アトリビューション分析の秘密:広告効果の本質と成功の実例を明らかに

監修者

佐藤 祐介
佐藤 祐介

株式会社LIFRELL代表取締役。大手代理店、株式会社オプト、電通デジタルの2社でアカウントプランナーを経験。その後、株式会社すららネットでインハウスマーケターとして事業の立ち上げからマザーズ上場水準まで事業を伸長させる。マーケティング戦略の立案からSEO/WEB広告/SNS/アフィリエイト等の施策で売上にコミット。

専門家

深瀬 正貴
深瀬 正貴

Yahoo株式会社 法人マーケソリューション出身。 鎌倉の海のそばでオフィスFHを運営。 リスティングやSEOをはじめとしたデジタルマーケティングで100社以上の売り上げ課題を解決。
最近の趣味はブームに乗っかったように見えてしまう「焚き火ごはん」。

目次

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現代のマーケティングの現場では、コンバージョンへのルートが一層複雑かつ多様になっているため、広告の効果を精密に測ることの重要性が一段と高まっています。

コンバージョンを達成した最後のメディア(広告)だけではなく、顧客がその過程で触れた各メディアに対しても正確な評価を行うことが求められます。

本稿では、広告がもたらす間接的な効果を計測する「アトリビューション」に焦点を当て、その基本的な理解から分析の重要性、自社でアトリビューション分析を導入するためのステップまでを詳細に説明していきます。

アトリビューション分析とは何か?

アトリビューション(Attribution)は、一般に「間接効果」と表現され、ユーザーが最終的なコンバージョンに到達するプロセスにおいて、各「流入チャネルの相対的な貢献」を精確に評価する目的で使用される分析手法です。

実際、消費者が広告やメディアに触れてすぐに商品やサービスを購入するケースは少ないです。

顧客はまずブランドや商品を知り、時間を掛けて詳細な情報を収集し、興味や関心を徐々に深め、最後に購入という決断を下します。

特に高額な商品ほど、このプロセスは長期にわたるものとなります。

例えば、消費者が自動車を購入する場合、3ヶ月間に約900回ものデジタルコンテンツ(メーカーのウェブサイトや比較サイト、Web広告など)に接触するとされています。

現代のスマートフォンの普及と情報の容易なアクセスにより、ユーザーが購入の決断を下すまでの道のりはより複雑になり、一つの広告だけでなく、複数の広告が連携して影響を及ぼすことが一般的です。

このような状況下で、各広告がユーザーの購入決定にどの程度寄与したかを判断するために、「終点モデル(ラストクリック評価)」や「起点モデル(ファーストクリック)」「線形モデル」等の成果分配モデルを使用して、アトリビューション分析が行われます。

アトリビューション分析の重要性について

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デジタルマーケティングの世界では、最近、アトリビューション分析の重要性が注目されているのは明らかです。

ラストクリックだけでは真の広告の価値を評価できない

広告の効果を判断する一般的な方法は、コンバージョンを基準にしたアプローチです。

しかし、このアプローチは、最後にコンバージョンを引き起こした広告だけを評価する形になります。

「商品やサービスに初めてユーザーを導いた広告」や「購買意欲をさらに高める広告」については、評価が疎かになり、結果として広告の停止や誤った戦略を取る可能性が生まれます。

アトリビューション分析を実施することで、広告のコンバージョン発生率は少なくとも、最終的なコンバージョンへの寄与がある広告を特定でき、マーケティング活動全体の最適化が可能になるでしょう。

認知向上のための効果的な広告予算配分のサポート

また、直接的なコンバージョンにつながらない場合でも、広告が認知の向上や興味の喚起に寄与している場合、どれだけの「広告アロケーション」(予算の割り振り)が適切なのか、その設計にも助けになります。

例えば、某自動車メーカーが新車の販売促進のためにWeb広告キャンペーンを実施したとしましょう。

ショールームへの予約をコンバージョンと定め、「特定の車種名」で検索するユーザーにリスティング広告を表示すれば、ラストクリック評価は高くなることでしょう。

しかし、この手法では、すでに特定の車種名を知っているユーザーへのアピールしかできず、コンバージョン数の拡大の観点からは、限界が現れます。

コンバージョン数を最大にするには、対象となるユーザーへの認知向上を図る広告の導入が必要です。

アトリビューション分析の活用により、これらの認知向上に寄与する広告にどれだけの予算を投じるべきか、データを基にした精緻な判断が可能となります。

そうした意味で、アトリビューション分析は、限定された予算をどのチャネルやメディアにどう配分するかの指針となり得ます。

アトリビューション分析が効果的ではない場合

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アトリビューション分析は、広告のパフォーマンスを精密に評価するツールですが、ウェブサイトのコンバージョンまでの期間が短い場合、その価値は低くなることがあります。

アトリビューション分析は、ユーザーが複数の異なるチャネルを通じて何度か訪れるウェブサイトで真価を発揮します。自社ウェブサイトでアトリビューション分析が適しているかどうかを判断するために、Googleアナリティクスの「経路の数(コンバージョン>マルチチャネル>経路の数)」を確認することをお勧めします。

この指標の「1回」がウェブサイト全体の8〜9割を占める場合、検討期間が短いため、アトリビューション分析の有用性が限られると言えます。

3つの主要なアトリビューション分析成果配分モデル

アトリビューション分析では、広告に対する貢献度の重視ポイントに応じて、成果配分モデルが変わってきます。

この記事では、特に頻繁に利用される「①終点モデル」「②起点モデル」「③線形モデル」の3つのモデルを中心に詳しく説明します。

他にも「減衰モデル」「接点ベースモデル」といった採用例も存在します。

これらはアトリビューションモデルの進んだ分析手法であるため、初めての分析を行う際には、「終点モデル」「起点モデル」「線形モデル」からスタートすることを推奨します。

①終点モデル(ラストクリック)

終点モデルは、広告の効果評価のスタンダードな方法の一つで、ユーザーがコンバージョンを達成する前に最後にクリックした広告に貢献度の100%を割り当てるモデルとなります。

②起点モデル(ファーストクリック)

起点モデルは、ユーザーが最初にクリックした広告に貢献度の100%を割り当てるアプローチです。

主に純広告や動画広告といった、ブランド認知を高める目的の広告評価に活用されます。

③線形モデル

線形モデルは、ユーザーがコンバージョン達成までに触れた全ての広告に対して、貢献度を等しく分配する評価方法です。

アトリビューション分析の実施において、頻繁に利用されるクラシックなモデルとされます。

また、「均等配分モデル」とも呼ばれます。

アトリビューション分析による効果的な広告出稿の事例

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アトリビューション分析の例を紹介します。

ある通販サイトを運営する企業は、各広告チャネルの寄与度と予算配分の適切さを知りたいと考えました。そこで、Googleアナリティクスを使用してアトリビューション分析を行いました。

最初に、ユーザーの接触経路を調査し、コンバージョンの約75%が複数の接触を経て達成されていることがわかりました。

それから、3つの成果配分モデルを使用し、リスティング広告、ディスプレイ広告、Googleアナリティクスの「direct」など各メディアを評価しました。結果として、終点モデルでは「direct」が最も大きなシェアを持っていましたが、他のモデルでは「direct」のシェアが減少し、リスティング広告やディスプレイ広告のシェアが上昇したことが明らかになりました。

この分析により、リスティング広告やディスプレイ広告は、直接的なコンバージョンへの寄与は少ないが、「ブランド認知の向上」や「購入意欲の喚起」に効果があることがわかりました。

アトリビューション分析実施のための3つのステップ

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アトリビューション分析は、いくつかの設定手順を必要とする印象があるかもしれません。

しかし、ツールを利用すれば、簡単に各成果配分モデルに基づく広告の効果をチェックできます。

STEP1:適切な分析ツールの選定

一般的に使われるのは、Googleアナリティクスや、アドエビスのような広告計測ツールです。

Googleアナリティクスは、Googleアカウントを持っていれば誰もが無料で使用可能です。今回の説明では、Googleアナリティクスの導入を基盤として解説を進めます。

引用:Google アナリティクス

STEP2:必要なデータの収集

次に、分析に必要なデータを収集します。

Googleアナリティクスを用いる際、流入元を特定するためには、適切なパラメータの追加が必要です。

どのようなパラメータが追加可能かは、Googleアナリティクスの公式ヘルプページにて詳しく紹介されていますので、参考にして設定してください。

STEP3:さまざまなモデルでの比較検討

Googleアナリティクス内の、「コンバージョン」→「マルチチャネル」→「モデル比較ツール」を通じて、アトリビューション分析を行うことができます。

例えば、 ‘終点モデル’ のコンバージョン数と比べて ‘起点モデル’ や ‘線形モデル’ のコンバージョン数が増えている場合、これらのチャネルはブランド認知や購買意欲に効果的かもしれません。

高評価のチャネルに広告予算を調整し、コンバージョンの変化をモニターしながら最適化を進めましょう。広告を代理店に依頼している場合は、定期的に意見交換をおすすめします。

また、Googleアナリティクスはデフォルトでコンバージョン前30日間のクリックのみを追跡します。長期間の検討が必要な商品・サービスの場合、表示期間の調整を忘れずに行いましょう。

【現場でよくある事例!】間接コンバージョンとは?直接コンバージョンとの違いと意味を解説!

アトリビューション分析に関して解説してきましたが、運用現場でよく起こる事例として「間接コンバージョンが理解できていない」という内容があります。

間接コンバージョンとは、ユーザーのサイト活動の中で、直接的な成果とは異なるものの、最終的なコンバージョンに結びつく可能性が高い行動を指します。

一方、直接コンバージョンとは、広告主にとって望ましい成果そのものである、サインアップ、商品購入、資料ダウンロード等のユーザーアクションのことを言います。

例えばECサイトであれば、直接コンバージョンは購入という行為そのものですが、商品ページへのアクセスや、検索機能の利用等は間接コンバージョンとなります。

この二つの違いを理解したうえで、単なるページビューやセッション数といった指標に頼ることなく、間接CVも含めた多角的な分析を行うことが重要です。

まとめ

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この記事では、アトリビューション分析の基本概念や、その実施手順について詳しく解説しました。

アトリビューション分析は、単なるラストクリックに基づく広告の評価だけでなく、新たな評価基準を設けて広告の効果を正確に把握するためのアプローチです。

特に、ユーザーが購入に至るまでに長い時間をかけて検討を重ね、複数のセッションを経るサイトにおいては、この分析手法の導入を強く推奨します。

ただし、分析そのものが目的ではなく、分析を通じて得たデータを基に、広告予算の最適な再配置や他の施策の実施を進めなければ、アトリビューション分析の真の価値を享受することはできません。

分析の結果を参照しながら、緻密に予算の調整を行い、最良の予算配置を見つけ出しましょう。

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