広告の世界では、アカウントアクセスの管理は必須ですが、そのためには管理者からの正確な権限付与が欠かせません。これは、アカウントのセキュリティを保ちながら、必要な人々に適切なアクセスレベルを提供するために重要です。何故なら、適切な権限の管理はトラブルを未然に防ぎ、効率的な作業を可能にするからです。
どのレベルの権限が必要か、その設定方法はどうすれば良いか、というような問題に直面することがあります。これらを解決するために、通常、かなりの時間を費やす必要があります。
この記事では、そんな権限付与に関するお困りごとを解決するために、Google 広告、Yahoo!広告、Meta広告アカウントの権限の種類と、それらにアクセスするための権限(アクセス権)の付与方法をわかりやすくご説明します。私たちは、この情報があなたの時間を節約し、よりスムーズで効果的な広告管理を可能にする方法をご紹介します。
広告アカウントのアクセス権限は、大きく3つのカテゴリに分けられます。
管理者権限
この権限は、広告アカウントに関連するあらゆる設定を編集・管理できる最も高いレベルのアクセス権を意味します。広告の編集に加えて、ユーザーの追加や削除、支払い方法の設定変更など、アカウント全体に関わる操作が可能です。ただし、この高度なアクセス権は全ての項目を管理できるため、誤った操作をしてしまうリスクも伴います。そのため、この権限の使用には、特に慎重な管理が求められます。
編集権限
この権限は、広告アカウント内の広告を登録、編集、削除できる能力を持ちます。主に広告代理店のような、広告の編集が必要なユーザーに適しています。この権限により、広告の内容を直接的に制御することが可能です。
閲覧権限
これは、広告アカウントを閲覧することができるが、変更はできないアクセス権です。例えば、クライアントに対しては、通常、閲覧権限が付与されます。これにより、クライアントはアカウントの状況を確認できますが、誤操作による広告設定の変更リスクを避けることができます。
これらの権限に関しては、どのレベルがどのような操作を許可するのかを正確に理解し、状況に応じて最適な選択を行うことが重要です。適切な権限の選択は、広告アカウントの管理において、効率性とセキュリティのバランスを保つ鍵となります。
権限が具体的に何を許可し、何を許可しないのかをきちんと理解することが非常に重要です。
アクセス権に関しては、これまでに述べたように、大まかに「管理者権限」、「編集権限」、そして「閲覧権限」の3つのカテゴリに分けることができます。しかし、実際には、各媒体によってこれらの権限の範囲には細かい違いがあります。
Google広告
Google広告のアクセス件ごとに利用できる機能は下記になります。
アクセス権の一般的な分類 | 管理者 | 編集 | 閲覧 | - | - |
Google 広告のアクセス権の種類 | 管理者 | 標準 | 読み取り専用 | お支払いとご請求 | メール専用 |
---|---|---|---|---|---|
・サービス間のリンク設定の追加または削除 ・アカウントのアクセス管理、アクセス権の許可、変更、ユーザーが送った招待の取り消し ・MCC アカウントのリンク管理 ・各ユーザーの認証方法と最終ログイン時刻の確認 ・広告主様の身元確認を開始して完了する | ◯ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ |
・キャンペーンの編集 | ◯ | ◯ | ✕ | ✕ | ✕ |
・お支払いプロファイルの情報(住所、税務情報、言語設定、支払い方法)の編集 | ◯ | ✕ | ✕ | ◯ | ✕ |
・お支払い基準額を増減する | ◯(自動支払いを設定したアカウントのみ) | ◯(自動支払いを設定したアカウントのみ) | ✕ | ◯(自動支払いを設定したアカウントのみ) | ✕ |
・支払い、または予算追加 また手動支払いと自動支払いの切り替え(可能な場合) | ◯ | ◯(自動から手動のみ) | ✕ | ◯ | ✕ |
・お支払い情報の編集 | ◯ | ◯ | ✕ | ◯ | ✕ |
・メール専用権限の付与・ユーザー、管理者、サービス間のリンク設定の表示 ・キャンペーンの掲載結果レポートの編集、実行、またプランニングツールの使用 | ◯ | ◯ | ◯ | ✕ | ✕ |
・お支払い情報の表示、請求レポートの編集、実行 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ✕ |
・通知メールやレポートの受信 | ◯ | ◯ | ◯ | ✕ | ◯ |
これらの権限は、サービス間のリンク設定の追加や削除、アカウントのアクセス管理、広告主の身元確認の開始と完了、キャンペーンの編集、お支払いプロファイルの情報の編集など、さまざまな機能にアクセスすることを可能にします。
Yahoo!広告
Google広告のアクセス件ごとに利用できる機能は下記になります。
アクセス権の一般的な分類 | 管理者 | 編集 | 閲覧 |
Yahoo!広告のアクセス権の種類 | 管理権限 | 登録更新権限 | 参照権限 |
---|---|---|---|
・アカウントの一覧表示、設定の確認 ・キャンペーン一覧表示、設定の確認 | ◯ | ◯ | ◯ |
・アカウント設定の変更 ・キャンペーンの作成・削除、設定の変更、一括設定 | ◯ | ◯ | ✕ |
・資金管理タブの表示(振込先銀行口座情報の確認など) | ◯ | ✕ | ✕ |
・自動入金設定の変更 | ◯ | ✕ | ✕ |
・クレジットカードの登録、情報の変更、入金(※1) | ◯ | ✕ | ✕ |
これらの権限は、アカウントの設定変更、キャンペーンの作成・削除、資金管理タブの表示など、様々な操作を可能にします。特に、キーワードの追加や削除、広告表示の操作に関しては、権限の範囲が細かく分かれているため、詳細についてはYahoo!広告のヘルプページを参照することをお勧めします。
Meta広告
Meta広告のアクセス件ごとに利用できる機能は下記になります。
このブロックには、想定されていないか無効なコンテンツが含まれています。
アクセス権の一般的な分類 | 管理者 | 編集 | 閲覧 |
Meta広告のアクセス権の種類 | 管理者 | 広告管理者 | アナリスト |
---|---|---|---|
・アクセス権の管理(アクセス許可・拒否、権限の変更など) ・支払い情報の管理(支払い方法の登録・変更、支払いなど) | ◯ | ✕ | ✕ |
・アカウントの編集(配信設定の登録・変更など) | ◯ | ◯ | ✕ |
・アカウントの掲載状況の閲覧 ・レポートの表示 | ◯ | ◯ | ◯ |
これらの権限は、アクセス権の管理、支払い情報の管理、アカウントの編集、アカウントの掲載状況の閲覧など、さまざまな操作に対応しています。
それぞれのアクセス権について、具体的な操作範囲や機能を理解し、適切な権限を付与することは、効率的かつ安全な広告運用に不可欠です。そのため、適切な権限の選択と管理には、細心の注意を払うことが重要です。
広告アカウントへのアクセス権付与に際して、まず基本となるのが「メールアドレス」です。
しかし、各広告プラットフォームによって必要な条件は異なります。たとえば、Yahoo!広告とMeta広告では特に特別な条件は設けられていませんが、Google広告においてはGoogleアカウントのメールアドレスが必須となります。したがって、もしあなたがGoogle広告とYahoo!広告の両方で権限付与を行いたい場合は、Googleアカウントのメールアドレスを一つ準備すると良いでしょう。
Yahoo!広告においては「Yahoo! JAPANビジネスID」が追加で必要
このIDは、Yahoo! JAPANが提供する企業向けサービスやツールを利用する際に必要となるものです。具体的には、Yahoo!広告の管理画面へのログインに使用されます。もしまだYahoo! JAPANビジネスIDを持っていない場合は、新たに作成する必要があります。しかし、本記事ではアクセス権に焦点を当てていますので、Yahoo! JAPANビジネスIDの作成方法についてはここでは触れません。この件に関してさらに詳しい情報が必要な方は、Yahoo! JAPANのヘルプページを参照してください。
このように、各広告アカウントへのアクセス権を付与する際には、それぞれのプラットフォームが要求する条件を理解し、適切に対応することが重要です。広告の運用をスムーズに行うためにも、これらの要件を事前に確認し、準備しておくことをお勧めします。
広告アカウントへのアクセス権を付与する方法
特にクライアントや広告関係者への権限付与において重要です。ここでは、多くの場合において最も頻繁に行われる「閲覧権限」の付与手順を詳しく解説していきます。閲覧権限とは、アカウントの内容を見ることはできますが、編集はできない権限を指します。
Google 広告
Google 広告アカウントの閲覧権限(読み取り専用権限)を付与する手順は以下のとおりです。
手順1
管理画面右上にある「ツールと設定」をクリック
手順2
「設定」の列にある「アクセスとセキュリティ」をクリック
手順3
「+」をクリック
手順4
「招待するアカウントのメールアドレス」を入力
手順5
「アクセス権の種類」を選択
手順6
「招待状を送信」をクリック
招待状が送信されると、設定したメールアドレスへ確認メールが届きますので、招待を受理すると完了です。特にGoogle広告では、複数のアカウントを一元管理するための便利なツールが「クライアントセンター(MCC)アカウント」です。しかし、このMCCアカウントから直接権限を付与してしまうと、MCCアカウントに紐付いているすべての広告アカウントに対して同じ権限が付与されてしまいます。これは、特定のクライアントにのみ特定のアクセス権を付与したい場合には不適切です。
したがって、クライアントに権限を付与する際は、MCCアカウントを使用するのではなく、各広告アカウントごとに個別に設定することを推奨します。この方法により、各クライアントに対してより細かくアクセス権をコントロールすることが可能になります。
閲覧権限の付与手順は、広告アカウントの種類によって異なる場合がありますので、各広告プラットフォームの指示に従うことが重要です。この権限付与のプロセスを正確に行うことで、クライアントや広告関係者に適切なアクセスを提供し、広告アカウントの管理を効果的に行うことができます。
Yahoo!広告
Yahoo!広告について、ここでは新しい広告管理ツールにて解説いたします。
手順1
右上にある「ツール」をクリック
手順2
「アカウントと権限管理」にある「権限管理(アカウント)をクリック」
手順3
「アカウントに招待」をクリック
手順4
「Yahoo! JAPANビジネスID」を入力
手順5
「権限」から権限種類を選択
手順6
「招待メールを送信」をクリック
Google同様、招待メールが送信されると、Yahoo! JAPANビジネスIDにて確認しているアドレスにメールが届きますので、招待を受理すると完了です。
Meta広告
ここでは2種類のアクセス権付与の方法を紹介いたします。
ビジネスマネージャに一括で権限を付与する方法(社外の人向け)
社外の人々、特にクライアントや広告代理店などへ広告アカウントへのアクセス権を付与する際に便利な方法が、「ビジネスマネージャによる一括権限付与」です。この方法は、ビジネスマネージャと連携しているすべてのユーザーに、同じレベルの権限を効率的に割り当てることができます。これは特に、社外の人々に対してアクセス権を付与する場合に適しています。
具体的なシナリオとしては、広告代理店が所有する広告アカウントへのアクセス権をクライアントに付与するケースや、クライアントが所有する広告アカウントの広告運用を代理店が担当するケースが考えられます。これらの場合、ビジネスマネージャを介して一括で権限を設定することにより、手間や時間を削減し、権限管理のプロセスを効率化することが可能です。
この方法を採用する際には、ビジネスマネージャに紐付けられている全てのユーザーに同じアクセス権が付与される点に注意が必要です。つまり、個々のユーザーに異なるレベルのアクセス権を与えたい場合には、この一括権限付与の方法は適していません。正確で効率的な権限管理を行うためには、ビジネスマネージャの設定とそれに伴う影響をよく理解し、適切に操作することが重要です。
手順1
管理画面左下にある「歯車マーク」をクリックし、ビジネス設定画面に遷移する
手順2
左側にある「広告アカウント」をクリック
手順3
検索窓に「ID/アセット名/ビジネス名」を入力
手順4
表示された広告アカウントをクリック
手順5
「パートナーを割り当て」をクリック
手順6
「ビジネスID」をクリック
手順7
パートナーのビジネスIDを入力し
手順8
付与する権限の種類を選択
手順9
「次へ」をクリック
ビジネスマネージャにユーザー単位で権限を付与する方法(社内の人向け)
上記「ビジネスマネージャに一括で権限を付与する方法(社外の人向け)」の手順1~手順4までは手順は同じです。
手順5
「ユーザーを追加」をクリック
手順6
検索窓に権限付与したい「ユーザー名」を入力
手順7
表示された「ユーザー名」を選択
手順8
付与したい権限の種類を選択
手順9
「アクセス許可設定」をクリック
まとめ
広告アカウントへのアクセス権付与は、デジタルマーケティングの世界では非常に重要な役割を果たします。これにより、各ユーザーに対して、その必要性や役割に応じた適切なアクセス範囲を与えることが可能になります。しかし、この機能の便利さにもかかわらず、アクセス権の範囲を正確に理解せずに付与してしまうと、誤操作やその他のリスクを招く可能性があります。
そこで、アクセス権を付与する際には、まず各権限が許可する操作の範囲を正確に理解することが不可欠です。さらに、クライアントや上司が何を求めているのか、彼らのニーズや目的をしっかりと把握した上で、最も適切な権限を選ぶことが肝心です。これにより、広告アカウントの安全性を保ちつつ、効果的な運用を実現することができます。
また、広告運用者の方々が、権限付与の依頼があるたびに手順を調べることに時間を取られているのであれば、この記事が一助となることでしょう。ここに記載された情報を参考にすることで、権限付与のプロセスをより迅速かつスムーズに行うことが可能です。このような小さな工夫が、日々の業務効率化に大きく寄与し、より充実した広告運用を実現する道を開くことになります。