ユーザーテストのやり方や実施タイミングを解説!便利な分析ツールも紹介

監修者

佐藤 祐介
佐藤 祐介

株式会社LIFRELL代表取締役。大手代理店、株式会社オプト、電通デジタルの2社でアカウントプランナーを経験。その後、株式会社すららネットでインハウスマーケターとして事業の立ち上げからマザーズ上場水準まで事業を伸長させる。マーケティング戦略の立案からSEO/WEB広告/SNS/アフィリエイト等の施策で売上にコミット。

専門家

深瀬 正貴
深瀬 正貴

Yahoo株式会社 法人マーケソリューション出身。 鎌倉の海のそばでオフィスFHを運営。 リスティングやSEOをはじめとしたデジタルマーケティングで100社以上の売り上げ課題を解決。
最近の趣味はブームに乗っかったように見えてしまう「焚き火ごはん」。

目次

ユーザーテストは、開発者が思い描いた仕様と実際のユーザーの要望やニーズが合致するかどうかを確認できる貴重なプロセスです。

しかし、いつ実施するべきかや、どのような準備が必要か、わからないという方も多いかもしれません。

本記事では、そんな方々に向け、ユーザーテストの重要性や効果を解説しつつ、実施すべき時期や準備のポイントなどをわかりやすくお伝えします。

また、Webサイトの分析に役立つツールについてもご紹介します。より効果的なユーザーテストの実施につながる情報が満載です。

ユーザーテストとユーザビリティテストの特徴

ユーザーテストとユーザビリティテストは似ているように見えるかもしれませんが、目指す目標と焦点は少し異なります。以下にそれぞれの特徴を比較してみましょう。

ユーザーテストの特徴

厚生労働省「石綿事前調査結果報告システムユーザーテスト」

ユーザーテストは、製品やサービス全体の受け入れられる度合いを確認するテストです。

ユーザーテストでは、エンドユーザーが製品を実際に使用し、それが目指す目標を達成できるかどうかを確認します。これには機能の使い方、全体的な操作性、製品やサービスの体験全体が含まれます。

このテストは製品の早期段階から導入され、新機能の導入や大規模なリリースの前にも行われます。その目的は、ユーザーのニーズと期待を満たす製品を作ることであり、そのためには実際のユーザーフィードバックが不可欠です。

【ユーザーテスト事例】

厚生労働省が実際に行った石綿事前調査結果報告システムユーザーテストをご参考ください。

ユーザビリティテストの特徴

一方、ユーザビリティテストは製品やサービスの「使いやすさ」に焦点を当てたテストです。

このテストでは、特定のタスクを達成するためにユーザーがどの程度労力を必要とし、またそれがどの程度直感的に行えるかを評価します。

ユーザビリティテストは、製品の操作性、視覚的なデザイン、エラーメッセージの明瞭性、ナビゲーションの容易さなど、製品の具体的な側面に焦点を当てます。

このテストの目的は、製品がユーザーにとって容易に使え、理解できるようにすることです。

したがって、ユーザーテストは製品やサービス全体の受け入れられる度合いを評価するのに対し、ユーザビリティテストは特定の使用状況や操作性に焦点を当てて、製品の「使いやすさ」を評価します。

効果的なユーザーテストを実施するためのおすすめの時期

ユーザーテストは製品のライフサイクルのいくつかの時点で行われます。それぞれの重要な時期について詳しく見てみましょう。

時期①:新しいサービス・製品の開発時

新しいサービスや製品を開発する際には、早い段階でユーザーテストを実施することが非常に重要です。

プロトタイプが完成した初期段階で行うことで、最終的な製品がユーザーの期待に応えられるものになるよう、早期にフィードバックを取り入れることができます。

これにより、コストや時間の大幅な浪費を避けることが可能となります。

時期②:既存のサービス・製品の改良時

既存のサービスや製品を改良する際も、ユーザーテストは必須です。

新たに機能を追加する、UIを変更する、操作の流れを変えるなどの改良を行う前に、ユーザーテストを行うことで、その改良がユーザーの利便性を高めるものであるかどうかを確認できます。

また、改良により新たに発生するかもしれない問題を早期に捉えることもできます。

時期③:改良したサービス・製品のリニューアル時

製品やサービスのリニューアル時にもユーザーテストは非常に有益です。

リニューアルは、見た目や機能性の大幅な変更を伴うことが多く、その変更がユーザーにとってプラスになるかどうかを確認するためには、ユーザーテストが必要です。

特に、UI/UXの大幅な変更を伴うリニューアルでは、ユーザーが新しいデザインや操作に戸惑わないか、新機能が適切に機能しているかなどを検証するためにユーザーテストが必要です。

時期④:サービスや製品のコンセプトの検証時

サービスや製品のコンセプト自体を検証する際も、ユーザーテストは重要なツールとなります。

新しいアイデアやコンセプトがユーザーにとって理解しやすく、受け入れられるものかどうかを調査するためには、実際のユーザーのフィードバックが必要です。

また、コンセプトが現実のユーザーニーズに適合するかどうかを確認するためにも、ユーザーテストは欠かせません。

ユーザーテストを実施するメリット

ユーザーテストは、開発チームにとって多くのメリットを提供します。以下に主なメリットをいくつか挙げてみましょう。

メリット①:ユーザーの直の声を聞くことができる

ユーザーテストは、製品やサービスのユーザーから直接フィードバックを得る最良の手段です。

これにより、開発チームはユーザーが製品をどのように使用し、どのように感じているかを直接理解できます。

この情報は、製品やサービスをユーザー中心に改善し、最終的にはユーザー満足度を高めるために不可欠です。

メリット②:サービスや商品の強みや改善点を知ることができる

ユーザーテストは、製品の強みや改善が必要な点を明確にします。

ユーザーが特に気に入った機能や、ストレスを感じた操作など、具体的な情報を得ることで、製品の強みを最大化し、弱点を改善するための有益なインサイトを得ることができます。

メリット③:コンバージョン率の増加を狙える

ユーザーテストを通じて、ユーザーが製品のどの部分に魅力を感じ、どの部分で困難に直面しているのかを把握することができます。

この情報を使用して、製品やサービスの使いやすさを改善し、ユーザーが目標のアクションに到達する道のりをスムーズにすることが可能となります。

この結果、ユーザー体験が改善され、コンバージョン率(訪問者が目標のアクション(例:購入、会員登録など)を達成する割合)が向上する可能性があります。

ユーザーテストを効果的に行うために必要な準備

ユーザーテストを効果的に行うためには、いくつかの重要な準備が必要となります。以下にその詳細を述べます。

準備①:仮説を設定する

ユーザーテストの最初のステップは、テストの目的とそれに基づく仮説の設定です。

製品やサービスのどの部分をテストするのか、何を検証したいのかを明確にします。例えば、新しい機能がユーザーにとって有用かどうか、または特定のデザインがユーザーの理解を助けるかどうかなど、具体的な問いを設定します。

これにより、テストの結果を評価し、意味のある結論を導き出すことができます。

準備②:ユーザーテストを行うペルソナの把握を行う

製品のユーザーペルソナ(理想的なユーザー像)を理解し、そのペルソナに基づいてユーザーテストを設計することが重要です。

ユーザーペルソナは、ユーザーの特性、ニーズ、行動パターンを示します。これを基に、実際のユーザーテストの参加者を選ぶことができます。

また、ユーザーペルソナに基づいたテストシナリオを作成することで、テストの結果が製品の実際のユーザー層を正確に反映するようになります。

準備③:ユーザーテストを受けてもらうためのユーザーを集める

ユーザーテストの効果を最大化するためには、製品やサービスの目標となるユーザーグループから参加者を集めることが重要です。

これは既存の顧客、新規の顧客、あるいは特定の市場セグメントからなる可能性があります。参加者を集める手段としては、SNSでの呼びかけ、メールでの募集、または第三者のリクルーティングサービスの利用などがあります。

参加者へのインセンティブ(ギフトカード、製品サンプルなど)を提供することも、参加率を向上させる一助となります。

準備④:実際に体験してもらうユーザーテストの準備

具体的なユーザーテストの設計と準備が必要です。

これは、テストの流れ、具体的なタスクの設定、ユーザーの行動や反応を記録するための方法(観察、インタビュー、調査など)を含みます。また、ユーザーテストを適切に進行させるためには、テスト環境の設定も重要です。

これは、製品やサービスが使用される実際の状況を再現するためのもので、例えば、ユーザーがウェブサイトをどのデバイスで見るか、アプリをどのような状況下で使用するかなど、実際の使用状況を考慮に入れます。

準備⑤:会場や機材の準備

ユーザーテストの形式や状況によりますが、テストの進行に必要な会場や機材の準備は重要です。

会場は、ユーザーがリラックスして製品やサービスを使用できる静かな場所であることが望ましいです。

また、ユーザーの行動を観察するためのカメラやマイク、テストに必要なデバイスやソフトウェア、そしてユーザーの反応を記録するためのノートや録音機器なども準備しておくと良いでしょう。

リモートでユーザーテストを行う場合には、適切なビデオ通話ソフトウェアと安定したインターネット接続が必要となります。また、ユーザーの画面を共有し、操作を観察できる機能を持つツールが有用です。

Webサイトを分析するためのおすすめのツール

Webサイトの分析には多数のツールが存在しますが、ここでは特に重要かつ人気のあるツールをいくつか紹介します。

【Google Analytics・Google Search Console】Webの分析定番ツール

Google Analytics

Googleアナリティクス

Webサイトの訪問者数、ユーザーの行動、コンバージョン数など、サイトのパフォーマンスに関する豊富な情報を提供する強力な無料ツールです。

これらの情報を用いて、ユーザーの行動を理解し、Webサイトの最適化を図ることができます。

Google Search Console

Googleサーチコンソール

Google検索におけるサイトのパフォーマンスを把握するための無料ツールです。

どのキーワードでどれだけのユーザーがサイトに到達したか、サイトが検索エンジンでどのように表示されているかなど、サイトのSEO(検索エンジン最適化)に関する重要な情報を得ることができます。

【レポート生成ツール】ユーザー数やコンバージョン率の抽出が可能

レポート生成ツールは、Webサイトの分析データを視覚的に表示し、レポートを生成するためのツールです。これには、Google Data PortalやAIアナリストなどがあります。

これらのツールは、Google Analyticsなどからデータを取り込み、ダッシュボードを作成してデータを視覚化することで、ユーザー数、訪問ページ数、滞在時間、コンバージョン率などのキーメトリクスを一目で把握することができます。

この視覚的な情報は、Webサイトのパフォーマンスを評価し、改善策を立案するために非常に有用です。

【ヒートマップツール】ユーザーの行動を色付けできる

ヒートマップツールは、ユーザーの行動を色付けすることで視覚的に表示するツールです。

ミエルカヒートマップやSiTestなどのツールがあります。これらのツールは、ユーザーがウェブサイト上でどの部分をクリックしたか、どの部分を最も長く見ていたか、スクロールしてどこまで見たかなど、ユーザーの行動を「熱」の色で表示します。

この情報を使用することで、ウェブサイトのどの部分がユーザーにとって魅力的であるか、またはどの部分が改善が必要であるかを判断することができます。

【A/Bテストツール】2つのページの比較可能

A/Bテストツールは、2つの異なるバージョンのウェブページを同時に表示し、どちらがより良いパフォーマンスを発揮するかを比較するツールです。

OptimizelyやGoogle Optimizeなどのツールがあります。

これらのツールを使用すると、ヘッドライン、画像、ボタンの配置、カラースキームなど、ウェブページのどの要素がユーザーの行動やコンバージョンに影響を与えるかを実験的に調査することができます。

これにより、ウェブサイトの最適化と改善をデータに基づいて行うことができます

【EFOツール】入力フォームの解析ができる

EFO(Entry Form Optimization)ツールは、ウェブサイト上の入力フォーム(例えば、問い合わせフォームや注文フォーム)のパフォーマンスを解析するためのツールです。

FormisimoやHotjarのフォーム分析機能などがあります。

これらのツールは、ユーザーがフォーム内でどの項目にどのくらいの時間を費やしているか、どのフィールドで最もよくエラーが発生しているか、またはどのステップで最も多くのユーザーがフォームの記入を放棄しているかなど、入力フォームの使用に関する詳細な情報を提供します。

ユーザーテスト(ユーザビリティテスト)に関するQ&Aまとめ

Q1.ユーザーテストに適切な期間は?

ユーザーテストの期間はプロジェクトの規模や目的、またテストを行うユーザーの数や利用するテスト方法により異なります。

例えば、比較的小規模なウェブサイトやアプリケーションのテストの場合、数日から1週間の期間を設けることが一般的です。一方、大規模なプロジェクトでは数週間から数ヶ月かかることもあります。全体で1ヶ月程度に収めるようにしましょう。

【準備】2週間  【実施】1週間  【分析】1~2週間

Q2.ユーザーテストに必要な費用は?

ユーザーテストの費用は、テストの規模、方法、また参加するユーザーの数や、使用するツールやサービスによって大きく異なります。

例えば、自社のスタッフや既存の顧客をテストに参加させる場合、または無料のテストツールを使用する場合は、費用はそれほどかからないかもしれません。

しかし、プロのユーザーテストサービスを利用したり、報酬を提供して一般のユーザーをテストに参加させる場合、費用は数千ドルから数万ドルに上ることもあります。

Q3.ユーザーテストに必要な人材はどのくらい?

ユーザーテストを実施するにあたって必要な人材の数は、テストの規模、方法、目的によって変わります。

小規模なプロジェクトであれば、1~2人の専門家(UXデザイナー、リサーチャーなど)でテストの企画、実施、結果の解析を行うことが可能です。

一方、大規模なテストや詳細な分析が求められるプロジェクトでは、より多くの専門家が必要となることがあります。

また、テストの実施にあたっては、参加者の募集や調整、実際のテストの進行管理、データの収集と分析など、様々な作業が発生します。これらの作業を円滑に進めるためにも、適切な人数のスタッフを確保することが重要です。

Q4.ユーザーテストの参加者を探す方法は?

参加者探しの方法費用手段メリットデメリット
自社の顧客低〜中自社のマーケティングチャンネルを利用ユーザーの実際の体験を反映新規または潜在的な顧客の視点が欠ける可能性
ユーザーテスト専門のエージェンシーエージェンシーへの依頼ターゲットユーザーに合わせたテストが可能費用がかかる
ユーザーテストプラットフォームオンラインプラットフォームの利用幅広い背景のテスターへのアクセステストの質はプラットフォームや選択した参加者に依存
知人直接的なコミュニケーション低コストで迅速なフィードバックテストの視点が偏る可能性あり

まとめ:コンテンツの改善にはユーザーテストの実施が有効

ユーザーテストは、自社製品やサービスの評価を客観的に知る上で欠かせない手法です。また、適切な時期に実施することで、コスト削減や顧客満足度向上にも繋がります。

さらに、ユーザーテストを実施する前には、目的を明確に設定し、テスト対象者とシナリオの設計を行うことが大切です。また、Webサイトを分析するツールを使うことで、より詳細かつ的確な情報を収集することができます。

正確な情報を得て適切な改善を行うことで、競争力を高め、ビジネスの成功に結びつけましょう。ユーザーテストを上手に活用して、自社の製品やサービスの改善につなげてください。

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