週休3日制とは?その利点・欠点や日本国内の導入企業一覧

週休3日制とは?その利点・欠点や日本国内の導入企業一覧

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企業の働き方改革の中でも、近年注目されているのが「週休3日制」です。 日本国内でも導入企業が話題になっていますが、週休3日制にはメリットだけでなく、 様々な働き方やデメリットも含まれています。 今回は転職支援の専門家である転職エージェントの視点から「週休3日制」の意味やメリット・デメリット、2023年最新の導入企業をまとめてご紹介します。

目次

週休3日制とは

週休3日制とは、1週間に3日間の休みを設ける制度のことです。通常、企業は1週間に2日間(例: 土日)の休みを設定していますが、さらに1日増やした制度が週休3日制です。この制度の導入目的は、ワークライフバランスの改善や生産性の向上です。また、従業員のモチベーション向上や離職率の低下、さらには企業の魅力を高めることも目的とされています。

日本政府の「経済財政運営と基本方針2021年」では、多様な働き方の実現に向けた働き方改革の一環として、週休3日制の推進が求められています。しかし、2023年4月時点では、週休3日制を義務化する方針は出されていません。そのため、現状では大手企業を中心に一部の民間企業のみが週休3日制を導入しています。

週休3日制で働くことで、ワークライフバランスが向上し、家族との時間が増えたり、精神的な負担が軽減されたりといった多くのメリットが享受できるでしょう。

ただ実際にはいくつかのデメリットも存在するため、本記事で確認しておきましょう。

週休3日制の働き方

週休3日制の働き方には、主に3つのパターンがあります。週休3日制を導入している企業で働く際には、どのような働き方が採用されているのかを事前に確認しておくことが重要です。各企業の制度を把握しておかないと、早期退職につながる可能性があるため、注意が必要です。

● 給与維持型

● 給与減額型

● 総労働時間維持型

給与維持型

給与維持型は、週休2日制の時と同じ給料を維持しながら、週休3日制が適用される働き方です。1年を52週とすると、年間休日が52日間増えることになります。週休3日制の中では、最も理想的な働き方と言えるでしょう。

ただし、企業は週休3日であっても週休2日のときと同じ仕事量と質を求めることが多いため、残業時間が増えたり、1日の仕事量が増えたりすることがあります。企業によっては日々の仕事量が厳しく設定されている場合もあるでしょう。

給与減額型

給与減額型は、週休3日制によって減った労働時間分を給料から差し引くシステムです。給料は週休2日制よりも少なくなりますが、働く時間も減るため、短時間労働を希望する方に適した働き方と言えます。

例えば、家族の介護や育児と会社員を両立させている方には、給与減額型の週休3日制を導入している企業を選ぶと良いでしょう。ただし、給与額を減らしたくない方には向いていません。

多くの導入企業がこの給与減額型を採用しています。賛成する意見もあれば、「給与を減らしてまで休みたくない」といった反対意見もあります。

総労働時間維持型

総労働時間維持型は、週休3日制であっても働く総労働時間が週休2日制と変わらない仕組みです。休日数は増えますが、1日の労働時間も増えることになります。

例えば、週5日勤務で1日8時間労働が基本の場合、週4日勤務(週休3日)では1日あたり10時間働くことになります。つまり、1日あたり2時間多く働く必要があります。

総労働時間が変わらないため、給料も週休2日制と比べて大きな差はありません。ただし、1日の労働時間が長くなる分、残業代が少なくなる可能性があります。このため、週休3日制にするか週休2日制にするかは慎重に考える必要があります。

週休3日制のメリット

ここでは、週休3日制のメリットを5つご紹介します。

● プライベートの時間が増える

● 資格取得やスキルアップのための勉強ができる

● 仕事のストレスを軽減できる

● 副業や複業、兼業がしやすい

● 採用活動での人材獲得に有利

プライベートの時間が増える

週休3日制を導入している企業で働くと、プライベートの時間が増えます。趣味を楽しみたい方や、家族との時間を大切にしたい方には、理想的な働き方と言えるでしょう。ただし、週休3日制の導入により給与が減額される可能性があるため、事前に家族と相談してから決めることをおすすめします。

<20代 女性>

週休3日制の会社で働いています。週休3日だと生活にメリハリがつき、リフレッシュできます。働く日は精一杯働き、休みの日は職場の友達と海外旅行によく行きます。賞与(ボーナス)もしっかりもらえるので、働き甲斐があります!

資格取得・スキルアップの勉強ができる

週休3日制にすると、年間で52日ほど休日が増えます。そのため、増えた休日をスキルアップに繋がる資格の勉強やリスキリング(学び直し)に活用することができます。大学や専門学校に通う時間的な余裕も生まれるでしょう。

これまで通り週2日はリフレッシュに使い、増えた1日をスキルアップのための時間に充てることで、キャリアアップを目指した転職活動や昇格の準備が可能になります。

仕事のストレスを感じにくい

週休3日制の会社で働くと、仕事のストレスを感じにくくなるでしょう。これは、休日が多く、しっかりと休息を取れるためです。

例えば、週休3日のスケジュールを次のように設定すると、最大でも2連勤となり、精神的にも楽になります。

月曜日: 出勤

火曜日: 出勤

水曜日: 休日

木曜日: 出勤

金曜日: 出勤

土曜日: 休日

日曜日: 休日

週休3日制を導入している企業の中には、休日を選択できるところもあるため、自分に合った働きやすいスケジュールを調整することができます。

副業・複業・兼業がしやすい

収入を増やしたい方や将来的に独立を考えている方にとって、週休3日制の会社で働くことはこれらの目標を実現する可能性を高めます。増えた休日を副業の時間に充てることができるからです。

会社以外の収入源を持つことで、万が一解雇された際にも焦らずに次の転職先を探す余裕ができます。また、副業収入が本業の収入を上回った場合、独立して個人事業主として自由な働き方を実現することも可能です。

新しい刺激を得ることで本業にも良い影響を与え、成長の機会を増やせます。副業や独立を考えている方にとって、週休3日制の企業で働くメリットは大きいでしょう。ただし、会社によっては副業を禁止している場合もあるため、入社時には就業規則を確認しておくことが重要です。

人材の定着以外に、業務効率化や取引先との信頼関係の構築も挙げられます。今後も、ワークライフバランスの改善に取り組み、従業員と企業双方にとってプラスになる施策を進めることが重要です。

週休3日制のデメリット

週休3日制にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。週休3日制を導入している企業への就職や転職を検討している方は、以下のデメリットを理解しておきましょう。

● 給料が低くなる

● 1日あたりの仕事量や労働時間が増える

● 一緒に働く社員の仕事量が増える

● 特定の部署や職種、立場だけに適用されることがある

● 評価が難しくなる

● 週休3日制度が廃止される可能性がある

給料が低くなる

週休3日制の中でも、給与減額型は月給が20%程度低くなる可能性があります。労働時間が減ることで、賞与(ボーナス)や残業手当など各種手当も影響を受けるでしょう。

会社によっては、ライフワークバランスの改善よりも、企業の仕事量減少が原因で週休3日制が導入されるケースも考えられます。特に中小企業がこの経緯で週休3日制を導入することが多いです。

様々な考え方がありますが、給料を下げたくない方は、給与維持型や週休2日制の企業に就職・転職することをおすすめします。ただ、給与減額型や総労働時間維持型であっても、増えた休日を利用して副業を行うことで、本業と副業を合わせた収入が目標の年収に達する可能性もあります。

どちらにせよ、給料を下げたくない場合は、週休3日制の企業に就職・転職する前に、自分の働き方をしっかり考えておく必要があります。

1日あたりの仕事量・労働時間が増える

週休3日制を導入している企業で働くと、1日の業務量や労働時間が増える可能性が高いです。特に、給与維持型や総労働時間維持型の働き方では顕著です。

給与維持型で週休3日制を導入している企業では、週休2日制の仕事量がそのまま週休3日制でも求められます。また、総労働時間維持型の場合、週休2日制と労働時間が変わらないため、勤務日の労働時間が長くなります。

週休3日制の働き方によっては、1日の労働時間が増えることを覚悟しておきましょう。

一緒に働いている社員の仕事量が増える

週休3日制を導入している企業の多くは、週休2日制で働くか週休3日制で働くかを選択できるシステムを採用しています。しかし、週休3日制を選択すると、週休2日で働いている社員の業務量が増えてしまう可能性があります。

そのため、職場によっては週休2日で働く社員から冷たい目で見られたり、仲間外れにされるなど、職場での居心地が悪くなることも考えられます。週休3日制を導入している企業の労働環境によっては、他の社員の仕事量が増えないように配慮する必要があります。

特定の部署・職種・立場だけのケースがある

週休3日制は、特定の部署や職種、立場だけが適用できる場合があります。従業員の能力や業種によっては、この制度を適用することが難しい場合もあります。また、社外との打ち合わせやコミュニケーションが多い職種では、工夫が必要です。

例えば、一般事務・経理・マーケティングなどのバックオフィス系職種は個人で仕事の調整がしやすいため対象になりやすく、逆に営業職は顧客対応が多いため適用外になりやすいです。佐川急便やヤマト運輸は正社員ドライバーのみを対象に週休3日制を導入しています。

また、育児中や親の介護といった特別な事情がある人だけが週休3日制を申請できる場合もあります。この仕組みの代表的な会社はヤフーです。

就職や転職で「週休3日制だから入社したい」と考えている場合、入社何か月目から適用できるのか、適用可能な職種なのか、希望すれば誰でも適用されるのかなど、様々な条件を入社前に確認することをおすすめします。

評価されづらくなる

週休3日制には、エンゲージメント(従業員の会社への貢献度や理解度)が向上しづらくなるというデメリットがあります。在宅勤務(テレワーク)制度と併用すると、社内外での情報共有や社員同士のコミュニケーションに差が生じる懸念もあります。

その結果、人事考課(評価制度)において昇給や昇進が遅れる可能性があります。転職の面接では、労務管理の改善や社員の育成・評価の強化、組織の定着など、社員の成長や能力開発に対してどのように取り組んでいるのかを質問して確認することをおすすめします。

週休3日制度が無くなる可能性がある

パナソニックは週休3日制を試験的に導入していることを明らかにしており、他の企業もこの制度を永続的に実施することを保証しているわけではありません。多くの企業が2020年から2022年にかけて週休3日制を始めたばかりで、自社に適しているかどうかを模索中です。定期的にアンケートや満足度調査を行い、成功事例や失敗事例を積み重ねて改善・研究している段階です。

海外でも週休3日制によって生産性が落ちた失敗事例があり、評価制度やマネジメントの難しさが指摘されています。賛否両論の声があることから、導入には慎重な検討が必要です。日本政府が週休3日制を推進しているとはいえ、将来的にどうなるかは不透明です。

制度の課題として、申請までの煩雑な手続きや結果の見えにくさ、業務効率化の遅れなどが挙げられます。導入企業は社会保険や賃金などの法定措置を適切に行い、従業員の保護に留意する必要があります。

週休3日を導入している企業一覧

実際に週休3日制を導入している民間企業を紹介します。全体の割合としては、ごく一部の大手企業が導入している状況です。

2023年1月時点で週休3日制を導入している企業は、以下のとおりです。

週休3日制導入企業一覧

● 佐川急便 – 宅配便や貨物輸送などの物流企業

● ヤマト運輸 – 物流企業

● ヤフー – インターネット企業

● リクルート – 人材業界最大手

● 電通 – 広告代理店

● ファーストリテイリング – カジュアル衣料店「ユニクロ」運営企業

● 日本KFCホールディングス – 「ケンタッキーフライドチキン」運営会社

● 日本IBM – ITコンサルティングやシステム開発などのITサービス企業

● 日本マイクロソフト – マイクロソフト日本法人

● アルペン – スポーツ用品の製造・販売企業

● トットメイト – ホームセンター「トップハウス」運営企業

● ウチヤマホールディングス – 機械加工や建築金物の製造・販売を行う持株会社

● クリエイティブアルファ – 広告制作会社

●  DHコミュニケーションズ – NTT正規代理店

● Blanc – ジュエリー・貴金属の製造・販売企業

● ファミリーマート – コンビニエンスストア運営企業

● 無人コンビニ600 – コンビニエンスストア運営

● イートアンド – 外食産業

● 信州ビバレッジ – 清涼飲料水の製造・販売企業

● TOKYO BIG HOUSE – 不動産業

● 元湯 陣屋 – 鶴巻温泉の老舗旅館

● 東邦銀行 – 福島県の地方銀行

● SOMPOひまわり生命 – 生命保険会社

● 大和ハウス工業 – 住宅総合メーカー

● プリモ・ジャパン – ブライダルジュエリーの企画・販売会社

● スパイシーソフト – 携帯ゲーム・アプリ検索ポータルの運営会社

● 味の素AGF – 食品メーカー

● シノケングループ – 投資用不動産販売、不動産賃貸管理会社

● ネクストビート – 保育士専門の求人・転職支援サイト運営企業

● スカイマーク – 航空会社

● オリエントコーポレーション – みずほ銀行系の大手信販会社

● 東芝 – 大手電機メーカー

● パナソニック – 大手電機メーカー

● 日立製作所 – 大手電機メーカー

● ワコール – アパレル企業

● サタケ – 精米機トップメーカー

● TRASP – ホームページ制作会社

● LEGOLAND Japan合同会社 – レゴランド・ジャパン運営

中小企業が週休3日制を導入している場合、コロナの影響や市場環境の変化による売上減少が理由である可能性があります。これらは仕事が減ったことによる消極的な理由なので、転職する際には注意が必要です。

一方で、大企業を中心に従来から柔軟な働き方を導入している企業もありますが、中小企業ではまだまだ遅れが目立ちます。中小企業では週休3日制の導入よりも、勤怠管理の見直しや労働時間の単位変更、社内コミュニケーションの増加、業務の見直し、ITツールの導入に力を入れていると言えるでしょう。

週休4日を導入している企業一覧

導入事例は少ないものの、週休4日制を導入している企業も存在します。2023年1月時点で週休4日制を導入している企業は、以下のとおりです。

週休4日制導入企業一覧

● ナレッジソサエティ – シェアオフィス運営会社

● みずほフィナンシャルグループ – 日本の大手銀行持株会社

週休3日・週休4日制度を導入している企業への就職や転職を検討している方は、今回紹介した日本国内の企業から応募先を選ぶのも良いでしょう。

週休3日制導入企業への転職方法は?

 週休3日制や4日制の企業に転職したいと考える人は多いですが、「休みが多い会社ならどこでも良い」と思って転職先を選ぶのは危険です。

週休3日制の代わりに労働時間が長かったり、給与が低いというケースもあるからです。よく考えずに転職してしまうと、休みが多くても別の部分で辛くなる可能性もあります。

だからこそ、休日の多さだけでなく、給与や労働時間などにどう影響するかを必ず確認することが大切です。ただ、企業に休暇制度の詳細まで聞くのは気が引けるという方は、転職の際にはエージェントのサポートを利用するのがおすすめです。

転職エージェントは企業とのやり取りをほぼ代行してくれるため、休暇制度や給与制度など聞きにくいことも代わりに確認してくれます。細かいところまで確認したうえで転職先を検討できるので、失敗するリスクが少ないです。加えて、転職エージェントしか持っていない非公開求人も多数あるため、自分だけでは見つけられなかった週休3日制の企業に出会える可能性もあります。

週休3日制Q&A 

週休3日制はいつから始まるのでしょうか?義務化されるのですか?

日本政府が推進しているものの、義務化の予定はありません。ちなみに2023年4月時点では、人事院が国家公務員の週休3日制を可能にする法改正を検討中であり、今後の動向に注目が集まっています。

週休3日制を導入している大手企業はどこですか? 

リクルート、ヤフー、電通、ファーストリテイリング、佐川急便、ヤマト運輸などが導入しています。その他の企業は企業一覧をご確認ください。

週休3日制のデメリット・リスクとは?

給与や年収が低下したり、1日の業務量が増える可能性があります。また、従業員の能力や業種によっては適用が難しい場合もあります。さらに、生産性の低下、運用コストの増加、労働時間の短縮による業務の遅延、社員間のコミュニケーション不足などのリスクも考えられます。

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