SWOT分析とは?やり方から具体例(テンプレート )まで紹介!

監修者

佐藤 祐介
佐藤 祐介

株式会社LIFRELL代表取締役。大手代理店、株式会社オプト、電通デジタルの2社でアカウントプランナーを経験。その後、株式会社すららネットでインハウスマーケターとして事業の立ち上げからマザーズ上場水準まで事業を伸長させる。マーケティング戦略の立案からSEO/WEB広告/SNS/アフィリエイト等の施策で売上にコミット。

専門家

深瀬 正貴
深瀬 正貴

Yahoo株式会社 法人マーケソリューション出身。 鎌倉の海のそばでオフィスFHを運営。 リスティングやSEOをはじめとしたデジタルマーケティングで100社以上の売り上げ課題を解決。
最近の趣味はブームに乗っかったように見えてしまう「焚き火ごはん」。

目次

SWOT分析とは、企業や事業の現状の分析を行い、改善点やリスクなどを見つけ出すことができるフレームワークです。Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つの要素に分けて整理します。

本記事では、SWOT分析の概要・使い方、事例を分かりやすく説明します。また戦略立案に役立つ「クロス分析」についても解説します。

SWOT分析とは?簡単に概要・書き方を解説

SWOT分析とは何なのか、どのように分析するのか解説していきます。SWOT分析の基本と手順を知ることで、どなたでも自社や自社事業の客観的な分析が可能になります。ぜひ、自社の分析を行ってみてください。

SWOTとは何を分類しているのか

経済産業省 第4章  知的資産経営マニュアル「【昭和電機株式会社 クロスSWOT分析】」

SWOT分析には2つの軸と4つの要素があります。2つの軸とは、内部環境か外部環境かを示す横軸、プラス要因かマイナス要因かを示す縦軸です。この軸からパターン別に表れるものが、以下の4つの要素になります。

①Strength(強み)

自社あるいは自社商品の、長所や得意(横軸:内部環境、縦軸:プラス要因)

②Weakness(弱み)

自社あるいは自社商品の、短所や苦手(横軸:内部環境、縦軸:マイナス要因)

③Opportunity(機会)

企業外部の環境で、自社あるいは自社商品にプラスに働く要素(横軸:外部環境、縦軸:プラス要因)

④Threat(脅威)

企業外部の環境で、自社あるいは自社商品にマイナスに働く要素(横軸:外部環境、縦軸:マイナス要因)

この4つの要素に分類することで、自社の現状を理解し戦略の立案につなげることができます。

SWOT分析の前に行うべき準備

WOT分析を行う前に、押さえておくべきポイントがあります。

まず、分析する目的を明確にすることです。SWOT分析に限らず、目的が曖昧なまま分析を行うとゴールが分かりづらく、戦略につながるような結果が得られにくいです。

何のためにSWOT分析を行うのか、ゴールはどこか、その後どのような動きにつなげたいのか明確にしておきましょう。

目的が明確になることで、どのような切り口でSWOT分析を行うかが変わってきます。

例えば、

・「自社を取り巻く環境を理解して、事業の勝ち筋を見つけたい」場合
「外部環境と自社の強み:Opportunity(機会)」を掘り下げていく方法が有効です。

・「経営リスクを正しく認識し、回避すべきポイントを知りたい」場合
「外部環境における自社の弱み:Threat(脅威)」を重点的に整理していく方法が有効です。

まず自社を取り巻く外部環境に目を向ける

一般的に、SWOT分析は外部環境の分析から行います。外部環境の分析を行うことで、内部環境で分析する内容が定まってくるためです。

この手順が逆になってしまうと、内部環境の分析が曖昧なものになってしまい、外部環境の分析の時に分析結果が揺らいでしまいます。

まずは「Opportunity(機会)」と「Threat(脅威)」の見極めから始めましょう。

外部環境を分析する際は、競合他社や市場の動向を分析するミクロ分析、法整備や景気など社会の動向について分析するマクロ分析、この2つが有効です。

それぞれの視点で見えてきた要因を「Opportunity(機会)」か「Threat(脅威)」かに分類していきます。

必要に応じて、より詳細なミクロ分析「3C分析」やより俯瞰的なマクロ分析「PEST分析」を使用しましょう。

自社の内部環境を分析する

外部環境の分析を行い、自社の状況が整理されたら内部環境の分析に移ります。

内部環境の分析では、認知度、ブランド力、インフラ、価格・品質、資源、立地、サービス、技術力などを指標とするとよいでしょう。

競合他社と比較して「Strength(強み)」なのか「Weakness(弱み)」なのかなどを整理することが重要です。

数値やデータを用いることで、客観的で正確な分析ができます。

内部環境を分析する際に注意したいことは、「Strength(強み)」を「Opportunity(機会)」と、または「Weakness(弱み)」を「Threat(脅威)」と混同しないことです。

先に述べた通り「Strength(強み)」は他社と比較してどうか、差別化されているかどうか確認しましょう。

他社も同じ「Strength(強み)」を持っている場合は、市場での「Opportunity(機会)」になります。

それぞれ正確に見極めましょう。

分析結果を戦略立案に活かす

ここまでの説明で、SWOT分析の概要とそれぞれの要素について網羅することができました。社内外の環境を分析することで、自社の様々なことが浮き上がってくるはずです。

しかし、注意していただきたいのは、SWOT分析は戦略策定のヒントにとどまるフレームワークだということです。

SWOT分析から得た情報を、実際に戦略策定に活用しなくては意味がありません。分析して終わりではないということが重要です。

そもそもどういった目的でSWOT分析を行ったのか確認し、実現したいこと、解決したいことにつなげてください。

マクドナルドにおけるSWOT分析事例

マクドナルド

SWOT分析を行うとどのようなことが分かるのか、具体例をご紹介していきます。ここでは世界各国でファーストフードチェーン店を経営する「マクドナルド」を例にSWOT分析を行います。まず外部環境の分析、次に内部環境の分析を行います。

外部環境の分析

まず、マクドナルドを取り巻く外部環境を分析していきます。

「Opportunity(機会)」
・テクノロジーの発展に対応している:キャッシュレス決済、無人店舗、フードデリバリーサービスなどが普及し、オペレーションコストの減少を実現している。フードデリバリーサービスが広まり、これまでリーチできなかった層へもリーチできるようになる。
・デリバリーやテイクアウト需要の高まり:新型コロナウイルス流行以降、テイクアウトやデリバリー需要が高まっている。

「脅威(Threat)」
・地球温暖化や気候変動による、世界的な原材料の不足の影響:小麦やじゃがいもなどの原材料の不作により食材の値段が高騰する。原価率や販売価格への影響、製品の販売中止のリスクがある。
・ファストフード業界が多様化している:ファストフード店が多様化し、似た強みを持った他ジャンル企業が台頭している。これまでのニーズが他社に流れ、顧客数の減少のリスクがある。

内部環境の分析

次に、マクドナルドの内部環境を分析していきます。

「Strength(強み)」
・安さと早さ:マニュアルの徹底、流通システムの最適化によって低価格を実現している。
・認知度とブランド力の高さ:4000店以上の店舗を持ち、世界中で高い認知度とブランド力を誇っている。
・消費者の関心を引く商品開発:季節やイベントに合わせて様々な商品を開発している。消費者が飽きずに定着し続ける仕組みを構築している。

「Weakness(弱み)」
・商品の利益が小さい:商品あたりの単価が低く、回転率を高く維持する必要がある。オペレーションの最適化などによって売上個数をあげることが重要課題になるため、効果的な施策を打てるかどうかが事業に大きなインパクトを及ぼす。
・品質や安全性についてのイメージ:商品を安く提供するファストフード店としてポジションをとっているため、品質が高くないイメージを持つ消費者もいる。過去に、異物混入など安全性が問題になったことも、競合他社と比較した際の弱み。

SWOT分析の結果を戦略に反映させる「クロス分析」

ここまで、SWOT分析について解説してきました。SWOT分析によって企業内外の状況が整理できますが、さらに先の分析も重要です。状況を戦略に落とし込む「クロス分析」ですクロス分析を行うことで様々な戦略を立てることができるので、ぜひご参考にしてください。

クロス分析とは何か? 

クロス分析とは、SWOT分析で整理した要素を掛け合わせることで、具体的な戦略に落とし込むものです。

「Strength(強み)」✕「Opportunity(機会)」

・自社の強みを活かし、成長機会による利益を最大化するための戦略を考える

「Strength(強み)」✕「Threat(脅威)」

・自社の強みを活かし、脅威を切り抜けるための戦略を考える

「Weakness(弱み)」✕「Opportunity(機会)」

・機会によって得られる利益を最大化するために、自社の弱みをどう補強するか戦略を考える

「Weakness(弱み)」✕「Threat(脅威)」

・自社の弱みを踏まえ、脅威から受ける影響を最小限にとどめる戦略を考える

・領域から撤退すべきかどうかを判断する

掛け合わせる要素によって、様々な戦略を立てることが可能です。クロス分析をうまく活用すると、「チャンスを最大限に活かす」ことや「リスクを最小限に抑える」ことができます。

先程のマクドナルドの例を用いてクロス分析を行ってみると

先程のマクドナルドのSWOT分析の結果をもとに、クロス分析を行います。

「Strength(強み)」✕「Opportunity(機会)」

・モバイルオーダーやテイクアウト専門店を需要の大きい都市に展開する

・店舗ではなく家で食べるための、新ジャンル商品の開発

「Strength(強み)」✕「Threat(脅威)」

・長期保存ができる商品の開発や加工食品を用いた商品の開発によって、原材料の不足や高値に左右されづらい体制を実現する

「Weakness(弱み)」✕「Opportunity(機会)」

・品質向上のためのテクノロジーを導入する

・中間層向けに利益率の高い新商品を開発する

「Weakness(弱み)」✕「Threat(脅威)」

・既存の展開エリアを見直し、利益が出ていない店舗の縮小・撤退を行う

以上のように、SWOT分析で整理した要素を用いてクロス分析を行うことで、様々な戦略案を組み立てることが可能です。

こちらでご紹介したものはごく一部の例です。より深く分析を行うことでさらに多くの戦略案を組み立てることができます。

社内外の理解を深めることで戦略立案の糸口を探し出す

SWOT分析を用いることで、社内の環境、外部の環境を客観的に把握することができます。また、その後にクロス分析を行うことで、戦略を定めることもできます。

SWOT分析は、自社の可能性を見つけ、広げることができる有名な分析手法のひとつです。しかしこれまでSWOT分析を使用したことがないという方も多いようです。

SWOT分析を行うことにより社内外を分析する視点からも、見落としていたチャンスや課題を発見することもできるでしょう。

まとめ:SWOT分析とは事業戦略で使われるフレームワーク!

この記事では、SWOT分析の概要・使い方、事例を説明してきました。

また、戦略立案に役立つ「クロス分析」についても解説しました。SWOT分析で状況を整理し、さらにクロス分析も進めることで、効果的な戦略策定につなげることができます。それぞれの分析を行う前に、何のために分析するのか目的を明確にして臨みましょう。

ぜひ、自社の分析と戦略策定に活用してみてください。

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