お客様がどのようにサービスや製品との出会いを経て、購入に至るのかが非常に大切です。これを「カスタマージャーニー」といいます。
今回の記事では、カスタマージャーニーの重要性や作成方法、また役に立つテンプレートツールについて詳しく解説していきます。
それでは、あなたのビジネスに合った最適なカスタマージャーニーを作成し、より効果的なマーケティングを展開しましょう!
カスタマージャーニーの意味を解説!
まずは、カスタマージャーニーの意味を詳しく解説します。
カスタマージャーニーとは顧客が購買に至るプロセスのこと
カスタマージャーニーとは、簡単に言えば、顧客が商品やサービスを購入するまでの一連の経験や接触点のことを指します。
これは顧客が最初に商品やサービスを認識し、情報を探し、評価し、最終的には購入するまでの全体の流れを捉えるものです。
カスタマージャーニーの各ステージにおいて、企業は顧客のニーズを理解し、それに応じた情報提供やサービスを行うことで、顧客満足度を高め、売上を伸ばすことが可能になります。
カスタマージャーニーは古いから意味がないという声もある
しかし、カスタマージャーニーが古い概念で、現代のマーケティングには適応できないという意見も一部には存在します。
総務省が公開している情報通信白書から分かるように、インターネットやSNSの普及により、消費者の情報収集や購買行動はより複雑で不確定的になり、従来のカスタマージャーニーはこの現実を捉えきれていないという批判もあります。
しかし、それでもなお、カスタマージャーニーは企業が顧客の行動を理解し、適切なマーケティング戦略を立てるための有力なツールとして位置づけられています。
その理由は、全てのカスタマーエクスペリエンスは記載できなくとも、カスタマージャーニーを利用することで、企業が顧客の視点でビジネスを見直す機会を提供するからです。
顧客の経験をマップ化することで、顧客が直面している問題点や改善の機会を発見し、それを解決することでより良い顧客体験を提供することが可能となるのです。
カスタマージャーニーが必要な理由
現代社会におけるビジネス環境は、数々の要素により、複雑さと速さを増しています。
その一つが、ソーシャルメディアや口コミサイトなどのアーンドメディアの存在によるレピュテーションリスクの増大です。
企業の評価や評判が一瞬で広範囲に拡散するため、企業は風評リスクに対する戦略を持つ必要性が増しています。
また、消費者の価値観の多様化と即時性が求められる現代では、商品・サービスの購入・利用に至るプロセスや情報の文脈(コンテクスト)が複雑化しています。
消費者は即時に商品・サービスについての情報を検索し比較し、その結果を元に購入決定を行うようになっています。
このような複雑かつ即時性を要する環境下で、企業が消費者との接点を理解し、適切なマネジメントを行うためには、カスタマージャーニーマップの活用が有効です。
実例を見ればカスタマージャーニーの意味が理解しやすい!
理論だけでなく、具体的な実例を通じてカスタマージャーニーを理解することは非常に効果的です。
例えば、オンラインショッピングサイトを運営している企業の場合、カスタマージャーニーは以下のようになるかもしれません。
ステージ | 行動 | 思考・感情 | 接点 |
認知 | 顧客が特定の商品を必要とし、オンラインで情報を検索。 | 商品に関する知識が必要。「どのブランドやモデルが最適なのか?」という疑問を抱いている。 | SEO対策が施されたブログ記事、商品比較サイト、SNS上の広告 |
検討 | 顧客が様々なオンラインショッピングサイトや商品レビューを比較。 | 価格、品質、配送速度などを検討。「このサイトで購入すべきか?」と考えている。 | ユーザーレビュー、価格比較サイト、製品詳細ページ、Q&Aセクション |
購入 | 顧客が商品をカートに追加し、購入を完了。 | 購入プロセスが簡単かつ迅速であることを期待。手続きが複雑であるとフラストレーションを感じる。 | ショッピングカート、チェックアウトページ、決済オプション |
利用 | 顧客が商品を受け取り、使用開始。 | 商品が期待通りの性能を発揮し、満足度が高いことを期待。期待外れの場合は不満を感じる。 | 商品、製品マニュアル、カスタマーサポート |
評価 | 顧客が商品の体験を評価し、オンラインでレビューを投稿。 | 良い体験を共有したい。不満がある場合は、それを公表し、企業に対策を求める。 | レビューページ、ソーシャルメディア、カスタマーサポート |
このようなカスタマージャーニーの流れを理解することで、企業は各段階において顧客が何を感じ、何を必要としているのかを把握できます。
例えば、購買段階での顧客の体験を改善するためには、使いやすいウェブサイトデザインや、詳しい商品情報、信頼できるレビューや評価などが重要であるという洞察を得ることができます。
また、このカスタマージャーニーの分析を基に、SNSでの広告戦略やウェブサイトのデザイン、顧客へのフォローアップメールの内容等、顧客体験を全体的に向上させるための戦略を立てることが可能になります。
カスタマージャーニーは意味ないは嘘?可視化するメリット4選
“カスタマージャーニーは意味がない”という意見が一部には存在しますが、それは一概には言えません。ここでは、カスタマージャーニーの具体的なメリットを紹介します。
メリット①:自社製品やサービスの意味を顧客視点で見つめ直せる
カスタマージャーニーの可視化は、企業が自社の製品やサービスを顧客の視点から見つめ直すきっかけを提供します。
具体的には、顧客が製品やサービスをどのように認識し、使用し、評価しているのかを明確にし、それに基づいて製品改良やサービス改善のアイデアを得ることができます。
これは、企業が顧客ニーズを満たし、市場競争力を維持・強化するために非常に重要なプロセスです。
メリット②:メンバーとの情報共有がスムーズになり認識のズレも防げる
また、カスタマージャーニーを共有することで、組織内のメンバー間での情報共有がスムーズになり、認識のズレを防ぐことができます。
たとえば、2020年の時点で、ヒューストンに本社を置くサプライチェーン・サービス会社であるITIマニュファクチャリングでは、戦略に関する社内の認識の一致度が20%に満たなかった。
しかし、その3年後、認識の一致度は82%に上昇していた。それに伴い、売上高も23%増加し、従業員は勤務時間の50%以上を顧客のための課題解決に費やしていると述べるようになっている。
すべてのメンバーが同じカスタマージャーニーを共有していれば、各自がどのような視点で顧客を理解し、どのような行動をとるべきかについての共通理解を持つことができます。
これは、一貫した顧客体験を提供し、組織全体での顧客理解を深めるために有効です。
メリット③:マーケティングプロセスにおける課題が明確になる
カスタマージャーニーマップの作成を通じて、顧客が製品やサービスと接触する全ステージを詳細に分析することが可能となります。
これにより、マーケティングプロセスの中での弱点や改善点を明確に特定することができます。たとえば、特定の段階で顧客が離れてしまうパターンが見つかれば、そこに問題がある可能性が高いと考えられます。
これは、より効果的なマーケティング戦略の策定と顧客体験の改善に直結します。
メリット④:サービスに一貫性が生まれてブランド価値が向上する
カスタマージャーニーマップを使用すると、組織全体で顧客との各接触点が一貫性を持つよう調整することが可能となります。
これは、顧客が製品やサービスとの接触の全てのステージで一貫した体験を得ることを保証します。この結果、顧客の満足度とロイヤルティが向上し、ブランド価値が強化されます。
また、顧客体験の一貫性は、ブランドの信頼性を高め、口コミによる新規顧客の獲得を促進します。
カスタマージャーニーマップの作り方を5STEPで解説!
カスタマージャーニーマップを作成する際には、以下の5つのステップが一般的に推奨されます。
これらのステップを踏むことで、顧客の行動と感情を理解し、それに基づいた製品改善やマーケティング戦略を展開することが可能になります。
STEP①:商品毎のゴールを明確にする
まず始めに、あなたが扱っている商品毎にゴールを明確にします。
これは、顧客が商品を使用することで何を達成したいのか、また、企業がその商品を通じて何を達成したいのかということを明確にすることです。
これにより、カスタマージャーニーマップが目指すべき結果を明確にすることができます。
STEP②:顧客ペルソナを定義する
次に、あなたの商品を購入し、使用するであろう顧客ペルソナを定義します。
ペルソナとは、顧客の代表的な特性やニーズ、行動を具体的に描写したものです。年齢、性別、職業、趣味、価値観などの情報を元にペルソナを作成します。
これにより、あなたが商品を提供するターゲット顧客の理解を深め、その顧客の視点からカスタマージャーニーを見ることができます。
STEP③:ペルソナが辿るフェーズを設定する
ペルソナが商品を知り、購入し、使用するまでのフェーズを設定します。
フェーズは商品やサービスの種類によりますが、一般的には認知、検討、購入、使用、評価の5つのフェーズがよく使われます。
これにより、顧客の購買行動をステップバイステップで追いかけ、どのフェーズで何が起こるかを理解することができます。
STEP④:フェーズ毎の顧客の行動と思考を書き込む
各フェーズにおける顧客の具体的な行動と思考、感情を書き込みます。
顧客がそのフェーズで何をするのか、何を感じるのか、何を考えるのかを具体的に描写します。
これにより、あなたは顧客が商品に接する全体的な経験とその経験における思考や感情を理解することができます。これは、製品改良やサービス改善のアイデアを生み出す基礎となります。
STEP⑤:マッピングして課題と施策を見つける
最後に、上記で作成した情報を基にカスタマージャーニーマップをマッピングします。
このマッピングプロセスを通じて、顧客の体験を視覚化し、それぞれのフェーズでの課題やチャンスを明らかにします。
これは、製品の改良や、顧客体験の改善、マーケティング戦略の最適化などの施策を設定するための基盤となります。
マッピングは、全体的な流れを把握しやすくするためにタイムライン形式で行われることが多いです。各フェーズでの顧客の行動、思考、感情を並べ、それぞれの接点(touchpoint)での体験を詳細に描き出します。
そして、顧客の不満や困りごと、期待を超えた体験などを見つけ出し、その原因を理解し、解決策や改善策を立案します。
カスタマージャーニー分析に役立つテンプレートやツールを紹介
カスタマージャーニーマップを作成する際には、多くのテンプレートやツールが利用できます。これらを活用することで、分析の過程をスムーズに進め、より深い洞察を得ることが可能になります。
フレームワーク前のブレインストーミングに使えるテンプレートツール
Miroは、オンラインのコラボレーションツールであり、多くのプレビルトのフレームワークとテンプレートを提供しています。その中にはカスタマージャーニーマップ作成のためのテンプレートもあり、チーム全員がリアルタイムで共同作業することができます。
サービスURL:https://miro.com/ja/
XMindはマインドマッピングとブレインストーミングのためのツールで、カスタマージャーニーマップ作成にも活用できます。豊富な視覚化機能を活用して、顧客の行動や感情を視覚的にマッピングすることが可能です。
サービスURL:https://jp.xmind.net/
代表的な分析・作成ツール
カスタマージャーニーマップの作成や分析に役立つツールも多数存在します。その中でも特に人気のあるものをいくつか紹介します。
KARTEは、顧客のオンライン行動をリアルタイムで分析し、パーソナライズされたコミュニケーションを可能にするツールです。訪問者の行動履歴や属性情報を基に、それぞれの訪問者に最適な体験を提供します。これにより、カスタマージャーニーマップの作成や、顧客体験の最適化が可能となります。
サービスURL:https://karte.io/
ウェブアンテナは、ウェブ全体のユーザーの行動を分析するためのツールです。特定のキーワードやURLについて、ユーザーがどのような行動をとっているかを追跡し、それを基に顧客行動の傾向やパターンを把握することができます。これは、マーケティング戦略の策定や、カスタマージャーニーマップの作成に役立つ情報を提供します。
サービスURL:https://www.bebit.co.jp/webantenna/
ユーザグラムは、顧客の行動を視覚化するためのツールです。顧客の行動、感情、疑問点などを一覧表示し、それを基にカスタマージャーニーマップを作成します。これにより、顧客の旅を理解し、体験を改善するための具体的なアクションを洗い出すことが可能となります。
サービスURL:https://www.bebit.co.jp/services/ux-ops/usergram/
カスタマージャーニー分析の6つの注意点
カスタマージャーニーマップの分析にあたり、以下の6つの注意点を頭に入れておくと、より意味のある分析が行えます。
注意点①:複数人で分析を行う
一人で分析を行うと、視野が狭くなったり、特定の思考パターンに固執したりする可能性があります。異なるバックグラウンドを持つ人々が参加することで、多角的な視点を得ることができ、より深い洞察を得ることが可能になります。
注意点②:あくまでも顧客の視線を大切にする
自社の商品やサービスを考える際、自分たちの視点から考えるのは容易ですが、カスタマージャーニーの分析では、あくまで顧客の視線を大切にすることが求められます。顧客が何を感じ、どう考えるのかを理解することで、真に顧客のニーズに応える製品改良やサービス改善を行うことができます。
注意点③:時間や労力をかけすぎない
カスタマージャーニーマップの作成や分析は、顧客の視点を深く理解するための手段であり、目的ではありません。
時間や労力を過度にかけてしまうと、その他の重要な業務が疎かになる可能性があります。また、完璧なマップを作ることに固執しすぎると、結果的にアクションを起こす機会が逸してしまうこともあります。必要な情報を得られたら、分析を一度終えて、実際のアクションに移ることも大切です。
注意点④:市場の変化に応じて適宜修正する
市場環境や顧客のニーズは常に変化しています。一度作成したカスタマージャーニーマップが永遠に有効なわけではありません。
新たな競合の出現、技術の進化、社会情勢の変化など、さまざまな要素が顧客の購買行動に影響を及ぼす可能性があります。そのため、定期的にマップを見直し、市場の変化に応じて適宜修正することが重要です。
注意点⑤:ペルソナとターゲットの違いを理解して適切に設定する
ターゲットとペルソナは似ている概念ですが、使い方に違いがあります。ターゲットは市場をセグメント化する際に利用され、広範な消費者のクラスターを指します。
一方、ペルソナはそのターゲット市場内の特定の消費者を具体化したもので、彼らのニーズや行動、価値観などを詳細に描き出します。
カスタマージャーニーマップ作成にあたっては、この両者を適切に設定することが重要です。ターゲットが広すぎるとマップが曖昧になり、ペルソナが具体的すぎるとマップが狭すぎて普遍的な意味を失う可能性があります。
注意点⑥:テンプレートやツールを活用する
テンプレートやツールを活用することで、カスタマージャーニーマップの作成や分析がより効率的になります。
これらはフレームワークを提供し、情報の可視化や整理を容易にします。しかし、それらを使用する際には、自社のニーズや市場環境に応じてカスタマイズすることも忘れてはなりません。
テンプレートやツールはあくまで補助的な存在であり、それらが支配的になることは避けるべきです。
カスタマージャーニーマップの実践例6つ
カスタマージャーニーマップの実用的な使い方を具体的に理解するため、いくつかの企業での取り組み例を取り上げます。
事例1:HubSpot
HubSpotの英語版ブログには、カスタマージャーニーマップの構築に関する詳しい説明が掲載されております。
HubSpotがサブスクリプションモデルのビジネスを行っているため、そのカスタマージャーニーは「購入」「オンボーディング」「通常利用/更新」として構築されているのが注目点です。
主要なコンテンツ構造は下記のようになっています。
・購入過程 ・良好な体験の要点 ・意思決定の要素 ・不快な体験の要点 ・インタラクションポイント ・関わるセクション ・顧客からのフィードバック |
カスタマージャーニーマップのデザインは基本的にシンプルですが、絵文字の使用やカラーコーディングなどのディテールへのアプローチが見られます。
特筆すべきは、顧客の意見を取り入れている点。これにより、社員はより顧客中心の考え方を養うことができています。
事例2:株式会社パソナ パソナキャリアカンパニー(Web担当者Forumより)
株式会社ロフトワークが、パソナキャリアの新卒採用向けのWebサイトのリニューアルを手掛けた際、新卒をターゲットとしたカスタマージャーニーマップを作成しました。
サイトの主な目的は、新しいビジネスを生み出すための人材を引き寄せること。
効果的なカスタマージャーニーマップを速やかに作成するため、まずは目的に合った学生に参加を求めました。
ワークショップを活用して制作を推進することで、学生たちの課題を迅速に把握。わずか2時間でマップの完成に至りました。
主要な制作フローは次の通りです。
・ペルソナの行動収集 ・ペルソナの感じること・思うことの収集 ・問題点の話し合い ・ペルソナの行動と接触点の選出 ・問題の特定 |
カスタマージャーニーマップを作った結果、ペルソナが「希望する企業の情報をしっかり取得できない」という共通の悩みを持っていることが明らかになりました。
この問題解決のため、新卒生と従業員との対話ができるイベントを多数開催。さらに、WebやSNSを集客手段として利用する方針を固めました。
事例3:LANCOM
コスメ大手のLANCOMは、ブランドのエクスペリエンス向上を目指して、カスタマージャーニーマップを導入しています。
彼らが顧客の購入過程を「On my way(LANCOMに辿り着く過程)」「Getting Lancome(LANCOMを理解する)」「Share experience(体験を共有する)」として特有に分類しているのは興味深い。
各段階でのペルソナの問題や疑問、さらには割引や無料試供品、顧顧客の評価、インフルエンサーマーケティングなど、接触点となる要素がマッピングされています。
この実践例を見ると、顧客の疑問や悩みをしっかりと把握することが、スムーズな顧客体験の提供に繋がることが理解できます。
事例4:三井住友銀行
三井住友銀行では、CJMM(Customer Journey Map Management)というカスタマージャーニーマップ手法を活用して、一貫した高品質の体験を提供する取り組みを行っています。
三井住友銀行がCJMMへの導入を選択した背景には、事業領域の多様性と多数の部署が存在し、それらを統一的に管理するのが難しい状況だったからです。
そのため、以下の構造でCJMMを構築しました。
ビジョン:到達目標 ↓ コンセプト:ビジョン達成に向けたデジタル戦術 ↓ ビジネスジャーニーマップ:オンライン・オフライン接点を基にした統合マップ ↓ カスタマージャーニーマップ:実際の取り組みで使用する詳細なマップ ↓ UXフロー:各インタラクションや画面での流れ |
元々、顧客を中心とした考え方が同銀行には存在していたものの、各部門のプロジェクトにフォーカスすることで、独自の最適化が進行していた。
だが、カスタマージャーニーマップを経営の方針として採用したことで、顧客の立場からのアイディア発想や全体的な顧客体験を考慮した施策の実施が容易になったのです。
事例5:株式会社コンセント(亀田製菓事例))
大手の米菓メーカー、亀山製菓は、ファンを増やす目的でコーポレートサイトのリフレッシュを計画しました。
初めに、社内でのアンケートを実施し、ファンとしての基準や米菓への関心を持つ特性を調査しました。
この研究から、「小さい子供がいる家庭の親」で、「亀山菓子の商品は知っているが、選ぶ際に企業名を意識していない」という層をターゲットとして設定しました。
続いて、ターゲットペルソナがファンになる過程の行動や感情を共有するワークショップを4回実施。
この取り組みにより、ペルソナが「家族だんらんが楽しくなる」「安全性や栄養面で信頼できると思える」と感じる体験を通じてファンになるカスタマージャーニーマップを定義しました。
このマップの情報をコーポレートサイトに取り入れることで、ブランドが目指すビジョンやターゲットを魅了するコンテンツ制作が進行中です。
事例6:Chal-tec
Chal-tecは、ベルリンを中心に活動する大規模なECサイトとして知られています。
当初はDJ機器の専門店として営業していましたが、Amazonの影響を受けて、様々なカテゴリの商品を取り扱うECサイトにシフトしました。
この変化に伴い、年商110億円以上を記録する大手ECサイトとなりながらも、DJ機器専門時代の熱狂的なファンを喪失したのです。
そこで、この企業はファンを再獲得するためにAI技術を活用した顧客体験パーソナライズプラットフォーム「Dynamic Yield(ダイナミックイールド)」を取り入れました。
これにより、複数のチャネルを跨いでの緻密なパーソナライズ体験の提供が現実となりました。
具体的には、AIがリアルタイムでユーザーの行動を解析し、DJファンには特定のウェブサイトデザインを提供しました。
カスタマージャーニー全般において、このようなパーソナライズの体験を提供することが可能となり、全体のコンバージョン率は27.6%も向上したのです。
まとめ:カスタマージャーニーを有効活用してビジネスを適切化しよう
この記事では、カスタマージャーニーの重要性や作成の手順、テンプレートツールについて解説しました。顧客がどのように購買行動をするかを理解することで、事業展開やマーケティング活動の改善につながります。
カスタマージャーニーの作成手順には、データ収集、各段階の顧客行動の洗い出し、痛点と欲求の分析、最適なアクションプランの策定が必要です。テンプレートツールを使うことで作業時間の短縮や精度の向上が期待できます。
カスタマージャーニー作成を通じて、顧客視点での事業戦略の策定ができるようになり、事業成果の最大化が可能となります。是非、今後のビジネス活動に役立ててみてください。