BtoB営業の成約率向上ガイド: 成功への5ステップ戦略と実践ポイント

BtoB営業の成約率向上ガイド 成功への5ステップ戦略と実践ポイント

監修者

佐藤 祐介
佐藤 祐介

株式会社LIFRELL代表取締役。大手代理店、株式会社オプト、電通デジタルの2社でアカウントプランナーを経験。その後、株式会社すららネットでインハウスマーケターとして事業の立ち上げからマザーズ上場水準まで事業を伸長させる。マーケティング戦略の立案からSEO/WEB広告/SNS/アフィリエイト等の施策で売上にコミット。

専門家

深瀬 正貴
深瀬 正貴

Yahoo株式会社 法人マーケソリューション出身。 鎌倉の海のそばでオフィスFHを運営。 リスティングやSEOをはじめとしたデジタルマーケティングで100社以上の売り上げ課題を解決。
最近の趣味はブームに乗っかったように見えてしまう「焚き火ごはん」。

目次

BtoB営業の成約率向上ガイド 成功への5ステップ戦略と実践ポイント
Power of teamwork, collaborative synergy driving success, fostering unity, trust, and efficiency, achieving goals together, strength in diversity, and collective effort for shared accomplishments

このガイドでは、ビジネス対ビジネス(BtoB)取引の領域での営業活動の効率化と成功率の向上に焦点を当て、そのための実践的なアプローチを優しく案内します。ビジネス間の取引は、その性質上、消費者向け(BtoC)取引とは大きく異なります。この差異を理解し、適切に対応することが、営業成績を飛躍的に改善する鍵です。

BtoB取引においては、決定プロセスが個々の消費者と直接取引を行うBtoCのそれとは全く違います。企業間取引では、多くの場合、一連の検討と承認プロセスを経て、最終的には契約が成立します。これには通常、複数の部門や上層部の関与が必要となり、営業戦略もこれに応じて調整する必要があります。

本ガイドでは、BtoB営業で成果を上げるために抑えるべき主要なポイントと、営業戦略を計画的に立てるための段階をわかりやすく解説します。加えて、戦略を実行する上での成功の鍵となる要素、そしてよく遭遇する課題とその解決策についても触れます。

BtoBの世界では、効果的なリード獲得から始まり、顧客のニーズを深く理解し、長期的な関係を築くことが重要です。このプロセス全体を通じて、企業はただの取引先ではなく、パートナーとしての関係を築くことを目指すべきです。このようなアプローチを通じて、BtoB営業の成功率を高め、より多くの成約につなげることができるでしょう。

具体的には、戦略を構築するための5つのステップと、成功を分ける4つの重要なポイントを紹介します。これらを理解し、適切に適用することで、営業のプロセスをスムーズにし、効率的にリードを獲得し、最終的にはより多くの契約を獲得することが可能となります。また、実際にこれらの戦略を効果的に活用し、顕著な成果を上げた企業の事例を通して、理論だけでなく実践の重要性を強調します。

主なターゲット

ビジネス間取引、一般にBtoB(ビジネス・トゥ・ビジネス)営業と称されるこの分野は、企業や団体などの法人顧客を主なターゲットとしています。

この用語は、「Business to Business」の頭文字を取っており、しばしば法人向け営業という意味で使われているのです。BtoB営業は、企業間の製品やサービスの提供を目的とした取引に特化しており、その性質上、消費者向け市場とは異なる独特の特徴と戦略が求められます。こうした営業活動は、両者のビジネス成長に貢献する機会を提供し、長期的な関係構築に重点を置いています。

ビジネス対消費者、略してBtoC(ビジネス・トゥ・カスタマー)営業とは

ビジネス対消費者、略してBtoC(ビジネス・トゥ・カスタマー)営業は、企業が直接個人消費者をターゲットにした営業活動を展開することを指します。

これは、ビジネス間取引であるBtoB営業と対照的に位置づけられることが多く、その違いは営業の対象となる顧客の性質に基づいています。

例を挙げるならば、住宅資材を製造するメーカーがその製品をハウスメーカーへ供給する場合、これはBtoBの範疇に入ります。その一方で、ハウスメーカーが個人に対して直接家づくりを提案する場合はBtoC営業とみなされます。BtoCでは、製品やサービスの購入者が直接情報を収集し、短期間で購入決定を行うことが一般的です。そのため、消費者の即時のニーズに応え、迅速に契約に結びつける高い営業スキルが求められます。

対照的に、BtoB営業では、取引のプロセスがより複雑で時間を要することが特徴です。一般に、情報を収集する担当者が最終的な決裁権を持つわけではなく、多段階の承認プロセスを経る必要があります。このため、プロジェクトの初期段階から契約に至るまで、長期にわたり顧客との関係を構築し、維持することが重要となります。接触期間が長引くことは、営業担当者が顧客との信頼関係を築き上げるための追跡管理システムの構築を必要とします。このようにBtoBとBtoCの営業は、ターゲットとする顧客の性質に応じて戦略が大きく異なり、それぞれ独自のアプローチが求められるのです。

成功へのカギ

ビジネス対ビジネスの営業戦略を再考し、売り上げを伸ばす方法を模索している皆様へ、成功へのカギは意外にシンプルなところにあるかもしれません。

本稿を通じて、BtoB営業の成果を左右する重要な要素についてお伝えします。

明確に申し上げたいのは、成約率を上げるには、製品やサービスの単価を見直したり、最新のマーケティングオートメーションツールを導入するといった断片的なアプローチよりも、顧客の視点に立ち、全体的なコミュニケーションプロセスを洗練させることが、遥かに効果的であるという点です。

この観点を補強するために、アメリカ・オハイオ州に拠点を置くBtoBマーケティング専門のエージェンシーであるTriComB2Bによる調査結果を参照しましょう。この2011年の研究では、BtoB製品やサービスの購入決定に影響を与える要因について448人の企業役員と従業員に問いかけたところ、約3分の2の人々が「価格」を成約の決め手として挙げました。興味深いことに、この結果は意思決定に関わる人数、業界の種類、回答者の年齢や役職などの要因にかかわらず、一貫していました。価格が重視される主な理由は、限られた予算内で最大の価値を得られると判断された場合に、成約に至るということです。

しかし、この調査で注目すべきは、価格だけが全てではないという事実です。実際に、回答者の約60%が価格を重要視していると回答しつつも、「BtoBサービスの購入における他の重要な決定要因は何ですか?」という質問には、「全体的なプロセスの改善の余地」や「製品・サービスの運用コスト」を挙げる回答が最も多く、特に運用コストについては役職にかかわらず約3分の2の人々がその重要性を認識していました。このことから、価格以外にも、より広範な視野でのコストやプロセスの最適化が意思決定において大きな役割を果たしていることがわかります。

別の調査結果を見ると、新製品やサービスの導入を検討する際に「価格」を最重要の決定要因として挙げたのはわずか8%に過ぎませんでした。この調査では、代わりに「過去の経験(34%)」や「製品が自社のニーズに合致するか(18%)」、「独立したレビュー(10%)」がより大きな影響を与える要因として挙げられています。これは、BtoBの顧客が、単純な価格比較よりも、より複合的な要素を基に購入決定を行っていることを示しています。

以上の調査結果から明らかなように、BtoB営業では価格競争だけに焦点を当てるのではなく、顧客とのコミュニケーションを全面的に見直し、改善することが、長期的な成功への鍵となります。これにより、顧客の信頼を得て、持続可能なビジネス関係を築くことが可能になるでしょう。

営業戦略を策定する過程

営業戦略を策定する過程は、各企業の組織構造や直面している挑戦に応じて、さまざまな形をとり得ます。

また、理想的な順番で進めるべきステップがある一方で、実際には多くの活動が重なり合って進行することも少なくありません。以下に示す5つのステップは、様々なビジネスに適用可能な一般的なフレームワークを提供するものであり、すべての企業に当てはまるわけではないことを予めご理解ください。これらは、営業戦略を体系的に構築するための指針として役立てていただけることを目的としています。

  1. 目的の明確化
    戦略策定の出発点として、まずは達成したい目標や目的を明確に定義します。これは、企業のビジョンやミッションと密接に関連し、営業活動が目指すべき方向性を指し示します。
  2. 現状の課題特定
    次に、現在の営業活動が直面している問題点や課題を洗い出します。これには、市場の変化、顧客のニーズの変動、内部資源の制約など、さまざまな要因が含まれることがあります。
  3. 顧客理解の深化
    成功的な営業戦略は、顧客の深い理解に基づいています。顧客の購買行動、ニーズ、痛点、期待などを徹底的に分析し、それに応える方法を模索することが重要です。
  4. 環境分析
    内部環境だけでなく、競合他社、業界動向、市場のトレンドなど、外部環境の分析も営業戦略の策定には欠かせません。SWOT分析(強み、弱み、機会、脅威)を活用することで、戦略的な洞察を得ることができます。
  5. 実施計画と評価基準の設定
    最終的には、具体的な施策の実行計画を策定し、その成果をどのように判断するかの基準も明確にします。このステップには、目標達成のための具体的なアクションプランの立案と、定期的な進捗評価、フィードバックの取り入れが含まれます。

これらのステップを踏むことにより、企業は戦略的に営業活動を計画し、実行するための明確なロードマップを持つことができるようになります。それぞれのステージで得られる洞察は、より効果的な営業戦略へと繋がり、企業の成長と成功を支える基盤となります。

営業戦略の策定における出発点は、目標の明確化にあります。

この段階では、「何を目指すのか」「いつまでに達成したいのか」「どの程度の成果を求めるのか」という三つの要素を具体的に定めることが求められます。

たとえば、具体的な目標設定として「次の6ヶ月で現在の売上を120%まで引き上げる」「来年までに受注数を現状の2倍に増やす」といった数値目標が挙げられます。このように、明確な目標を設定することで、営業戦略の方向性が定まり、それを実現するための計画を立てやすくなります。

さらなる重要なステップ

続いて重要なステップとして、現在の営業プロセスに存在する問題点を詳細に分析し、把握することが挙げられます。

たとえば、もし目標として受注量の増加を設定した場合、その達成のための障害となっている要因を深堀りする必要があります。これは、マーケティングチームが生み出すリードの量が十分でない場合や、確保したリードが質的に見込み顧客として十分でない場合など、様々な問題が考えられます。もしリードの数や質に問題があると判断されるならば、マーケティングチームとの協力体制を強化し、改善策を講じる必要があります。また、受注率自体が問題である場合は、営業スタッフのコミュニケーションスキルや顧客へのアプローチ方法を見直す必要があるかもしれません。

この段階での分析は、目標達成のために直面している障害を明確にし、それに対する解決策を考えるための基盤を作ります。目指す目標と現実とのギャップを正確に理解し、そのギャップを埋めるためにはどのようなアクションが必要かを特定することが、営業戦略を前進させるためには不可欠です。

営業戦略の策定において中心となるのは、疑いなく顧客に対する深い理解です。

顧客の深層にある要望や関心を把握することなくして、効果的な営業戦略を構築することは難しいでしょう。

この過程では、顧客の基本情報(年齢、性別、居住地、職種、業界など)を超え、顧客が自社の製品やサービスに関心を持つ理由、成約に至った具体的な動機、また、そうでなかった場合の理由についても掘り下げて分析することが求められます。

顧客理解を深める手段として、特に推奨されるのがペルソナ設定とカスタマージャーニーマップの作成です。

ペルソナとは、理想の顧客像を具体化したものであり、この設定を通じて、ターゲットとなる顧客群の具体的な悩みやニーズを明らかにすることができます。これは、顧客の視点を取り入れた戦略立案において非常に有効な方法です。

カスタマージャーニーマップは、ペルソナが自社の製品やサービスに接触し、購入や継続利用に至るまでの過程を視覚化したものです。このマップを利用することで、顧客の体験の各段階においてどのような感情や反応を持ち、どのようなサポートが求められているのかを理解し、適切な施策を計画することが可能になります。

顧客の深い理解には、顧客データの詳細な分析も欠かせません。マーケティングオートメーションツールやCRMシステムを駆使することにより、顧客の行動パターンや反応を把握し、営業活動の優先順位付けや効率化を図ることができます。例えば、顧客がどのメールに反応したか、どのセミナーに参加したかなどの情報から、高い可能性を持つリードを特定し、効果的なアプローチを計画することが可能です。

顧客の理解を深めるこれらの手法を駆使することで、以前は無差別に行っていた営業活動を、より効果的に、そして効率的に進めることができるようになるでしょう。

営業戦略の第四ステップ

営業戦略の第四ステップとして、自社内部のリソースと外部の市場環境を詳細に分析することが求められます。

内部環境の分析では、営業に関連する資源の具体的な状況を把握します。これには、フィールドに出て顧客と直接会話できる営業スタッフの数、各四半期に利用可能な予算額、使用できる営業支援ツールの種類など、人的資源、財務資源、物的資源、情報資源を網羅的に理解することが含まれます。

外部環境の分析においては、自社が市場内で占めるポジション、市場の成長潜在力、業界のトレンドなど、企業外部の要因を評価します。新型コロナウイルスのパンデミックが引き起こした営業環境の急激な変化は、その典型例として挙げられます。

たとえば、2020年に日経BPコンサルティングが行ったアンケート調査では、「新型コロナウイルスの影響によって直面している営業上の課題は何か」という質問に対し、約半数の回答者が「顧客訪問の断り」を経験していると答えています。このような状況の認識は、営業戦略をデジタルベースのアプローチへとシフトさせるきっかけになり得ます。

新型コロナウイルスは極端な例かもしれませんが、競合企業の新製品投入や価格戦略の変更など、外部環境は常に変動しています。そのため、これらの変化を敏感に察知し、適切に対応することで、企業は競争優位を保持し、市場での成功を収めることが可能になります。このプロセスは、営業戦略を適切に調整し、時代や市場のニーズに合わせたアプローチを確立するために不可欠です。

営業戦略を策定した後の次なる重要なステップ

営業戦略を策定した後の次なる重要なステップは、策定された戦略の具体的な実行計画を立て、それを実際に行動に移すことです。

単に計画を作るだけでは、その価値を十分に活かすことはできません。実行段階においては、どのチームまたは個人がどの施策を担当するか、施策の開始時期、そして実施期間を含む、詳細なスケジュールを策定します。

さらに、施策を実施した後の成果をどのように評価するか、つまり成功の定義をどう設定するかも、計画の初期段階で明確にしておく必要があります。これは、施策の有効性を測定し、必要に応じて調整を加えるために不可欠です。

BtoB営業で成果を上げるための鍵

BtoB営業で成果を上げるための鍵は、顧客との持続的な関係構築にあることは、既にお伝えした通りです。

これから、BtoB営業を行う上で担当者が意識すべき重要なポイントについて、詳しくご紹介します。

ペルソナ設定の重要性は、BtoB営業戦略においても同様に重視されます。

ペルソナは、自社の製品やサービスを利用しそうな理想的な顧客像を、細かい特徴まで具体化して描くことを指します。この架空の人物像を作成することで、営業チームはターゲット顧客のニーズや課題に対する理解を深め、より効果的なコミュニケーション戦略を立てることが可能になります。

BtoB営業では、一般的に複数の関係者の間で意思決定が行われるため、ペルソナは単に個人レベルでのみ設定するのではなく、企業や組織の課題を捉えるために、会社単位でのペルソナ設定も効果的です。このアプローチにより、顧客企業が直面している問題点をより明確に理解し、解決策を提案する際の指針とすることができます。

ペルソナの詳細を決定するには、定量的なデータ分析と定性的な洞察の双方を活用します。例えば、CRMやSFAのデータ分析を通じて、自社製品やサービスに高い生涯価値(LTV)を持つ顧客の特性や共通点を抽出することができます。これにより、営業戦略をより精密に調整し、ターゲット顧客に合わせたアプローチを実施するための基盤を築くことができます。

ホットリードを特定することは、BtoB営業の効率を飛躍的に高めるキーとなります。

ホットリードとは、自社の提供する製品やサービスに対して強い興味を示し、購入への確度が非常に高い見込み顧客を指します。

重要なのは、単に多くのリードと接触することではなく、購入の可能性が高い質の良いリードと密接に関わることです。

既にメールマガジンや広告、自社のコンテンツを通じて接点を持っているリードがある場合、これらの接点から購入に至ったケースを分析することで、ホットリードの特徴を把握することが可能です。成約した顧客がどのようなコンテンツにどれほど関心を持ち、どの程度のアクション(例えば、フォーム送信の回数など)を取っていたのかを分析することにより、ホットリードの識別基準をより精緻に設定できます。

また、新しい製品やサービスの導入初期で、まだ十分なデータがない場合には、カスタマージャーニーマップを用いて、ホットリードになりうる顧客の特徴を仮定することも一つの方法です。このアプローチを取ることにより、初期段階からホットリードを効率的に特定し、資源を最適に配置することが可能になります。

BtoB営業での成果を最大化するためには、BANT情報の収集と分析が欠かせません。

BANTは、Budget(予算)、Authority(決裁権)、Need(ニーズ)、Timing(タイミング)の各頭文字を取ったもので、見込み客の購買意欲や成約の可能性を見極めるために用いられるフレームワークです。

  1. Budget(予算)の確認
    最初に考慮すべきは「予算」です。顧客が自社の製品やサービスを購入するために割り当てられる予算を理解することは、商談の可能性を見極める上で不可欠です。ただし、予算が即時には利用不可能でも、将来的に予算が確保される可能性のあるタイミングを把握することが重要です。
  2. Authority(決裁権の有無)の確認
    BtoB営業では、しばしば意思決定プロセスが複雑で、最終的な購入決定をする権限を持つ人物が初期の接触段階では明確ではないことがあります。対話を進める中で、決裁権者に到達するルートを明確にし、彼らにアプローチする戦略を立てることが重要です。
  3. Need(ニーズの特定)
    顧客が具体的に解決を望んでいる問題やニーズを理解することで、自社の製品やサービスがどのように価値を提供できるかを明確に示すことができます。これには、単に会社全体のニーズを把握するだけでなく、個々の利害関係者が持つ具体的なニーズにも注意を払う必要があります。
  4. Timing(導入のタイミング)
    製品やサービスの導入を検討する具体的な時期を把握することも、成功のカギを握ります。タイミングが合わない場合は、どれだけ製品が魅力的であっても、商談が成立する可能性は低くなります。

さらに、インサイドセールスの効果的な運用も、BtoB営業成功のためには不可欠です。インサイドセールスにより、遠隔地からでも見込み客の興味・関心度を評価し、特に成約可能性の高い「熱いリード」を選定し、効率的にアプローチを行うことが可能になります。このプロセスでは、BANT情報やその他の顧客データを活用して、最も有望な見込み客に焦点を当てることが、時間とリソースの最適な配分を実現します。

オンラインでの営業活動が一般的

最近、新型コロナウイルスの影響で対面での企業訪問が困難になり、オンラインでの営業活動が一般的になってきました。

この状況下で、対面訪問の代わりにオンラインでの営業を行うことに対する効果や成約率について疑問を持つ方も少なくありません。

しかし、Hubspotによる2021年2月の「日本の営業実態調査」によれば、リモート営業を取り入れた企業の成約率は42.2%であり、リモート営業を導入していない企業の成約率が39.1%であることから、営業の形態が成約率に大きな影響を与えることはないという結果が出ています。

オンラインでの商談には、移動に要する時間やコストを削減できる、会議室の確保が不要である、資料共有が容易であるといった多くの利点があります。

また、オンライン化によって失われた見込み客との接触機会を補うためには、メールを有効活用することが考えられます。ただし、メールを用いる際は、受け取る側のニーズや関心に合わせて内容を工夫し、目的に沿った適切なコミュニケーションを心掛けることが大切です。例えば、新製品の紹介やイベントの案内、季節の挨拶など、メールを通じて顧客との関係を維持・強化することが可能です。

BtoB営業において直面する典型的な問題点

BtoB営業において直面する典型的な問題点としては、顧客情報の管理が特定の個人に依存してしまう「属人化」があります。

これに加えて、適切な知識や経験がないままデジタルマーケティングを導入するケース、さらにはインサイドセールスの体制を整えていない状況も一般的な課題として挙げられます。これらの課題が自社に当てはまる場合は、状況の見直しや改善策の検討が必要です。

BtoB営業の共通の課題として認識される点は以下の通りです

  • 顧客情報の管理が特定のスタッフに依存してしまっている
  • デジタルマーケティングの取り組みが、実際のところ十分な準備や知識がない状態で行われている
  • インサイドセールスの体制が未構築である

営業分野における顧客情報の管理が個々の担当者に依存する傾向

営業分野における顧客情報の管理が個々の担当者に依存する傾向があり、これが顧客データの社内共有を困難にし、顧客に関する重要な情報の管理を不可能にしてしまうことは少なくありません。

顧客のニーズや導入の見込み時期などの情報が共有されないことで、機会損失や競合他社に客を取られるリスクが高まることが懸念されます。このような状況を防ぐためには、顧客管理の属人化を避けることが重要です。

属人化が起こる背景には複数の理由が存在します。例えば、営業担当者が成果主義の報酬制度の下で働いている場合、顧客情報を独占することで自身の収入を守ろうとする動機が働きます。また、過度に責任感が強い担当者は、自分が責任を持って顧客を管理すべきだと考え、情報を共有しないことがあります。この他にも、組織自体が情報共有を促進する体制を整えていないことも、属人化を助長する一因となり得ます。

この問題を解消するためには、CRMシステムの導入が有効な手段の一つとなります。CRMシステムは、顧客情報を一元的に管理し、社内での共有を容易にすることで、組織全体の営業効率を向上させることが可能です。CRMの選定にあたっては、必要とされる機能、使い勝手、他のツールとの連携可能性などを慎重に検討し、最適なシステムを選択することが重要です。CRMを活用することで、営業チームのコミュニケーションが活発になり、顧客へのアプローチの質も向上し、結果として営業成績の向上に寄与します。

デジタルマーケティングの導入は、現代の営業戦略において避けて通れない要素です。

特に新型コロナウイルスの影響で対面営業が難しくなった現在、多くの企業がオンラインでのリード獲得に力を入れ始めています。

具体的には、SEOやウェブ広告を利用して自社のウェブサイトへの訪問者数を増やす戦略、コンテンツマーケティングによる関心の引き寄せ、ダウンロード可能な資料を通じたリード獲得、メールマーケティングなどが挙げられます。これらの手段は適切に用いれば、BtoB営業における大きな成果をもたらすことができます。

ただし、ここで重要なのは「適切に」という言葉です。デジタルマーケティングを成功させるには、正しい知識と方法が不可欠であり、その欠如が効果を得られない主な理由の一つです。不適切な手法や不十分な知識で実施した場合、投資に見合う成果が得られず、結局は従来の方法に戻ってしまうことも少なくありません。

特に限られた予算の中で自力でデジタルマーケティングに挑むベンチャー企業や中小企業では、このような問題が顕著に現れやすいです。しかし、成功する可能性は確率的には低く、効果的な結果を出すためには正確なノウハウが求められます。

すべてのデジタルマーケティング手法のノウハウを自社で習得しようとすると、時間がかかりすぎてしまいます。より現実的なアプローチとしては、デジタルマーケティングの専門家やコンサルタントの助けを借りることが推奨されます。彼らの専門知識を利用して計画を立て、実行に移すことで、オンラインでのリード獲得やコストパフォーマンスの改善が期待できます。

部分的に業務を外部に委託することも一つの解決策です。全てを外部委託すると費用がかかりすぎるかもしれませんが、重要な部分だけを委託することで、費用を抑えつつ専門的なサポートを得ることが可能です。このように、外部の専門家や部分的な外注を活用することで、効率的かつ効果的なデジタルマーケティング戦略を実現できるでしょう。

インサイドセールスの導入は、BtoB営業において多大な利点をもたらします。

この手法を取り入れることで、獲得したリードに対して効果的かつ持続的に関わり、信頼関係を構築することが可能になります。関係性が築かれた後、より専門的な外部セールスチームへとスムーズに繋げることができ、これにより営業プロセス全体の効率化を図ることができます。

インサイドセールスは、少数精鋭でも高い成果を出すことが可能であり、生産性の向上や成約率の増加が期待できる等のメリットがあります。これらのメリットにも関わらず、多くの企業でインサイドセールスの導入が進んでいない状況があります。

インサイドセールスが存在しない環境では、顧客情報の属人化が進みやすく、結果として効率的な顧客管理やフォローアップが行われにくい状態になります。このような属人化は、担当者が顧客を独占し、営業の全段階を個人で対応しようとすることから生じます。その結果、インサイドセールスチームが活躍できるスペースが生まれず、企業全体としての営業効率が低下します。

しかしながら、顧客管理を個人に頼る営業スタイルには限界があり、顧客数の増加と共に担当者の負荷は増大し、サービスの質が低下する恐れがあります。これは、潜在的に大きなビジネスチャンスを持つ顧客を見落としたり、競合他社に顧客を奪われるリスクを高めることに繋がります。

この問題を解決するためには、インサイドセールスの体制を確立し、効果的な顧客管理やリードスコアリングを通じて、営業プロセスの最適化を図るべきです。この際、顧客情報のシステム化による共有化が重要となり、CRMやSFAのようなツールの導入が有効です。

また、インサイドセールスの成功には、従来のフィールドセールスとは異なるスキルセットが必要です。担当者に対して適切なトレーニングを実施し、オンラインでのコミュニケーション能力や顧客管理技術を習得させることが必要になります。これには、定期的な研修やワークショップの開催が効果的です。

株式会社ネオキャリアとは

株式会社ネオキャリアは、採用支援や人材サービス、HR Techサービスなど30以上の事業を運営している企業です。

その中で2016年に立ち上げたHR Techサービス「jinjer」では、オウンドメディア『HR NOTE』を通じて効果的なリード獲得を目指していましたが、当初は望む成果を得られていませんでした。この時期、日本では「働き改革」が政府によって推進され、人事業務の重要性が高まっていたにも関わらず、HR Tech領域の市場認知度はまだ低く、またネオキャリア自体がインバウンドマーケティングに不慣れな状態でした。

この状況を改善するために、ネオキャリアは「適切な認知を持ったリード」を増やし、着実に成約に繋げる戦略を立てました。具体的には、ターゲットである人事担当者が直面する課題に焦点を当てたコンテンツを毎日更新し、自然検索によるアクセス増を図りました。その結果、オウンドメディアは始動から1年で月100件のリードを獲得するメディアへと成長し、さらに2年目には月間400件のリードを達成しました。また、このメディアを「jinjer」以外のサービスにも応用し、リード獲得の基盤を拡大しました。

さらに、ネオキャリアはSFAを導入し、リードから売上への貢献度を明確にすることで、営業部門との連携を強化しました。これらの取り組みにより、オウンドメディアからのリード獲得がほとんどなかった状態から脱却し、5年後には年間数万件の法人リードを獲得できるまでになりました。これは、営業チームとインバウンドマーケティングチームが協力することで、企業成長を促進する好例と言えるでしょう。

BtoB営業の成功は、適切な顧客コミュニケーションが鍵となります。

効果的なコミュニケーションを通じて、見込み客との信頼関係を構築することが、売上向上への道を開きます。

このプロセスでは、BtoB営業の独特な特性を深く理解し、それに基づいて見込み客と関係を築き上げることが、長期的な成功に繋がります。

この記事で挙げたBtoB営業が直面する一般的な問題点に心当たりがある場合は、今が見直しと改善を検討する絶好の機会です。柔軟かつ迅速な改善策を実施することで、より効果的なBtoB営業活動を展開し、顕著な成果を達成することが期待できます。

BtoB営業で目標を達成し、成功を収めたい場合

BtoB営業で目標を達成し、成功を収めたい場合、持続可能な運用体制の構築と、目標に対する継続的な改善が重要になります。

BtoB営業に取り組む上で、初めての方や既存の営業活動の成果をさらに高めたいとお考えの営業担当者様には、成果を生み出す営業組織の構築とサポートを行っているMOLTSが、具体的な支援を通じて成果達成のお手伝いをしています。

営業戦略を立てる過程は、各企業の状況や直面している問題によって変わることがあります。

また、一連のプロセスを順番に進めるだけではなく、多くの場合、複数のアクションを並行して進める必要があります。以下の手順は、多くのビジネスに適用可能な一般的なアプローチを提供します。

  1. 目標の設定: 成功に向けて達成したい具体的な目標を設定します。これは営業活動の方向性を示す基盤となります。
  2. 現在の状況分析: 企業が現在直面している課題を特定し、それらの課題が営業活動にどのように影響しているかを詳細に分析します。
  3. 顧客分析: 顧客のニーズ、期待、痛点を深く理解するための詳細な分析を行います。この理解は顧客中心の営業戦略を立てる上で不可欠です。
  4. 環境分析: 自社の内部環境と外部環境を検討し、強み、弱み、機会、脅威を評価します。これには市場の動向、競合の状況なども含まれます。
  5. 実施計画の策定と評価基準の設定: 具体的な行動計画を立て、その実行に向けたスケジュールと責任者を明確にします。また、施策の成果をどのように判断するか、どの指標を用いるかを定義します。

このフレームワークを用いることで、戦略的に考え、計画的に行動することが可能になり、結果として営業活動の成果を最大化することができます。

BtoC(Business to Consumer)営業では、製品やサービスの最終消費者が直接購入決定を行います。

これは個人顧客やその家族が対象であり、購入決定までの時間は比較的短期間です。営業担当者が高い能力を持っていれば、比較的容易に成約に至ることが可能です。

反対に、BtoB(Business to Business)営業では、顧客は他の企業になります。こちらでは、情報を集める人が必ずしも最終的な購入決定をするわけではなく、多くの場合、複数の段階を経て上層部の承認を得る必要があります。このため、契約に至るまでには長い時間がかかり、営業活動も継続的にフォローアップする体制が求められます。