リスティング広告を最適化して成果を上げるためには、どのような要素が重要でしょうか?この問いに対し、専門家の観点から、一つの重要な答えをご紹介いたします。
それは、検索語句に対するキーワードのマッチタイプを選択する際の拡張性の設定です。多くの広告運用者が、どのマッチタイプを選ぶべきかについて悩んでいることでしょう。
そこで、今回はマッチタイプの中でも特に「完全一致」に焦点を当て、その詳細な説明と設定時に留意すべき点を丁寧に解説していきます。
【完全一致とは何か?】 完全一致とは、リスティング広告のマッチタイプの一つで、広告主が設定したキーワードとユーザーの検索語句が正確に一致する場合にのみ広告が表示されるという特性を持っています。
このマッチタイプを設定する際には、以下の4種類から選択します。
- 完全一致
- 部分一致
- フレーズ一致
この中で、最も厳密にキーワードを絞り込む設定が「完全一致」です。完全一致は、広告のリーチを限定することで、より関連性の高いターゲットにアプローチするために役立ちます。
次に、完全一致の設定時に考慮すべき重要なポイントについて、さらに詳しく解説してまいります。
完全一致マッチタイプでの広告の表示方法
完全一致マッチタイプでは、ユーザーの検索語句が広告主が設定したキーワードと完全に一致する場合にのみ、広告が表示されるという特性があります。
しかし、このマッチタイプでは類語や語順が異なる場合でも、検索意図が同一であると判断されれば広告が表示されることがあります。この類似パターンに関しては後ほどさらに詳細にご説明いたします。
【完全一致の利点とは何か?】
完全一致マッチタイプの最大の利点は、ターゲットとするユーザーに対して極めて高い精度でアプローチできる点にあります。キーワードを限定することで、狙い通りのユーザーに的確にアピールすることが可能になり、結果的にコンバージョンの効率を高めることができます。
特にサービス名やブランド名をターゲットにした広告配信においては、無関係な検索語句に反応しないため、非常に効果的です。さらに、他のマッチタイプと比較してCPA(顧客獲得コスト)を抑えることができるため、コストパフォーマンスに優れていると言えます。
このように、完全一致マッチタイプは、ターゲットに合わせたピンポイントな設定によって多くのメリットを提供します。
【完全一致設定時の留意点】
完全一致マッチタイプを使用する際には、いくつか注意すべき特性があります。それでは、これらの特性についてもう少し掘り下げて見ていきましょう。
完全一致における表記ゆれへの対応
完全一致マッチタイプでは、ユーザーが検索する語句と広告主が設定したキーワードが文字通り完全に一致する場合にのみ広告が表示されます。しかし、この中には「表記ゆれ」に対する柔軟性も含まれています。
「表記ゆれ」とは、意味や読み方が同じであるにもかかわらず、異なる方法で書かれる単語のことを指します。例えば、「ウェディング」と「ウエディング」は表記は異なるものの、同じ意味を持ちます。
完全一致マッチタイプでは、このような表記ゆれも自動的に同一とみなされ、例えば「ウェディング」をキーワードとして登録した場合、「ウエディング」と検索された際にも広告が表示されます。
類似パターンによる広告表示
完全一致マッチタイプは、ユーザーの誤字や変換ミスなどの表記ゆれを含む類似パターンに対しても、自動的に広告を表示します。これにより、ターゲットに適した広告表示の機会を逃さずに捉えることが可能になります。
以下は、完全一致設定時に広告が表示される可能性のある類似パターンの例です。
大規模な検索キーワードの完全一致設定の効果
検索量が多い大規模なキーワードを設定する場合、単一のキーワードとして完全一致で設定することが効果的です。なぜなら、部分一致やフレーズ一致で設定すると、広告の対象範囲が広がりすぎて、関連性の低い検索クエリに広告が表示されるリスクが高まるからです。完全一致であれば、正確に一致した場合のみ広告が表示されるため、CPAの高騰を防ぐことができます。
知っ得ポイント:完全一致の実例分析
実際に、あるクライアントで完全一致の分析を行った事例を紹介します。このクライアントは、「みかん」を販売する通販店で、「みかん」「ミカン」「mikan」「蜜柑」といった完全一致のキーワードで広告を展開していました。しかし、「みかん」のような単一キーワードのみの検索では、ユーザーの購買意欲が測りにくく、戦略立てが難しい場合があります。
一方で、「みかん 安い」や「みかん 通販」のような検索では、ユーザーの意図がより明確になります。この分析をもとに、「みかん」の単一キーワードの広告キャンペーンを複数に分けて管理することで、どの検索タイプが最も効果的かを把握することができました。これにより、ユーザーの行動をより深く理解し、効果的な広告戦略を立てることが可能になりました。
完全一致マッチタイプの定義と結果
この戦略は「ビンゴ」という結果をもたらしました。とても興味深い挙動が観察されました。
戦略の定義
・完全一致以外 ・ひらがな完全一致 ・カタカナ完全一致 これらのカテゴリーごとにキャンペーンを分け、それぞれに適切なキーワードが割り当てられるように設定しました。
【発見ポイント】
『完全一致の表記ゆれ分類の精度』
・完全一致における分類は、ほぼ成功を収めました。ひらがな、カタカナ以外の完全一致「蜜柑」が両キャンペーンに混ざることがありましたが、99%程度の高い分類精度を達成しました。
『媒体毎の違い』
・GoogleとYahooで、クリック率やCVR(コンバージョン率)に違いが見られました。Yahooでは「ミカン」の完全一致キーワードのCVRが高かったので、こちらに予算を傾けたいと考えています。一方、Googleでは「ミカン」の完全一致キーワードのCV(コンバージョン数)が得られなかったため、このキャンペーンには予算を割り当てないことにしました。
→これにより、媒体ごとにユーザーの検索語句の質や検索時のモチベーションが異なることが想定されました。
『数字での改善率』 完全一致の配信量を増やすことで、成果が向上しました。
■Google検索 全期間平均CVR 1.54% → ひらがな 2.08% カタカナ0.00% ■Yahoo検索 全期間平均CVR 1.37% → ひらがな 1.52% カタカナ2.55%(約1.86倍の向上)
Googleのカタカナ検索を除くすべてのカテゴリーで改善が見られました。
『差が出た要因の考察』
・Googleにおいて単体キーワードが振るわなかった理由としては、ユーザーが検索能力が高く、意図を明確に検索窓に入力する傾向があると考えられます。そのため、「みかん」単体キーワード以外のキャンペーンで多くの成約があったと推測されます。
・逆に、Yahooでは「ミカン」の単体キーワードの成果が良かった理由としては、ユーザーが直感的に単体キーワードで検索する傾向があると考えられます。
これらはあくまで一つの運用者の仮説ですが、成果に対する仮説や考察は重要だと思われますので、補足としてご紹介いたします。
まとめ
今回は、リスティング広告のマッチタイプの中から完全一致に焦点を当てて解説しました。
完全一致マッチタイプは、ターゲットとなるユーザーに対してピンポイントで訴求し、コンバージョンの獲得効率を高めるというメリットがあります。また、各マッチタイプの特徴を理解し、適切に設定と調整を行うことで、リスティング広告の効果を最大化することが重要です。
ユーザーの検索語句を正確にターゲティングすることで、費用対効果を高め、効果的な広告戦略を展開していきましょう。