獲得コスト:CAC)が5,000円で利益が出るという考え方です。
この場合、広告費は顧客獲得コストとして、顧客一人あたり5,000円を超えないように設定することが考えられます。
この方法のメリットは、広告費を顧客の価値に基づいて効率的に設定できる点です。
ただし、LTVを正確に計算するには、顧客の購入履歴や利用状況などのデータ分析が必要であり、またLTV自体も時間とともに変動するため、定期的な見直しが必要です。
運用型広告の導入するときの2つのポイント
目標を明確にする
運用型広告を導入する際に最も重要なのは、目標を明確に設定することです。
広告の目標は「新規ユーザーの獲得」、「商品の販売」、「ブランド認知度の向上」など、ビジネスの目標に合わせて設定します。
目標を明確に設定しておくことで、広告の配信内容や課金方式、予算の設定、広告の効果測定と改善の方向性を決定することができます。
よくあるのが「認知度もあげたいが申し込みも欲しい」と欲張ってしまうパターン。
これをやってしまうとターゲティングがブレてしまい、期待しあ効果が得られなくなってしまうので注意しましょう。
そして目標を設定する際にはSMART原則(Specific: 具体的、Measurable: 測定可能、Achievable: 達成可能、Relevant: 関連性、Time-bound: 時間制限)を用いると効果的です。
配信状況をこまめに確認して改善する
運用型広告は、リアルタイムに広告の配信状況や効果を確認し、改善することが可能です。この機能を最大限に活用するためには、配信状況をこまめに確認し、データを基に広告の改善を行いましょう。
具体的には、クリック数やインプレッション数、コンバージョン数、クリック率(CTR)、コンバージョン率などの指標を確認し、広告の文言や画像、ターゲティング、入札額などを調整します。
このように、継続的な分析と改善を行うことで、広告の効果を最大化できます。
これらのポイントは、広告運用の効果を高めるためには欠かせない要素です。
広告の導入から運用、最適化までを一貫して計画・実行するようにしましょう。
運用型広告の効果を改善するポイントとは
クリエイティブを改善する
広告の画像や動画、タイトルや説明文などを見直し、ターゲット層にとって魅力的で説得力のある内容にすることが重要です。
また、クリエイティブのA/Bテストを行うことも効果的です。
同じ広告設定で異なる2つのクリエイティブを同時に配信し、どちらがより効果的かを比較することで、どちらがより効果的なクリエイティブを見つけ出すことができます。
配信する広告媒体を見直す
広告の配信結果を分析して、どの広告媒体から良好な結果が得られているか、どの広告媒体がターゲット層にとって効果的かを調査します。
その結果をもとに、広告媒体の選択や配信比率を最適化します。
たとえば、若年層をターゲットにしたFacebookの広告が効果的でない場合、TikTokやInstagramなど若年層が多く利用するSNSに広告の配信をシフトするといったことが考えられます。
【現場でよくある事例!】「TCPA」をどう使う?広告費用の最大効率化のためにやるべき2つのこと
運用方広告に関して解説してきましたが、運用現場でよく起こる事例として「トータルでの費用対効果が見えていない」という内容があります。
CPAや表示回数にばかり目がいってしまい、肝心のトータルでの効果が観測できていないのです。
そのためには「TCPA(Total Cost per Acquisition)」を意識しましょう。
TCPAを用いた広告費用の最大効率化のためにやるべき2つのことは次の通りです。
1つ目は、TCP値の算出と分析を行うことです。被リンク数やクリック単価などの要因で変動するTCP値の推移を把握し、効率的なメディアやクリエイティブを見極めましょう。
2つ目は、TCP値をキーパフォーマンス指標の1つとして活用することです。CPAやROASなどと並び、TCP値を継続的にモニタリングすることで、コスト削減につながる施策の優先順位づけが可能です。
正確なTCP値の算定BASICを行うためには、分析ツールとの連携が不可欠です。データを横断的に収集・分析できる体制を事前に整えることが肝要でしょう。TCP値重視の施策運用を心がけましょう。
まとめ:運用型広告でより細かなターゲティングを行おう
この記事では、運用型広告について解説しました。
運用型広告は、広告主が自身が設定・変更した条件のもとで、より高い効果を目指す広告です。
リアルタイムに入札額やクリエイティブ、ターゲット等を変更・改善しながら運用することで、より効果的な広告宣伝が可能となります。
この記事を読んで運用型広告について理解し、自社に合った広告戦略を立てる際に参考にしていただければ幸いです。