カスタマージャーニーとは、ユーザーがサービスを知ってから購入するまでのプロセスのことです。
表の形で表すことが多いため「カスタマージャーニーマップ」と呼ばれています。
この記事では、カスタマージャーニーマップとは何か?そして作成するメリットや目的、作り方について解説します。
今までカスタマージャーニーを作成したことがない人でも、この記事を読んで、マーケティングの活用にぜひ活かしてください!
カスタマージャーニーとは
カスタマージャーニーとは一言で言うと「ユーザーの行動や感情を可視化したもの」です。
製品やサービスをどこで知り、どのように名前を覚え、そして購入に至るか、といったプロセスを「旅」のようにまとめるツールです。
マップのように図式化され、どのタイミングでどういったコミュニケーションを取る必要があるのかを整理することを目的としたマーケティング手法です。
カスタマージャーニーマップを作る3つの目的
カスタマージャーニーマップを作る目的はピックアップするとたくさんありますが、主に以下の3つとなっています。
目的1. 社内外チームでの共通認識を作成
メリットと同じく、社内での共通認識はカスタマージャーニーマップの大きな目的でもあります。
ビジネスの目標などはチームによって異なるため、共通認識がなければ、開発・デザイン・営業などがそれぞれ個別の目標を設定してしまうため、施策にズレが生じてしまいます。
カスタマージャーニーマップを用いて組織全体の認識のズレをなくすことで、施策をスムーズに進めることができます。
目的2. ユーザー行動の把握
ユーザーが商品を知るところからスタートし、商品名の認知、検討、購入というプロセスをカスタマージャーニーマップで可視化することで、どのタイミングでどういった接触をすればいいのかがわかり、その行動の背景にある思考や課題に気づきやすくなります。
目的3. 課題や施策の優先度決定
カスタマージャーニーマップでは一連のユーザー行動を確認することができるため、ユーザーが抱えている課題や悩みも可視化することができます。
ユーザーが行動を起こすきっかけや障壁をマップで確認できることで、緊急度の高い施策を議論することができるようになります。
カスタマージャーニーマップを作るメリット
カスタマージャーニーマップを作成するメリットを3つご紹介します。
メリット1.社内での認識共有
カスタマージャーニーマップの最大のメリットは「社内での認識共有」です。
たとえば、2020年の時点で、ヒューストンに本社を置くサプライチェーン・サービス会社であるITIマニュファクチャリングでは、戦略に関する社内の認識の一致度が20%に満たなかった。
しかし、その3年後、認識の一致度は82%に上昇していた。それに伴い、売上高も23%増加し、従業員は勤務時間の50%以上を顧客のための課題解決に費やしていると述べるようになっている。
カスタマージャーニーマップを見れば、制作、広告、営業などのどの部署でも顧客の行動や思考を理解できるようになります。
顧客へのアプローチに対して関係者全員が顧客視点で取り組めるようになるため、カスタマージャーニーマップの作成は重要といえるでしょう。
メリット2.顧客との接点強化
カスタマージャーニーマップでは顧客との接点がどこにあるのかも明確になるメリットがあります。
たとえば、ユーザーが利用しているSNSが何かがわかれば、そのSNSを利用した広告や商品の投稿を行うことで顧客との接点を強化できます。
メリット3.課題の優先順位の明確化
カスタマージャーニーマップは課題の優先順位を明確にできるメリットがあります。
商品やサービスを購入するまでのユーザー課題を明確にすることで、課題の優先順位を設定することができます。
また、スピーディな改善は顧客からの信頼度にもつながり、リピーターを増やすことができます。
カスタマージャーニーマップの作り方
では、カスタマージャーニーマップを作るための具体的な方法を解説していきます。
STEP1. 目標を設定する
カスタマージャーニーマップを作る上で特に重要なのがゴールの設定です。
ついついやってしまいがちなのが「商品を認知させたいけど申し込みも欲しい」という欲張った目標で、これをやってしまうと施策が大きくぼやけてしまいます。
認知以外の目標として、会員登録数を増やす、資料請求数を増やす、といった目標がありますが、どのタイミングでその目標を設定するかを明確に決めておく必要があるでしょう。
目指すべき目標は「どの時期」に設定する目標なのかを明確にした上で、カスタマージャーニーマップの作成に入るようにしましょう。
STEP2. ペルソナの作成
次に、自社にとっての理想のユーザーーペルソナを設定しましょう。
既存顧客がすでにいる場合は、ユーザーアンケートや顧客満足度調査に基づいたペルソナを設定するのが良いでしょう。
ユーザーの行動や思考をより鮮明にイメージするために、具体的な人物像をペルソナを設定するのはとても有効な方法です。
しかし、先ほど申し上げた通り、ペルソナを設定する際は自社の既存顧客の声を元にする必要があり、企業の主観で理想像を作ることはしないようにしましょう。
STEP3. マップを作成
設定した目標、ペルソナをもとに、カスタマージャーニーマップを作成します。
最初に定めた目標に向けて、ユーザーと企業の設定である「タッチポイント」を見つけ、ユーザーの行動変化が起きたポイントとユーザー感情を整理していきます。
あらかじめユーザーについての定量・定性調査を実施しておくといいと思います。
ただし、ユーザーがマップの通りに行動しないこともあります。
そのことを前提とした上で情報を整理し、カスタマージャーニーマップを作成していきましょう。
カスタマージャーニーマップ作成の注意点
カスタマージャーニーマップを作成する際の最も大きな注意点は「作成を目的としてしまう」ことです。
では、カスタマージャーニーマップを作成する際の注意点を2点ご紹介します。
注意点1.主観で作成しない
カスタマージャーニーマップは必ずユーザー目線で作成しましょう。
製品やサービスの開発側が「ここを押しています!」というポイントがあってもそこを元にカスタマージャーニーを作成してしまうと、必ずといっていいほどズレが発生します。
企業側の希望によってユーザーに買ってもらうものではなく、ユーザーの行動を企業が正しく理解するためのものです。
そのためには日頃からユーザーの声を収集し、データに基づいてカスタマージャーニーを作成していくことが大切です。
注意点2.作成後も見直しを行う
一度作ったカスタマージャーニーは、ついつい最初のままいつまでも使い続けてしまいがちです。
しかし、今回のコロナウイルスのケースでもあったように、世の中を取り巻く環境は常に変化します。
ユーザーの行動も環境にともなって変化するため、カスタマージャーニーマップは定期的に見直しをかけるようにしましょう。
まとめ:カスタマージャーニーマップ作成後はPDCAを回すことが大切
いかがでしたでしょうか?
この記事ではカスタマージャーニーマップの意味、目的やメリットと注意点、作り方について解説しました。
カスタマージャーニーは、チーム内でのコミュニケーション設計を行う上で非常に重要なツールです。
まずビジネスのゴールを設定して、目的を明確にしましょう。
そして、カスタマージャーニーマップを作成した後は定期的に見直して、リアルタイムのユーザー視点からマーケティングを行うように心がけてください。