デジタルマーケティングの中で、メールは直接的なコミュニケーションツールとしての強みを持っています。
その中でも「ステップメール」は、特定のアクションやタイミングに合わせて自動的に送信されるメールのことを指し、顧客との関係構築やリテンション向上に非常に効果的です。
しかし、ステップメールの作成や運用にはどのようなステップが必要なのか、また、その効果を最大化するためのコツは何か。さらに、従来のメルマガとはどのように異なるのか。
この記事では、これらの疑問に答えながら、ステップメールの魅力と活用方法を詳しく解説します。
ステップメールとは
ステップメールは、特定の行動(例:資料請求、商品購入、会員登録など)を行った顧客に対して、事前に設定されたシナリオに基づき、順番にメールを自動配信する仕組みのことを指します。
このメールの内容、配信回数、配信スケジュールは、事前に自由に設定することが可能です。
具体的な例として、顧客が自社サイトで会員登録や資料請求を行った直後にお礼のメールを送り、その2日後には関連する資料や情報を提供し、さらに7日後には関連するイベントやセミナーの案内をする、といった流れが考えられます。
ステップメールの目的は、顧客の興味や関心を段階的に引き上げ、最終的に購買や他の目的達成に導くことにあります。
ステップメールとメルマガの違いとは
ステップメールとメルマガは、どちらも「メールを通して顧客に有益な情報を伝える」という目的を持っていますが、その運用方法や特性には大きな違いがあります。
ステップメールは、特定のアクション(例:会員登録、資料請求、商品購入など)を起こした顧客に対して、事前に設定したシナリオに基づき、順番にメールを配信する仕組みです。配信の内容、回数、スケジュールは自由に設定でき、特定のアクションを起こしたユーザーに限定して、段階的に情報を提供していきます。
一方、メルマガは、購読者リストに含まれる全てのユーザーに対して、同じ内容のメールを一斉に配信するものです。内容は新商品の紹介、イベント情報、コラムなど多岐にわたり、購読を解除するまで継続的に情報が届きます。
要するに、ステップメールはユーザーの特定の行動をトリガーとして、シナリオに基づいて情報を提供するのに対し、メルマガは定期的に一斉に情報を提供するものと言えます。
ステップメールのメリット3つ
ステップメールは、特定のアクションを起こした顧客に対して、事前に設定されたメールをスケジュール通りに段階的に送信する仕組みです。
この方式には、以下のようなメリットがあります。
メリット①:ブランドの認知度が向上する
ステップメールを適切に活用することで、ブランドの認知度や想起率を向上させることができます。
ステップメールはユーザーの興味や関心に基づいてメールを作成・配信するため、基本的にはユーザーが関心を持つ情報を継続的に提供することになります。
例えば、人材採用に関する資料をダウンロードしたユーザーに対して、新人研修のセミナー情報や人材育成のノウハウを提供することで、ユーザーとの接点を増やし、ブランドの認知度を向上させることができます。
メリット②:見込み客が増加する
ステップメールを活用することで、特定のアクションを起こしたユーザーに対して、そのユーザーが商品購入に至るまでの思考や行動を予測し、メールを作成することができます。
例えば、興味や関心が低い見込み客でも、段階的にメールを受け取ることで、購買意欲を高めることが期待できます。
特にBtoBの分野では、購買に至るまでの時間が長くなる傾向があるため、定期的なコミュニケーションが重要となります。ステップメールを使用することで、自動的に購買意欲を高めることが可能です。
メリット③:配信ステップ別に評価できる
ステップメールのもう一つの大きなメリットは、配信した各ステップごとに効果を測定し、分析・改善が容易であることです。
例えば、5通のステップメールの中で3通目のクリック数が特に少ない場合、3通目のメールに改善の余地があると判断できます。
このように、ステップメールでは各段階のデータを評価・分析し、ユーザーの反応に応じて内容をブラッシュアップすることが可能です。
ステップメールのデメリット3つ
ステップメールは、特定のアクションを起こしたユーザーに対して段階的にメールを配信する効果的なマーケティング手法ですが、一方でいくつかのデメリットも存在します。
以下に、その主なデメリットを詳しく解説します。
デメリット①:読者に響く文章を書くことが鍵となる
ステップメールの作成は、一般的なメールマーケティングよりも高度なセールスライティングのスキルや、ユーザーの行動や心理を深く理解する必要があります。
具体的には、どのようなアクションを起こしたユーザーにどのような内容のメールを送るのか、配信のタイミングや回数など、多くの要素を計画的に設計する必要があります。
これには、十分なリサーチやテストが不可欠となります。
デメリット②:メールアドレスの獲得のための費用コストが生じる
ステップメールを効果的に運用するためには、まずユーザーのメールアドレスを獲得する必要があります。
このメールアドレスの獲得には、広告配信やSEO対策などの集客方法が必要となり、これらの手法は時間や費用のコストがかかることが多いです。
さらに、多くの訪問者をサイトに呼び込んだとしても、彼らが実際にメールアドレスを提供するまでのステップが必要です。
このため、高品質なコンテンツの提供や、ユーザーにとっての価値を明確に伝える工夫が求められます。
デメリット③:内容を定期的に調整する必要がある
ステップメールは、一度設定してしまえば自動的に配信されるため、運用が楽というメリットがありますが、その反面、定期的な内容の見直しや更新が必要となります。
特に、長期間にわたって同じ内容のメールを配信し続けると、情報が古くなるリスクがあります。
また、ユーザーの反応や市場の変化に応じて、メールの内容や配信頻度を調整することが求められるでしょう。
ステップメールの作成フロー
ステップメールは、特定のアクション(資料請求・商品購入・会員登録など)を起こした顧客に対して、事前に設定したシナリオに従い、メールを段階的に配信する仕組みです。以下に、ステップメールの主要な作成手順を説明します。
ステップ①:コンバージョンポイントを決める
ステップメールを導入する際の最初のステップは、配信するメールの最終的な目的を明確にすることです。
この目的は、新規顧客の獲得、顧客育成、販売フローの自動化、アップセル・クロスセルの提案など、様々な形で設定することができます。
目的を明確に設定することで、適切なターゲットとメッセージを組み合わせ、効果的なステップメールを作成することができます。
ステップ②:ターゲットとシナリオを考える
次に、どのようなユーザーをターゲットとするかを決定します。
このターゲット選定は、ステップ①で設定した目的を達成するためのものです。ターゲットが決まったら、シナリオを作成します。シナリオは、ユーザーがどのような情報を求めているのか、どのタイミングでどのようなメールを送るべきかを考えるためのものです。
AIDMA(アイドマ)などのフレームワークを利用して、カスタマージャーニーマップを作成すると、シナリオの作成が容易になります。
ステップ③:メールを作成する
ステップメールの成功の鍵は、その内容です。
シナリオが整ったら、メールの実際の文面を作成します。メールの内容は、顧客が自分宛に送られたものと感じられるよう、パーソナライズすることが推奨されます。
例えば、本文内に「○○様」と名前を挿入することで、受信者の関心を引き付けることができます。また、1つのメールに1つの明確なテーマやメッセージを持たせ、情報を分かりやすく伝えることが大切です。
ステップ④:配信設定を的確に行う
メールの内容が完成したら、次は配信の設定を行います。
メール配信システムを使用して、配信のターゲット、配信の間隔、配信のタイミングなどを設定します。重要なのは、設定が完了したらテスト配信を行うこと。
これにより、設定したスケジュール通りに正確に配信されるか、またメールの内容に誤りがないかを確認することができます。
ステップ⑤:メールの効果を分析する
ステップメールの運用は、一度設定して終わりではありません。
配信後は、開封率やクリック率などの指標をもとに、メールの効果を分析・検証します。
このデータを基に、メールの内容や配信タイミングをブラッシュアップしていくことで、より効果的なステップメールを実現することができます。
ステップメールの効果をあげるためのポイント4つ
ポイント①:読者にとって説得力のある文章を書くスキルを上げる
ステップメールの内容は、受け取るユーザーにとって魅力的で説得力のあるものでなければなりません。
セールスライティングのテクニックを取り入れることで、ユーザーの関心を引きつけ、購買意欲を高めることができます。具体的な商品の魅力や購入するメリットを明確に伝えることで、ユーザーの行動を促すことができます。
ポイント②:どのようなビジネスや商品・サービスに適しているのかを理解する
ステップメールは、特定のアクションを起こしたユーザーに対して、段階的に情報を提供する手法です。そのため、どのようなビジネスや商品・サービスに適しているのかを理解することが重要です。
例えば、高額な商品や継続的に利用されるサービス、BtoBのビジネスなどはステップメールの活用が特に効果的です。
一方、低単価で一度の購入が主となる商品やサービスには向いていない場合もあります。適切なターゲットとシナリオを設定することで、最大の効果を引き出すことができます。
ポイント③:MAツールを活用する
ステップメールの運用には、MA(マーケティングオートメーション)ツールの活用が欠かせません。
MAツールを使用することで、ユーザーの行動や反応をリアルタイムで把握し、適切なタイミングで最適な内容のメールを自動的に配信することができます。また、配信結果の分析や効果測定も容易に行うことができ、PDCAサイクルを回しやすくなります。
ポイント④:ユーザーの反応に応じて元のステップに戻るシナリオを用意する
ステップメールは一方通行の情報提供ではなく、ユーザーの反応や行動に応じて柔軟に対応することが求められます。
例えば、ユーザーが途中で興味を示さなくなった場合や、前のステップの内容に再度関心を示した場合など、シナリオを逆にたどることができるように設計することが重要です。
まとめ
ステップメールは、ユーザーの行動や経過時間に応じて自動的に送信されるメールであり、顧客のニーズに合わせたタイムリーなコンテンツ提供が可能です。
ステップメールの効果を最大化するためのコツとしては、顧客の興味やニーズに合わせたコンテンツの提供や継続的な分析と改善が挙げられます。
ステップメールを効果的に活用することで、顧客との関係を深化させ、ビジネスの成果を向上させることができます。