Web広告には様々な課金方式があるかと思いますが、その中でもよく耳にするのが「CPM」ですよね。
CPMとは「Cost Per Mille」の略で、広告が1000回表示されるのにかかる費用を意味します。
この記事では、CPMの詳しい説明、計算方法、そしてCPM方式のメリット・デメリットについて解説していきます。
CPMを正しく理解し、費用対効果を上げる方法まで学びましょう。
CMP(インプレッション単価)とは?
CPMの意味や計算方法について解説します。
インターネット普及によるデジタル広告の市場規模拡大
情報通信白書のグラフから読み取れるように、新型コロナウイルスに伴いデジタル化が進みインターネット広告(デジタル広告)の市場規模が急激に拡大しています。
運用型広告において課金形式を十分に理解しておくことは非常に重要です。
CPMの正式名称や意味
CPMは、「Cost Per Mile」という英語表現が由来で、ウェブ広告業界で広く使われている指標のひとつです。
しかし、ここでの「Mile」は、一般的な距離単位としてのマイルではなく、「Mille」(ミレと読み、ラテン語で1000を意味する)が正しい表記です。
したがって、CPMの正式名称は「Cost Per Mille」であり、直訳すると「1000回の表示ごとの広告費」を意味します。
具体的には、CPMは広告主がウェブ広告を1000回表示するたびに支払う金額を示す指標であり、広告の効果を測る際の基準となります。
この指標は、広告のインプレッション(表示回数)に対するコストを評価することができるため、広告主や広告配信会社にとって重要な意味を持ちます。
CPMと似ている用語と意味と違い
ウェブ広告業界には、CPM以外にも様々な用語や指標が存在します。ここでは、CPMと似ている用語について、その意味と違いを解説します。
CPCの意味と違い
CPC(Cost Per Click)は、「クリックごとの広告費」を意味します。CPCは広告がクリックされるたびに広告主が支払う金額を示す指標であり、ユーザーが広告に興味を持ってアクションを起こすことを重視した評価基準です。
【違い】
- CPM:広告が「表示」される回数に基づいて広告費を評価する指標
- CPC:広告が「クリック」される回数に基づいて広告費を評価する指標
CPVの意味と違い
CPV(Cost Per View)は、「視聴回数ごとの広告費」を意味します。CPVは動画広告が対象で、広告が視聴されるたびに広告主が支払う金額を示す指標です。
【違い】
- CPM:広告が「表示される回数」に基づいて広告費を評価する指標
- CPV:「動画が視聴される回数」に基づいて広告費を評価する指標
eCPMの意味と違い
eCPM(Effective Cost Per Mille)は、「効果的な1000回の表示ごとの広告費」を意味します。
CPCやCPAを、1000回インプレッションに対してどのくらい広告費がかかったかを評価するために用いられる指標です。
【違い】
- CPM:広告が表示される回数に基づいて広告費を評価する指標
- eCPM:他の広告モデル(CPCやCPAなど)において、インプレッションに対する広告費の効果を評価する指標
vCPMの意味と違い
vCPM(Viewable Cost Per Mille)は、「視認可能な千回の表示ごとの広告費」を意味します。vCPMは、広告が実際にユーザーに表示された(視認可能な)回数に基づいて広告費を評価する指標です。
これは、画面外やすぐにスクロールされてしまうなど、ユーザーに実際に見られない広告のインプレッションを除外して評価することを目的としています。
【違い】
- CPM:広告が表示される回数に基づいて広告費を評価する指標
- vCPM:広告が実際にユーザーに表示された(視認可能な)回数に基づいて広告費を評価する指標
CPMの計算方法と費用相場
CPMの計算方法は以下の式で示すことができます。
CPM = (広告費用 ÷ インプレッション数) × 1000
まず、広告費用(実際に広告にかかった費用)をインプレッション数(広告が表示された回数)で割ります。その結果に1000を掛けることで、千回の表示ごとの広告費(CPM)が求められます。
【例】あるWeb広告の運用で、広告費用が10,000円かかり、その広告が50,000回表示された場合、CPMを計算すると以下のようになります。
CPM = (10,000円 / 50,000回) × 1000 = 200円
この場合、広告が1000回表示されるごとに200円の費用がかかることになります。このCPMの値を使って、広告の費用対効果を評価し、運用を最適化することができます。
このCPMの値が高いほど、広告主はインプレッションあたりの広告費が高くなっていることを意味し、逆にCPMが低いほど、インプレッションあたりの広告費が抑えられていると言えます。
広告主や広告配信会社は、このCPMを参考にしながら、広告の効果や予算配分を最適化していくことが求められます。
CPMの費用相場は、広告媒体やターゲットとなるユーザー層、広告配信地域、業界などによって異なります。一般的には、次のような傾向があります。
【プラットフォーム】
SNSプラットフォームや動画共有サイトなどの大規模なプラットフォームでは、競合他社との競争が激しく、CPMが高くなることがあります。
【ニッチな業界】
ニッチな業界やターゲット層を狙った広告は、競合他社が少ないため、CPMが低くなることがあります。
【地域性】
地域によっても、広告競合状況やユーザーの購買力により、CPMが異なることがあります。
また、CPMは季節やイベント、広告主の予算変動によっても変動することがあります。したがって、CPMの費用相場は一概には言えず、実際の広告運用状況を踏まえて評価する必要があります。
広告主は、CPMを参考にしながら、広告の効果や予算配分を最適化していくことが求められます。また、広告主は、ターゲットとなるユーザー層や配信地域などの要素を考慮し、最適な広告戦略を立案することが重要です。
CPM課金方式の3つのメリットとは?
CPM課金方式は、広告が表示される回数(インプレッション数)に基づいて広告費が算出される方式です。ここでは、CPM課金方式の3つのメリットを解説します。
メリット①:クリック単価を下げやすい
CPM課金方式では、広告が表示される回数に対して広告費がかかりますが、クリック数には直接影響しません。
このため、広告が魅力的でクリック率が高い場合、クリック単価は相対的に下がります。これは、CPC(Cost Per Click)方式と比較して、同じ予算でより多くのクリックを獲得できる可能性があることを意味します。
その結果、効率的な広告運用が期待できます。
メリット②:広告費の算段をつけやすい
CPM課金方式では、広告が表示される回数に基づいて広告費がかかるため、広告主は予め広告費用を算出しやすくなります。
これにより、予算管理や効果測定がしやすくなります。
具体的には、広告主は予算を設定し、その範囲内でどれだけのインプレッションが得られるかを見積もることが容易になります。
また、運用中の広告キャンペーンの費用対効果を把握しやすく、効果的な広告運用が可能になります。
メリット③:広告表示回数が多いため認知度の拡大に強い
CPM課金方式は、広告が表示される回数が重視される方式であるため、多くのユーザーに広告を見せることができます。
この結果、ターゲットとなるユーザーに対して繰り返し広告を表示することで、ブランドや商品の認知度を高める効果が期待できます。
特に、新しいブランドや商品の認知を広げたい場合や、イベントなどの短期間で集客が必要な場合には、CPM課金方式が適しています。
広告表示回数が多いことで、ユーザーが繰り返し広告を目にし、ブランドや商品に興味を持つ可能性が高まります。これにより、広告効果の最大化が期待できます。
CPM方式にはデメリットもある
CPM方式には確かにメリットがありますが、デメリットも存在します。以下に、CPM方式の主なデメリットを2つご紹介します。
デメリット①:CTRは低い傾向にある
CPM方式では、広告が表示される回数に基づいて広告費がかかるため、クリック数に直接的な影響はありません。
そのため、表示回数が増えてもクリック数が伸び悩む場合があり、CTR(クリックスルーレート)が低い傾向にあることがデメリットとなります。
CTRが低いと、効果的なコンバージョンが得られにくくなることがあるため、獲得を目的とする広告主にとっては最適な広告運用が難しくなることがあります。
デメリット②:コストパフォーマンスが低下する場合がある
CPM方式では、インプレッション数に基づいて広告費がかかりますが、これはクリックやコンバージョンに直接関連しない指標です。
そのため、広告表示回数が多くても、クリックやコンバージョンが期待通りに得られない場合、コストパフォーマンスが低下することがあります。
特に、広告がターゲットユーザーに適切に配信されていない場合や、広告クリエイティブが魅力的でない場合、このデメリットが顕著になることがあります。
このような場合、広告主は広告運用を最適化するために、ターゲティングやクリエイティブの改善が必要になります。
CPM課金方式の費用対効果を高めるポイント
CPM課金方式の費用対効果を高めるためには、いくつかのポイントを押さえて広告運用を行うことが重要です。以下に、そのポイントを3つご紹介します。
ポイント①:広いターゲット層に向けた広告を出稿する
CPM課金方式は、広告が表示される回数に基づいて広告費がかかるため、広いターゲット層に向けた広告を出稿することで、費用対効果を高めることができます。
ターゲット層が広いほど、インプレッション数が増加し、広告のリーチが広がります。
その結果、ブランドや商品の認知度が向上し、広告効果を最大化することが期待できます。
【具体例】新商品のローンチキャンペーン
新しい商品を市場に投入する際、広告を出稿して商品の認知度を向上させることが目的です。この場合、広い年齢層や性別を対象とした広告が適切であり、CPM課金方式を活用することで、多くの人に広告を見せることができます。
例えば、新しい飲料商品を出す場合、10代から60代までの男女をターゲットにした幅広い広告を出稿することで、広告効果を最大化できます。
ポイント②:競合の少ないジャンル
競合の少ないジャンルやニッチな市場で広告を出稿することで、CPM課金方式の費用対効果を高めることができます。
競合が少ない場合、広告費が抑えられることがあり、同じ予算でより多くのインプレッションやクリックを獲得することができる可能性があります。
その結果、コストパフォーマンスが向上し、広告効果を最大化することが期待できます。
【具体例】地域限定のサービスやイベント
特定の地域に限定されたサービスやイベントの場合、競合が少なく、広告費が抑えられることがあります。
例えば、地元の観光スポットやイベント、地域限定の美容サロンなどの広告を出稿する際に、CPM課金方式を活用することで、効果的な広告運用が期待できます。ターゲット層が地域限定の場合、同じ予算でより多くのインプレッションやクリックを獲得することが可能です。
ポイント③:他の広告方式との違いを理解して、CPMの特色を活かした広告ないようにする
CPM課金方式は、インプレッション数に基づいて広告費がかかるため、広告が表示される回数が重要です。
そのため、CPM方式の特色を活かした広告内容を作成し、適切なターゲット層に配信することで、費用対効果を高めることができます。
具体的には、広告クリエイティブを工夫し、視認性や訴求力を高めることが重要です。また、ターゲティング設定を最適化し、適切なユーザー層に広告が配信されるように調整することも、費用対効果を高めるポイントです。
【具体例】動画広告を活用したブランドアピール
CPM課金方式の特色を活かすために、動画広告を活用してブランドの認知度を高めることができます。
動画広告は、視覚的なインパクトが強く、ユーザーの興味を引き付けることができます。例えば、自動車メーカーが新しい車種のプロモーション動画を作成し、CPM課金方式で広告を出稿することで、多くのユーザーに動画を見せることができます。
これにより、ブランドや商品の認知度が向上し、広告効果を最大化できます。
CPM課金方式と他の課金方式の使い分けとは?
広告キャンペーンの目的や予算、ターゲット層に応じて、CPM課金方式と他の課金方式をうまく使い分けることが、広告効果を最大化するカギとなります。以下に、使い分けのポイントを2つご紹介します。
目的別使い分け:認知目的ならCPM課金方式を
広告キャンペーンの目的がブランドや商品の認知度向上に重点を置く場合、CPM課金方式が適切です。CPM課金方式は、広告が表示される回数に基づいて広告費がかかるため、多くの人に広告を見せることができます。
一方、コンバージョン(購入や問い合わせなど)を重視する場合は、CPC(コストパーコンバージョン)やCPA(コストパーアクション)など、他の課金方式を検討すると良いでしょう。
クリック率に応じた使い分け:クリック率が0.1%以上ならCPM課金方式を
広告のクリック率が0.1%以上であれば、CPM課金方式がコストパフォーマンスの面で有利になることがあります。
クリック率が高い場合、CPM課金方式で広告を出稿することで、より多くのクリックを獲得できる可能性があります。ただし、クリック率が低い場合は、CPC(コストパークリック)などの課金方式が適切かもしれません。
最終的には、広告主の目的や予算、ターゲット層に応じて、最適な課金方式を選択することが重要です。
広告運用の初期段階では、複数の課金方式を試して、効果的な運用方法を見つけることも有益です。広告効果を評価し、最適な課金方式を選択することで、広告運用の効果を最大化できます。
CPMの計算方法・計算式をまとめ
この記事では、Web広告におけるCPMが「広告が1000回表示されるのにかかる費用」を意味することをご紹介しました。
また、CPMの計算方法や似た用語との比較についても解説しました。
さらに、CPM方式を使うにあたって、広告のターゲティングや配信先の選定など費用対効果を上げるポイントにも触れました。