「Web広告」を出稿する場合、様々な設定要素が必要になります。
例をあげると
・検索キーワード
・広告のタイトルや説明文
・地域
・配信スケジュール
などがあります。
今回はその中でも、広告の「除外キーワード」について解説します。
除外キーワードを上手に設定することで、無駄なクリックや費用を抑え、より効果的な広告運用が可能になるでしょう。
本記事では、除外キーワードの概要や設定方法、注意点などを詳しくお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。
検索広告の効果UPで重要|除外キーワードについての概要
除外キーワードとは?
除外キーワードとは、検索エンジン広告(Google AdsやBing Adsなど)の中で特定のユーザーの検索に対して広告を表示させないためのワードのことを指します。
これらは、広告主が自身の広告が不適切または無関係な検索クエリに関連付けられるのを防ぐために使用します。
例えば、高級レストランの経営者がGoogle Adsのキャンペーンに広告を出すとします。
この時、検索キーワードの中から「安い」「ワンコイン」「お得な」といった、お店の意図するユーザーとは異なるキーワードを除外キーワードとして設定します。
その結果、価格を重視するユーザーからは見えないようにすることができ、その代わりにサービスや食事の品質を重視するユーザーをターゲットにすることができます。
Web広告のキーワード選定方法についてはこちらをご覧ください。
除外キーワードはなぜ重要なのか
除外キーワードは以下の理由で重要です。
- 広告の関連性の向上
除外キーワードを設定することで、広告が表示される検索クエリの関連性を高め、ターゲットとなるオーディエンスに直接アピールできます。
- クリックスルー率(CTR)の改善
広告が関連性の高い検索クエリにのみ表示されるようにすると、CTRが向上し、その結果、広告ランキングの改善に役立ちます。
- 広告費の節約
無関係な検索クエリに対して広告が表示されないようにすると、広告費を節約でき、ROIを改善できます。
- 質の高いリードの獲得
関連性の高いユーザーに対してのみ広告が表示されるため、質の高いリード(潜在的な顧客)を獲得しやすくなります。特にターゲットの母数が少ないBtoBにおいてのリード獲得は、潜在的な顧客を特定し、彼らを実際の顧客へと転換するための、最初かつ重要な段階の1つです。
除外キーワードにおけるマッチタイプの種類
そもそもマッチタイプとは?
マッチタイプとは、検索広告プラットフォーム(Google AdsやBing Adsなど)で使用される概念で、広告がどの検索クエリに対して表示されるべきかを決定します。
これはキーワードと検索クエリがどの程度一致している必要があるかを定義します。マッチタイプには一般的に、完全一致、フレーズ一致、部分一致(広範囲一致)の3つのタイプがあります。
完全一致
完全一致の除外キーワードは、検索クエリがそのキーワードと完全に一致する場合にのみ広告を除外します。
例えば、先ほどの高級レストランの例でお話しします。
・「ワンコインランチ」を除外ワードとして設定
除外されるもの
「ワンコインランチ」 除外
「ランチ」 除外されない
「ワンコイン」 除外されない
「ランチ ワンコイン」 除外されない
「お得なワンコインランチ」 除外されない
といったワードで検索された場合には除外されずに広告が表示されます。
そのため、想定されるキーワードは全て除外設定する必要があるため注意しましょう。
フレーズ一致
フレーズ一致の除外キーワードは、検索クエリにそのキーワードがその順番のまま含まれている場合に広告を除外します。
例えば、先ほどの「ワンコインランチ」を除外キーワードとした場合、
「お得なワンコインランチ」除外
「ワンコイン ランチ」 除外
「ランチ ワンコイン」 除外されない
「ランチ」 除外されない
「ワンコイン」 除外されない
部分一致
部分一致(広範囲一致)の除外キーワードは、検索クエリがそのキーワードを全て含む場合に広告を除外します。
例えば、「ワンコイン ランチ」を除外キーワードとした場合、
「お得なワンコインランチ」 除外
「ワンコイン」 除外
「ランチ」 除外
「ワンコインディナー」 除外されない
部分一致の除外キーワードで注意するポイントは、登録したキーワードが2語以上の場合です。
もし検索で使用されたのが登録したキーワードの内どちらか一方だけの時、広告は表示されてしまいますので注意しましょう。
結論を言うと「完全一致」で想定されるキーワードを全て登録するのが間違いのない方法です。
部分一致の場合は検索ワードの順番が変わっただけで除外されなくなるため、意図していないユーザーが流入する可能性が出てきてしまいます。
除外キーワードを設定する方法
Google広告での除外キーワードの設定方法
Google広告における除外キーワードの設定方法は次の通りです。
- Google Adsアカウントにログインします。
- 左側のメニューから、広告グループまたはキャンペーンを選択します。
- ページ上部のメニューで「キーワードとターゲティング」を選択し、「キーワード」をクリックします。
- 「除外キーワード」タブをクリックします。
- 「+」ボタンをクリックします。
- 除外キーワードを入力し、「保存」をクリックします。
ポイント:アカウントレベル、キャンペーンレベル、広告グループレベルの各レベルで除外キーワードを設定することができます。
Yahoo!広告での除外キーワードの設定方法
Yahoo!広告では、以下の手順で除外キーワードを設定できます。
- Yahoo!広告の管理ツールにログインします。
- ページ左側のメニューから、「キャンペーン管理」を選択します。
- 除外キーワードを設定したいキャンペーンまたは広告グループを選択します。
- ページ上部の「設定」タブをクリックし、「除外キーワード設定」を選択します。
- 「新規登録」ボタンをクリックし、除外したいキーワードを入力します。キーワードは1行につき1つ入力し、一度に最大500件まで登録できます。
- 「登録」ボタンをクリックして保存します。
ポイント:Yahoo!広告では、キャンペーンレベルと広告グループレベルの両方で除外キーワードを設定することができます。また、登録できる除外キーワードの最大数は、キャンペーンごとに5,000件、広告グループごとに5,000件です。
特定の検索語句からキーワードを除外する方法
Google広告での除外方法
Google Adsで特定の検索語句からキーワードを除外する方法は次の通りです。
- Google Adsアカウントにログインします。
- 左側のメニューから、広告グループまたはキャンペーンを選択します。
- ページ上部のメニューで「キーワードとターゲティング」を選択し、「キーワード」をクリックします。
- 「除外キーワード」タブをクリックします。
- 「+」ボタンをクリックします。
- 除外キーワードを入力し、「保存」をクリックします。
この手順で、特定の検索語句を含む広告表示を除外することができます。
Yahoo!広告での除外方法
Yahoo!広告で特定の検索語句からキーワードを除外する方法は次の通りです。
- Yahoo!広告の管理ツールにログインします。
- ページ左側のメニューから、「キャンペーン管理」を選択します。
- 除外キーワードを設定したいキャンペーンまたは広告グループを選択します。
- ページ上部の「設定」タブをクリックし、「除外キーワード設定」を選択します。
- 「新規登録」ボタンをクリックし、除外したいキーワードを入力します。キーワードは1行につき1つ入力し、一度に最大500件まで登録できます。
- 「登録」ボタンをクリックして保存します。
これらの手順を通じて、特定の検索語句を含む広告表示を除外することができます。
一括登録のための除外キーワードリストを作成する方法
通常の除外キーワード設定との違い
通常の除外キーワード設定では、各広告グループまたはキャンペーンごとに個別に除外キーワードを設定します。
一方、一括登録のための除外キーワードリストを作成することで、一度に複数の広告グループやキャンペーンに対して同じ除外キーワードを適用することが可能になります。
これは大規模な広告運用や、特定のキーワードを含む検索に対して一律に広告を表示したくない場合に便利です。
Google広告での作成方法
Google Adsで一括登録のための除外キーワードリストを作成する方法は以下の通りです。
- Google Adsアカウントにログインします。
- ツールアイコンをクリックし、「共有ライブラリ」を選択します。
- 「共有ライブラリ」ページで、「除外キーワードリスト」をクリックします。
- 「+」ボタンをクリックします。
- リストに名前を付け、除外キーワードを追加します。
- 「保存」をクリックします。
これで作成した除外キーワードリストは、複数の広告グループやキャンペーンに一括で適用することができます。
Yahoo!広告での作成方法
Yahoo!広告では、一括で除外キーワードを設定するために対象外キーワードリストを作成する手順は以下のとおりです。
- Yahoo!広告の管理ツールにログインします。
- 「ツール」から「対象外キーワードリスト管理」に移動し、「対象外キーワードリスト名」欄に作成するリスト名を入力します。なお、既に存在するリスト名と同じ名前は使用できません。
- 対象外キーワードをリストに追加します。このリストは、同一アカウント内の複数のキャンペーンに設定することができます。
- 1つのアカウントに最大20の対象外キーワードリストを登録でき、1つのリストには最大5,000の対象外キーワードを登録することができます。
- リストの作成が完了したら、必要に応じてキーワードの追加や削除を行うことが可能です。これらの操作は、管理権限または登録更新権限を持つユーザーのみが実行できます。
この対象外キーワードリストを作成することで、Yahoo!広告での広告配信をより効率的に制御することができます。
どのようにして除外キーワードを選ぶべきか
除外キーワードを選ぶためには、まず広告が表示される現状の検索語句を把握し、それらを分析・分類することが重要です。
確認した検索語句を分類する
広告プラットフォーム(Google広告やYahoo!広告など)では、あなたの広告がどの検索語句で表示されたかの情報を確認することができます。
これらの検索語句を確認し、以下のようなカテゴリに分類してみましょう。
- 関連度の高い検索語句
広告したい商品やサービスに密接に関連している語句です。
これらは広告表示を継続するように設定しましょう。
- 関連度の低い検索語句
広告したい商品やサービスとは関連性の少ない語句です。
これらは、広告効果が低い、または全くない可能性があります。
- 非効果的な検索語句
これらの検索語句に対する広告表示は、クリックやコンバージョンにつながらない可能性があります。
例えば、「無料」や「サービス」など、広告したい商品やサービス内容と矛盾する可能性のある語句です。
分類ごとに現在の広告配信状況を見て、除外すべき物を選ぶ
各分類について、現在の広告配信状況を見てみましょう。特に、以下の点に注意してください。
- クリック数とコンバージョン数
関連度が低い、または非効果的な検索語句で多くのクリックが発生しているがコンバージョンに至っていない場合、それらの語句は広告費用を浪費している可能性があります。これらの語句は除外キーワードとして設定すべきです。
ある検索語句で広告が頻繁に表示されているが、クリックやコンバージョンに至っていない場合、それは効果的な広告配信とは言えません。これらの語句も除外キーワードとして設定すべきです。
除外キーワードを設定することで、広告の精度と効率性を向上させることができます。
しかし、広告のパフォーマンスに影響を与える要素は他にも多く、除外キーワードの設定だけが全てではありません。
適切な広告文の作成、ランディングページの最適化、キーワードビッドの管理など、他の広告運用の側面も考慮に入れることが重要です。
また、検索語句と広告のパフォーマンスは常に変動しますので、定期的に広告のパフォーマンスを見直し、適切な除外キーワードの設定を見直すことが重要です。
選んだ除外キーワードを設定する上での注意点
除外キーワードの設定は広告のパフォーマンスを大きく左右します。そのため、設定する際には以下の点に注意することが重要です。
インフォメーショナルクエリを除外すべきか
インフォメーショナルクエリ(情報検索クエリ)とは、特定の情報を検索するために入力される検索語句のことです。「インフォメーションクエリ」とも呼ばれます。
例えば「iPhone 最新機種 価格」や「MacBook Pro スペック」などがこれに該当します。
これらのクエリが直接商品やサービスの購入につながらない場合でも、その情報がユーザーの購入意欲を高める可能性があるため、すぐに除外キーワードとして設定するべきではない場合もあります。
一方で、インフォメーショなるクエリがあなたのビジネスモデルや目標に合致しない場合は、これらのクエリを除外キーワードとして設定することで、広告費の無駄遣いを防ぐことができます。
表記ゆれはカバーされない
検索エンジンは検索語句の入力誤りやスペルミスを自動的に修正することがありますが、除外キーワードの設定ではそのような機能は働きません。
したがって、除外したいキーワードの異なるスペルや表記ゆれも考慮に入れて設定する必要があります。
例えば、「無料」を除外キーワードとして設定した場合、「むりょう」や「無量」などの表現は除外されません。これらも広告表示を制限したい場合は、それぞれを除外キーワードとして追加する必要があります。
また、キーワードの長さや特定の単語とその複数形なども区別されます。広告の効果を最大化するためには、これらの要素を考慮に入れて適切な除外キーワードを設定することが重要です。
長いワードでの検索は除外キーワードが働かない
検索エンジンは一定の文字数以上の長い検索語句に対しては、除外キーワードの設定を無視することがあります。
例えばGoogle広告ではワード数は17語以上、Yahoo!広告ではワード数が11語以上の場合に設定した除外キーワードが反映されません。
そのため、広告のパフォーマンスを最適化するためには、除外キーワードの設定だけでなく、適切なキーワードの設定やマッチタイプの選択も重要です。
除外キーワードの設定過多
除外キーワードを設定することで広告の精度を高め、不要なクリックによる広告費の浪費を防ぐことができますが、逆に除外キーワードを設定しすぎると広告のリーチが狭くなり、意図せぬ機会損失を生じる可能性があります。
例えば、「無料」を除外キーワードとして設定した場合、無料サービスを求めていないユーザーへの広告配信は抑制できますが、一方で無料トライアルを経て有料サービスに興味を持つ可能性のあるユーザーからも自社の広告が見えなくなります。
そのため、除外キーワードの設定は、慎重な検討と定期的な見直しが必要です。また、広告のパフォーマンスとビジネス目標を達成するための最適なバランスを見つけることが重要です。
【実践編】結局「部分一致」と「フレーズ一致」はそれぞれどんな時に使うのが良いのでしょうか?
運用現場では、「部分一致」と「フレーズ一致」の違いがよくわかっていないケースが見受けられます。
ここで解説しておきましょう。
Google広告でキーワードマッチタイプとして提供されている「部分一致」と「フレーズ一致」は、特定のキーワードに対して広告が表示される条件を設定するための方法です。
それぞれのマッチタイプは、異なる広告キャンペーンの目標や戦略に合致する場合があります。
以下に、それぞれのマッチタイプを使うべき適切な状況を説明します。
部分一致
一般的な検索トラフィックをターゲットにしたい場合に適しています。
キーワードの多様なバリエーションに対応するため、広告が広範囲なキーワードにマッチします。
類似のキーワード、シンノニム、関連キーワードなどにも広告が表示されるため、新たなキーワードを発見するのに役立ちます。
例: 部分一致で「赤いりんご」を設定すると、赤いりんごのほかにも「りんごの健康効果」「りんごのレシピ」「りんご農家」といったキーワードにも広告が表示される可能性があります。
フレーズ一致
キーワードに関連する正確なフレーズやキーワードの順序にこだわりつつ、多少の変種や前後のワードがあっても広告を表示したい場合に適しています。
キーワードの文脈を重視し、特定のフレーズにマッチするように設定できます。
ターゲットとなるキーワードのコンバージョンを向上させたい場合に使えます。
例: フレーズ一致で「新鮮なりんご」を設定すると、正確なフレーズ「新鮮なりんご」に加えて「新鮮なりんごの健康効果」「新鮮なりんごの値段」などにも広告が表示されますが、「りんごの新鮮さを保つ方法」などのフレーズにはマッチしません。
広告のキーワード設定として「部分一致」→「フレーズ一致」→「完全一致」の順番で絞り込んでいくようにしましょう。
まとめ
この記事では除外キーワードについて解説しました。
除外キーワードは、広告主のビジネスに関係ない検索語句を除外することができ、無駄な広告費を抑えるために重要な機能です。
設定方法や注意点についても触れましたが、重要なのは自社のビジネスに関連するキーワードを正しく設定することです。
除外キーワードを適切に設定することで、広告が関心のあるユーザーに表示され、コンバージョン率の向上に繋がることが期待できます。
広告運用においては、除外キーワードの設定は常に見直し、最適化を図るようにしましょう。