ディスプレイ広告の世界では、LINE広告をはじめ、ユーザーの画面にはビジネスで直接競合する企業だけでなく、多種多様な広告が表示されることが一般的です。これは多くの人にとっては驚きではないかもしれませんが、興味深い点は、特定のターゲットユーザーに対して、他の広告と比較して高いクリック率(CTR)を誇る広告は、表示される頻度も高くなる傾向にあることです。もちろん、これには広告の入札価格など他の要素も大きく影響しますし、頻繁に表示されるからといって、必ずしも期待する成果が得られるわけではありません。
このことから、自社の広告がどの程度のクリック率を持っているのか、相対的に見て高いのか低いのかは、広告戦略を練る上で重要なポイントとなります。そこで、今回は広告の効果を相対的に評価するための基準として役立つ「CTRレベル」という指標に焦点を当て、その重要性と活用方法についてやさしいトーンでご紹介していきたいと思います。この指標を理解し活用することで、より効果的なディスプレイ広告戦略を立てることができるでしょう。
「CTRレベル」とは
「CTRレベル」という概念は、自社の広告が同じターゲットオーディエンスを対象とする競合他社の広告と比べて、どの程度クリックされる可能性が高いかを示す指標であります。この指標によって、自社の広告がユーザーにどれほど魅力的であるか、つまりクリックを促す力が他社に比べて強いのか弱いのかを定量的に確認することが可能になります。
この「CTRレベル」は、以下の5つの段階に分類されており、自社の広告がどの位置にあるのかを明確に理解することができます。
- 平均以上であり、上位20%に位置する広告
- 平均を上回りつつ、上位50%に含まれる広告
- 平均を下回り、下位50%に分類される広告
- 平均以下で、さらに下位30%に入る広告
- 平均を大きく下回り、最下位10%に属する広告
この分類を踏まえると、広告主にとって自社の広告がターゲットユーザーの関心や興味をどれだけ引きつけるかを判断する基準として、非常に便利なツールであるといえます。例えば、もし自社の広告が「平均以下-下位50%」に分類されている場合、その広告はユーザーの関心を引きつけるのに苦戦していると考えられ、広告内容の改善や戦略の見直しが必要です。
「CTRレベル」の評価期間
「CTRレベル」の評価は、管理画面上で選択した特定のレポート期間に基づいて表示されます。ただし、重要な点として、選択した期間中のオークションへの参加率が低い場合、CTRレベルは表示されないことがあります。これは、信頼性の高いデータを基にCTRレベルを算出するために必要な条件です。また、この指標は2023年3月1日以降のデータに基づいており、それ以前のデータについては評価の対象外となります。
配信設定によってはCTRレベルが利用不可の場合もある
一部の配信設定ではCTRレベルは使用できません。CTRレベルが利用可能な設定かどうかは、下記の表を参考にしてみてください。
広告の種類 | キャンペーン目的 | 入札単価の設定方法 | 最適化の対象 | 課金方法 | CTRレベル |
---|---|---|---|---|---|
予約型広告 | - | - | - | - | ✕ |
運用型広告 | ウェブサイトアクセス | 手動入札 | - | CPC | ◯ |
- | CPM | ✕ | |||
自動入札 | クリック | CPC | ◯ | ||
ウェブサイトコンバージョン | 手動入札 | - | CPC | ◯ | |
- | CPM | ✕ | |||
自動入札 | コンバージョン | CPC | ◯ | ||
クリック | CPM | ◯ | |||
アプリのインストール | 手動入札 | - | CPC | ◯ | |
- | CPM | ✕ | |||
自動入札 | インストール | CPC | ◯ | ||
インストール | CPM | ◯ | |||
クリック | CPC | ◯ | |||
アプリのエンゲージメント | 手動入札 | - | CPC | ◯ | |
- | CPM | ◯ | |||
自動入札 | オープンイベント | CPC | ◯ | ||
オープンイベント | CPM | ◯ | |||
購入イベント | CPC | ◯ | |||
購入イベント | CPM | ◯ | |||
動画の再生 | 手動入札 | - | CPM | ✕ | |
自動入札 | 100%再生 | CPM | ✕ | ||
自動入札 | 3秒再生 | CPM | ✕ | ||
友だち追加 | 手動入札 | - | CPF | ◯ | |
自動入札 | 友だち追加 | CPF | ◯ | ||
商品フィードから販売 | 手動入札 | - | CPC | ◯ | |
自動入札 | コンバージョン | CPM | ◯ | ||
自動入札 | クリック | CPC | ◯ | ||
リーチ | 手動入札 | - | CPM | ✕ | |
自動入札 | リーチ | CPM | ✕ | ||
Talk Head View Custom | 手動入札 | - | CPM | ✕ |
CTRレベルは、下記の条件に該当する広告では確認ができません。
- 動画再生、リーチ、Talk Head View Custom、予約型広告
- CPMの手動入札
CTRレベルの表示方法とは
CTRレベルの表示方法を紹介します。
手順①:広告マネージャー上の表上部にある「表示項目」から「表示項目を変更」を選択
手順②:表示項目「広告診断」から「CTRレベル」を選択し、「適用」をクリック
なお、CTRレベルは広告マネージャー上の「広告」階層のページで確認できます。
最後に
自社の広告が競合他社の広告に比べてどれだけ高いクリック率(CTR)を達成しているかは、その広告がターゲットユーザーにとってどの程度注目され、魅力を感じてもらえているかを判断する上で重要な指標となります。広告が目立っているかどうか、そしてユーザーにとって魅力的な内容かどうかは、デジタルマーケティングの効果を測定する際の重要なポイントです。
ただし、CTRレベルが低いという事実が直ちに広告主のROI(投資収益率)が低いことを意味するわけではありません。しかし、このレベルが低いことは、ターゲットとするユーザー層の関心や好奇心を十分に引き出せていない可能性があるという警告信号として受け止めるべきです。このため、CTRレベルは、自社の広告キャンペーンがどれだけ効果的にターゲットオーディエンスとコミュニケーションを取っているかを理解するための貴重なツールとして、積極的に利用する価値があります。
この指標を活用することで、広告主は自社の広告が特定のターゲット層にどの程度響いているかを定量的に把握することができ、必要に応じて広告のメッセージやデザイン、ターゲティング戦略などを見直し、より効果的なキャンペーンへと導くことが可能になります。結果として、広告のパフォーマンスを向上させ、より高いROIを達成することが期待できます。