「広告ライブラリ」は、Meta(Facebook)の広告内容やクリエイティブ、そして広告主の詳細情報を簡単に閲覧できる便利なツールです。
Meta(Facebook)の広告の効果は、クリエイティブの品質に大きく左右されることがあります。この広告ライブラリは、クリエイティブの開発と向上において非常に有用なリソースとなります。
この記事では、広告ライブラリの独自の特徴と、競合分析を行う際の注意点について詳しくご紹介していきます。
広告ライブラリとは?
「広告ライブラリ」とは、Meta(Facebook)上で公開された広告を無償で探し、閲覧できるサービスです。
このサービスは、Metaから提供されており、広告の透明性を維持し、ユーザーに対して広告情報を公開する目的で提供されています。
広告が初めて表示され、または内容が変更された場合、それらの情報はほぼリアルタイムで広告ライブラリに表示されます。
基本的に、Metaのプラットフォームで実施される広告が検索対象となります。社会的なテーマや政治的な広告なども、非公開のものを含めて閲覧可能ですが、それ以外のジャンルの広告は公開期間中のみ見ることができます。
掲載広告やそれに伴う情報を確認できる
広告ライブラリを利用することで、Metaプロダクト上で公開されている広告を検索し、それらの広告に関連する詳細情報を確認することが可能です。
具体的には、以下のプラットフォーム上で公開されている広告にアクセスできます。
このサービスを通じて、広告のビジュアルや広告文、掲載開始日、表示されているプラットフォーム、各プラットフォームでのユーザー反応(「いいね」の数など)などの情報を確認できます。
また、社会的なテーマや選挙、政治に関する広告についても、アクティブでない状態でも検索が可能です。
通常、Facebookのアカウントを持っていなくても広告の検索が行えますが、一部の広告では18歳以上のアカウントが必要な場合や、特定のデータのダウンロード時に成年者のアカウントが必要な場合があります。
広告主のFacebookプロフィールが確認できる
Metaが扱う全ての広告は、Facebookアカウントと関連付けられています。そのため、検索結果から、広告主ごとのFacebookページの詳細情報も確認できます。
具体的には、以下の広告主の情報が閲覧可能です。
- ページの透明性ページの設立日
- 最終更新時間
- 管理者の主な居住エリア
- Facebookページの「いいね」の総数
- Instagramのフォロワー数
- 広告主が掲載中の広告のリスト
- Facebookページや、広告主がFacebookに登録している場合のウェブサイト
これらの情報は、広告主ごとに提供され、詳細なプロフィール情報を閲覧することができます。
細かなフィルタリング機能で多面的なデータ解析ができる
例えば、広告が表示されているプラットフォーム(FacebookやInstagram等)での絞り込みや、広告のメディア形式などの選択も行えます。
広告ライブラリでの検索は、特定のキーワードを基にした広告をさらに詳しくフィルタリングすることができます。
このようなフィルタを使用することで、競合となるような広告も探しやすくなるでしょう。
Metaライブラリレポートとは?
「Metaライブラリレポート」という機能が広告ライブラリ内に存在しています。 Metaライブラリレポートを用いると、一般広告とは違い、社会問題や選挙、政治に結びつく広告のみのデータを見ることができます。 社会や政治に関わる広告には、公開されている広告予算に関する情報も含まれています。
以下のような条件で、広告ライブラリから政治関連の情報を検索・閲覧することができます。
- 指定期間内で各広告提供者の推定広告予算総額
- ライブラリ内での特定広告提供者の総広告数
- 特定週の各広告提供者の推定広告予算総額
- 選択週の特定広告提供者の総広告数
- その週の主要な検索ワード
- 特定国の特定地域で最大の広告予算を持つ広告提供者
これらは広告の透明性を高めるための機能であり、広告制作時の参照としても役立つかもしれません。
Meta広告ライブラリAPIの詳細
「広告ライブラリAPI」を使用すると、保存された広告に関連するカスタムキーワードの検索が行えます。
また、社会問題、選挙、政治に関連する広告情報も提供しています。
ただし、このAPIを利用するにはいくつかのステップが必要です。具体的には、身分と居住地の確認、Metaの開発者アカウントの取得、そして新しいアプリの追加が必須となります。活用するにはコーディングの知識が必要で、専門的なスキルを持たない方には取り扱いが難しいかもしれません。
一般的に多くの人が頻繁に利用するわけではありませんが、こうした機能の存在を知っておくことは役に立ちます。
広告ライブラリの利用方法
広告ライブラリの実際の利用方法について説明します。
広告ライブラリによるMeta広告の詳細確認方法
広告ライブラリを使用して、Metaの関連広告情報を詳細に探る方法は以下の通りです。
まず、広告ライブラリのメインページにアクセスし、「すべての広告」をクリックします。その後、検索欄に希望する広告の業界名、ジャンル、またはカテゴリなどを入力します。
この操作により、該当するMeta広告から、現在活動中の広告がリスト表示されます。
具体的なクリエイティブの内容や広告主の詳細情報を知りたい場合は、「広告の詳細を確認」を選択します。
「広告の詳細を確認」を選ぶと、以下の情報を閲覧できます。
- 広告の公開開始日
- 広告のクリエイティブ(画像や文言)
- 広告が配信されているプラットフォーム
- 広告のリンク先
- 広告のカテゴリ
- 広告の表示回数
これにより、Metaの広告活動に関する詳細情報を把握することができます。
社会や政治に関する広告の情報内容
「社会議題、選挙、または政治関連」といった広告カテゴリを選択すると、該当するカテゴリの公開されている広告情報を一覧で確認できます。
社会議題や政治に関連するカテゴリの広告には、通常の広告情報に加えて、以下のような詳細情報が提供されます。
- 目標オーディエンスの規模
- 広告を見た人のデモグラフィック情報(年齢や性別)
- 広告が配信されているプラットフォーム
- 広告が表示された地域(都道府県)
- 支払金額
- インプレッション(表示回数)
通常の広告とは異なる情報が含まれており、社会や政治に関する広告の詳細を知る際に役立ちます。
フィルタオプションの使用
特定の条件に合致する広告だけを表示したい場合、フィルタリングオプションを活用することがおすすめです。
フィルタリングを利用するには、検索結果ページの右側にある「フィルタ」ボタンをクリックします。
次に、以下のようなフィルタオプションが表示されるので、希望する条件に基づいて選択します。
- 言語:日本語または英語
- 広告主:リスト内の広告主を指定して絞り込み
- プラットフォーム:Facebook、Instagram、Messenger、Audience Networkから1つ以上を選択
- メディアの種類:使用されているクリエイティブの画像や動画を指定
- オンライン状態:広告がアクティブか非アクティブかを選択
- インプレッション日付:特定の日付範囲や期間に基づいて絞り込み
また、最近追加されたメディアタイプのフィルタを使用することで、特定のクリエイティブの画像や動画を具体的に指定して絞り込むことができます。
「日付別インプレッション」オプションを活用すれば、特定の日付範囲内でインプレッションが発生した広告をハイライト表示できます。これは季節に合わせたクリエイティブの参照に役立ちます。
広告ライブラリで押さえておくべきポイント
広告ライブラリは簡単にアクセス可能なツールとして利用されます。ただ、活用する上で押さえておくべき要点も幾つか存在します。
掲載終了の広告はリストアップされない
広告ライブラリは、現在アクティブな広告を主に表示します。
掲載が終了した広告はリストに含まれません。このため、気に入ったクリエイティブや参考にしたい広告がある場合、何らかの方法でバックアップを取っておくことをおすすめします。バックアップを保持することで、将来の参考や競合分析に役立てることができます。
※選挙や政治、社会的問題に関連する広告については、非アクティブ状態でも検索結果に現れることがあります。
クリエイティブ関連以外の情報は基本参照できません
広告ライブラリは、主にクリエイティブ関連の情報を提供します。
広告のビジュアルや文言、広告主の基本情報が確認できますが、より詳細なデータやCTR(クリックスルーレート)、CPM(千回表示単価)などのパフォーマンスメトリクス、広告予算などの経済的な情報は提供されません。このため、競合分析や戦略の詳細を把握するには他のデータソースが必要となることがあります。
※政治や選挙、社会的課題に関する広告では、広告の費用やオーディエンス情報も参照可能です。
実際の広告との違いが存在する場合がある
広告ライブラリに表示される情報は、広告主が提出した情報を基にしていますが、実際の広告と一致しない場合があります。
これは、広告内容の変更や誤表示が発生した場合に起こることがあります。そのため、正確な情報を得るためには、実際の広告の確認や他の信頼性のある情報源と照らし合わせることが大切です。
競合調査における広告ライブラリの活用法
競合調査を行う際、広告ライブラリのどの要素に焦点を当てるべきか、そのポイントを明らかにします。
検索結果の絞り込みが簡単
広告ライブラリは多くのフィルタリングオプションを提供しており、競合調査において特定の広告を見つける際に非常に役立ちます。
例えば、言語、広告主、プラットフォーム、メディアの種類、広告のオンライン状態、インプレッション日付など、幅広い条件を設定して検索結果を絞り込むことが可能です。
これにより、競合他社の特定広告を素早く見つけ、詳細な分析に役立てることができます。
クリエイティブの分析に適用
競合他社のクリエイティブ戦略を理解するために、広告ライブラリは貴重なリソースです。
広告のビジュアル要素やコピー、使用されているメディアの種類を詳しく調査できます。競合他社の成功例や失敗例から学び、自社のクリエイティブ戦略を最適化するためのヒントや洞察を得ることができます。
また、クリエイティブの変化や進化を追跡することで、市場トレンドに適応しやすくなります。
【現場でよくある事例!】ネガティブ広告とブランド毀損
Facebook広告の運用現場でよくあるのは「ネガティブ広告」を出稿した場合に会社のブランドを守れるか…という疑問です。
ネガティブ広告とは、サービスの「課題」にフォーカスした広告です。
例えばシャンプーの広告でいえば、髪の毛が抜けてしまう、頭皮が真っ赤に腫れ上がってしまう、フケが止まらないなどの状況をクリエイティブにするものです。
ユーザーに対して恐怖をあおることによって広告効果を出す手法ですが、ひとつ課題があります。
それは「企業のブランド棄損」です。
ネガティブな広告を出すことによって、企業がサービスをストレートに打ち出さず、ユーザーに対しての恐怖をあおることによって企業の姿勢を問われてしまうためです。
そのために、ネガティブ広告を出す場合は企業の名前はストレートに出さず、ランディングページに関してもあまり企業名を全面に出さない方が賢明です。
また、Facebook利用規約に従っていないコンテンツを投稿することによってアカウント停止などのリスクもありますので注意しましょう。
参照:Facebook広告ヘルプ「アカウントの停止」
まとめ
Metaの広告ライブラリを利用すると、FacebookやInstagramをはじめとしたMetaの関連広告を全て確認することができます。
様々なジャンルやカテゴリ、キーワードに基づく検索や、指定条件での絞り込みも容易ですので、競合分析にも最適です。
また、高い反応を得ている広告を特定し、クリエイティブ作成の際に参照することは非常に有効です。
広告ライブラリの利用を積極的に行い、広告のクリエイティブ品質を一層向上させるよう努めましょう。