リードナーチャリングに有効な手法7つを解説|プロセスやツールも紹介

監修者

佐藤 祐介
佐藤 祐介

株式会社LIFRELL代表取締役。大手代理店、株式会社オプト、電通デジタルの2社でアカウントプランナーを経験。その後、株式会社すららネットでインハウスマーケターとして事業の立ち上げからマザーズ上場水準まで事業を伸長させる。マーケティング戦略の立案からSEO/WEB広告/SNS/アフィリエイト等の施策で売上にコミット。

専門家

深瀬 正貴
深瀬 正貴

Yahoo株式会社 法人マーケソリューション出身。 鎌倉の海のそばでオフィスFHを運営。 リスティングやSEOをはじめとしたデジタルマーケティングで100社以上の売り上げ課題を解決。
最近の趣味はブームに乗っかったように見えてしまう「焚き火ごはん」。

目次

「リードナーチャリング」は、ビジネスにおいて見込み顧客を育成し、購買意欲を高めるために非常に重要な手法です。

そこで、今回の記事ではリードナーチャリングの7つの手法について詳しく解説していきます。
さらに、具体的なプロセスやおすすめのツールもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

リードナーチャリングを活用して、より効果的なマーケティングを展開しましょう。

リードナーチャリングとは?BtoBマーケティングのプロセスに沿って解説

リードナーチャリングは、BtoBマーケティングの重要なプロセスの一部であり、見込み客や潜在的な顧客を引き付け、その関心を営業可能なリードまたは潜在的な顧客に変えることを目的としています。

このプロセスは「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」そして「リードクオリフィケーション」という3つのステップに分けることができます。

STEP①:リードジェネレーション|見込み客の「獲得」

リードジェネレーションは、見込み客の「獲得」に焦点を当てたステップです。

これは通常、SEO(検索エンジン最適化)コンテンツマーケティング、ソーシャルメディアマーケティング、イベント、ウェビナーなどのデジタルマーケティングの戦略を使用して実行されます。

リードジェネレーションにより、企業は見込み客を獲得し、それらを営業リストに追加します。
この段階では、主に見込み顧客の関心を引くための有用なコンテンツを提供し、ブランドや製品について考えてもらうことが重要です。

STEP②:リードナーチャリング|見込み客の「育成」

次のステップはリードナーチャリング、つまり見込み客の「育成」です。

この段階では、企業は既に獲得した見込み客との関係を深めることを目指します。

これは一般的に、パーソナライズされたメールマーケティング、ターゲテッドコンテンツ、フォローアップの通話などの手段を通じて行われます。
このプロセスの目的は、見込み客が製品やサービスに対する理解を深め、購買の意思決定をする際に企業の製品やサービスを選ぶ可能性を高めることです。

STEP③:リードクオリフィケーション|見込み客の「抽出」

最後のステップはリードクオリフィケーション、すなわち見込み客の「抽出」です。

この段階では、企業は育成したリードの中から最も購入可能性の高いリードを識別します。これは通常、リードの行動、反応、または他の指標を評価することにより行われます。

ここで抽出されたリードは、「営業準備」または「販売準備」リードと考えられ、営業チームに引き渡されます。
このステップが成功すれば、企業は最終的により高いROI(投資利益率)を達成することが可能になります。

リードナーチャリングはなぜ重要?注目されている背景を解説

リードナーチャリングは、現代のBtoBマーケティングでは重要な要素となっています。

その重要性は、購買行動の変化、企業と顧客との新しい関係性の形成、そして休眠顧客の増加という、ビジネス環境の3つの主要な変化によります。

背景①:顧客の購買行動が変化している

インターネットとデジタル技術の進化により、消費者の購買行動は大きく変化しました。

特にBtoBの領域では、顧客は購入する前に自分で調査を行い、製品やサービスについてより深く理解するという動きを取ります。

つまり、顧客はすでにある程度の知識を持った状態で、製品やサービスの価値を評価しています。
このような顧客の購買行動の変化に対応するためには、リードナーチャリングが重要な役割を果たします。

背景②:顧客と企業の関係性が変化している

現代の顧客は、単に製品やサービスを提供するだけの企業よりも、価値提供者やパートナーとしての企業を求めています。

つまり、単に製品やサービスを販売するだけでなく、その製品やサービスがどのように顧客のビジネスに貢献するかを示すことが求められます。
リードナーチャリングは、このような新しい顧客と企業との関係性を築くのに重要な手法となります。

背景③:休眠顧客が増加している

企業は新規顧客を獲得するための時間とコストをかけていますが、一方で休眠顧客も増えています。

休眠顧客とは、一度は製品やサービスを購入したが、その後何らかの理由で購買を停止した顧客のことを指します。

リードナーチャリングは、このような休眠顧客を再活性化し、再び購買を促すのに役立つ手法となります。
休眠顧客を再活性化することは、新規顧客を獲得するよりもコストがかからず、より高いROIを期待することができます。

リードナーチャリングのメリット・デメリットを解説

リードナーチャリングの理解を深めるために、メリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。

リードナーチャリングのメリット3つ

リードナーチャリングは、BtoB企業にとって多くのメリットをもたらします。
ここでは主なメリットを3つ説明します。

メリット①:集客コストが無駄になるのを防げる

最初のメリットは、集客コストの効率化です。

リードジェネレーションの活動にはしばしば高いコストがかかります。
リードナーチャリングを適切に行うことで、そのような集客活動にかかったコストが無駄になるのを防ぐことができます。

見込み客がすぐに購入につながらない場合でも、リードナーチャリングを通じて彼らとの関係を継続し、最終的に購買につなげることが可能になります。

メリット②:顧客の囲み込みにつながる

リードナーチャリングは顧客の囲い込みに有効な手段です。

顧客とのコミュニケーションを続け、彼らのニーズや問題に対する解決策を提供することで、顧客はあなたの企業を信頼するパートナーと認識するようになります。

顧客は競合他社に移行することなく、あなたの企業とのビジネス関係を継続することができます。

メリット③:営業・マーケティングの効率が上がる

最後のメリットは、営業とマーケティングの効率向上です。

リードナーチャリングを通じて見込み客を適切に育成し、高品質なリードに絞り込むことで、営業チームはそれぞれのリードに対する対応を効率化できます。

営業チームは時間とリソースを、すでに製品やサービスに興味を持ち、購入の可能性が高いリードに集中することができます。
この施策で全体のコンバージョン率が向上し、企業の収益も増加します。

リードナーチャリングのデメリット2つ

リードナーチャリングは数多くのメリットをもたらしますが、一方でいくつかのデメリットも存在します。
以下にその主なデメリットを2つ挙げて説明します。

デメリット①:成果が出るまで工数や時間がかかる

リードナーチャリングは時間とリソースを要する活動であり、即時の成果を期待することは困難です。

見込み客を購買に至るまでに育成するためには、パーソナライズされたコンテンツを提供し、適切なタイミングでコミュニケーションを行い、その反応を分析し、戦略を修正する等、一定の労力と時間を投資する必要があります。

ただし、この方法には高度な専門知識やツールを必要とする場合もあります。

デメリット②:一定の顧客数を集める必要がある

リードナーチャリングは一定量の見込み客を集めることが前提となります。

見込み客が十分に存在しない場合、リードナーチャリングの効果は限定的となります。

また、大量のリードを持つ企業でも、リードナーチャリングプログラムを適切に管理し、それぞれのリードとのコミュニケーションを維持することはなかなか大変な工程になります。

リードナーチャリングの基本的なプロセス

ステップ詳細
1.ターゲットの定義・ターゲットとなるオーディエンスを明確に定義する
・企業は製品やサービスが解決できる問題やニーズを理解する
・理想的な顧客像を理解する
2.コンテンツの作成・ターゲットオーディエンスが関心を持つ有益で価値のあるコンテンツを作成する
・ 見込み客をウェブサイトに引き寄せ、有益な情報を提供する
・コンテンツをリードとして収集するための手段とする
3.リードの収集・ウェブサイト訪問者からリードを収集する
・フォームやランディングページを使用する
・訪問者は有益なコンテンツへのアクセスを得るために、自分の連絡先情報を提供する
4.リードのセグメント化・ 収集されたリードをその行動や属性に基づいてセグメントに分ける
・それぞれのセグメントに合わせたパーソナライズされたコミュニケーションが可能になる
5.リードの育成・メールマーケティングやソーシャルメディア、個別のフォローアップ等を通じて、リードとの関係を深める
・リードの購買プロセスを支援する
・リードの反応や行動に応じて、戦略は調整され続ける
6.リードの評価・リードナーチャリングのプロセスを通じて、リードの購買意欲や準備度を判断する
・購入可能性が高いリードを営業チームに渡す
7.成果の評価と最適化・リードナーチャリングの活動は定期的に分析する
・パフォーマンスの指標(例えば、メールの開封率やクリック率、コンバージョン率など)を追跡する
・何がうまくいき、何が改善の余地があるのかを理解し、戦略を最適化する

リードナーチャリングに使われる代表的な7つの手法・施策

リードナーチャリングは、見込み客を育成し、最終的に購買行動に至らせるための重要な戦略です。
そのために使われる手法や施策は多岐にわたります。以下にその中から代表的な7つを取り上げ、詳しく解説します。

施策①:SNSの運用

SNSは企業と見込み客との対話的なコミュニケーションを可能にし、関係性を構築しやすい優れたツールです。

企業は自社の製品やサービスに関する情報を投稿することで、見込み客に対して価値を提供し、リードナーチャリングを行います。
また、SNSはターゲットオーディエンスの反応をリアルタイムで見ることができ、それに対応して戦略を修正することも可能です。

施策②:メール(メルマガ・ステップメールなど)の配信

メールはリードナーチャリングの中心的な手法です。

メルマガは定期的に見込み客に有益な情報を提供し、企業と見込み客との関係を維持します。
また、ステップメール(自動配信メール)は見込み客の行動に応じて自動的に送信され、個々の見込み客にパーソナライズされたコミュニケーションを提供します。
ステップメールは、見込み客を購買プロセスの各ステップに沿って育成するのに役立ちます。

施策③:広告(マス広告・Web広告)の出稿

広告は新たな見込み客を獲得し、既存の見込み客に対して自社の存在をもう一度認識してもらうための強力なツールです。

マス広告は大規模な視聴者にリーチし、認知度を向上させるのに役立ちます。

一方、Web広告(特にリターゲティングやリマーケティング)は特定の見込み客に対してパーソナライズされた広告を表示し、彼らをウェブサイトに再訪させるために使用されます。

これらの広告戦略は、見込み客を育成し、彼らを最終的に購買に導くのに有効です。

施策④:架電・インサイドセールスの実施

顧客への直接連絡は、リードナーチャリングにおける重要な要素です。

架電やインサイドセールスにより、企業は見込み客に対して個別のニーズに合わせた情報やサポートを提供することができます。
信頼関係が築かれ、見込み客の関心が高まることで、最終的には購買につながります。

施策⑤:オウンドメディアの運用

オウンドメディア(自社が所有するメディア)の運用は、コスト効率的で効果的なリードナーチャリングの手法です。

ブログやホワイトペーパー、ウェビナーなどの形で、ターゲット顧客に有益な情報を提供します。
これらのコンテンツを通じて、見込み客の関心を引きつけ、長期的な関係を構築します。

施策⑥:セミナー・展示会の開催

セミナーや展示会は、企業と見込み客が直接対話できる場を提供します。

セミナーや展示会のイベントでは、企業は自社の製品やサービスについて詳しく説明し、見込み客の疑問や懸念を直接解消することができます。
この手法は見込み客の信頼を得て、購買への一歩を進めることができます。

施策⑦:MAツールの活用

マーケティングオートメーション(MA)ツールは、リードナーチャリングのプロセスを効率化し、効果的にするための強力なツールです。

MAツールを使用すると、メールキャンペーンの自動化、リードスコアリング、リードの行動追跡、パーソナライズされたコンテンツの提供など、多くの機能を利用することができます。

MAツール施策により、企業は見込み客の関心を維持し、彼らを購買に導くための有効なコミュニケーションを提供することができます。

リードナーチャリングに活用できるMAツール3選

リードナーチャリング戦略の成功は、適切なツールを用いてプロセスを効率化し、自動化することで大きく高まります。
では、リードナーチャリングにおいて効果的な3つのマーケティングオートメーション(MA)ツールを紹介します。

ツール①:カスタマーリングス

カスタマーリングスは、リードナーチャリングに活用できるMAツールの一つです。

このツールはリードの行動を追跡し、それに基づいてスコアリングする機能を提供します。
企業は最も有望なリードに焦点を当て、そのニーズに合わせたナーチャリングを行うことができます。

また、メールマーケティングの自動化やパーソナライゼーションなど、他のリードナーチャリング活動もサポートすうることができます。

ツール②:SATORI

SATORIは、BtoBマーケティングに特化したMAツールです。

ユーザー行動のトラッキング、リードスコアリング、ターゲットリストの作成、メールキャンペーンの管理など、リードナーチャリングのための各種機能を含んでいます。

また、CRMとのシームレスな統合が可能なため、リードの管理と育成が一元的に行えるのが特徴です。

ツール③:FORCAS

FORCASは、リード管理から商談進捗の管理までを一元化できるMAツールです。

リードの行動をリアルタイムで把握し、リードスコアリングを行うことで、営業チームに有望なリードを効率的に提供します。
また、顧客の行動履歴に基づいてセグメント化し、それぞれに適したメッセージを自動的に送信する機能もあります。

FORCASを使用することで、パーソナライズされたリードナーチャリングが可能となります。

リードナーチャリングの実践例

今度はリードナーチャリングの実際のケースをご紹介します。

事例1:見過ごされていたリードからSALを生み出す

BtoCの住宅業界で展開するA社は、MAツールの導入で、リードナーチャリングのプロセスを設計しました。目標とする顧客層にメールを送信し、そのリンクを開いたリードには、インサイドセールスチームが迅速に電話アプローチを行う体制を築きました。

過去にアポイントメントの提案を断られたリードや、一度商談に進んだものの取引に至らなかったリード等、再利用可能なリードを上手く利用することで、月に約50件のSAL(マーケティングから営業に移管された案件)を生み出すことができました。

事例2:アポイントの提案を断られたリードの追跡体制の確立

BtoBのオンラインサービスを提供するB社は、公式サイトや広告からのリードに対し、インサイドセールスが電話アプローチをして、実際の訪問やセミナー参加を勧めていました。

とはいえ、一部のリードからは「タイミングが悪い」「今のところ強い興味がない」という反応で、訪問やセミナーの提案を断られる場合がありました。これらのリードを単に放置するのではなく、相手との認識を確認した後、一定の期間を置いて再度アプローチをする体制を導入しました。

まとめ

この記事では、リードナーチャリングの手法について詳しくご紹介しました。

ご紹介した手法を活用することで、集客した潜在顧客を育成し、購買意欲を高めることができます。

リードナーチャリングは、見込み顧客に質の高いコンテンツを提供し、関心を引き続けることが重要で、セミナーやオウンドメディア、リターゲティング広告など、さまざまな手法を組み合わせることも効果的です。

リードナーチャリングを成功させるために、この記事をもう一度読んでいただき、定期的なコンテンツの改善やトラッキング、エンゲージメントの向上にも注力しましょう。

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