「“聞き上手”を目指しているけど、なかなか会話が続かない……」
「婚活で出会った相手と“一問一答”で終わってしまう……」
そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
今回、“笑い”を武器にした独自のコミュニケーション術を指導する「コミュニケーション スクール松本 えるおー」さんにインタビュー。
“笑顔”と“リアクション”、そして“臨場感”という3つのポイントを軸に、自分から会話を盛り上げるヒントをうかがいました。婚活だけでなく、仕事や日常会話にもすぐに活用できる実践的なメソッドが満載です!

松本えるおーさん × 婚活パラダイス編集部 インタビュー対談

コミュニケーション スクール
松本えるおーさん
小学生時代を“携帯電波も届かないほど”の田舎で過ごし、人と話す経験が乏しかったところからスタート。そのまま社会に出て、初デートで「あなたといても全然面白くない…」と言われ強制終了されてしまうなど、コミュニケーション下手に大いに悩む。しかし、「モテたい!」という強い想いから、面白い人たちを観察し、理論化・体系化。現在は“笑いを通じたコミュニケーション術”を伝える講座を展開し、YouTubeや著書も執筆している。

田舎育ちからスタートした“人と話せない”幼少期
— 改めてご経歴を拝見すると、携帯電話の電波もつながらないような山奥で育ったとありましたね。そこから都会に出てこられて――というあたりをまずお聞きしてもよろしいですか?

はい。生まれ育ったのが本当に田舎なんです。今でも実家に帰るとスマホが圏外になります。まったく電波が入らないので、家の玄関を出て数百メートル歩かないとつながらないんですよ。山の谷間のような場所にあるんです。
小学校の同級生は4〜5人。全校生徒でも30〜40人ぐらいしかいない超小規模校でした。
なので、新しい人とコミュニケーションを取る必要性がほぼなかったんですよね。人と会話するにしても、みんな顔なじみみたいな環境なので、コミュニケーションを意識すること自体がなかった。
ところが、中学に上がると一気に同級生が400人とかになるわけです。100倍増ですよ(笑)。そうなると、急に「田舎者」扱いされたりものすごく戸惑いました。
田舎者というだけでいじられてしまったり、バカにされるのが怖いので、段々しゃべらなくなる。そうして中学生の頃はかなりひねくれた性格になってしまいました。
社会人でもコミュ下手が続き…デートが強制終了
— そこから中学・高校でもあまり変わらなかったんですか?



そうですね。高校時代もコミュ力がまったく育たなかったです。大学で「少し変えてみよう!」と思ったものの、やっぱりうまく身につかなかった。社会人になってもしゃべるのが苦手だったのは変わらなくて。
一番印象的な苦い経験は社会人1年目に初めて女性とデートできることになったんですが、もう会話が一問一答になってしまって、すぐに話題が尽きる。
「あなたと一緒にいても面白くない」と言われて、その場でデートを打ち切られたという…。今だから笑って話せるんですけど、そのときはすごく傷つきましたね。
「モテたい!」から始まった“笑い”の研究
–そこから一念発起して「モテたい!」と(笑)。



そうなんです(笑)。「しゃべれないまま年を取りたくない」「なんとかモテるようになりたい」――そうした切実な思いがあって。
日常的に面白い人たちを観察したり本を読んだりしていくうちに、「あれ、この人と別の面白い人、言ってることに共通点があるな」というのが見えてくるようになったんですよ。
そこから「誰でも再現できるようにしよう」ということで理論やメソッドに落とし込んでいった。最終的には体系的ににまとめて、それを講座で教え始めました。
笑いの三大原理「ギャップ・マッチ・エンパシー」
— 著書やウェブサイトを拝見しましたが、「SEO」「GAMEの原理」という言葉を目にしました。具体的にはどういうものでしょう?



「SEO」は「Smiling(スマイル)」「eizouka(映像化)」「over(オーバー)」の頭文字を取ったものなんです。
たとえば“笑顔”と“ちょっとオーバー気味のリアクション”、そして“臨場感を持って話す”――この3つを意識するだけで、会話の印象はガラッと変わる。まずはここを徹底しましょうという理論ですね。
「GAMEの原理」はもう少し高度な「笑いをとる」ための仕組みです。具体的には「GAP」「MATCH」「EMPATHY」という3つの考え方があって、会話のなかで要所要所に「ギャップを作る」とか「例え話(マッチング)」をするとか、「共感(エンパシー)のズバリ突き」をするとか、そういったことを意識していく。
一度笑いが起きると会話がポジティブに展開しやすくなりますので、まずはどこかで“小さな笑い”をとって、その勢いで楽しくラリーを続けよう――これが「GAMEの原理」というイメージですね。
- GAP:予想を裏切る逆の展開で笑いが起きる
- MATCH:例えや重ね合わせで笑いが生まれる
- EMPATHY:共感コメントで笑いが起きる
まずは“笑う準備で相手の話を聞く”だけでも変わる
— なるほど。その他に初心者でもすぐできそうな、カンタンに取り入れられるポイントって何かありますか?



意外と質問が多いのが「笑顔でいたいけど笑えないときはどうするか」というものです。僕がお勧めしているのは、「人の話を聞くとき、最初から“笑おう”と思いながら聞く」という心構え。
そうすると、自然に「どこが面白いのかな?」とアンテナが立って、思わずクスっとできるポイントが見えてきます。
「別に大して面白くないけど笑顔を作らなきゃ」と思っていると苦痛になりますが、最初から「笑いのタネを探す」というモードで聞いていると、勝手に表情やリアクションがポジティブになってくるんです。
婚活にも効果アリ?「つまらない人」が一瞬で盛り上げ上手に
— これは婚活で会話が続かない方にも超大事ですね。もともと“面接感覚”でしか会話できないと、いっそう盛り上がらないので…。



はい。特にお見合いだとプロフィールはある程度整っていても、対面すると「何話せばいいか分からない」と固まってしまう方は多いはずです。
でも、たとえば「そうなんですね」「へぇ〜」だけで終わらせるのではなく、「えっ、今の話、○○ってことですか? 面白いですね!」みたいに、ちょっと合いの手やリアクションを変えてみるだけでも、相手の印象は全然違ってきます。
あとは、会話中に小さな“笑い”を起こしていくコツですね。先ほどの「GAMEの原理」――GAP・MATCH・EMPATHYなどを組み合わせていくと、一問一答で終わらず会話がラリーになってくる。
結果として、「この人としゃべってると楽しいかも」と思ってもらえるんです。
「聞き上手」は場合によっては逆効果? 自分から笑いを“つくる”のが大事
— 世の中、傾聴を推す講座ってすごく多いですよね。でも実際の婚活現場とかだと、二人とも聞きに徹すると黙って終わることもあるとか…。



そうなんです。傾聴スキルはもちろん大事なんですが、もともとしゃべれない人が「聞くことに徹しよう」とすると、もっとしゃべらなくなってしまいがちです。
「ちゃんと話を聞いてます」も大切ですが、「相手の話を拾って笑いをつくりにいく」ぐらいの意識でいたほうが、その場が盛り上がるし、相手も気分がよくなります。
講座のコース設定と対象の“コミュニケーション偏差値”
— 松本さんの講座には入門編、アドバンス編、マスターコースなどいくつか階層がありますよね。どんな人がどこを受けるのかざっくり教えていただけますか?



たとえば、全く「人前で震えちゃう」とか「挨拶すら無理」というレベルだと、まずは他の基礎的なコミュニケーション講座に行ってもらったほうがいいかもしれません。
僕の講座は、一応「会話の受け答えはなんとかできる。でもぎこちないし、盛り上がらない」ぐらいの層をメインにしています。
- 入門講座:基本的な理論とカンタンに使えるテクニックを1日で学ぶ場所。笑いのSEO対策、GAME対談に理論などの存在を知り、「これを意識すると笑いをとれるのかも」とパッと方向性をつかむところまで。
- アドバンス講座:入門で理屈を知ったうえで「具体例がまだイメージできない」という人向けに、よくある会話のシーンやフレーズを勉強しながら練習する場所。ワークも多めです。
- マスターコース:複数回のセッションで、実際にアウトプットとインプットを繰り返し、自然に身につけるまでサポートするコース。最終的には「少々スベってもリカバリーできる」レベルまで目指します(笑)。
「婚活で声をかけられた!」といった嬉しい変化も
— 実際、「婚活において劇的に変わった!」という事例はありましたか?



結婚相談所のTMSさんが受けてくださって、そのTMSさんの会員さんが「婚活パーティーで声かけてもらえた!」と喜んでいた…というお話は聞いています。
— いいですね。婚活パーティーって1回のトーク時間が短いことも多いので、序盤のインパクトってすごく大事ですもんね。



そうなんですよ。せっかく対面で会ったのに、「プロフィールと違う」「話が上手くない」などのマイナスギャップが一瞬で発生してしまうと、もう取り返すのが大変。
そこを笑いとかポジティブな印象で抑えておくのは本当に役に立つはずです。
リーダー層への展開、中高生にもニーズあり?
— 仕事上でも役立ちそうですよね。営業や上司とのコミュニケーション、プレゼンする機会など。



おっしゃる通りで、営業成績が上がったとか、リピート客が増えてチップがもらえるようになったとか、そういう声は届いています。
チームをまとめるリーダー・管理職向けに研修を企画し始めてもいいかなと思っていますね。
社内で笑いを作れるリーダーがいれば、定着率も業績もきっと上がるはずなので。
— それ、めちゃくちゃニーズ高いと思います。さらに言えば、中高生のうちに知っておいたら人生の展開が変わりますよね。



実際、高校生でマスターコースを受けに来てくれた方がいるんです。自分でバイト代を貯めて受講してくれたんですけど、ものすごく変わりましたよ。
LINEで女子にどう返信すればいいのか分からなかったのが、ちゃんと“笑いの要素”で返せるようになって、「返信が今まで以上に続くようになった」「デートに誘ってもらえた」と喜んでくれました。
年齢関係なく、早めに身につければ身につけるほどリターンが大きいと思います。
今後の展望
— 今日は色々と貴重なお話をありがとうございました。お聞きしていると、婚活向けだけでなく幅広い分野に応用できるメソッドですね。
今後は法人向け研修やリーダー層向けの講座にも力を入れていく予定とのことでしたが、ますます期待しています。
最後に、婚活に取り組む読者に向けて一言メッセージをいただけますか?



はい。婚活でお相手に好印象をもってもらいたいなら、まずは「相手の話を笑おうと思いながら聞く」「リアクションをオーバー気味にする」「イメージを具体化する」という3点を意識してみてください。
そこからさらに「笑いが起こる三つの原理」を少しずつ覚えていけば、会話が盛り上がるシーンが絶対に増えます。
お相手も、あなたと一緒にいることで“ポジティブな気分”を味わえると分かれば、「また会いたい」と思ってもらえるはず。
外見を大きく変えるのは難しくても、しゃべり方やリアクション、話の盛り上げ方は後天的に身につけられます。焦らずコツコツ練習してみてください!
編集後記
「人の話を“最初から笑おう”と聞く」という一見シンプルなアドバイスが、実はとても深いヒントになるのが印象的でした。
中高生から大人まで、意外と誰もきちんと学んでこなかった「笑いをとる」技術をカリキュラム化しているのは本当に珍しいですよね。
婚活で会話に行き詰まりを感じている方も、いきなり“黙らず盛り上げる”ところまでは難しくても、まずは「笑顔」「リアクション」「臨場感ある伝え方」を意識するところから始めてみてはいかがでしょうか。
取材・文:婚活パラダイス編集部