【中小企業向け】効果的なWebサイトの構築戦略と手順解説

監修者

佐藤 祐介
佐藤 祐介

株式会社LIFRELL代表取締役。大手代理店、株式会社オプト、電通デジタルの2社でアカウントプランナーを経験。その後、株式会社すららネットでインハウスマーケターとして事業の立ち上げからマザーズ上場水準まで事業を伸長させる。マーケティング戦略の立案からSEO/WEB広告/SNS/アフィリエイト等の施策で売上にコミット。

専門家

深瀬 正貴
深瀬 正貴

Yahoo株式会社 法人マーケソリューション出身。 鎌倉の海のそばでオフィスFHを運営。 リスティングやSEOをはじめとしたデジタルマーケティングで100社以上の売り上げ課題を解決。
最近の趣味はブームに乗っかったように見えてしまう「焚き火ごはん」。

目次

中小企業にとって、Webサイトはビジネスの拡大やブランドの認知度向上のための重要なツールとなっています。

しかし、大手企業とは異なり、予算やリソースの制約がある中でのサイト制作は、効果的な戦略と計画が求められます。どのようにサイト構成を考え、どのステップでサイトを作成すれば良いのか、中小企業特有の課題を考慮しながら解説します。

この記事では、中小企業のWebサイト制作におけるサイト構成の考え方と、作成手順の基本を詳しく紹介します。

企業Webサイトの構造

サイト構成とは、Webサイトの内容や情報を整理し、階層的に構築することを指します。

具体的には、Webサイト内の各コンテンツや情報をどのように分類し、どのような順序で表示するかを決定するプロセスです。

例えば、企業のWebサイトであれば、「会社概要」「導入事例」「社員紹介」などのコンテンツが考えられます。

これらのコンテンツをどのように配置し、どのページからどのページへと遷移するかを考えるのがサイト構成の主要な部分です。簡単に言えば、サイト構成はWebサイトの骨組みや構造を設計することを意味します。

このサイト構成を考える際には、訪問者の利便性や情報のアクセス性を最優先に考慮する必要があります。
適切なサイト構成によって、訪問者は求める情報を効率的に探し出すことができ、結果としてサイトの利用満足度が向上します。

【基本】サイト構成の基本的な考え方

Webサイトを作成またはリニューアルする際、サイトの構成は非常に重要な要素となります。

この構成を適切に行うことで、訪問者が求める情報を効率的に提供し、サイトの利用体験を向上させることができます。

階層構造とは

階層構造は、Webサイトのページがどのような順序や構造で配置されているかを示すものです。

例えば、トップページからサブページ、さらにその下のサブページというように、ページが階層的に配置されています。
この階層は「第1階層」「第2階層」「第3階層」といったように数で示され、深い階層になるほど詳細な情報が配置されることが一般的です。

しかし、階層が深すぎると、訪問者が情報を探すのに手間がかかるため、適切な深さを保つことが重要です。

訪問者のサイト内行動を意識することがカギ

サイト訪問者の動線とは、サイト内での訪問者の移動や行動の流れを指します。

サイト訪問者がどのページからアクセスし、どのページを閲覧した後、どのページに移動するかなどの流れを考慮することで、訪問者にとって使いやすいサイト構成を目指すことができます。

例えば、商品の詳細情報を見た後に、関連商品や購入ページへのリンクを配置することで、訪問者の購入意欲を高めることができます。
また、訪問者の関心度や知識レベルに応じて、適切な情報提供や導線を設定することが求められます。

サイトマップの作り方

サイトの構築やリニューアルを行う際、サイト構成図(サイトマップ)の作成は欠かせないステップとなります。
この構成図は、サイトの全体像を一目で把握するためのツールとして活用されます。

目的①:お問い合わせ、資料請求の窓口

・特別な専門知識が必要な商品やサービスを提供している場合 ・技術的なコンサルティング、専門的な研修サービス、カスタム製品など ・お客様からの詳細な質問や要求を受け取り、それに基づいて提案や回答をすることが目的

目的②:商品・サービス販売

・一般消費者向けの商品やサービスを提供しているオンラインストア ・顧客が直接商品を選び、購入プロセスを完了することが目的

目的③:リストの取得

・情報提供や知識共有を目的としたコンテンツサイト ・訪問者からの関心やニーズを引き出し、それに対応する情報を提供することが目的

目的④:採用

・企業の採用活動をサポートするキャリアサイト ・求職者に企業の魅力や働く環境を伝え、最適な人材を採用することが目的

目的⑤:信頼性の獲得

・企業の歴史、実績、企業文化などを紹介するコーポレートサイト ・訪問者に企業の信頼性や信用性を伝え、ポジティブな印象を与えることが目的

Webサイトの目的は、上記の中から1つに絞ることが推奨されています。

1つのWebサイトに複数の目的を設定すると、どれも中途半端になってしまう可能性があるためです。
複数の目的を確実に達成したい場合は、それぞれの目的ごとに別のWebサイトを作成することが望ましいとされています。

また、Webサイトの「目的」を設定する際には、「ターゲット」も明確にすることが重要です。
訪問するお客様のペルソナ像を緻密にイメージし、それに基づいてサイトの内容や構成を考えることが、お客様視点を持つことにつながり、良いサイトを作るための鍵となります。

手順②必要なページのリストアップ

Webサイトを構築する際の重要なステップの一つが、必要なページ(コンテンツ)の洗い出しです。
これは、サイトの骨格を作る過程とも言える部分で、ここでの選択がサイトの質や効果を大きく左右します。

前項「目的の明確化」で設定した「目的」と「ターゲット」を基に、どのような情報を訪問者に伝えるべきか、どのようなアクションを促すべきかを考えながら、ページを洗い出していきます。

中小企業Webサイトのコンテンツ例

以下は、中小企業のWebサイトでよく見られるコンテンツの例です。

コンテンツカテゴリー詳細
会社概要会社の基本情報、所在地、連絡先などを掲載
企業理念会社が大切にしている価値観や哲学を紹介
事業案内主要な事業内容やサービスを詳しく紹介
商品案内主要な商品やサービスの詳細を紹介商品A、商品B、商品Cなど複数の商品を分類して紹介することも
導入事例・お客様の声実際の導入事例や、お客様からのフィードバックを掲載
お客様から選ばれる理由他社との違いや独自性を強調
お問い合わせ質問や商談のための連絡フォームや連絡先
採用について会社の魅力や募集職種を紹介
募集要項応募条件や選考プロセスなど、具体的な募集詳細を掲載
1日の流れ社員の一日のタイムスケジュールや業務内容を紹介

これらのコンテンツは、中小企業のWebサイトにおいて一般的なものですが、それぞれの企業の特色やニーズに応じてカスタマイズすることが重要です。

また、これらのページを洗い出す際には、訪問者が求める情報やアクションを考慮しながら、効果的な情報伝達を目指すことが大切です。

手順③:ページのカテゴリ分け

ページのグループ分けは、サイトの情報を整理し、訪問者が求める情報を効率的に探しやすくするためのものです。
また、サイトの管理者にとっても、コンテンツの更新や追加を行いやすくするための基盤となります。

中小企業Webサイトのコンテンツ・分類例

【製品・サービス情報】

・製品一覧

・サービスの特徴

・価格表

・サポート・保証情報

【会社情報】

・会社のミッション・ビジョン

・経営方針

・社員紹介

・アクセス・地図

【カスタマーサポート】

・よくある質問 (FAQ)

・トラブルシューティングガイド

・ダウンロードセンター (マニュアルやソフトウェア)

・お問い合わせフォーム

【ニュース&イベント】

・会社の最新ニュース

・参加予定の展示会・セミナー情報

・プレスリリース

【ブログ&コラム】

・業界のトレンドや情報

・製品の使用方法やヒント

・社員の日常や考え

【採用情報

・募集職種

・採用の流れ

・従業員インタビュー

・福利厚生・待遇

【パートナーシップ】

・ビジネスパートナー情報

・提携・協業のお知らせ

・パートナー向けのリソース

【ギャラリー&メディア】

・製品やサービスの写真

・動画コンテンツ

手順④:階層を整理してサイトマップを作成

サイトの情報構造を整理する際、階層図の作成は欠かせません。この階層図は、サイトマップとも呼ばれ、ウェブサイトの全ページの関係性を一目で把握するためのものです。

「階層」という言葉の通り、最上位に位置する「第1階層」は「トップページ」として設定します。
このトップページを起点に、各カテゴリーやページが枝分かれしていく形で、サイト全体の構造を明確に示していきます。

しかし、階層を深くしすぎると、訪問者が情報を探しにくくなるため、階層の深さには注意が必要です。

【中小企業Webサイトのサイトマップ例】
トップページ (第1階層)│├─ 製品・サービス情報 (第2階層)│   ├─ 製品一覧│   ├─ サービスの特徴│   ├─ 価格表│   └─ サポート・保証情報│├─ 会社情報 (第2階層)│   ├─ 会社のミッション・ビジョン│   ├─ 経営方針│   ├─ 社員紹介│   └─ アクセス・地図│├─ カスタマーサポート (第2階層)│   ├─ よくある質問 (FAQ)│   ├─ トラブルシューティングガイド│   ├─ ダウンロードセンター│   └─ お問い合わせフォーム│├─ ニュース&イベント (第2階層)│   ├─ 会社の最新ニュース│   ├─ 参加予定の展示会・セミナー情報│   └─ プレスリリース│├─ ブログ&コラム (第2階層)│   ├─ 業界のトレンドや情報│   ├─ 製品の使用方法やヒント│   └─ 社員の日常や考え│├─ 採用情報 (第2階層)│   ├─ 募集職種│   ├─ 採用の流れ│   ├─ 従業員インタビュー│   └─ 福利厚生・待遇│├─ パートナーシップ (第2階層)│   ├─ ビジネスパートナー情報│   ├─ 提携・協業のお知らせ│   └─ パートナー向けのリソース│└─ ギャラリー&メディア (第2階層)    ├─ 製品やサービスの写真    └─ 動画コンテンツ

手順⑤:サイトマップ作成のおすすめツール2選

Webサイトのサイトマップを効率的に作成するためには、専用のツールを使用するのがおすすめです。
以下、いくつかのツールを紹介します。

ツール①:パワーポイント

パワーポイントは、プレゼンテーションツールとして広く知られていますが、サイトマップの作成にも十分に対応しています。

特に中小企業のシンプルなWebサイトの場合、パワーポイントを使用してサイトマップを作成することができます。
多くの方が既に操作に慣れているため、手軽に始められるのが魅力です。

ツール②:XMind(エックスマインド)

XMindは、マインドマップ作成ツールとして人気があります。

サイトマップの作成にも適しており、直感的な操作で簡単にマップを作成することができます。
無料版も提供されているため、初めての方でも気軽に利用できます。

XMind公式サイト

サイトマップができたらページ構成(レイアウト)を考える

サイト構成図、別名サイトマップは、Webサイトの全体像を示す重要なツールです。

この構成図が完成したら、次のステップは各ページの具体的な内容とデザインを考えることです。これを「ページ構成」と呼びます。

ページ構成は、訪問者がサイトを効果的に利用できるようにするための鍵となります。

ページ構成とは

ページ構成とは、Webページの具体的な内容、デザイン、配置などを指します。

具体的には、ページ上のテキスト、画像、ボタン、リンクなどの要素の配置やデザインを考えるプロセスです。

これにより、訪問者が情報を簡単に探し、理解し、アクションを取りやすくなります。

シンプルなワイヤーフレームから始める

ページ構成を考える際、最初は詳細なデザインや色使いを気にする必要はありません。

初めの段階では、ワイヤーフレームと呼ばれる簡単なスケッチや図を使用して、ページの大まかなレイアウトや要素の配置を考えることが推奨されます。

ワイヤーフレームは、ページ構成の骨組みを示すツールで、デザインの方向性を決定するのに役立ちます。

Webページの主要な要素

Webサイトを構築する際には、そのページの構成要素が非常に重要です。

特に中小企業のWebサイトにおいて、訪問者に情報を効果的に伝えるための基本的な要素を理解することが求められます。

ここでは、Webページ構成の3つの基本要素を解説します。

要素①: ファーストビュー

ファーストビューとは、Webページを開いた際に最初に目に入る部分を指します。

この部分は訪問者の第一印象を形成するため、魅力的なビジュアルやキャッチフレーズを配置することで、訪問者の興味を引きつけることができます。

また、サイトの目的や提供する価値を簡潔に伝えることが重要です。

要素②:メインコンテンツ

メインコンテンツは、Webページの中心的な情報を提供する部分です。

ここには、商品やサービスの詳細、企業の特徴や強みなど、訪問者が知りたいと思う情報を詳しく掲載します。

内容は明確でわかりやすく、訪問者の疑問やニーズに答える形で構築することが望ましいです。

要素③: クロージング

ページの最後に位置するクロージング部分は、訪問者に次のアクションを促す役割を果たします。

例えば、商品購入への誘導やお問い合わせフォームへのリンクなど、訪問者が求める情報やサービスへの導線を明確に示します。

中小企業におけるWebサイト設計時のポイント

中小企業がオンラインプレゼンスを築く際、デザインや外観だけでなく、背後にある目的や戦略も考慮することが必要です。

特に中小企業は、手持ちのリソースを効果的に使う必要があります。

ポイント①:一時しのぎではなく、長期的な解決策を

ウェブサイトの構築や更新を行うとき、流行りのデザインや短期的な問題解決だけを目指すのは適切ではありません。

これは一時しのぎの対応となり、永続的な成果を期待するのは難しいでしょう。
真の価値を伝えるサイトを作るためには、ビジネスの核心をしっかりと捉え、それを基にサイトを設計することが重要です。

ポイント②:中小企業の「強み」を活かしたサイト設計を

中小企業のウェブサイトは、大手とは異なる特色や魅力があります。

その「強み」を明確にし、それをサイトの中心に据えることで、競合他社との差別化を図ることができます。
訪問者にとって魅力的なサイトを作るための戦略的なアプローチが求められます。

ポイント③:戦略的な計画と一貫性がサイトの鍵

成功するウェブサイトは、情報の提供だけでなく、戦略的な視点での設計が必要です。

その計画に基づいてサイトを一貫して構築することで、訪問者にとって使いやすいサイトを実現できます。

まとめ

中小企業のWebサイト制作は、限られたリソースの中で最大の効果を目指すための戦略的なアプローチが必要です。

サイト構成を考える際には、ターゲットとなる顧客のニーズやビジネスの目的をしっかりと理解し、それに基づいて情報を整理・提供することが重要です。
また、作成手順を明確にし、一つ一つのステップを丁寧に進めることで、効果的なWebサイトを構築することができます。

この記事を通じて、中小企業のWebサイト制作における基本的な知識と手法を習得し、成功への第一歩を踏み出すための参考としていただければ幸いです。