「リスティング広告の運用、代理店にどのくらいの費用を支払うのか?」、「良質なリスティング広告の代理店、どうやって選べばいいのか?」
これを読んでいる方々の中には、これらの問題に頭を抱える企業の担当者もいるのではないかと思います。
リスティング広告代理店に依頼可能な業務
リスティング広告の外部委託を行う際、代理店が手がける業務の範囲は、代理店との契約内容により違いがあります。
最も基本的な契約の形態では、広告アカウントの設立から入札の調整(入札価格・広告文案・キーワード選択・リンク先決定など)まで、全てが広告代理店の責務となり、週間や月間のレポートを通じて成果が伝えられるのが普通です。
さらに、クリエイティブの作成やウェブ分析、SEO戦略なども一緒に依頼する場合、広告運用代行の手数料に加えて、追加の費用がかかる場合があります。
しかし、いくつかの代理店では、運用にかかる費用が高くなる場合に、クリエイティブ制作やウェブ分析のコストが手数料内に含まれている状況も存在します。
そのため、依頼を行う前に、これらの点をしっかりと確認することが大切です。
何はともあれ、広告代理店に依頼を考えている時点で、「いつ」「どの様な」支援を求めるのかを明瞭にしておくことが重要です。
代理店へのリスティング広告運用依頼の費用と予算設定方法
広告運用を代理店に託す場合、報酬の形態は主に3つのタイプが存在します。
タイプ | 説明 | 利点 | 懸念点 |
---|---|---|---|
手数料型 | 売上や広告費用に応じて代理店に手数料が支払われる。一般的に広告費用の一定割合(例: 売上の10%)が手数料として支払われる。 | – 広告費用に比例して報酬が発生し、結果に応じて支払いが調整される。 – 代理店のモチベーションが高まり、効果的な広告運用が期待できる。 | – 高い広告費用を必要とする場合、手数料が高額になる可能性がある。 – 売上に応じた報酬が一定期間支払われるため、収益が不安定になる。 |
定額型 | 代理店に対して一定の月額料金が支払われる。広告費用や売上に関係なく、固定された料金が契約期間中支払われる。 | – 予算を予測しやすく、収益が安定する。 – 契約期間中の料金が予め確定しており、予算管理がしやすい。 | – 成果に応じた報酬がないため、代理店のモチベーションが低い場合がある。 – 効果的な広告運用ができない場合でも料金が発生する。 |
成果報酬型 | 代理店への報酬は、特定の成果(例: クリック、購入、リード)が達成された際に支払われる。クライアントの目標達成に応じて報酬が決定される。 | – 成果に対してのみ報酬が支払われるため、リターンオンインベストメント(ROI)が高い。 – 目標達成にモチベーションが高まり、効果的な広告運用が期待できる。 | – 目標達成が難しい場合、報酬が支払われない可能性がある。 – 成果の評価と報酬の計算に関する誤解が生じることがある。 |
1. 手数料型
手数料型の報酬形態では、代理店に対して広告費用に応じた手数料が支払われます。通常、売上の一定割合(例: 売上の10%)が手数料として代理店に支払われます。この形態の報酬は、実際の広告費用に比例して発生するため、広告運用の成功に応じて代理店への報酬も増減します。
手数料型の報酬形態は、代理店のモチベーションを高め、効果的な広告運用が期待できる一方で、高額の広告費用を要する場合、手数料も高額になる可能性がある点に注意が必要です。
2. 定額型
定額型の報酬形態では、クライアントは代理店に対して契約期間中に一定の月額料金を支払います。この料金は広告費用や売上に関係なく、契約期間中に固定された金額として支払われます。定額型の契約は予算を予測しやすく、収益が安定する利点があります。
クライアントは契約期間中の料金が予め確定しているため、予算管理がしやすくなります。一方で、成果に応じた報酬が存在しないため、代理店のモチベーションが低い場合があるかもしれません。また、広告運用が効果的でない場合でも料金が発生する点に留意が必要です。
3. 成果報酬型
成果報酬型の報酬形態では、代理店への報酬は特定の成果が達成された際に支払われます。通常、クリック、購入、リードのような具体的な成果に対して報酬が支払われ、クライアントの目標達成に応じて報酬が決定されます。成果に対してのみ報酬が支払われるため、リターンオンインベストメント(ROI)が高いと言えます。
代理店のモチベーションも成果に結びつくため、効果的な広告運用が期待できます。ただし、目標達成が難しい場合、報酬が支払われない可能性がある点に留意が必要です。また、成果の評価と報酬の計算に関する誤解が生じることがあるため、契約内容は明確にすることが重要です。
代理店における手数料の一般的な相場
「手数料型」の運用を依頼した場合、月々の「(媒体)広告費の約20%」が一般的な手数料の相場とされています。
例えば、月に120万円の広告費を設定する場合、約24万円が広告代理店への支払い手数料(※)となり、全体としては144万円の予算が目安です。
※具体的には、媒体(Yahoo!・Google)ごとに、何%が代理店にキックバックされるかが異なり、その20%分全てが代理店の利益になるわけではない場合もあることに注意が必要です。
20万円(広告費) × 20% = 24万円(広告代理店への支払い手数料)→ 予算:144万円
いくつかの代理店では、全体の支出(広告を配信するための総費用)の約20%を手数料として設定している場合も存在します。
月に120万円の広告費を投じるケースを想定すると、20万円が広告代理店への支払い手数料となります。
120万円(広告費) ÷ 1.2 × 20% =20万円(広告代理店への支払い手数料)
ただし、この手数料の20%という率は、予算の規模によって調整されることが一般的です。
例えば、月2,000万円の広告費を計画する場合、手数料が約400万円と大きくなります。
その際、月々の予算が大きい場合は、手数料が広告費の10〜15%に調整されることもあるでしょう。
逆に、月20万円といった低い広告費で運用を依頼する場合、代理店の手数料は約4万円となり、代理店にとっては人件費や作業時間の割に合わない状況になります。
予算が100万円以下の少額のケースでは、20%の手数料に加えて、5~10万円の固定報酬が設定される「固定報酬制」を採用している代理店も存在します。
少額の予算での運用代行は受けられるか?
大規模な広告代理店では、上述したように、報酬が期待以下になると判断される場合、月々の広告費が100万円以下の少額の運用代行は受け付けないことが多いです。
少額からのリスティング広告運用代行を希望する際は、中小企業をターゲットにした広告代理店に依頼する方法や、フリーランスの運用担当者を探すオプションがあります。
リスティング広告における予算設定のアプローチ
リスティング広告の運用を初めて広告代理店に依頼する場合、どの程度の予算を設定すれば良いのか疑問に感じる方も多いでしょう。
リスティング広告の予算は、目標が明確であれば、以下の式から導き出すことが可能です。
【予算の計算方法】目標CPA × 目標CV数 = 必要な予算
たとえば、目標CPAが10,000円で目標CV数が100件の場合、必要な予算は1,000,000円と計算されます。
リスティング広告を実施する目的をはっきりさせ、目標を設定した上で予算を決定することが重要です。しかし、リスティング広告は配信データを綿密に分析し、改善を重ねながら効果を最大化していくものです。
初めての運用ではまず小額から始め、データを蓄積してから予算を拡大していくことが効果的なアプローチとされています。この過程で重要なのは、代理店とのコミュニケーションです。期待値や目標をしっかり代理店に伝え、一緒に予算の最適な設定を行うことが大切です。
効果的な広告運用を行うためには、代理店との信頼関係の構築とコミュニケーションが鍵となりますので、慎重にパートナーを選ぶことが大切です。
リスティング広告代理店・運用代行の選定は、担当者の能力とチームの組織体制が鍵
リスティング広告代理店を選ぶ際、「人気があるから」とか「大手企業だから」という理由だけで決定するのは避けた方が良いでしょう。というのも、大手やランキング上位の代理店でも担当者の専門スキルやチームの組織体制がしっかりしているとは限らないためです。
例を挙げると、予算の小さな案件には、経験が少ない新人が担当になる場合もあれば、必要なリソースが確保されないことも少なくありません。このような状況では、期待する成果を上げるのは困難である可能性が高いです。
さらに、担当者が広告運用の経験豊富でも、自社の業界での運用実績や専門知識があるかどうかは別の話です。
また、PDCAの進め方や自社の要求に応じた働き方ができるかどうか、そういった相性の問題も無視できません。要するに、代理店が大手であるからといって、自社に割り当てられる担当者やチームの体制によって、実際の成果は大きく変わる、ということなのです。
「大手を選ばなければならない」というわけではなく、単に名前に安心して依頼するのではなく、「人材」、すなわち運用担当者とチームの体制を重視した判断が大切であると強調したいと思います。
リスティング広告代理店の選定方法
前述の視点を基に代理店を選定する場合、注目すべきポイントは多数存在します。信頼に値する代理店の選定基準は、次のような内容になります。
【信頼できる広告代理店の特徴】
- ビジネスチームの一環として、効果的な多様な施策の提案が可能か
- 豊富なノウハウと実績を持っているか
- 運用担当者の教育制度は確立されているか
- 高い品質のクリエイティブ制作が期待できるか
- 料金体系(最低費用や手数料等)が自社の条件に適合するか
- 広告費や運用コストを一元化し、請求書での支払いが可能か
- 広告アカウントの開示が行えるか
広告運用が初めての場合、これらの要素を全て完璧に確認するのは厳しいかもしれません。そこで、以下のアプローチで代理店の候補を見つけることを推奨します。
- 友人・知人からの口コミや紹介
- SNSで活発に情報を発信する代理店担当者にアプローチする
- Yahoo!マーケティングソリューションの「セールスパートナー 一覧」から選定する
友人・知人からの口コミや紹介
最も効果的な手段は、友人や知人からの口コミや紹介です。
日常的にコンタクトを取っている他社のマーケターや経営者に相談し、良好な結果を得ている代理店と担当者がいれば紹介してもらうことが理想です。
紹介を受けた場合、その担当者にダイレクトにコンタクトを取ることをおすすめします。
口コミを重視する理由は、広告運用の初心者が自社と代理店の相性をゼロから判断するのは困難で、実際に運用を依頼してみないと判明しない部分が多いからです。
実際にサービスを利用した人からのアドバイスは、実体験に基づくものであり貴重です。
それでも、同一の広告代理店でも担当者によって結果が大きく変わる場合があるので、「どの担当者が優れていたか」も確認し、その人を指名して問い合わせを行うことが重要です。
SNSで情報発信を行う代理店の担当者への接触
知人からの紹介が難しい、または代理店を利用した経験のある知人がいない場合、SNSで情報発信を行っている広告代理店の担当者に相談を試みることを考えましょう。
連絡を取る際には、以下のポイントを明確に伝えます。
- 自社の広告運用の目標・依頼検討の理由
- その代理店に頼む場合、どのような運用が期待できるのか
- 担当者としてどのような人物が割り当てられるのか
話の内容から相性が良いと感じたら、見積もりを一度依頼するのも一案です。もし合わないと感じた場合、他に適合する代理店の紹介を頼むことも一考です。
ただし、「他にお勧めの代理店は?」とすぐに尋ね、軽々しく他社紹介を期待するのは避けましょう。
Yahoo!マーケティングソリューション「セールスパートナー一覧」の活用
他の手段で選定が難しい場合、Yahoo!マーケティングソリューションの公式ページにある「セールスパートナー 一覧」から代理店を選定することができます。
この一覧では、Yahoo!に認定された広告代理店が掲載されており、信頼と実績の面で一定の保証があります。
選定の際には、それぞれの代理店が提供するサービス内容、料金体系、担当者の情報などを確認し、自社に最も適した代理店を選ぶことが重要です。
これによって、未経験者でも比較的安全に代理店選定が可能となり、効果的な広告運用を行うための第一歩を踏み出すことができます。
リスティング広告代理店選びの6つのポイント
1.広告アカウントの開示は可能か
代理店は、広告主の設定した予算内でアカウントを管理しますので、本来、広告主がアカウントを閲覧できるのは当然と思われます。
しかし、GoogleやYahoo!の管理画面を広告主に公開しない代理店も存在します。これは、運用のノウハウを外部に漏らさないようにするための措置です。広告アカウントを閲覧できない場合、代理店がどのような運用を行っているかを把握することが難しくなります。
これにより、運用プロセスがブラックボックス化するリスクも生じます。したがって代理店を選ぶ段階では、広告アカウントの開示が可能かどうかをしっかりと確かめてください。
2.広告アカウントの移行は可能か
依頼先の代理店で成果が得られなかった場合、新しい代理店へのアカウントの移行(乗り換え)が検討されることがよくあります。
現在では、GoogleだけでなくYahoo!でも、アカウント移行の機能を提供しています。
しかし、乗り換え前の代理店が移行に協力しない場合、新たな代理店への変更にせよインハウスへの切り替えにせよ、広告アカウントをゼロから構築し直さなければならなくなります。
結果、アカウントに蓄積されたデータの利用が難しくなり、成果を得るまでの時間が長引く可能性が生じてきます。
あらかじめ成果が上がらない場合も想定し、事前に広告アカウントの移行が可能な代理店かどうかをチェックしておくことが賢明です。
3.別の媒体での広告配信にも対応してもらえるか
マーケティング戦略の再検討により、リスティング広告以外の媒体での配信が必要とされる場合があります。
そうした状況に迅速に応じてもらえるかどうか、予め確認しておくことが重要です。
対応してもらえない場合、再度代理店を探す手間が発生します。
依頼後に生じる変化にも柔軟に対応できる代理店かどうか、初めからチェックしておくべきです。
4.組織内にノウハウが確実に蓄積されているか
運用担当者の選定にも繋がる重要な点ですが、組織内に再現可能なノウハウが蓄積されているのか、確かめてみましょう。
具体的に以下の点を質問してみてください。
- 組織内に独自のノウハウが確実に蓄積されているか
- そのノウハウがどの形式で共有されているか(ドキュメントの内容や、成功した事例が共有されているか)
ノウハウが整備され、適切な共有体制が存在する場合、運用担当者は一定水準以上の成果を安定して出せる環境が整っていると見て良いでしょう。
5.広告費用の後払いが可能か
すべての代理店が広告費の後払いを対応しているわけではありません。
後払いを望む場合は、事前にしっかりと確認を行いましょう。
先払いの場合、資金管理が厳しくなることも考えられます。
ただし、自社のキャッシュフローが安定している場合、先払いのみの代理店でも大丈夫です。
6.請求が一本化できるか、請求書での支払いは可能か
リスティング広告の代行を依頼する際、様々な広告費や運用費用の支払いが発生します。これらの支払いを一本化できるか、事前にチェックしておきましょう。
依頼先の代理店が広告費を立て替える体制を持っていれば、運用費用と合わせて一緒に請求される場合があります。
一本化できない場合は、各種広告費と運用費用が別々に請求され、支払い管理が煩雑になるリスクがあります。それでも、代理店を選ぶ際の最重要点は「担当者」であることに変わりはありません。
これらの点をすべてクリアしていなかったとしても、担当者とそのチームの体制が自社にフィットしていれば、それは問題ないと判断することができるでしょう。
代理店の担当者と体制を判断する4つのポイント
「担当者の重要性」を強調しましたが、具体的に担当者やチーム体制をどう評価するかが不明確だと、選択は難しいですよね。
一般的に、運用のアドバイスを求める際、最初に対話するのは運用担当者ではなく営業担当者です。運用担当者の資質を判断するためには、やはり直接話をしてみる必要があります。営業担当者から詳細な説明を受けた後に、「経験やPDCAの管理方法を理解したいので、運用担当者と直接話せるか?」と尋ねるようにしましょう。
もちろん、全ての代理店が依頼前に運用担当者との面談を許可するわけではないので、複数の代理店の候補がある場合は、運用担当者と直接話して納得感のある代理店を選定するのが最適です。
1.担当者の技術力・経歴・リソースは十分か?
運用担当者とコンタクトが取れる場合、まずはその人の技術力、経歴、チームとしてのリソース割り当てについて調査しましょう。その担当者が自社の広告運用にどれだけのリソースを充てられるのかは極めて大切です。担当者の担当クライアントが10社以上であれば、リソース不足が懸念されます。経験豊富な担当者であっても、リソースが限られていれば高品質な運用・提案が難しいかもしれません。
一方、新人であっても、リソースが確保され、献身的にコミットしてくれる場合、自社との相性は良好である可能性があります。
さらに、優れた担当者に依頼する場合、運用代行費用が市場価格よりも高くなる場合があるので、その点も議論し、適切な価格であるかを確認するステップも重要です。
2.担当者が事業側と同じ目線で事業成長を支えてくれるか?
基本的な情報の確認後、次に注目したいのは、「担当者が事業側と同じ視点で事業の成長を支援できる代理店であるか」という点です。中には、クライアントの指示を単に実行するだけの担当者もいます。
本来の広告の専門家の仕事は、クライアントの要望に対して、以下の観点から、さらに効果的な提案を展開することです。
- 提案された運用プランで目標は達成可能か?
- 事業の課題解決につながるか?
指示通りの運用を行う担当者では、社内のリソースを補完するだけになります。
外部のサポートとしてだけでなく、事業チームの一部として、戦略的な広告運用を設計し、実行できる担当者を選定することが肝心です。選ぶ代理店は、真にクライアントと同じ視点で事業の成長を描けるパートナーであるべきです。これを見極めることが大切でしょう。
3.業界とビジネスの理解が確実になされているか?
担当者の自社事業に対する理解が浅ければ、無駄なコミュニケーションコストが増え、認識の差異が出てくる可能性があり、これが結果として成果に結びつかない場合もあるのです。
例えば、リスティング広告の予算設定を行うには、事業の収益構造を理解し、事業のフェーズ、市場シェア、競争状況等を加味することが求められます。
しかしビジネスに対する理解が不足している場合、不適切な予算配分や誤った戦略の提案が生まれることもあり得ます。
代理店選定の際には、自社の事業や業界への理解の深さを確かめておく必要があります。
4.マーケティング全般やオフライン施策の知識が豊富か?
運用の専門家に対し、広告に限らず、マーケティング全般やオフラインの施策についての知識や経験を有しているか、確認することは重要です。
広告運用を委託するのになぜそのような質問が必要なのかと疑問に思うかもしれませんが、広告活動が全体のマーケティング戦略の一部として、各施策が効果的に連携することが求められるからです。
連携が不十分だと、それぞれの取り組みの効果を最大化することが困難となり、総じてマーケティング戦略全体の成果を最大限に発揮することが厳しくなるでしょう。
依頼先選定前に自社内で確認しておくべきポイント
代理店に仕事を依頼する前に、広告運用の目標や期待する成果について、自社内で一致した認識を形成しておくことが重要です。
広告運用の経験がない場合、明確に決められない点や理解できない部分が出てくることがあります。これを曖昧にせず、代理店と初めて会う前に以下の要素を明確に設定しておくことが必要です。
広告運用の目的を明確に設定する
基本的に、「広告を運用することで何を達成したいのか」という目的を明確に設定することが求められます。
広告は企業にとって「投資」に当たります。単に予算を支出して運用するのではなく、その結果、自社にどのようなリターンが期待できるのかをしっかりと把握しましょう。
広告運用の目的は、売上の向上、ブランド認知の拡充など、企業ごとに異なりますが、明確な目的がなければ、広告の効果的な設計は難しくなります。
KPIを精緻に設計する
次に、広告運用の目的を具現化するための指標、「KPI」を精緻に設計することが必要です。KPIが不適切に設定されると、目標は達成できても実際の事業への貢献が少ないという状況が起こることもあります。
例えば、ECサイトの売上増加を目指して広告を出稿する場合、新規顧客の獲得だけでなく、一顧客あたりの生涯価値(LTV)を重視することが大切です。
それは、新規顧客の獲得にはCPO(新規顧客獲得コスト)が発生するため、新規顧客が一度しか利用しなければ、リピートに比べCPOの負担分が利益を圧迫します。
したがって、単に獲得数だけをKPIと設定し広告運用を行うと、LTVの低い顧客ばかりが集まり、結果として、売上増加という本来の目的への貢献が期待できなくなる場合もあるのです。
広告運用やマーケティングの経験が少ない場合、KPIの設計が難しい場面も少なくありません。
このため、運用のプロだけでなく戦略設計の支援も行ってくれる代理店と協力しながら設定を進めることが大切です。
代理店を利用するか、インハウス運用を選ぶか
リスティング広告の代理店の選び方についての解説をしてきましたが、読者の皆様の中には、「本当に代理店に頼むのが正解なのか」と迷っている方もいらっしゃるかもしれません。
代理店とインハウス、それぞれの利点と欠点
インハウスの場合、代理店への手数料を節約し、スムーズな運用が可能です。
とはいえ専門的な人材は絶対に必要ですし、広告運用に社内のリソースを割く必要があります。
一方、代理店を利用する場合、社内に専門知識がなくてもリスティング広告の運用が可能ですが、手数料が発生し、ノウハウの蓄積も進みにくいという欠点もあります。
インハウス
【メリット】
- コスト削減が可能
- 柔軟な運用が実現
【デメリット】
- 組織構築が求められる
- 人材リソースが必要
- 専門知識を持つ担当者の教育や採用が不可欠
広告代理店
【メリット】
- 社内のリソースの割当は少なく済む
- 最新の広告運用情報が手に入る
- 専門知識がなくても広告運用が可能
【デメリット】
- 代理店への手数料支払いが必要
- 迅速な運用が困難な場合もある
- 社内のノウハウ蓄積が難しい
代理店を利用するか否かを判断する基準
代理店に依頼するかどうか迷っている場合、最初にリスティング広告の運用を自社で試してみるのが良いでしょう。
各広告プラットフォームのヘルプやオンライン教材を使えば、初心者でも短期間で運用をスタートできます。
実際に広告を運用してみることで、広告文やLPの制作、日々の入札管理の大変さを実感し、運用の課題を明確にできます。
そうした経験を基に、代理店に依頼する場合のメリットを再考し、インハウスで進めるか、代理店に頼むべきかの判断が可能になるでしょう。
優良のマーケティング会社
ワンクルーズ 1cruise
大手から小さなサイトまで幅広い実績のあるマーケティング会社です。
広告代理店ではなく、伴走型コンサルティングの選択も
「インハウス化を目指すが、社内の専門知識が不足している」という状況では、代理店に依頼してもノウハウの蓄積が困難で、永遠にインハウス化が実現しない可能性もあります。
その場合、広告代理店ではなく「伴走型コンサルティング」のサービスを利用することを検討しましょう。
伴走型コンサルティングならば、専門家が必要なステップをサポートし、実際の作業のチェックを行ってくれます。
これにより、専門知識が乏しくてもリスティング広告の運用を始めることが可能となり、最終的にはインハウス化の道を開くことができます。
まとめ
代理店を選ぶ参考情報として、最初に友人や知人からの紹介で代理店と担当者を教えてもらう方法が非常に効果的です。
それが難しい場合、SNSで活躍する運用担当者に直接アプローチしてみるのも一つの方法です。
どの方法も採れない場合は、Yahoo!マーケティングソリューションの「セールスパートナー 一覧」ページを参照し、代理店にコンタクトを取って、運用担当者との会話から判断するのが良いでしょう。
いずれにしても、広告運用の成果に大きな影響を与えるのは「人」であるという観点を忘れずに、担当者の能力やチームの体制をしっかりと確認することが重要です。