Metaの広告プラットフォームを最大限に活用し、ブランドや商品の認知度を新しい顧客層に拡大する手段を探しているマーケターの皆さんへ、おすすめの購入タイプが「リーチ&フリークエンシー」です。この「リーチ&フリークエンシー」とは特定の人数以上のオーディエンスにアプローチすることを保証しつつ、予算に応じたオーディエンスのリーチ予測を提供し、さらに広告の表示回数(フリークエンシー)を指定することができる強力なツールです。
この記事では、「リーチ&フリークエンシー」の基本的な概念について、これまで聞いたことがない方でも理解しやすいように説明します。そして、どのようにしてこの機能を効果的に活用できるのか、具体的なステップやヒントを提供していきたいと思います。
リーチ&フリークエンシーとは
Metaの広告システムにおいて、効果的な広告配信の方法として「リーチ&フリークエンシ―」が注目されています。この購入タイプは、広告キャンペーンの予算や配信期間を事前に設定することにより、予測可能で効率的な広告配信を可能にします。では、このシステムの特徴や利点について、もう少し詳しく見ていきましょう。
「リーチ&フリークエンシー」を使用する際の最大の利点は、キャンペーンの計画段階でリーチ数やその費用、さらには広告の表示回数(フリークエンシー)を予測できる点です。これにより、マーケターはキャンペーンの成果をより正確に見積もり、戦略的な意思決定を行うことが可能になります。
2023年3月時点で、「リーチ&フリークエンシー」を選択した場合、利用できるキャンペーンの目的は以下のように限定されています。これらの目的は、ブランドの認知度を高めたり、特定のアクションを促進することに特化しています。
- ブランドに興味を持ちそうな人々に広くリーチする
- ブランドの認知度を高める
- 動画の再生数を増やす
- 店舗の所在地をより多くの人に認識させる
- ウェブサイトやアプリへのトラフィックを増やす
- 投稿へのアクション(いいねやシェアなど)を促進する
さらに、この配信タイプを利用する際の重要な条件として、少なくとも20万人以上のオーディエンスにリーチする予算の設定が必要です。しかし、最低予算は広告アカウントの過去の実績、ターゲティングの方法、配信面などの多くの要素に影響されるため、プランニングの際には注意が必要です。予算の設定は、市場の動向や目標オーディエンスの特性に応じて変更する必要があり、これはマーケターにとって重要な戦略的な考慮事項となります。
リーチ&フリークエンシーに向いている広告主とは
「リーチ&フリークエンシー」は特にブランディング目的のキャンペーンに適している購入タイプとして知られています。このシステムの最大の魅力は、配信前にキャンペーンのパフォーマンスをある程度予測できる点にあります。これにより、広告主は必要なリーチを確実に得ることができ、さらに広告の表示回数を細かく調整することも可能になります。特に、ブランドの認知度を高めたい、あるいはブランディングに重点を置いた広告戦略を展開したい広告主にとっては、非常に有効なツールです。
しかし、このシステムを利用する際には、最低でも20万人にリーチするための予算設定が必要となります。これにより、最低出稿料金が比較的高くなる可能性があるため、事前の計画と予算管理が重要になってきます。広告主は、まずは管理画面上でターゲット設定を行い、希望するリーチ数に対しての予算を確認することが求められます。この段階で、配信可能な予算範囲内に収まる場合、従来のオークション形式の配信から「リーチ&フリークエンシー」機能を用いた配信への切り替えを検討するのが賢明です。
リーチ&フリークエンシーの持つ特有の機能
「リーチ&フリークエンシー」購入タイプは、従来のオークション形式の広告配信とは一線を画すユニークな特徴を持っています。これらの特徴を理解し、適切に活用することが、効果的な広告キャンペーンの運営には不可欠です。
予測可能なリーチとフリークエンシー、CPM制御
「リーチ&フリークエンシー」は、配信前にリーチとフリークエンシーを予測することが可能です。これにより、広告主はキャンペーンの影響範囲を正確に計画し、目的に応じた広告の表示回数を設定することができます。
「リーチ&フリークエンシー」購入タイプは、広告主にとって非常に効果的なツールです。このシステムでは、指定されたターゲットオーディエンス内で、希望するリーチ数に基づいて広告を配信する際の重要な指標であるフリークエンシーやCPM(Cost Per Thousand Impressions、千回表示あたりのコスト)の予測値を提供します。この予測機能のおかげで、広告主はキャンペーンの計画と実行において、より精度の高い予算管理を行うことが可能になります。
しかし、この予測は決して一律ではありません。実際には、各広告アカウントの過去の配信履歴、ターゲティングの詳細、配信期間、動画の配信の有無など多くの要素に基づいて計算されます。これにより、同じ広告キャンペーンでも、異なるアカウントや異なる条件下では、リーチ数やCPMの予測値が変わることがあります。これは広告主にとって重要な意味を持ちます。なぜなら、予算内で最大限の効果を得るためには、これらの予測値を正確に理解し、適切に活用する必要があるからです。
また、「リーチ&フリークエンシー」を用いた広告キャンペーンでは、最低出稿金額が変動することも理解しておく必要があります。予算計画の際には、これらの変動要因を考慮に入れ、柔軟に対応することが求められます。広告主は、予算の枠内で最適なリーチ数とCPMを選択し、ターゲットオーディエンスに最も効果的にアプローチするための戦略を練ることが重要です。
シーケンシャル広告配信
広告主にとって非常に有益な機能の一つとして、複数の広告クリエイティブを任意の順序で配信することが可能です。この機能は、ユーザーに対してより効果的にブランドや商品のストーリーを伝えるために、広告クリエイティブのシーケンスを設定することを可能にします。これにより、広告主はユーザーに対して、段階的で理解しやすい形でのメッセージ伝達を行うことができ、結果としてより深い認知や関与を促すことが可能になります。
このシーケンシャル広告配信のメリットは、特定のメッセージやコンセプトを段階的に展開することにあります。例えば、最初の広告でブランドの紹介を行い、次の広告で商品の特徴を強調し、最後に購入を促す呼びかけをするといったように、ユーザーの関心を段階的に引き上げることができます。これにより、一連のメッセージがユーザーの心に深く刻まれ、ブランドや商品への理解と関心が深まります。
しかし、広告のシーケンス配信を実施するためには、いくつかの準備が必要です。まず、リーチ&フリークエンシーキャンペーンの予約を行い、次に配信したい広告をアップロードする必要があります。このプロセスにおいて、広告のシーケンスや配信のタイミングを慎重に計画し、各広告がユーザーに与える影響を最大化するよう配慮することが重要です。
手順1.リーチ&フリークエンシーのキャンペーン作成と予約
手順2.シーケンス配信を行う広告セットの選択
手順3.配信スケジュール設定で「シーケンス」を選択し広告を追加
フリークエンシーの指定機能
「リーチ&フリークエンシー」と従来のオークション形式の配信には、重要な違いがあります。特に、広告の配信頻度(フリークエンシー)の制御に関しては、「リーチ&フリークエンシー」がより柔軟で効果的なオプションを提供しています。
従来のオークション形式では、Facebookのフィード上で1つのアカウントに対して、2時間に1回以上(Instagramの場合は3時間に1回以上)広告が表示されないというフリークエンシーの上限は設定されていますが、特定の期間内でのフリークエンシーの指定はできません。これは、広告主が広告の露出頻度を細かくコントロールすることが困難であることを意味します。
一方で、「リーチ&フリークエンシー」購入タイプでは、配信期間内のフリークエンシーを自由に指定することが可能です。これにより、広告主はブランディングキャンペーンに最適なフリークエンシーを設定することができ、ターゲットオーディエンスに対する広告の影響を最大化することができます。Metaでは、リーチ数を最大化するために、フリークエンシーの上限を週に1~2回に設定することを推奨しています。これにより、広告がユーザーに過度に露出することを防ぎつつ、効果的なリーチを実現することが可能になります。
フリークエンシーの設定は、広告セットの編集画面にある「最適化と配信」セクションの「フリークエンシー管理」で行うことができます。この設定を通じて、広告主は自社のブランディング戦略に合わせた、よりカスタマイズされた広告配信計画を実施することが可能になります。
広告の配信頻度(フリークエンシー)を管理する方法として、「Default」と「カスタム」の2つのオプションがあります。これらの設定は、広告主がキャンペーンの目的やターゲットオーディエンスに合わせて最適な広告露出頻度を選択するのに役立ちます。
- Default(デフォルト)の選択: Metaが推奨するフリークエンシーが適用されます。これは通常、1人当たり1週間で最大2回の広告配信となります。
- カスタムの選択: 広告主は指定期間内のフリークエンシーを自由に設定できます。例えば、1人に対して10日間で最大3回の広告を表示するといった設定が可能です。
さらに、広告キャンペーンの設定で「平均フリークエンシーを増やす」オプションをONにすることもできます。このオプションを有効にすると、広告が複数回表示される可能性が高いユーザーに対して優先的に広告が配信されます。ただし、このオプションをONにするとオーディエンス総数が減少し、全体のリーチ数が少なくなる可能性があります。したがって、推定リーチ数がもともと少ない場合は、このオプションをOFFにしておくことが望ましいです。
リーチ&フリークエンシー購入タイプの使用上の注意点
Metaの「リーチ&フリークエンシー」購入タイプは、従来の「オークション形式」とは異なる重要な特徴をいくつか持っており、これらを理解し適切に扱うことが広告キャンペーンの成功には不可欠です。
以下は、「リーチ&フリークエンシー」購入タイプの使用にあたって注意すべき点です。
- 広告アカウントによる最低出稿金額の違い
- 広告アカウントによる利用可否
- 固定されたCPM
- 最大90日間の配信期間:リーチを主な目標として配信が行われるため、予算の使用が指定期間の前半に偏る傾向にある
- 配信後のターゲティング変更の不可
- リーチとインプレッション数の予測: 配信準備段階で、リーチとインプレッション数を予測することが可能だが、これは100%保証されるものではない
- 配信途中でのキャンペーンや広告セットの停止不可: 配信を停止する場合は削除する必要がある
目的に応じた適切な広告配置
「リーチ&フリークエンシー」購入タイプを利用する際、特に重要なことの一つは、キャンペーンの目的に応じて適切な広告配置を選択することです。
以下の表を確認して自身が利用するキャンペーンの目的に沿った広告配置に合う広告を設定しましょう。
キャンペーンの目的 | 広告フォーマット | 広告配置 |
---|---|---|
認知度 | リンク 写真広告 インスタントエクスペリエンス広告 動画広告 | Facebookフィード インスタント記事 インストリーム動画 おすすめの動画 Instagramフィード Instagramストーリーズ Instagram発見タブ |
トラフィック | リンク 写真広告 インスタントエクスペリエンス広告 動画広告 | Facebookフィード インスタント記事 Instagramフィード Instagramストーリーズ Instagram発見タブ |
エンゲージメント | リンク 写真広告 インスタントエクスペリエンス広告 動画広告 | Facebookフィード インスタント記事 インストリーム動画 おすすめの動画 Instagramフィード Instagramストーリーズ Instagram発見タブ Audience Network |
リーチ&フリークエンシーの設定方法
「リーチ&フリークエンシー」購入タイプの設定は、基本的に直感的で理解しやすいプロセスですが、キャンペーンの設定には特に慎重な検討が必要です。というのも、一旦注文を確定して配信を開始すると、その後のターゲティングの変更はできないためです。これは、広告キャンペーンの計画と実行において重要な考慮事項となります。しかし、配信が途中でのキャンペーンのキャンセルは可能です。
広告マネージャに入り、「+作成」をクリックします。
手順① 「新しいキャンペーンを作成」の画面で、「リーチ&フリークエンシ―」の購入タイプを選びます。
手順② 「キャンペーン目的を選択」の項目で、任意の目的を指定します。
手順③ 次へをクリックします。
手順① 「FacebookページとInstagramアカウント」で、任意のアカウントを選択します。
※この際、Instagramアカウントは設定しなくても問題ありません。
手順② 広告の掲載期間を設定します。
手順③ターゲット層として、任意のオーディエンスを設定します。
※オーディエンスリスト内のユーザーが20万人以上いる場合に限り指定できることにご注意ください。
手順④広告フォーマットを選択します。
手順⑤配置を選びます。
※キャンペーン目的によって配信できる広告配置が異なります
手順⑥ ①~⑤が完了してから、予算・リーチの設定をします。この時、予算を入力して予算内での配信をするパターンと、グラフを動かすことで目標リーチ数から予算を決定するパターンの2パターンの設定方法があるので、方針に合わせて使い分けるのがよいでしょう。
※アカウントの評価に加え、①~⑤の値によって⑥の数値が変動するのでご注意ください。
※リーチが20万人に満たない予算での広告配信は出来ないのでご注意ください。
フリークエンシーの指定をする場合は、「フリークエンシー管理」から任意の設定をします。その後は従来同様に広告を作成して、予約してアップロードしたら完了です。
キャンペーン配信開始後に編集可能な項目
「リーチ&フリークエンシー」購入タイプでは、キャンペーンの開始前と開始後で、広告セットや広告の編集可能性に大きな違いがあります。キャンペーン開始前には、広告セットや広告の変更や編集が比較的自由に行えますが、キャンペーンが始まると編集できる項目が限定されます。これは、キャンペーンの計画と実施において、特に注意が必要なポイントです。
キャンペーン開始後に編集可能な主な項目は以下の3つです。
- 広告セットレベルの広告掲載期間: 掲載期間の延長は可能ですが、短縮することはできません。延長する場合でも、最大90日間までという制限があります。
- 予算: キャンペーンの予算は編集可能です。これにより、予算の増減や再配分が行えます。
- 広告クリエイティブの編集: 使用する広告クリエイティブの変更や編集が可能です。これにより、キャンペーンの進行に合わせて、メッセージやビジュアルを調整できます。
キャンペーン開始後は、これらの項目以外の編集が制限されるため、開始前に広告の設定やターゲティングを慎重に検討し、準備を整えることが非常に重要です。特に、ターゲットオーディエンスやキャンペーン目的に合った広告内容やタイミングの計画は、キャンペーンの成功に直結します。
また、キャンペーン開始後に編集を加える際は、注意が必要です。編集によってオーディエンスの規模が小さくなる可能性があり、結果として入札価格が高くなるリスクが生じることがあります。このため、開始後の編集は必要最小限に留め、キャンペーンの初期段階での計画の精度を高めることが望ましいです。
最後に
「リーチ&フリークエンシー」購入タイプは、一定の配信条件によって柔軟性に欠ける面があるものの、その特性を理解し適切に利用することで、特にブランディングにおいて高い効果を発揮する可能性があります。この購入タイプは、フリークエンシーの指定やシーケンス配信など、従来の「オークション形式」では設定できない特有の機能を提供します。これにより、ブランドの認知度を効果的に拡大し、ターゲットオーディエンスに深く刻まれる印象を残すことが可能になります。
ブランド認知度の向上は、多くの広告主にとって重要な目標です。Metaの広告を通じてブランドの認知度を高めたい、あるいは従来とは異なるアプローチで認知度拡大を図りたいと考えている場合、「リーチ&フリークエンシー」は非常に有効な選択肢となります。この購入タイプを使用することで、広告の露出頻度を細かくコントロールし、一連のメッセージを効果的に伝えるシーケンス配信を行うことができます。これは、ブランドのストーリーを伝え、視聴者に深い印象を与えるための強力なツールです。
しかし、その使用には計画性と戦略的思考が要求されます。配信条件や機能の特性を理解し、目的に沿った適切な設定を行うことが、最大の効果を発揮する鍵です。また、予算の管理やターゲットオーディエンスの選定にも注意が必要です。
この記事を参考にして、「リーチ&フリークエンシー」購入タイプを活用することを検討してみてはいかがでしょうか。ブランド認知度を高めるための新しい手法として、または既存の戦略を補完するツールとして、その可能性を最大限に引き出すことができるでしょう。戦略的な広告配信によって、ブランドの認知度を次のレベルへと押し上げることが期待できます。