デプスインタビューのメリット・デメリットを徹底解説!プロセスや相場も紹介

監修者

佐藤 祐介
佐藤 祐介

株式会社LIFRELL代表取締役。大手代理店、株式会社オプト、電通デジタルの2社でアカウントプランナーを経験。その後、株式会社すららネットでインハウスマーケターとして事業の立ち上げからマザーズ上場水準まで事業を伸長させる。マーケティング戦略の立案からSEO/WEB広告/SNS/アフィリエイト等の施策で売上にコミット。

専門家

深瀬 正貴
深瀬 正貴

Yahoo株式会社 法人マーケソリューション出身。 鎌倉の海のそばでオフィスFHを運営。 リスティングやSEOをはじめとしたデジタルマーケティングで100社以上の売り上げ課題を解決。
最近の趣味はブームに乗っかったように見えてしまう「焚き火ごはん」。

目次

「デプスインタビュー」という言葉を聞いたことがありますか?

この手法は、対象者との一対一の対話を通じて深い洞察を得るために使用されるインタビュー手法です。

本記事では、デプスインタビューのメリットやデメリットについて詳しく紹介しています。さらに、具体的なインタビュープロセスや費用についても触れています。

デプスインタビューは、多様化する消費者行動について、表層的な情報だけでなく、対象者の内面や真の意図を理解することができるため、貴重な情報を引き出すための重要な手法なのです。

デプスインタビューとは?

デプスインタビューは、調査対象者とインタビュアーが1対1で対面し、深く掘り下げた情報を収集するための定性調査の手法です。

通常、60〜90分という比較的長い時間をかけて行われ、対象者の意見や感想、経験などを詳細に聞き取ります。

デプスインタビューは特に、感情や動機、価値観などの深層を探るのに適しています。

デプスインタビューは定型調査

デプスインタビューは定性調査の一部であり、これは定量調査とは異なるものです。

・定量調査

数値や量的なデータを収集するための手法で、あらかじめ回答の選択肢が設定され、大量のデータを効率的に収集することができます。

・定性調査

対象者の言葉や感情を重視し、その背後にある考え方や意図を探るための手法です。

総務省の「ICTベンチャー・グローバル・マネジメント・プログラム」では、「定性的データは質的データを、また定量的データは数的データを把握しやすい。」としています。

デプスインタビューでは、数人の対象者と個別に時間をかけて話をし、彼らの言葉を通じて情報を得ることができます。

これにより、表面的な情報ではなく、潜在的なニーズや動機を発見することが可能となります。これは新しい商品やサービスを開発する際、市場にまだ認識されていないニーズを掘り起こすのに非常に有用です。

文部科学省 小学生のメディア接触状況と意識・生活に関する実態調査「インタビューのガイドライン」

文部科学省は、「小学生のメディア接触状況と意識・生活に関する実態調査」を行った際のガイドラインを詳細に示しています。説明事例を参考にインタビューを行うと効果的です。

グループインタビューやエスノグラフィー調査との違い

デプスインタビュー以外にも、グループインタビューやエスノグラフィー調査など、様々な定性調査手法が存在します。

・グループインタビュー

複数の消費者を一度に対象とし、彼らの間での意見交換を通じてデータを収集する手法です。これは、消費者の考えや本音を集めるのに有効で、特に市場に既に存在する商品やサービスに関する意見を収集する際によく使用されます。

・エスノグラフィー調査

消費者の自然な環境で行動や態度を観察し、深い理解を得るための調査手法です。エスノグラフィー調査では、インタビュアーが対象者の生活環境に浸透し、彼らの日常生活を観察しながらデータを収集します。

これにより、商品やサービスが消費者の生活の中でどのように使用されるか、またはどのように受け入れられるかを理解することができます。これは特に新しい商品開発の際に、消費者の実際の生活環境やニーズを考慮した設計を行うために非常に有用です。

これらの手法を比較すると、デプスインタビューは個人の深層の感情や考えを探る」のに適しており、「グループインタビューは複数の人の意見や反応を同時に収集する」のに、「エスノグラフィー調査は実際の生活環境を詳細に分析する」のに適しています。

デプスインタビューのメリット

以下に5つのメリットをご紹介します。

メリット①:本人も気づいていない心理やニーズがわかる

デプスインタビューでは、調査対象者の考えや心情に深く焦点を当てるため、本人が意識していない可能性のあるニーズや欲求に気づくことができます。

例えば、消費者が特定の商品に不満を抱えている場合、デプスインタビューを通じてその不満の根本的な原因を特定し、解決策を模索することができます。

これにより、マーケティング施策や製品開発において、消費者の実際の要望により適切に対応することが可能になります。

メリット②:意思決定を段階的に分解できる

デプスインタビューを使用して、消費者の意思決定プロセスを段階的に分析することができます。

例えば、高価なスマートフォンの購入を考えてみましょう。消費者がこのような製品を購入する際、まずブランドや性能に注目するかもしれません。

次に、価格やレビューを比較し、さらに友人や家族からの意見を求めるかもしれません。最終的に、これらの要因を考慮して購入の決断を下します。

デプスインタビューでは、これらの段階を1つずつ分解し、消費者がどのように情報を収集し、どの要因が最終的な決断に影響を与えるかを理解することができます。

これにより、製品やサービスを市場に投入する際、消費者の意思決定プロセスに合わせてマーケティング戦略を最適化することが可能です。

メリット③:デリケートなテーマに触れられる

デプスインタビューは、1対1の設定で行われるため、デリケートなテーマについても深く掘り下げることができます。

例えば、病気に関する経験や、個人的な財務状況、投資戦略、趣味など、一般的には公に話すことが少ないトピックについても議論することができます。

これにより、これらのデリケートなトピックに関連する製品やサービスの開発において、対象者の実際のニーズや懸念を理解することができます。

メリット④:対象者の本音を聞ける

デプスインタビューの1対1の設定は、対象者が他人の目を気にせず、また他人の意見に影響されることなく、自分自身の考えや感情を開放的に表現することを可能にします。

例えば、社会的な圧力や同調圧力が存在する議題の場合、グループ内でのディスカッションではなかなか表面に出てこないような本音を引き出すのに役立ちます。

これにより、調査者は対象者の真の感情や意見を把握し、より正確で深い洞察を得ることができます。

メリット⑤:自由にインタビュー形式を展開できる

デプスインタビューは柔軟性が高く、さまざまな形式で行うことができます。

これはオンラインでもオフラインでも実施することができ、対象者の利便性を考慮しながらインタビューを計画することができます。

例えば、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、オンラインインタビューが増えており、ビデオ通話を利用してリモートでインタビューを行うことが一般的です。

【オンラインでのデプスインタビュー

地理的な制約を解消し、様々な場所から対象者を集めることができる利点があります。

【オフラインでのデプスインタビュー

対面でのコミュニケーションを通じて、非言語的な情報(例:表情や身振り)も含めてデータを収集することができます。

デプスインタビューのデメリット

デプスインタビューはデメリットだけではありません。以下のふたつのデメリットについても知っておく必要があります。

デメリット①:意思や考えが発展しない

デプスインタビューは、一人の対象者と深く掘り下げる形式のため、その個人の考えや感情が中心となります。

これは、あるテーマに関して多角的な視点や意見の交換がないため、対象者の考えが偏ったものになる可能性があるというデメリットを持っています。

グループインタビューのように、複数の人が意見を出し合い、議論を通じて新しいアイディアや考えが生まれることはありません。

このため、デプスインタビューだけに頼らず、複数の調査手法を組み合わせることが、よりバランスのとれた情報収集につながることがあります。

デメリット②:得たい情報が得られない可能性もある

デプスインタビューは対象者の意見を深く探るものであり、それが必ずしも調査者が得たい情報と一致するわけではありません。

対象者が話しすぎる、または話がそれることで、情報が混乱することもあります。また、逆に対象者が消極的である場合、十分な情報を引き出すことができないかもしれません。

調査者は、インタビューの進行を適切にコントロールし、対象者の話を適切な方向に導く技術を持っている必要があります。

デプスインタビューを実施するプロセス

効果的なインタビューを実施するためには、以下の6つのプロセスを慎重に進める必要があります。

手順①:インタビューの目的を明確にする

デプスインタビューを効果的に行うためには、最初に調査の目的や課題を明確にします。

何を知りたいのか、どのような情報が必要なのかを整理し、具体的な疑問点や仮説を設定します。

例えば、新商品の開発にあたって、消費者のニーズや嗜好に関する深い洞察を得ることが目的かもしれません。

この段階では、インタビューの質問ガイドも作成し、どのような質問を通じて目的を達成するかを検討します。

手順②:対象者を選定する

インタビューの目的に沿って、適切な対象者を選定します。

これには、年齢、性別、職業、趣味などの基本的な属性以外に、インタビューのテーマに関連する特定の経験や知識を持つ人が望ましいです。

例えば、特定の商品を使用している人や、特定のサービスに興味を持っている人などが考えられます。

また、対象者が積極的に話せること、自分の意見や経験を分析して語る能力があることも重要です。

手順③:インタビューの謝礼を決める

デプスインタビューに参加する対象者には、その時間と協力に対して謝礼を支払うのが一般的です。

謝礼の額は、インタビューの長さ、対象者の属性、専門性などによって異なります。

一般的な消費者を対象とする場合、約60分のインタビューで8,000円〜10,000円が相場ですが、専門職や特定のスキルを持つ人へのインタビューでは、それ以上の謝礼が必要になることもあります。

手順④:フローを作成する

デプスインタビューを効果的に進めるためには、事前に質問の流れや順序を整理し、フローを作成することが重要です。

これには質問のリスト作成に加え、どの質問を重視し、それぞれの質問にどれくらいの時間を割くかを考慮します。さらに、対象者の反応に応じて柔軟に質問を追加したり、順序を変更できる余地も持たせると良いでしょう。

手順⑤:インタビューを実施する

計画したフローに基づき、インタビューを実施します。

この際、対象者がリラックスし、本音を話せるような環境を整えることが重要です。

複数の対象者をインタビューする場合、効率的なスケジュールを組み、集中して短期間でインタビューを行うことで、時間的なコストを抑えることができます。

手順⑥:インタビューから得た結果を分析する

インタビューが終了したら、得られた回答と情報を整理し、分析します。

ここでは、目的や課題に沿った観点で、得られた情報のパターンや傾向を見つけ、深い洞察を抽出する作業が行われます。

重要なのは、対象者の意見を客観的に評価し、偏りを排除することです。分析結果はレポートにまとめ、関係者と共有することで、情報の属人化を防ぎながら、結果を活用する基盤を作ります。

これが、デプスインタビューを成功させるための重要なプロセスです。

デプスインタビューを実施する際の注意点

ここでは、デプスインタビューを実施する際の注意点を紹介します。インタビュアーの大切な心得は聞き役に徹することです。また、質問を細かく作りすぎず、相手の発言を深掘りすることを徹底することも重要です。

注意点①:インタビュアーは聞き役に徹する

デプスインタビューでは、インタビュアー自身の意見や結論を語ることは控え、インタビュイーが自身の言葉で自分の経験や考えを表現できる空間を提供することが重要です。

また、インタビュイーが沈黙してしまったときでも、焦って誘導的な質問をするのは避けましょう。沈黙は考えるための重要な時間であり、インタビュイーが自身の考えを整理し、深い洞察を共有する機会になり得ます。

注意点②:オープンクエスチョンを意識する

質問は目的に合わせて事前に準備し、それをガイドラインとして使います。ですが、それだけに固執せず、インタビューの流れやインタビュイーの反応に応じてアドリブで質問を追加することも重要です。

このとき、質問は原則としてオープンクエスチョン(開放的な質問)形式で行うべきです。

【オープンクエスチョン

「あなたはどう思いますか?」や「それについてもっと詳しく教えていただけますか?」のように、インタビュイーが自分の考えや感情を自由に表現することを促します。

【クローズドクエスチョン(閉じた質問)】

「あなたはこれが好きですか?」のように、インタビュイーの回答をYESまたはNO、あるいは特定の選択肢に限定します。

注意点③:対象者の行動を深掘りする

デプスインタビューでは、対象者の行動や考え方、意見に対する深い理解を得ることが目的です。

そのため、対象者の行動や言葉だけでなく、それに至る背景や思考、感情などを深掘りすることが重要です。行動が起こる前後で何を感じていたのか、その行動を選んだ理由は何か、などを具体的に聞いてみましょう。

これにより、対象者自身が意識していない無意識の動機やバイアス、価値観などが明らかになり、より深い洞察や理解を得ることが可能となります。

注意点④:インタビュアーを誰がおこなうのかも意識する

インタビュアーがどのような人であるかという属性(例えば、性別、年齢、職業、専門知識など)は、対象者の回答や態度に影響を与える可能性があります。

たとえば、技術的な話題については、専門知識を持つインタビュアーが適切な質問を行いやすく、対象者も自分の意見を理解してもらえると感じやすいでしょう。

また、自社の製品やサービスに対する評価を聞く場合、社内の人間がインタビューを行うと対象者が本音を言いにくいと感じることがあります。このような場合には、中立的な立場を持つ第三者にインタビューを依頼することで、より率直な意見や感想を得られる可能性があります。

デプスインタビューの費用相場

デプスインタビューをマーケティングリサーチ会社へ委託すると、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。費用の名目は会社によってさまざまですがトータルの費用としては20万〜35万円程度が相場です。

基本的な費用相場

デプスインタビューを行う際の基本的な費用相場は5万~15万円程度となりますが、これはあくまで一般的な指標であり、具体的な金額はインタビューの内容、質問の数やシナリオの複雑さにより前後します。

また、インタビューを実施する者の専門性や経験、技量によっても費用は変動します。

リクルーティング費

リクルーティング費は、デプスインタビューの対象者に支払う報酬のことを指します。

基本的には1万5千円前後です。この費用は、自社の顧客を対象にする場合や、クラウドソーシングなどを利用して対象者を募集する場合などによって、数千円から数万円の差が出ることがあります。

レポーティング費

レポーティング費は、インタビューの結果をまとめ、レポート化する際にかかる費用を指します。簡易的なレポートであればおよそ5〜15万円となることが多いですが、レポートのボリュームや詳細度、分析の深度によって費用は前後します。

基本料金、リクルーティング費、レポーティング費の他に、謝礼や会場利用料が発生します。

デプスインタビューの結果を分析する方法

ここでは、インタビュー結果をどのように分析するのか解説します。参加者の発言録を作成し、音声を録音しておくと漏れがなく効率的に調査がスムーズに進みます。

方法①:KJ法

KJ法はグルーピングと構造化の手法で、個々の情報をカードに書き出し、類似性を持つもの同士をグループ化していきます。

この手法は「カード化→グループ化→図解化→文章化」という4つのステップから成り立っています。

ステップ説明
カード化・デプスインタビューの結果を個々の情報としてカードに書き出す
グループ化・カードに書かれた情報を内容や意味が近いもの同士でグループにまとめる・関連性のある情報を見つけて組み合わせ、全体の構造を作り上げる
図解化・グループ化した情報を視覚的に表現する・それぞれのグループの関連性や優先度、流れなどを図示し、情報の全体像を理解しやすくする
文章化・グループ化された情報や図解化された全体像をもとに、文章でまとめる

方法②:KA法

KA法は、ユーザーの行動や感情を深堀する手法で、「気づき」を体系的に集めるのが特徴です。

KA法では、「KAカード」を用いて観察やインタビューから得られた「気づき」を記録します。1つの出来事や「気づき」について1枚のKAカードを作成します。

KAカードには、「何を」「誰が」「どのような状況で」「何を思ったのか」「それによって何が起きたのか」を記入します。これにより、ユーザーの行動や結果から背景にある思考や価値観を理解することができます。

まとめ:深層部分を掘り下げて対象者から情報を潤沢に得るならデプスインタビュー

この記事では、デプスインタビューのメリットやデメリットについて詳しく説明しました。

デプスインタビューは、対象者との一対一の対話を通じて深層を掘り下げることができるため、生活や行動の裏側にある理由や動機を明らかにすることができます。また、個人の生活実態や商品の利用実態だけでなく、行動の理由や満足度の裏側にある情報も把握することができます。

「なぜ」や「どうして」といった質問を通じて、情報を明らかにしていくことができます。デプスインタビューを活用することで、より洞察に富んだ情報を得ることができるでしょう。

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