アドフラウドとは?仕組みや事例、対策ツールなどをわかりやすく解説

監修者

佐藤 祐介
佐藤 祐介

株式会社LIFRELL代表取締役。大手代理店、株式会社オプト、電通デジタルの2社でアカウントプランナーを経験。その後、株式会社すららネットでインハウスマーケターとして事業の立ち上げからマザーズ上場水準まで事業を伸長させる。マーケティング戦略の立案からSEO/WEB広告/SNS/アフィリエイト等の施策で売上にコミット。

専門家

深瀬 正貴
深瀬 正貴

Yahoo株式会社 法人マーケソリューション出身。 鎌倉の海のそばでオフィスFHを運営。 リスティングやSEOをはじめとしたデジタルマーケティングで100社以上の売り上げ課題を解決。
最近の趣味はブームに乗っかったように見えてしまう「焚き火ごはん」。

目次

「アドフラウド」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?

アドフラウドはデジタル広告に携わる方々にとってますます身近で注意しなければならないものとなっており、やり方次第で、多大な広告費を不正に搾取されてしまうのです。

この記事では、アドフラウドの種類や仕組みについて、分かりやすく解説していきます。

また、実際に行われたアドフラウドの事例をあげることで、その危険性についても注目していきます。

デジタル広告に携わる方々必読の記事となっていますので、ぜひ最後まで読んでください。

アドフラウド(Ad Fraud)|効果がかさ増しされた不正広告

アドフラウドの意味とは?

アドフラウド(Ad Fraud)は、不正な方法で広告の表示回数やクリック数を人工的に増やす行為を指します。


この行為により、広告主は想定していた以上の費用を支払うことになり、一方で広告プラットフォームやサイト所有者は正当な広告の収益を享受できなくなる可能性があります。

アドフラウドは、広告業界全体に深刻な問題となっており、テクノロジーと経済の両面から解決策が求められています。

アドフラウドによる広告主への被害・被害額

アドフラウドは、広告主にとって重大な被害をもたらします。広告主は、人工的に増加させられた表示回数やクリック数に基づいて広告費を支払うため、意図した効果を得られずに大きな損失を被ることがあります。

広告主への被害額は、多くの場合、年間10億ドルにのぼります。
2020年のアドフラウドによる世界的な損失額は約230億ドルで、これはオンライン広告支出の約1割に相当します。
しかも、この数字は今後も増加傾向にあると予想されています。

このため、広告主はアドフラウドを防ぐための適切な戦略と技術を用いることが重要です。
広告の配信を監視し、不正な行為を検出するためのツールやサービスを活用しましょう。

以下で詳細を解説いたします。

アドフラウドの種類・それぞれの仕組み

種類①:クリック洪水

クリック洪水(Click flooding)は、広告のクリック数を人工的に増やすための手法で、広告主からの広告費を不正に得る目的で行われます。

この手法では、ボットやマクロを使って大量の偽のクリックを生成します。これにより、広告主は非現実的に高いクリック数に基づいて広告費を支払うことになります。

種類②:インストールハイジャック

インストールハイジャック(Install hijacking)は、ユーザーが自然にアプリをインストールするときに、その信用を不正に取得する手法です。

この手法では、アドフラウドがユーザーがアプリをダウンロードし、インストールするときのクリックを「ハイジャック」します。
その結果、広告主は広告がアプリのインストールに直接影響を与えたと誤解し、広告費を支払います。

種類③:インストールバリデーション

インストールバリデーション(Install validation)フラウドは、不正な広告ネットワークが実際のアプリインストールを偽造し、広告主から報酬を得る行為です。

この手法は通常、広告主がアプリのインストール数に基づいて広告費を支払う場合に発生します。

不正なネットワークは、ボットやエミュレータを使って実際には存在しないユーザーによるアプリのインストールを模擬します。これにより、広告主は誤って広告効果が実際よりも高いと判断し、余計な広告費を支払うことになります。

種類④:ボット

ボット(Bot)によるアドフラウドは、自動化されたプログラム(ボット)が人間のユーザーを模倣して広告を表示し、クリックしたり、アプリをダウンロードしたりします。

ボットは広告の視聴、ページビュー、クリック、さらにはフォームの送信やアプリのインストールといった、ユーザーの行動を自動化する能力を持っています。

ボットによるフラウドは、広告主に対して人間のユーザーによる実際の行動がもたらすよりも多くの広告料を課金する可能性があります。

種類⑤:異常行動

異常行動(Anomalous behavior)によるアドフラウドは、通常のユーザー行動とは異なる行動パターンを示すことによって行われます。

例えば、短期間に大量の広告クリックや、通常はない時間帯(深夜など)に多数の行動が確認されるなどがあります。
これらの異常な行動パターンは、人間のユーザーではなくボットによって生成される可能性があります。

種類⑥:端末養殖場

端末養殖場(Device farms)は、一つまたはそれ以上の場所に集中的に配置された大量のスマートフォンやタブレットなどのデバイスを用いて広告フラウドを行う手法です。

端末養殖場は、広告を表示し、クリックすることで広告主から不正に報酬を得ることを目的としています。
端末養殖場は非常に高度な手法で、複数のデバイスを利用して人間のような行動を模倣し、フラウド検出システムを回避することができます。

アドフラウド対策にはどういったことが必要なのか

アドフラウドに関する知識を学ぶ

まず第一に、広告主自身がアドフラウドの存在とその潜在的な影響を理解することが重要です。

そのためには、アドフラウドの基本的な概念、主な手法、被害の規模などについて学び、最新の情報を常に把握することが求められます。

さらに、広告プラットフォームや広告代理店などのパートナーと協力し、アドフラウドの問題について共有の理解を持つことも重要です。

Googleは、「無効なアクティビティとアドフラウド(広告の不正行為)への対策」を公開しています。

CTIT(Click to Install Time)を測定する

CTITは、ユーザーが広告をクリックしてからアプリをインストールするまでの時間を測定する指標です。

この指標は、アドフラウドを検出するための重要なツールとなります。

なぜなら、広告をクリックしてからアプリのインストールまでの時間が極端に短い場合や、一定のパターンで発生する場合は、ボットやスクリプトによる不正な行為の可能性が高いからです。

CTITの分析により、不自然な行動パターンを検出し、アドフラウドのリスクを低減することができます。

アクティブ率に注目して被害を受けているか確認する

アプリの広告を行っている場合、インストール後のアクティブ率を確認することは重要です。

これは、不正にインストールされたアプリはユーザーによるアクティブな利用がほとんどないためです。
したがって、インストール数は多いけれどもアクティブユーザー数が極端に少ない場合、それはアドフラウドの可能性を示す警告信号となります。

ブランドセーフティの観点から、出稿先のサイトを吟味する

広告の出稿先サイトを選ぶ際には、そのサイトの評判や信頼性を確認することが重要です。

不適切なコンテンツや詐欺的な行為が行われているサイトに広告を出稿すると、そのサイトの不正行為の一部となる可能性があり、さらに、ブランドの評判を損なう可能性もあります。

広告主は安全性を確保するために、広告を出稿するサイトを厳しく吟味し、そのサイトが自社の価値観と合致していることを確認するべきです。

アドフラウド対策ツールやシステムを導入して対策する

アドフラウド対策ツールやシステムは、広告の配信とパフォーマンスを監視し、不正な行為を検出するための強力な手段です。
これらのツールやシステムは、人間のユーザーとボットの行動を識別し、異常な行動パターンや信頼できないソースからの広告クリックを検出します。

広告主は、このようなツールを使用してリアルタイムで広告のパフォーマンスを監視し、必要に応じて迅速に対策を講じることが可能です。

アドフラウドの事例を紹介

アドフラウドは非常に多くの形をとりますが、以下に具体的な事例をいくつか紹介します。

事例①:Methbot(メスボット)

Methbotは、広告主から数百万ドルを詐取した大規模なアドフラウドの事例です。

ロシアのサイバー犯罪者グループが運営し、インターネット上の数千台のサーバーを利用して、日当たり3億から6億回ものビデオ広告のインプレッションを偽造しました。

このオペレーションは、1日に約500万ドルの広告費を詐取したと推定されています。

事例②:DrainerBot(ドレイナーボット)

DrainerBotはモバイルデバイス向けのアドフラウドの例です。

この不正な広告ボットは、人気のあるアプリの中に隠れていて、ユーザーがそれらのアプリを使用すると、バックグラウンドで大量の広告ビデオをダウンロードして視聴し、広告収入を不正に稼ぎ出します。

結果として、ユーザーのデータ使用量を大幅に増やし、バッテリー寿命を短くすることでユーザーに迷惑をかけました。

事例③:SDK Spoofing(SDKスプーフィング)

SDKスプーフィングはアプリインストールフラウドの一種で、不正な広告ネットワークが、ユーザーがアプリをインストールしたかのように装い、広告主からインストール報酬を不正に得る手法です。

実際にはインストールが行われていないため、広告主は誤ったデータに基づいて報酬を支払うことになります。

おすすめのアドフラウド対策ツール2

ツール①:FICS

FICS(Fraudlogix’s Integrated Compliance Suite)は、Fraudlogix社によって提供される広告フラウド対策ソリューションの一つです。FICSはリアルタイムで広告フラウドを検出し、その詳細な分析を提供します。


ボットトラフィック、データセンタートラフィック、偽のデバイス、ブランドの安全性など、広告主が気にする要素全てをカバーしています。
このシステムは透明性と効率性を追求し、広告主が自分の広告がどのように配信されているかを詳細に把握することができます。

ツール②:Spider AF

Spider AFは、AIを活用した広告フラウド対策ツールで、日本の企業Shinrai Partnerによって開発されました。

Spider AFは、異常なトラフィックや行動をリアルタイムで検出し、その原因となるソースを特定します。これにより、広告主はフラウドを即座に阻止し、それが広告キャンペーンの効果に悪影響を及ぼすのを防ぐことができます。また、Spider AFは詳細なレポートを提供し、広告主が自分の広告キャンペーンをより深く理解し、それを改善するための洞察を提供します。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

この記事ではアドフラウドの種類と仕組みについて詳しく解説しました。

また、アドフラウドが起こることで広告費が無駄になるだけでなく、広告配信が停止されることやユーザーへ迷惑がかかることなどの重大な影響もあることを事例を元に説明しました。

アドフラウドは現代のデジタル広告業界における重要な課題であり、求められるのは安全性の確認とより良い対策を確立することです。

適切な対策で貴重な広告費を無駄にしないように気をつけましょう。

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